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1999/11/12 穴はビニールで塞げ!

ノックスドール製品を探しに町田の東急ハンズに行ったときのことである。出来たばかりの15年前に比べると半分のスペースになっちまったつまらないハンズをブラブラしていると、素材コーナーのところにビニールレザーが幾つか並んでいるではないか。実はビニールレザーというのは、ハンズの恥と言われている藤沢の極小ハンズは勿論、階数は多いくせに品揃えが猛烈に悪い横浜のハンズにも殆ど置いていないのである。そのへんのホームセンターにもあるにはあるが、どうにも良い色合いのものが無いので、丁度困っていたところだ。早速物色してみると、何となくクルマの内装に似合いそうな色のものがあるではないか! 値段は1mで1,280円。横幅が1.5m近くあるから、これは悪くないぞ。これなら1m買えばアレに使えるではないか。アレというのは、勿論先代オーナー(かどうかは判らん)によって穴が開けられてしまったリヤパーセルシェルフだ。しかし持ち前の貧乏性が災いして、ちょっと悩むために他の階をブラブラする。丁度ノックスドール製のアンダーコート(1,900円也)があったので、とりあえず買う。一度何かを買ってしまうと踏ん切りがついてしまったので、とりあえずそのビニールレザーを1mほど買ってしまうことにした。。ついでに、ビニールレザーをパーセルシェルフに留めるためのタッカー(でかいホチキス)と、貼るためのビニール用両面テープ、接着剤を買う。実はこれらは東急ハンズより安いホームセンターで買ったんだけど。

さて、俺の手元には穴が開いた茶色のものと、'88XSから取ってきたグレーのパーセルシェルフがある。他に黒いやつもあったけど、これは欲しがっている人が居たのでタダであげてしまった。ビニールレザーを貼るとしたら、勿論穴が開いていないグレーの奴に決まっている。でも、リヤシートとの間のビニールは茶色じゃないとカッコ悪いので、ビニールレザーを貼る前に双方でこのビニールの互換性があるのかどうか確認しなくてはならない。ひっくり返して見てみると、どうも作りが違っている。ビニールを止める部分のネジの数も違えば、リヤシート後端部に差し込む部分の形状も違う。これは一体どうしたことか。何でこんなどうでもいい部品を設計変更するんだいすゞめ。まあいいや、とりあえず外してみよう。ネジとグロメットを強引に外す。グレーの方は簡単に外れたが、茶色の方のグロメットはなかなか外れない。どうにも外れないので半ば強引にグロメットを破壊して毟り取る。どうせこんなパーセルシェルフ使えないからどうでもいいのだ。なんて開き直っていたら、テールゲートに吊る紐が通っているプラスチック部品まで勢いあまって割ってしまった。何ということだ、これは表から見えるんだぞ。こういうのに限って欠品だったりするっていうのに。まあ壊してしまったのはどうにもならないので、外れた部品を入れ替えてみる。ちょっと無理があるような気もするけど、付かないことはない。まあいいだろ、何とかなるわい

多少苦しいながらも互換性はありそうなので、グレーの方にビニールレザーを貼ることにする。まずはビニールレザーを広げて、その上にパーセルシェルフを乗せて適当に型取りしてハサミで切る。小さすぎると後で泣きを見るけど、大きい分には何とかなるので大きめに切る。パーセルシェルフ自体が、まっ平らではなくて凹んでいる部分があるので、かなり大きめに切っておかないと心もとない。失敗してしまって、また町田まで買いに行くのはちょっとメンドクサイ。そして切り取ったビニールレザーをパーセルシェルフに乗せて、凹みに合わせて押し付けてみる。う〜ん、どうしてもシワが出来るな〜。まあしょうがねえだろ、人間だって古くなるとシワが出来るのだ。古いクルマなんだからシワがあってもおかしくない。そもそもダッシュボードにシワがあることをありがたがるおかしな人間も居るのだ。パーセルシェルフにシワがあって何が悪い、何てブツクサ言いながら無理矢理納得する。

実はここからが問題だ。一体このビニールレザーはどうやって貼ったらいいんだろう? 今手元にあるのは塩ビ用、ビニール用、ゴム系のボンドと、何でもOKと言い切っている奴だけど、ビニールレザーはまあいいとして、パーセルシェルフの起毛はどう見ても化学繊維っぽいので、どのボンドが当りなのかイマイチ判らない。こいつは困った。仕方ないので、とりあえず試しに両面テープで貼ってみて、シワの具合がどんな感じになるか見てみることにして、両面テープをパーセルシェルフにペタペタと貼る。この時点では、テストなので凹みのある一部分のみにしておくのは当然だ。貼るだけ貼って、両面テープから紙を取っ払ってビニールレザーを押し付ける。どうやら凹みのR部分からやらないと、シワ具合が悪くなることがここで判る。シワはいいとして、これが左右対称でないのはどうにも許し難いのだ。暫くあっちこっちと押し付ける。よし、両面テープを貼った部分は完了だ。

これが思ったほど悪くないのだ。ビニール用ではなく、一般向けの安いケーヨーデーツー謹製の両面テープを使った割には、妙にしっかりくっついているではないか。シワ具合も、これなら我慢できる範囲だ。凹み部分も、そりゃ何も貼らないよりはハッキリしないけど、全体がハッキリしないならそれはそれで良いではないか。どうせそんなことに気付く奴なんか居やしねえだろ。うーん、悪くない、悪くないぞ。錆を見つけた時のように自分に言い聞かせているわけではない。ホントに悪くないのだ。よし、これで行くか、と言いたいところだけど、ここでまたもや貧乏性が顔を出してしまう。貧乏神が折角何でもOK接着剤を買ったんだから使え! と五月蝿いのだ。仕方ない、試してみることにしよう。

折角貼ったビニールレザーを剥がしてみる。簡単に剥がれるかと思ったら、思ったより力が必要だ。ふむ、ケーヨーデーツーめ、なかなかやるではないか。たかだか220円の両面テープでこれなら十分だ。そして再び姿を現したグレーのパーセルシェルフの凹み部分を中心に接着剤を塗ったくる。塗って暫く待ってから貼れと書いてあるので暫く待つ。どうもこれが気にかかる。実は万能と言っておきながら中身は単なるゴム系じゃないだろうな。一服の後に貼り付ける。さっきと同じように凹みのR部分を中心に押し付ける.....が、こりゃダメだ。全然くっつかないじゃないか。オイ、コニシボンドめ、これの一体何処が万能だって言うんだ、ゴム系の方がまだマシなんじゃないのか? わざわざ500円も出して買ってやったっていうのに、220円の両面テープより劣るなんてとんでもねえ接着剤だ、なんて比較になっていない比較論をブチ上げてケチをつける。この後ゴム系のボンドG17も試してみたが、これもやっぱり両面テープより具合が悪い。この時点で、パーセルシェルフとビニールレザーの接着は両面テープが最適であるという結論に達した。

そうと判ったところで、パーセルシェルフ全体に両面テープをペタペタと貼り付ける。平らな部分はどうでも良くて、端と凹みのR部分周辺が重要だ。そして、一気に紙を剥がすとトンデモナイことになるので、まずはパーセルシェルフの後側から紙を剥がす。そこにビニールレザーを乗せて押し付ける。その後凹みに移るが、これも一気にやらないでチマチマと作業を進める。この作業も最初のうちはいいけど、貼り付けた部分が増えるにつれて手が入らなくなって紙が剥がせなくなるという情けない事態になってしまう。そして、ようやく全ての紙を剥がし、押し付けが完了した。

うん、悪くないではないか。パーセルシェルフからビニールレザーがはみ出てるけど、こんなのは裏に回してタッカーで強引に留めてしまえばよい。大体、革張りの椅子だってそういうことをやっているのだ、パーセルシェルフで同じことをやって何が悪いってんだ。出来栄えがそこそこだったもんだから明らかに鼻高々になっている俺。ここは鼻が高いうちに完成させるのが得策だ。早速ひっくり返してビニールレザーを巻き込む。手で押さえながらタッカーをバチバチかます。しかし、パーセルシェルフが硬すぎるのか、タッカーが全然潜り込まない。しかし、タッカーの針の長さは6mmであり、パーセルシェルフなんてせいぜい3mmくらいだろうから潜り込んだら逆にマズイので、こういう適当な状態ながらも止まっているんだから問題は無いんだ、どうせ表からは見えやしねえ、ってな感じでひたすらバチバチ打ち続ける。よし、これでOKだ。再び表にひっくり返して、その姿を見て悦に浸る俺。こういう時の一服というのは非常に心地良い。

さて、あとは外した部品を付ければお終いだ。とりあえずくっつけられることは判っているので、極めて強引にネジを締めて部品を留める。よっしゃ、これで完成だ。最近は錆を見つけるばっかりで何も完成させていなかったので、久々の充実感を得る。そうやって珍しく満足したと思ったら、その2ヶ月後に'81XLのオイスター(薄い茶色)の美品パーセルシェルフが手に入っちまったりするんだから全くもって世の中どうなってるんだと思わず叫びたくなるってもんですわ。

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