Part 4 KSCを見て威張る (2001/05/29)


ホントに朝4時半に目覚ましに叩き起こされる。あー眠い。目茶苦茶眠い。しかも外は真っ暗だ。何故こんな馬鹿みたいに早い時間に起きるのか半ば忘れていたんだけど、今日は日の出を見なけりゃいけないのだ。しかしいくらなんでも早すぎたようで、外はホントに真っ暗だ。わざわざカーテンを閉めずに寝たのでベッドからでもよく判る。目覚ましを5時にセットし直して再び寝る。そして5時になると、さっきよりはちょっとだけ明るいような気がする。遂に観念して起き上がってバルコニーに出てみると、確かに徐々に日が昇りつつあった。


あと40分くらいかねえ。

これはこれで結構キレイな眺めだったりするので、冷蔵庫からレモンティーを持ってきて、バルコニーで一服する。これがOcean Frontだったらもうちょっとサマになったに違いない。さてそろそろビーチに出るか。カメラと携帯灰皿を持って、異常に建て付けの悪いドアを強引に開けて外に出る。いかにフロリダとは言えどもこれだけ朝早いと少々涼しい。そしてビーチに出てみると、同じようなことを考えている阿呆は他にもいるようで、幾つかのグループがビーチを散歩したりしている。一人でカメラ持ってウロウロしているのは例によって俺だけ。もうそんなの慣れたぞクソッ。


ちょっと雲が多いのが残念だけど、見えないよりマシ


こんな気持ち悪い雲も。

何しろ日の出まではやることがないのでひたすらそのへんをウロウロする。そろそろ煙草を吸うのも飽きてきた頃になって、やっと日の出の時間になったようだ。


雲の隙間から見事に太陽が昇ってきた。今頃大洋は沈んでいるに違いないが。

今日の最初の儀式を終えたので、部屋に戻ってこれからの予定を考える。とは言っても今日はKennedy Space Centerに行くと最初から決まっている。一応地図を見てみたけど、まあ一本道だから考える必要もないだろう。そもそもここに来るまでにもI-4に看板が散々出ていたくらいなんだから、それを考慮すればいちいち考えておく必要はない。米国の看板は観光客に対してはひたすら親切なのだ。そんなわけで一服しながらボーッとしていると、ニュースではDaytona Beachでは禁煙にするべきだの何だのと言っている。あーあー、ここでも喫煙者迫害か。フロリダは喫煙や酒に甘い(ここまで一度も写真入りIDを出せと言われていない)と思っていたけどやっぱりこういう話が出るあたりが米国らしい。昨日のうちに吸っておいてよかったぞ。そんなことを考えながら荷物を片付けて部屋を出る。フロントに行ってチェックアウトしようとしたら、今度はAndyではなくてその奥さんらしき人が居る。特に何を聞かれるわけでもなく終了。さてメシでも食うか、と思ったら、困ったことにこのモーテルはContinental Breakfastが出ないらしい。クソッ、シカゴのSUPER 8は出たのにここは出ないとは。しかし米国らしく珈琲だけは飲み放題らしいので、レモンティーが入っていた瓶に珈琲を入れてしまう。こういった行為は、珈琲を水のごとく扱う米国では極めて当たり前なのであまり気にしなくても良い。適当に挨拶をしながらフロントを出る。

とりあえず朝飯を食いたいので、給油ついでにセブンイレブンに寄る。こっちのコンビニは何故か大概にしてガソリンスタンドが併設されているから便利だ。店内は思いの外混んでいる。ホントはファーストフードでも食いたかったところだけど、朝7時なんて何処も開いていないんだからしょうがない。適当にサンドイッチとパン、そしてスターバックスの甘ったるい瓶入り珈琲を買う。さっき注いできた珈琲はやたら薄かったのと、朝は甘ったるい珈琲の方が目が覚めやすいのでこれは必要なのだ。車の中で朝飯を食って、ガソリンを給油する。久々の給油なのでちょっと緊張する。やり方自体は慣れたもんなので特に説明も読まずにやっていると、何故か1ガロンちょっとしか入っていないのに終わってしまった。その後何度入れようとしてもすぐに給油が止まってしまって、結局その後はどうにもならず、1ドルちょっと分しか入れずに逃げ去る羽目になってしまった。まあCincinnatiに居たときは結局1セント分も入れられずに逃げ去ったことがあるから、それに比べりゃマシだ、と思うことにする。

しかし思い込みが足りなかったのか、Kennedy Space Centerに向かうI-95に乗りそこねてしまった。Uターンしようにも、なかなかUターンできるような場所が現れないのでかなり先に行ってしまう。ようやく左折車線が現れてUターンする。そしてI-95に乗って、あとはひたすら真っ直ぐ行くだけ。

予想通り、I-95沿いにはKennedy Space Centerの看板が散々現れる。略称でKSCと書いてある場合も多いんだけど、KSCってのはどっかで聞いたことがあると思ったら、我が母校の鎌倉高校水泳部の略称と同じなのであった。下らないことを考えてながらひたすら真っ直ぐ走っているうちに目指すEXIT 79に着く。一般道と合流するところにも、当然のようにKSCと書いてある看板が出ているので迷いようが無い。それからまたしてもひたすら真っ直ぐ進む。この道はNASA Pkwyと言うらしい。何と安直な。


川があろうが何があろうがとにかく真っ直ぐなのだ。

いい加減飽きてきたころに道の右側にロケットだの何だのが現れる。やっと近づいてきた証拠だ。しかしこの手のロケットなんかが揃いも揃って馬鹿デカイのが笑える。どう見ても張りボテなのにデカイ。さらにちょっと走ると、今度は巨大なロケットがまるで工場の煙突の如く立ち並んでいるのが見える。今度こそ本当にKennedy Space CenterのVisitor Complexの入口にやってきたようだ。看板に従って右に曲がる。そして駐車場を目指して走っていると、前の車がそれらしい所で右折したのでついていく。そして駐車場に着いてみると、何とここは従業員駐車場であった。前を走っていた車からは社員用の赤いポロシャツを着た人が出てきたので間違いないだろう。仕方がないので元の道に戻って、やっとビジター用の駐車場に到着。外に出るとキョーレツな暑さ。とてもじゃないけどアスファルトの上には居られん。

そしてチケット売り場に向かう。たまたま並んだ列の前の人が日本人二人組で、しかもチケット売り場でオタオタしながらコインを出していたもんだから心の中で笑っていたら、俺までもオタオタしてしまった。張り紙には$25って書いてあるくせに、実はコレは税込み価格じゃないのが悪いのだ。この手の所で外税なんてのは殆ど無いぞ。


チケットはこんな感じ。

そして建物の中に入ってパンフレット類を貰う。ここの目玉は間違いなくバスツアーなんだけど、それは9:45から始まるらしいのでそれまではヒマだ。そこでたまたまそばにあったROBOT SCOUTSとかいうのに入ってみる。SCOUTSって何かと思ったら、要するにボーイスカウトとかのスカウトなんだけど、それは判ってもそもそもボーイスカウトってものが具体的に何なのか今一つはっきりしないので、結局ROBOT SCOUTSも何なのか判らない。まあ見てみりゃ判るだろ。


そして出てきたのがこんなの。要するにロボットシュミレーションだった。

これが終わると丁度バスツアーの時間だった。そこでバス乗り場に向かうと、これがまたとんでもない混雑だ。駐車場は大して混んでなかったのに。多分みんなコレが目当てなのだろう。しかしバスは続けざまにガンガンやって来るので、特に待つこともなく乗れる。当然ながらバスはあっという間に満車。隣の椅子に座ったのがデブじゃなくて助かったぞ。

そしてバスは走りだす。走り出した途端にドライバーがHi Folks(やあみんな、とでも訳すべきか)なんて言いながらあれやこれやと喋り始める。ChicagoなんかだとHey guys,って感じだったけど、何故かこっちはGuysではなくFolksが多い。そしてすぐにビデオが始まる。またしてもFolksだ。そしてビデオからは突如「ポーン」というMacintoshの起動音がして、何だこりゃと思ったら、これが鳴ったら外に何かあるっていう合図らしい。Microsoft帝国に侵略されている米国なのに、こういうところだけはMacintoshなのが面白い。バスはVisitor Complexを出て、本当のKennedy Space Centerの敷地内(一般車立ち入り禁止)に入っていく。あちこちに検問があって非常に物々しい。そしてビデオからは問題の起動音が鳴る。どうやらこの左側にあるデカいビルの中にスペースシャトルが居るらしい。


発射前はここで組み立てるんだそうな。

そしてその建物の先にはだだっ広い道があって、発射台に繋がっている。実際に発射するときは、この建物から発射台まで、何と時速1マイルなんていうトロさで持っていくらしい。ホントかよ、と思ったけど、周りの米国人も一様にそんな反応を示していたので多分聞き間違えではない(と思われる)。そして発射台の手前にある展望台みたいなところでバスは停まる。どうやらここが最初の見学ポイントのようだ。バスを降りて目の前の建物に入ってみると、何だか映画があるみたいなので始まるまでちょっと待つ。館内は非常に涼しくて心地よい。映画の内容は、発射に際してどんなことをするか、みたいなもので、これはこれでなかなか面白い。10分ほどで映画が終わり、館内の展示物を見てみた後、外にある展望台に登ってみる。


向こうにあるのが組み立てビル。手前にあるのが時速1マイルで移動する運搬台車。


そして発射台。


遠くにもう一つ発射台。


能書きは色々書いてあるんだけど、実物は遠すぎて全然見えない。


何故か展望台の真ん中にはエンジンが。

上手い具合に展望台の隅っこに灰皿があったので一服する。米国のこういう施設で、こんないい感じの場所に灰皿があるなんて珍しいぞ。一服を終えると丁度バスがやって来たのでこれに乗込むことにする。バスはさっき通り過ぎたビルの脇を再び通り抜け、次に向かうのはAPOLLO/SATURN V CENTERという所だ。あっという間に到着して、さあ中に入るか、と思ったらどういうわけか外で待たされる。御丁寧に待ち時間が秒単位で表示されるのがこういう所らしい。そして中に入ると、なんだか判らないけど立見のまま映画を見させられるらしい。最初は立っていた人々も、映画が始まった途端に床に座り始める。若い奴は寝転がっていたりする。最前列に居る人達だけが、周りの状況に気付かずに突っ立っているのが面白い。APOLLO/SATURN V CENTERというだけに、映画はアポロ計画が中心のようだ。3つのスクリーンを駆使した映画はそれなりに面白い。

映画が終わり、指示されるままに前に進むと、今度は司令室を模した部屋になっていた。ちょっと待ったところで部屋が暗くなり、前方にある時計がカウントダウンを始める。残り10秒になると、他の客まで揃ってカウントを始めてしまう。そしてゼロになると、天井が突然明るくなったり、部屋が揺れたりしてなかなか凝っている。何だかユニバーサルスタジオみたいだ。


しかしよくまあこんなの作るねえ。

これが終わって、またしても言われるがままに進むと、この部屋には歴代APOLLOや、SATURN Vロケットが展示してある。今度は張りボテではなくて本物みたいだ。


APOLLO 15。思ったより小さい。何故かアポロチョコレートを思い出してしまった。


奇跡のナントカ(覚えてない)と紹介されていたAPOLLO 13。調子に乗ってペーパーバックまで買ってしまった。そういや映画「APOLLO 13」のDVDはCincinnatiに居るときに散々見たなあ(つまりヒマだった)。

バスツアーの次の目的地はINTERNATIONAL SPACE CENTERという所だ。ここはKennedy Space Centerのヘッドクォーター(本社っていうより本拠地って言うべきか)がある場所らしいんだけど、実際に我々が見られるのはスペースシャトルの室内の様子(勿論本物ではなくて模型)とか、作業員が何かの作業をしている現場だけで、さっきまでのいかにも米国っぽい豪快な展示物と比べると、何だか小学校の工場見学みたいであんまり面白くない。とりあえずザッと見て回ったところでバスに戻ることにする。

そしてバスはVisitor Complexに戻り、バスツアーは終了となる。こんなのはここに来ないと絶対に見れないと思うと非常に満足感が高いツアーだったなあ。さてこれからどうしようか、と思いつつ最初に貰ったパンフレット類を見ていると、あと5分ほどでIMAX Theaterで映画が始まるらしいので、とりあえず見てしまうことにする。早歩きで建物に入ると、係員のオバチャンに急かされる。どうやら俺が最後の客らしい。席について早々映画が始まる。しかし、やたら早起きした上にひたすら英語ばっかりな環境で既にかなり疲れていた俺は案の定寝てしまい、宇宙のごとく暗黒の世界を40分間過ごしている間に映画は終わってしまった。ホントは別の映画もあるんだけど、どうせまた寝てしまいそうなのでもう見ないことにしよう。

昼寝から醒めると腹が減っていたので昼飯とする。すぐそばの建物がカフェテリア型式の食堂になっているのでここで食うことにする。店名がOrbit(天体とかの軌道のこと)っていうのがいかにもっていう感じ。ラザニアなんかも美味そうだったけど、食いすぎるとこの後のドライブに影響をきたしそうなので、ハムサンドイッチとフルーツ盛り合わせ(まさに盛り合わせ)、ミネラルウォーターに留めておく。このミネラルウォーターもKSCのマーク入りの貴重品だ。フロリダだけにフルーツを食わねばならんと思って思わず取ってしまった盛り合わせは異常に量が多くて、結局酷い満腹感を感じることになってしまった。

昼飯を食ったところで、Visitor Complex内の他の施設を見学に回る。食堂のすぐそばにはスペースシャトルの張りボテがある。これはまさに張りボテであって、さっきレストア済みの本物のロケットだの何だのを見た後だとあまり感動が無い。とりあえず内部はそっくりに作ってあるらしいのでそのへんを見学したりする。


画像だけ見ると本物っぽいけど、実物を見ると張りボテ感丸出し。

あまり人がいない裏の方に行くと、これまでの宇宙航海で殉死した人達の記念碑なんかがある。当然ながらあのチャレンジャー事故で亡くなった人達の名前も刻されている。そしてその下の池を覗いてみたら、何とそこにはアリゲーターが。


こういったMEMORIAL系なものを見ると米国のお国柄を感じる。こういうのは何処に行ってもある。

その後も幾つかの建物に入って展示物を見てみたけど、どうしてもさっきのバスツアー以上のものは無い。既に時間は1時を過ぎている。そろそろ撤収の時間だ。敷地内の中央にある土産物屋で、妙なものばかり買い込んでここを去ることにする。


何だか変なものばっかり買ってしまった。


恒例の変な日本語。

駐車場に戻って車のドアを開けると、とんでもない熱気が襲ってきた。とてもじゃないけどこんな車には乗れたもんじゃないので、4つのドアを全開にして、エンジンをかけてエアコンも全開にする。フロリダのレンタカーなんだからこの程度でオーバーヒートすることは無いだろう。俺のオンボロピアッツァじゃあるまいし。暫く一服したりトランクの整理をしたりしながら冷えるのを待ってから車に乗る。朝買ったスターバックスの瓶入り珈琲は、既に完全にホット珈琲になってしまった。熱くて瓶も触れない。しょうがないので地図を眺めて今後の予定を考える。今後の予定としては、一応7時か8時頃にはシンポジウムが行われるホテルに着いておきたいので、ここからオーランドの空港までは1時間程度かかることを考えるとあまり大した事はできない。オーランドのSeaWorldあたりに行くか、それともこの近くのCocoa Beachに行くか、それとも単に買い物でもするか、といったところだけど、SeaWorldは時間的にちょっと中途半端そうなのでCocoa Beachに行って、ついでにRON JON Surfshop(あちこちに看板が出ているので有名らしい)にでも行くことにする。位置的にはここから大して遠くない。さっきまでの道でもCocoaっていう看板は出ていたし、まあ何とかなるでしょう。

こうやって余裕ぶっこいて走っている時に限って道に迷うのはいつも通り。Visitor Complexを出る時点でCocoaの看板があったのでそっちに向かっていって、そのままState Road 3をひたすら真っ直ぐ(とにかくフロリダの道は全部真っ直ぐ)走っていたまでは良かったものの、途中でA1A(実はDaytonaからここまで続いていた)に乗り換えるところで、紛らわしい看板に騙されてA1A逆方向に向かってしまったのだ。困ったことに全然Uターンできる場所が無いので、仕方なく途中のEXITで降りると、丁度そこにCincinnati滞在中に散々使ったSpeedway(ガソリンスタンド)をフロリダで始めて発見したので、ここで給油することにする。こっちはさっきのセブンイレブンスタンドとは違って、紛れもなく俺にとっては慣れたシステムなので、何の問題もなく満タンになる。それからさっき走ってきた道を戻り、A1AをCocoa方面に向かってひた走る。


このあたりの橋はこういう豪快な上り下りがある。船が通るからなんだろうけど。

一体自分が何処に居るんだか判らなくなってきたころに、突然左側にRON JON Surfshopが現れる。おぉ、いつの間にかCocoa Beachに着いて居たのか。ビーチなんか見えやしないから全然気がつかなかったぞ。ということは、このへんでどっかに停めれば多分ビーチがあるんだろうけど、いつの間にやらこの道は上り車線と下り車線の間にも家が建ち並ぶような妙な道になってしまって、余計にビーチに向かうタイミングを損ねてしまった。しょうがないので適当なところで強引に左折して民家の間を抜けて、反対側の車線に入る。そしてちょっと走ったところで駐車場っぽい所があったのでそこに車を停める。その目の前はもうビーチっぽい。


このへんにはこういった小さい駐車場が沢山。ホントは有料らしいけど、俺は今まで米国のこの手のパーキングメーターに一度も金を入れたことが無い。


そしてビーチに出てみると...うーん、イマイチ。

何だかあんまりにも寂しいビーチだなあ。砂の質も、水の色も、Daytonaほどキレイじゃない。勿論辻堂海岸に比べりゃ格段にキレイなんだけど。波も全然無くて、当然波乗りやってる奴も居ないので、そういう意味でも面白くない。あまり長居する必要は無さそうなのでここはさっさと去ることにする。

次の目的地としては、一応Cocoa Beachで一番のメジャーポイントらしいCocoa Beach Pearだ。行ったところでどうなるもんでもないけど、折角ここまで来たんだから行っておくに限る。何処にあるんだか良く判らないんだけど、とにかく海岸に近いところを走ってりゃ判るだろ。RON JON Surfshopのあたりで右折して海岸に近い道に出て、さらに北上するとそれらしきものがあった。早速駐車場に車を停める。そして外に出てみると、妙に雲行きが怪しい。明らかに空の色が違ってきた。実際、海の方からは地元民がダッシュして戻ってくる。こりゃヤバイか、と思いつつ桟橋に向かって歩く。そして桟橋の上を歩き始めると、もう明らかにスコール1分前といった雰囲気になってきた。


黒人がダッシュしてくると何となく恐い

こりゃ桟橋の売店なんか覗いている場合じゃないので、俺もさっさと車の所に戻る。案の定車に乗る前にスコールが来た。慌てて車に乗込んで難を逃れる。あー危なかった。

とにかくこのスコールはトンデモナイ勢いで、これこそバケツの水をひっくり返したっていう感じだ。バケツどころか風呂桶丸ごとっていうぐらいにスゴイ。いくらワイパーを動かしても前なんか全然見えないので暫く待ってみたものの、煙草一本分待っても変化がないので、仕方がないので動き始める。動いていると多少前方は見えるようになる。車の外に出る気になれないので、RON JON Surfshopは諦めてOrlando方面に向かおうとすると、突然雨が止んで快晴に戻ってしまった。雨が上がればこっちのもんなので、適当なところでUターンしてRON JON Surfshopに向かう。

近くの駐車場に車を停めて店に入る。確かにデカイ。入り口のそばにはセール品が大量に置かれているけど、あまり目ぼしいものは無い。こんな時にフィンとかシュノーケルなんか買ってもしょうがない。基本的にはいわゆるサーフショップなので、勿論サーフボードそのものや、ウェットスーツなんかも扱っているけど、どっちかと言うとシャツだの何だのといった衣類とか、あんまり関係無い土産物関係の方が多い。Tシャツなんかはモノによってはかなり安いけど、安いのは殆どこの店のオリジナルで、しかも今一つピンと来ないデザインばっかり。かなり長い間ウロウロした挙げ句、投げ売りしていたウインドブレーカーとワックスだけ買って店を去る。他にも欲しいモノはあったけど、これ以上荷物を増やすわけにはイカンのだ。

そんじゃ今度こそOrlandoに帰りますか。ここからOrlandoまでは、さっきのA1Aを真っ直ぐ進んで、そのままBee Lineという有料道路を東に進めば、そのうちOrlandoの空港に着く。距離的にはOrlando〜Daytonaよりちょっと短いくらいだろう。レンタカーを返す前にガソリンを入れたりしなくちゃいけないので、そのまま空港のDollarのオフィスには行かずに何処かで一度降りなければならない。まあ適当なところで降りればいいだろ。そう思いながら有料道路をガンガン進んでいるうちに料金所が現れる。$1を払って、そこからちょっと進んだらそこはもう空港であった。あーあ、米国のドライブもこれでお終いか。

とりあえず空港は通過して、適当な出口で降りる。そこからガソリンスタンドを探すために適当に北上してみても、どういうわけか全然ガソリンスタンドが現れない。ガソリンスタンドどころか店も民家も何も無い。その代わり、目の前に突如としてIMPULSE(いすゞピアッツァの北米仕様)が現れたのだ。


日本で言えば84.5型のXS(ライトチェスナット)であろうIMPULSE


Cincinnatiでは2ヶ月も滞在したのに遂に一度も見ることが無かった(1時間ほど離れた隣町のDaytonで一度見ただけ)のに、たった3日でIMPULSEに出合うとは。これは何かいいことがあるに違いないぞ、というのは明らかに思い込みだったようで、見事にガソリンスタンドが見付からない。そもそも道がよく判らない。ウロウロしているうちに空港に向かう道に入ってしまったようで、用もないのにぐるっと空港を一回りしてしまう羽目になってしまった。結局今使っていた道に戻ってしまう。ったく何やってんだか。この道は走ってもしょうがないので別の道に行くと、こっちはさっきとは違ってやたらと店がある。最初からこっちに来りゃ良かった。そしてガソリンスタンドに入ると、何とここは珍しくクレジットカードを使うセルフ給油ではなくて、給油した後に店内で金を払う所らしい。こんなのKentuckyのクソ田舎に行った時以来久々に見たぞ。まさかOrlandoでこんなのに合うとは。そもそも良く見たら店自体が閉まっている。こうなるともはやどうしていいのか判らないので、諦めて出てしまって、しかも何となく隣のWAL★MARTに寄ってしまう。買い物のし過ぎで鞄の容積が不足しているのは明らかなので、安物の鞄かスーツケースを探してみると、丁度鞄売り場の所に段ボールが山積みされていて近づけないではないか。これじゃどうしようもない。

鞄は諦めて駐車場に戻る。ここでふと自分がTシャツ&短パン姿だってことに気付く。うーん、今日泊まるのはMarriottなんだよなあ。これってかなり高級なホテルだよなあ。何せ割引料金でも一泊$151も取るんだからなあ。定価だと$200だもんなあ。そんな所にこんな恰好で行っていいのかねえ。何しろ高級ホテルなんてものに縁が無い俺にはイマイチその手のマナーというか作法が判らん。念の為チノパンに履き替えて、長袖シャツも一応出しておくことにする。駐車場の隅っこで、車の中でズボンを履き替える姿はかなり情けない。

その後別のスタンドで給油して、それからレンタカーを返すべく空港に向かう。さっき用もないのに行ってしまったので道は判っている。ついでにレンタカーを戻す場所も確認しておいたので何の問題もない。時間は既に7時半。一応レンタカーは8時までにしておいたからそれ自体は問題無いんだけど、会社の人達とMarriottで晩飯を食うことにしていたので、そっちの方が気掛かりだ。そしてDollar用の入口から車を入れると、丁度目の前でも返却受付をやっているらしい。窓をあけて「どうすりゃいいの?」みたいな表情をしていると、ネエチャンがそこに停めろと言う。車から降りて荷物を出していると、POSシステムみたいなものを持ったオッサンがフロントガラス左下のバーコードを照合して、ガソリンを調べたりする。とりあえずオッサンは車の周りを一周して、それでアッサリOK。空港までどう行くか判らないので、オッサンに道を聞いてその場を去る。

さて、ここからはシャトルバスに乗ってMarriott World Center(World Centerという所にあるからこういう名前。ちなみにディズニーランドからはそう遠くない)に行かなければならない。別に俺がここに泊まりたいと主張したわけではなくて、今回参加するシンポジウムがここで行われるというだけの話。Orlandoは妙にだだっ広いくせに、一般的な米国の都市らしくバスも鉄道もAMTRAKとかGreyhoundといった大陸横断系を除けば無いに等しいので、旅行者は大概にしてレンタカーかシャトルバスを使うらしい。というわけで、今回はシンポジウム参加申し込みのWebサイトにも、きちんとMEARS MOTOR SHUTTLEというシャトル会社の割引クーポン(プリンターで印刷するだけ)があったりしたのだ。個人的には勿論レンタカーの方が自由が利いてベターなんだけど、ケチな会社がそんな金を出すわけもないので勿論俺はシャトルを選ばざるを得ない。

MEARS MOTOR SHUTTLEのチケット売り場は空港の2階にある。数人並んでいるのでその後ろで待つ。それなりに客が来るのに、係員が一人しか居ないから待たされるのだ。そして俺の番が来た。とりあえず例のクーポンを出す前に、Marriott World CenterへのRoundtrip Ticket(往復)が欲しい、みたいなことを言ってみたんだけど、今一つ要領を得ないので例のクーポンを出してみると、ああ、これか! みたいな感じで話がやけにスムースに進む。係員のオバサンによれば、今日はこのクーポンを使って買った奴がやたらと多かったらしい。PCから色々と打ち込んで、そして出てきた黄色い4枚つづりのチケットに蛍光ペンで注意書きしながら、これがReceiptで、これが帰りのチケットで、なんて感じで色々と説明してくれる。どうやら帰りのシャトルは電話で予約しなくちゃいけないらしい。あちゃー。英語で電話って苦手なんだよなあ。そして最後に乗り場について教えてくれる。そばのエレベーターを降りたら真っ正面にあるんだそうだ。チケット代$25を払って、お礼を言ってその場を離れ、エレベーターで1階に降りる。

そのままシャトルに乗ろうかと思ったけど、何となく外に出て一服してしまう。そもそもシャトルっていうもののシステムをまるで理解してないんだけど、どうすりゃいいんだ? まさかMarriott World Centerへの定期便があるわけでもあるまい。まあ良く判らんけど行ってみりゃ何とかなるんだろう。少なくともチケットは買ったんだし。

そしてシャトル乗り場らしき所に行くと、ワンボックスみたいな10人ちょっとは乗れそうなワゴンが停まっていて、そばに係員のオッサンが立っている。いかにも旅行者っぽい格好の俺が乗車客であることはすぐに判ったようで、何処に行くんだ? と聞かれる。Marriot World Center、って言ったつもりなのに怪訝な顔をするのでチケットを見せると納得する。さっきもイマイチ通じなかったし、どうやら俺の発音がダメなみたいだ。Marriottなんて、辞書にも載ってないからどう発音していいか判らんぞ。そもそもOrlandoだって「オーランド」って言っても絶対に通じない。「オゥンドー」って感じでラにアクセントを付けないと通じない。まあとりあえず行き先は伝えたので、ベンチに座って呼ばれるのを待つ。ここにも灰皿があったので何となく一服しているうちに、どうやらディズニー近辺に行くらしい隣の家族連れがワゴンに乗込んでいく。それをボーッと眺めていると、お前も乗れ、みたいな感じで急かされる。まさに不意打ちだったので慌ててしまう。運転手らしき人にまたしても何処に行くんだと聞かれたので、再度Marriott World Centerと言ってもやっぱり通じない。たまたまさっきの係員がそばに居て、運転手に伝えてくれて事無きを得る。あー情けねえ。とりあえず荷物を運転手さんに託して、俺はワゴンに乗込む。結局二組の家族と俺の10名がこのワゴンに乗込んだ。

ワゴンはゆっくりと動き出し、俺が使った有料道路側の出口とは反対側からMarriottに向かう。時刻は既にとっくに8時を過ぎていて、いかにサマータイムとは言っても徐々に暗くなりはじめている。周囲には日本のナントカニュータウンの如く、同じ作りの住宅が並んでいたりする。Cincinnati周辺では全く見られなかった光景だ。そして有料道路の料金所はE-Passという所を若干減速しながら通り抜ける。一体何で認証しているんだか判らないが、ミラーのところにぶら下がっている紙切れが怪しい。こうして全然知らない道ばかりを走ること約25分、何も無いところに馬鹿デカイ建物が現れる。どうやらこれがMarriott World Centerのようだ。そしてワゴンは玄関の前で停まる。何ともまたご立派な建物だなあ。

ここで降りるのは俺だけのようだ。他の人達はDisneyのあたりにでも行くのだろう。運転手に鞄を出してもらったのでチップを$1渡して、さあチェックインするか、と思ったらホテルマン(というよりバイトの高校生)が何人も近づいてきて俺の周りを取り囲んで、勝手に鞄を持っていってしまった。鞄があまりにも小さいので、台車とかを持ってきていた他のホテルマンはヒマそうだ。何じゃそりゃ、どうすりゃいいんだ? と思ったら、チェックインして番号を貰った後に、入り口のそばのカウンターにきて下さい、なんて言っている。そして何かのタグのようなものを貰って、その半券を俺の鞄に付けている。何だよその番号ってのは、全然意味が判らん。まあいいや、チェックインしてみりゃ判るだろう。

早速フロントに行ってチェックインする。やはり高級ホテルだけに、フロントのネエチャンの応対は非常に丁寧だ。少なくともAndyのように名前を日本語で書いてくれなんてことは言わない。ベッドは1つでいいか、King sizeでいいか、なんていった極当たり前な応対の後、何と喫煙室と禁煙室どっちがいいか、という質問が来た。予約した時は既に禁煙室しか残っていなかった筈なのに、喫煙が選べるとはラッキーだ。迷うことなく喫煙室にする。そしてクレジットカードを出して待っていると、何やら俺宛てにメッセージがあったらしく、ネエチャンは封筒を持ってきた。会社の上司からのようで、あとで部屋番号XXXXXに連絡をくれ、なんて書いてある。しまった、もう9時近いぞ。かなり待たせてしまったに違いない。

手続きは問題無く完了した。そこでネエチャンに荷物のことを聞いてみると、そこのカウンターに行けば判る、といった感じで、結局さっきと同じだ。何となく釈然としないままカウンターに行ってさっきのタグを見せると、部屋番号は? と聞かれる。ああそうか、番号ってのは部屋番号のことか。そりゃチェックインした後じゃないと判らんわ。そもそもNumberと言われた時点でRoom Numberが連想できなかったところが情けない。そして部屋番号を覚えていなかったせいで、さっきネエチャンに貰った紙切れを見せたりしている姿もまた情けない。じゃああとで部屋に持っていくから、なんて感じでこの場は収束する。あんな小さいの自分で持っていったって何ともないんだけど、まあ折角の高級ホテルだからやらせておくとしますか。

エレベータで8階まで昇って、今日も含めて5日間世話になる部屋に入る。当たり前だけどモーテルと比べると格段にキレイだし、Holiday Innあたりのビジネス系ホテルよりも、調度品にも品がある。ような気がする。


さすがMarriott、部屋が広い。


さすがMarriott、こんな棚の中にテレビを隠すとは。


さすがMarriott、なんか判らんけど洗面所にも色々置いてある。


さすがMarriott、一人用ベッドに枕が5個も。


しかし如何にMarriottと言えども米国名物クロックラジオは安ホテルと同等のGE製品。

室内を見て回って落ち着いたところで上司に電話する。予想通りかなり待ったらしい。20分後に1階ロビーで待ちあわせということにする。あとはさっき頼んだ鞄が部屋に来るのを待つだけなんだけど、なかなか来ないのでPowerBookの動作確認をしながら待つことにする。ここでもさすがMarriott、AOLも何の問題もなく一発接続だ。まあMarriottだろうが何処だろうが本来これが当たり前なんだけど、今回は繋ぐたびにトラブル発生だったので、何だか一発接続できたことがスゴイことのような気がしてきたぞ。暫くメールを見たりしているうちに鞄がやってきた。たまたま財布を机の上に置いたままドアの所に行ってしまったのでチップを出せずにいると、ホテルマンは特に不快な顔を見せることもなく去っていく。うーん、さすがMarriott、なのか?

鞄も来たので、待ち合わせの1階ロビーに行く。何とこのロビーにも灰皿があるのが驚きだ。今までどんな米国のホテルでもこういった公共の場で灰皿なんか見たこと無いぞ。やはりフロリダは煙草や酒に寛容なのだろうか。そうこうするうちに上司が登場。そしてもう一人の先輩も登場。ようやく弊社から参加する三名が顔を合わせる。同じシンポジウムに出るのに、揃いも揃って別の便でバラバラに来たところが笑える。3日ぶりの日本語での会話はやはり気楽で良いが、例によって口がうまく動かなくなっている。暫く英語ばかり使っていると日本語が喋りにくくなるという我が持論を馬鹿にする奴は多いが、馬鹿にする前に数日間にわたって日本語が皆無な環境で外国語だけを喋ることを経験してから文句を言えと言いたいところである。体験したこともないのに馬鹿にするのは失礼だ。とはいっても、英語まみれだったのはたかだか3日間だけだったので、あっと言う間に日本語にも馴染んでしまった。とりあえず晩飯を食おう、ということでホテル内にあるレストラン「MIKADO」に行くことになる。しかし、いざ行ってみると明らかに閉まっている。何てこったい。しょうがないので別のレストランで食うことにする。

ここは極めて普通のレストランなのであまり面白味は無い。とりあえずコロナビールを頼んで乾杯して、それからフィレ&海老を頼む。味はといえば、まあいわゆる米国らしい味であって、特筆すべきところは無い。色々話をしているうちに、エアショーは諦めてKennedy Space Centerに行く筈だった上司は、時差ボケによる寝坊で結局断念したらしいことが判明。今日行ってきたばかりの俺はここぞとばかりに威張る。そして翌日のシンポジウムに関する打ち合せをする。打ち合わせとはいっても、開始時間の確認だとか、帰国後の報告会に備えて誰がどのセッションを集中的に聞くか、といった程度のこと。そんなことを話しているうちに1時間くらい経っていた。さすがに三人で話をしたりしているとレストランという場所は快適だ。やはり米国のレストランは二人以上で来ないと話にならない。

晩飯を終えて部屋に戻る。本当は洗濯をするつもりだったんだけど、早起きした上にあっちこっち行き過ぎてさすがに疲れが酷いのでやる気になれない。それ以前に翌日の朝にまともに起きられる自信がない。Webに載っていたAgendaによると、セッションは朝の8:30開始で、朝食は7:30かららしい。受付もしなくちゃいけないし、念の為早めに行っておいたほうがいいだろう。そもそも多少は早起きして頭を覚ましておかないと、眠い頭にいきなりの英語攻撃に撃沈してしまう。そんなわけで持参した目覚まし時計とクロックラジオを6:30にセットする。そしてベッドに潜り込み、どう見ても使い道の無い5個の枕を適当に配置しながら頭の位置を落ち着かせると、あっという間に寝てしまったのだった。


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