1999/9/25 バンパーなんか外すんじゃなかった
如何に物凄い部品を手に入れたとはいえ、肝心のボデーがサビサビでは座椅子以上の価値を持たないので、やっぱり錆取りはしなくちゃいけない。ただ、正直言ってわざわざ錆取りなんかしないで新品買ってきたほうが早い、っていう部品も少なからずあるわけで、ボルト・ナット類は勿論そうだし、あまり金のかからなそうな小物もそうだ。ボルトなんかどうせ大した値段じゃないし、何と言っても新品なら錆びていないのだ。というわけで、部品を幾つか注文しに行くことにした。今回頼むものは、
バンパーのガワと骨を止めるボルト・ナット(前後)
フェンダーとバンパーを固定するボルト(前後)
リヤバンパーのステー
が主なもので、それ以外にもボロボロになっているスタビブッシュとか、ステアリングラックマウントブッシュとか、サイドの"PIAZZA"デカールなんかも頼むことにする。リヤバンパーのステーは錆を削っているとステーがステーの役割を果たさなくなってしまいそうなくらい錆が深いので、素直に諦めることにしてしまった。ま、こんなの大して高くないから別にいいだろ。諦めてしまうと案外気が楽になるもんで、諦めついでに、密かに手に入れていた極秘アイテムをこのステーに試してみることにした。
それが何かといえば、一言で言ってしまえば「POR-15もどき」だ。何となくホームセンターの塗料コーナーをウロウロしていた俺の前に突然現れたそれは、正式名称を「HAMMERITE」という。何だこりゃ、と手に取ってみると「錆に直接塗れる」と書いてあるではないか。錆という一文字に異常に敏感になっている俺は思わずその缶を掴んで裏の説明を読む。なになに、錆の上から直接塗れて、強力な防錆効果があるだと? むむっ、これは興味深いぞ。そばにあるパンフレットを見てみると、錆に浸透して、さらに錆から水分を除去して塗膜から外に出して云々と書いてある。おおっ、これはまさにPOR-15がやってることと同じじゃないか。しかも、たかだか473ccで4,900円もするPOR-15に比べて、このHAMMERITEは250ccで980円と半額以下だ。勿論その場で衝動買いしてしまって、試しに使ってみる部品が現れるのを待っていたのだが、ようやく現れた試用対象部品こそ、このリヤバンパーのステーである。
早速HAMMERITEを塗ってみる。錆の上から塗って良いと書いてあるので、本当に適当な状態で塗ってしまう。POR-15に比べると若干水飴っぽい感触だ。例によってヘラで塗っているので、缶の上の方の塗料ばっかり使う羽目になってしまって、黒い塗料を塗っている筈なのに透明の塗料を塗っているみたいな感覚だ。やはりかき混ぜないと銀にならないPOR-15と似ていることに何となくホッとする。似ていることが喜ばしいというのも変な話だ。とりあえず一度塗り終えて暫く放っておいて、その上から二度塗りする。缶の説明には「塗り重ねる場合は30分から3時間以内に行うこと。3時間を経過した場合はその後6週間は上塗りできません」という意味不明なことが書いてあるのでさっさと上塗りする。30分から3時間ってのはいいとして、その6週間ってのは一体何なんだ? 見た目乾いたように見えても、実は例の錆に浸透して云々というのをやっているのか? 気になってしょうがないけど、そういう肝心なことに限って何の説明も書いていない。まあいいや、どうせこのステーは使わないし。
そしてステーを塗り終えた俺は、部品を注文するために鶴見区にあるいすゞ総合サービスセンターに行く。イラストパーツカタログからFig NoとKey Noを抜き出して、それに個数を追加して表にした紙をいつもの部品担当のオジサンに出して、椅子に座って暫く待つ。在庫を確認するので少々お待ち下さい、と言って端末に向かったオジサンは1時間経っても俺の所に戻ってきてくれない。あーあー、一体何やってんだか。俺に入力させやがれ、俺のブラインドタッチは300rpmのスピードを誇るんだ、俺にやらせた方が絶対に速いぞ。わざわざ午前半休を取っていたというのにあっという間に時間は過ぎて、気がつくと既にどう頑張っても会社には間に合わない時間になっているではないか。クソッ、何やってんだ、早くしやがれ、と思うけど、オジサンも必死こいて端末に向かってカチャカチャやり続けているので何の文句も言えない。仕方ないので会社に遅刻する旨を伝えたりしていると、ようやく在庫確認が終わったようだ。
オジサンがすまなそうな表情をしているのがどうも気になる。煙草を吸っている俺のところに来たオジサンが、頼んだ部品1つずつについて在庫状況を説明してくれる。これがまた時間がかかるが、貴重な情報なので文句は言えない。すると、スタビのブッシュは栃木に8000個もあるくせに、こともあろうにフロントバンパーを止めるナットが5個しかないと言うではないか。
オイ、俺はこれを16個欲しいんだ、5個じゃどうにもならんだろうが、今から作れ!
何てこったい、これじゃ二度とバンパーが取り付けられないじゃないか。思わず叫びたくなるのをぐっとこらえて話の続きを聞いていると、何とついこの間テストでHAMMERITEを塗ってしまったリヤバンパーのステーまでもがバックオーダーではないか。さらにその後もバックオーダーが連発、頼んだ部品のうち半分近くが無いというとんでもない事態になってしまった。オジサンにアレがなきゃ車にならんではないか、いつ出てくるんだ、いつ作るんだ、なんて何度も聞いてみたものの、やっぱり無いものは無い。あ〜あ、あんなに強引にボルト折ってまでバンパーなんか分解するんじゃなかった。いくら錆びていても落っこちたまんまなのに比べればまだマシだ。ガッカリしながら駐車場に戻り、そして会社に着いたときには既に1時間も遅刻していたのであった。あーあ、踏んだり蹴ったりとはこのことだ。ちなみに、ステーに塗られたHAMMERITEは、とっくに6週間を過ぎているというのに未だ完全に乾く気配もなくグニャグニャした手触りのままである。乾く日が来るのかどうかは定かではない。
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