4ZC1 died ... Engine exchange
-- 遂にやって来たエンジントラブル --


確かに兆候はあった

3年前にIrmscherを買ったときの走行距離は約70,000km。そして今は124,204km。これまでエンジンには大きな不具合はなかったのに、ちょっとばかし気になることはあった。それは、
  1. 冷却水が減る
  2. オイルが減る
という、明らかにヤバイ兆候だ。それでも、特に何もしなかった。勿論、減った液体はその分注ぎ足していたけど、そんなのはあくまで一時的な対策で、いつかはちゃんと対処しなくちゃいけない。それも判っていたんだけど、やっぱり何もしなかったのは、要するに車が無くなると会社から帰れなくなるような状況だったからであります。ま、これは言い訳で、俺の性格からして、仮に忙しくなくても何もしなかったでしょう。

兆候が現実になった

まず先に駄目になったのは冷却系。1998年12月5日、会社からの帰宅途中に突然の水温の上昇が発覚。明らかにオーバーヒートで、帰宅後に冷却水(ちょっとしか無かったので、足りなかった分はとりあえず普通の水を入れた。どうせすぐ入れ替えるだろうから。)を入れると、入るわ入るわ。翌日の出社前に矢部自動車に持っていく。明らかに漏れているけど、自分で見ている暇なんか無いのでどこから漏れているかの確認なんかしない。その代わり、10分走るごとにペットボトルに入った水を注ぎ足さなきゃいけない。後々考えると、こんなテキトーな対応がとどめをさしたのかもしれない。

工場の人によると、多分ヒーターパイプでしょう、とのこと。これはよく壊れるらしくて、しかも全然手が届かないところにあって取り換えるのもやっかいだから、ついつい劣化するまで放っておくことになってしまうらしい。本来は自分でやるべきの12月点検も頼んでしまった(冬場は毎年仕事が忙しいんですよ)。

1週間後、修理完了の連絡が入る。明細は以下の通り。
工賃
12ヶ月定期点検整備			14,000
ラジエータアッパー/ロアーホース取替	5,200
ヒーター/バイパスホース取替		4,600
サーモスタット取替			9,800
ストップランプスイッチ取替 		2,000
パワーステポンプオイル漏れ有り

小計					35,600

部品
					数量	単価	計
ヒーターホース           	1	700	700
〃					1	1200	1200
ウォーターホース			2	350	700
ラジエータ アッパーホース		1	2060	2060
ラジエータ ロアホース			1	1540	1540
ラジエータ ロアホース			1	850	850
サーモスタット				1	1760	1760
サーモスタットパッキン			1	300	300
クーラーベルト				1	1050	1050
ファンベルト				1	1050	1050
パワーステアリングベルト		1	810	810
ホースバンド				6	200	1200
〃					2	180	360
〃					6	230	230
ストップランプスイッチ			1	790	790
バルブ 23/8W				2	180	360
ロングライフクーラント			2.00	1000	1000

小計					18,110

消費税	2,686
合計	56,396

まさにぬか喜び

修理から上がったIrmscherは、最初は順調だったものの、徐々にエンジンルームが騒がしくなる。修理直後だからやめときゃいいのに辻堂から狭山に向かうと、行きはまあ許容範囲だったのに、帰りになるとどんどん酷くなっていく。音がするのは明らかにシリンダーヘッド。エンジンの吹け上がりも、油圧計も全く問題ないのに、音だけがとんでもない。オーバーヒートの影響がこんなところに出たか? それにしてもこのタペットみたいな音は一体何なんだ。

早速、矢部自動車に持っていく。上がったばっかりだったので、フロントの方も妙に神妙な顔つき。折角直ったのに、また預けることになる。これが12月14日の出来事。そしてその翌日入った連絡によると「ヘッドカバーを開けてみると、1番、2番には全くオイルが来ていない。3番、4番にもほんのちょっと来ているだけ」だそうだ。これじゃどうしようもない。一度ヘッド周りを掃除してみて、何でオイルが来ないのかチェックしてみるけど、あまり期待しないほうがいいよ、とのことだった。これにはさすがに落ち込んだ。ヘッドを掃除したところで、オイルが来ていなかったヘッドがこの先まともに使えるわけが無い。この時点で、今まで使っていた油冷タービンの4ZC1-Tは諦めた。結局、ヘッドを掃除しただけでは何故オイルが来ないかは判らなかった。その原因を判定するためにわざわざエンジンを降ろす価値は無いと判断した。そして、掃除されたヘッドが載ったIrmscherは、とりあえず俺の元に戻ってきた。動くことは動く。でも、こんなエンジンの車に乗る気にはならないから、暫くは駐車場のオブジェになる。

エンジン探し

今のが駄目ときたら、次のエンジンを探さなくちゃいけない。幸い、いくつか当てはあったけど、最も簡単な方法としてリビルド業者のATKに聞いてみることにする。しかし残念ながら在庫はなく、エンジン持ち込みなら可とのこと。この時の送料等も全てATK持ちで、金額は250,000円。この他にもいわゆるエンジン屋でオーバーホールする方法もあるし、いすゞサービスセンターに出してもいいし、別に矢部自動車に出したって構わない。調子の良いエンジンがあれば、それを使っても構わない。選択肢は色々あって逆に困る。

運良く、うちの近くの解体屋にJR120が2台見つかった。120,000km走行の'88型NERO XS、70,000km走行の'89型 HBL。エンジンの調子自体は明らかにHBLの方が良い。でも70,000kmだ。俺が買ったときと同じ距離だ。距離とエンジンの調子は必ずしも一致しないなんてことは判っちゃいるけど、そんなことより気分の方が問題だ。そのまま使う気にはなれない。

エンジンは見つかったから、あとはどうするかだ。結局、ATKに出すことに決める。理由は、とある本で見たATKの作業内容が納得できること、そして、特にチューニングすることには興味がないこと。別にエンジン屋の作業内容にケチをつけるわけじゃない。俺には必要が無いだけ。俺に必要なのは性能より耐久性だから、ATKエンジンの方が俺には合っている。多分。それに、今までの経緯からして、多分載せ換えは矢部自動車に出すだろうから。

解体屋でHBLのエンジンを買う。3万円。矢部自動車にお願いして、取り外したエンジンを取りに行ってもらって、そのままATKに送ってもらうことにする。こんなことは俺一人じゃできない。そりゃあレンタカー借りて愛知にあるATKまで持っていく方法もあるけど、とてもじゃないけどそんな暇は無い。これも、ATK&矢部自動車を選んだ理由の一つ。

苦節3ヶ月、エンジンだけ新車になった。

そして、エンジンがATKから戻ってきたのが1999年2月10日。そして2月12日、Irmscherを駐車場の奥から引っ張り出して、矢部自動車に持っていく。補機類は基本的にHBLについていたものを使うことにする。これでオイル漏れしていたパワステポンプが直ってくれればラッキー。ついでなので、クラッチ交換も頼む。他にも異常があったら、どうせ矢部自動車が勝手にやってくれるだろう。無精者の俺には最適な修理工場だ。あとは修理が上がるのを待つだけ。しかし、そのまますんなりとはいかなかった。タービンが駄目なことが発覚する。ATKではあくまでエンジン本体しかやらないから、そんなものの不良に気付くわけが無いのだ。これをリビルドに出すことにする。58,000円。そして、遂に2月27日、修理完了。エンジンだけ新車になったIrmscherが俺の元に戻ってきた。かかった費用は、金額だけで言うと489,785円。それ以外に、エンジン探しだとか、足車の確保だとか、それに伴う駐車場代だとか、かなりの労力がかかっている。

工賃
エンジンASSYおよびエンジン各部取替	80,000

部品
エンジンASSY(リビルド)	1	250000	250000
ターボ(リビルド)		1	58000	58000
クラッチディスクASSY		1	9100	9100
クラッチレリーズベアリング	1	2920	2920
ウォーターポンプASSY		1	10700	10700
〃ホース			1	1200	1200
〃ホース			1	710	710
ターボ スタッドボルト		4	100	400
〃ナット			4	280	1120
クーラーガス			3	2000	6000
ターボ オイルホース		1	750	750
クーラーアイドルプーリーASSY	1	2240	2240
P/S〃				1	7250	7250
オイルエレメント		1	1750	1750
ウォーターホース		1	850	850
エンジンオイル			4.00	600	2400
ロングライフクーラント		2.00	1000	2000
パワーステアリングオイル	.50	1000	500

小計				357,890

消費税	21,895
合計	459,785


これと、エンジン代30,000円で、合計489,785円。

乗って驚く。さすがは新車。

戻ってきたエンジンは、まるで動いていないみたいに静かだった。4ZC1でもこんな静かになるんだ、と驚く。回転の上がりもスムースなこと極まりない。これが新車なのか。中古車ばっかり乗ってきた俺には判らなかった感覚。回転数に気をつけながら馴らしをする。でも、静けさがもったのは最初の500kmだけだった。500km走行時点でオイル交換。最初に使ったオイルはBPのVervis Plus。これがいけなかった。明らかに五月蝿くなってしまった。これは使えない、相性が悪い。すぐにValvolineのTurbo Extraに換える。これはまあまあだった。でも、以前の静かさには戻っていない。戻ったのかもしれないけど、一度五月蝿いのに乗ってしまうと判らなかった。馴らしのために遠出する暇が無いので、毎日往復80kmの通勤で馴らしを行う。出社時は渋滞の中をタコメーターだけを見ながらなるべくスムースにギヤを繋ぎながら走り、帰宅時は深夜1時頃のガラガラの道を走る。馴らしのシチュエーションとしては悪くないと思う。

そして、馴らしが終わったエンジンは、全くノートラブルで絶好調。特性としては、記憶の中にある油冷タービンの4ZC1と何ら変わらない。踏めば五月蝿いし、上が回らないのも同じ。こういう、良くも悪くも4ZC1なところは、何もチューニングしていないのだから変わるはずが無い。燃費は0.5km/lくらい良くなった。そして、前よりは回転が上がりが速くなっているような気がする。リビルドしたんだから、そのくらいは良くなってもらわなくちゃ。そうそう、それと、今度こそ長持ちしてもらわないと困るよ。

We go together, toward 200,000km.


JR EAST JAPAN
M.Sota's PIAZZA