☆☆☆☆☆ 聖戦士ピアーツァACT8——クラウンの敗北

格段に高性能になったピアーツァ、そしてスタリオン。全身電気仕掛けのクラウンに勝負を挑む。スリーダイヤモンドとLOTUSのエンブレムが、妖光を放ち、強大な光の渦となって天高く舞い上がり、そして一気にクラウンめがけ落下した。ズッズォ~ン! ものすごい衝撃が周りに広がった。

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一方、取材中のTV側では—–

アナ「うっうわー、ものすごいショックです。ヘリが激しくゆれます」
カペ「大丈夫ですか?」
ジープ「ちょっと、あれを!」
カペ「おっと、画像がちょっと乱れてますが、はっきり見えます。そう、あれはクラウンのエンブレムが・・・」

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立ちこめる砂ぼこりの中に、エンブレムが浮かび上がる。

クラ「わ、わたしは今日までの長き年月の中で、大切なものを積み重ねてきた。それは信頼と伝統。この2つを守るためには、保守的にならざるをえない。FMCしても変化の乏しいスタイリング。いっそFMCしないほうが・・・と、考えてはみてもユーザーはとにかく新型を好む。私にも夢がある。だが・・・」
ピア「俺も発売以来10年近くたったが、基本形は変わらない。考えてみろ、10年前の他車と俺を」
スタ「ピアーツァ・・・」
クラ「ピアーツァ、頼みがある。私も真っ赤なボディを着こなしたい・・・。セドリックのように・・・」
ピア「クラウン・・・」

クラウンは静かに深い眠りに落ちた。そして電動のステアとシートがスーッとプリセットされた。あたかも、ドライバーが下車したかのように・・・。

スタ「どうしたんだ?」
ピア「きっとオーナーが”新型”に乗り替えたんだろう」
スタ「あっけないな」
ピア「こんなもんなのかな・・・」

2人は、オーナーがいつ新型に乗り替えるか不安になった。

カペ「つ、ついにクラウンが敗れました。トヨタリアンの根源、クラウン。無個性、成金趣味と言われ続けてもポリシーを貫き通すことは大変な努力です。彼のクルマ人生には彩りこそなかったものの、悔いはみじんたりともなかったでしょう」
アナ「ちょっと待ってください! 未確認ですが、東の空に巨大な物体が現われたようです。今まで見たこともないようなクルマです」
ピア「来たな、”新型”」

果たして”新型”とは? 戦いは終焉を迎えようとしていた!
(MFCロンドン支部長/霧のロンドンエアポート)

ママ「”ピアーツァ”観終わったんなら、早くゴハン食べちゃいなさい」
子供「・・・・・・この間、パパが言ってたこと思い出したら、心配で、ゴハン食べたくなくなっちゃった」
ママ「パパなんて言ってたの?」
子供「女房とタタミは新しいほうがいいって・・・。ママは”新型”にとりかえられちゃうの?」
ママ「大丈夫よ。パパとママの間には、長い年月の間に積み重ねてきたものがあるんだから・・・」
子供「でも、それが危いんだよ」
ママ(・・・・・・不、不安・・・)
子供「パパに飽きられないように、もっとオシャレしなよ。ね~、パパ~、ママに赤い服買ってあげて」
パパ「なんだ? 赤い服でママが似合うのは、チャンチャンコぐらいだろ? 年とったら買ってやる」
ママ(年とっても一緒・・・よかった)