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2000/2/4 だったらコイツも柔らかくなければならない (1)

真冬の錆取り作業はやはり体調に支障をきたしたようだ。どうにも熱っぽいので会社を休んでゴロゴロ寝ていた俺は、座椅子代わりのXESのレザーシートに座っているうちに、何かが足りないことに気付いた。必ずある筈の肘掛けが無いのだ。折角このシートに座っているというのに、小物入れ代わりの肘掛けが無いのはおかしいではないか。しかも灰皿も無いぞ。これは絶対におかしい。風邪のせいで普段よりも輪をかけて馬鹿になっている俺にはこんな発想しかできなかったらしく、気付いたら隣の部屋からドアの内張を持ってきていた。折角会社をサボっている(風邪なんだけど)というのに、椅子に座ってテレビを見ているなんて時間の無駄だ。こいつにもビニールレザーを貼るとしよう。

結局のところやることはダッシュボードの時と全く同じだ。最初にスポンジを貼って、その上からビニールレザーを貼ってはいお終い。といいたいところだけど、事はそう簡単には運ばない。コイツはダッシュボードに比べると形がより複雑なので、弾力性に乏しいビニールレザーでは1枚で仕上げるには無理がある。どれをどう組み合わせるのか考えなくちゃいけない。前回余ったビニールレザーの切れ端をあちこちにあてがいながら、どこでどう分割するかを考える。なかなか上手い手段が思いつかない。正直言って、こんなの最適解なんか無いと思う。だって、わざわざこんなところにビニールレザーなんか貼るやつ俺以外に居るわけ無いじゃないか。俺だってダッシュボードにビニールレザー貼ってなけりゃやらねえぞこんなの。結局やはり現物合わせに勝る手段は無いという情けない結論に達し、とりあえず小物入れの蓋を留めているネジ(何故か8箇所もある)を外す。風邪っぴきで馬鹿な時にやらない方がいいんじゃないか、と一瞬考えるけど、肘掛けが欲しいという下らない欲望が理性を抑えきれないのはいつもの通りだ。結局作業は続行。

どう見ても1枚モノで仕上げるのは無理っぽいので、ダッシュボードの時と同じように2枚を繋がなきゃいけないのは明白だ。でも、もうあのホチキスの繰り返しは懲り懲りだ。そこで、もしかすると俺が全幅の信頼を置く安物両面テープでも留められるんじゃないだろうか、というセコイ手段を思いついて、早速実験してみる。おそらく肘掛け代わりの上面と側面のところで2枚のビニールレザーを繋げることになるので、これらのダミーを作ってみて両面テープの強度を確かめる。単純に繋げると切れ目が目立ってカッコ悪いので、端を折り返したものを別のビニールレザーの上に貼り付けるということにする。そこで試しに上面部分を作ってみる。極めて適当に貼り付けた割には悪くない。さらに下側のビニールレザー代わりに切れ端を置いて、これらも両面テープで繋げてみる。かなり強引に引っ張ってみても外れない。まあこれで何とかなるだろ。そして問題はもう片方の端部をどう処理するかだけど、これは内張り自体が元々一枚モノではなくて組み合わせで作られているので、その隙間に強引に挟み込めば多分何とかなるに違いない。そんなことで強度が保てるのかどうかなんて判りゃしないけど、スポンジに両面テープで貼っておけばそうそう剥がれやしないだろ。まあいいや、これでやっちゃえ、やっちゃえ。

早速側面部分の現物合わせ切断に取りかかる。内張の上にビニールレザーを置いて、適当に余白を持たせながらサインペンでなぞって、それに従ってハサミで切る。現物合わせの常で、例によって余白がやけに大きいが、そんなのは後で切ってしまえば良いので気にしない。そして下端部のスポンジに両面テープを貼り、その上からビニールレザーを押し付け、さらにビニールレザーの端を内装部品の隙間に押し込む。そのままだと隙間が狭くて押し込むのが大変なので、強引に内装そのものを捩じって隙間を広げながらヘラを使って押し込んでいく。こんな所でパテ塗り用のヘラが役に立ってしまうんだから笑いが止まらない。しかし強引にやりすぎてヘラの端でビニールレザーが破れてしまったりして、今度は冷汗が止まらない。全ての失敗を風邪で手先が不器用なせいにして笑って誤魔化す。そのうち下端部は終了。今度は上面のビニールレザーの端を隙間に挟み込んで、この2つを両面テープで留めてはい完了。思いの外アッサリ終わってしまったので拍子抜けだ。うむ、さすがは俺が認めた安物両面テープだ、テキトーな作りの割には強度は充分ではないか。風邪をひいているにも関わらず一服して悦に浸る。

しかし問題は前の方だ。こっちは今作った後の方に比べるとよりメンドクサイ形をしている。何とか一枚モノで誤魔化せないか、と色んな方向にビニールレザーを伸ばしながら押し付けてみるが、どうやってもみっともないシワが多すぎて話にならない。結局ここも上面と側面を作って繋げなきゃいけないみたいだ。仕方がないので、切れ端を使って上面部を作って同じように挟み込む。しかしこっちは灰皿やパワーウインドウのスイッチがついているパネルがあるので少々ややこしい。しかも丁度そのパネルの端と、内張自体が急角度で曲がっている部分が重なっているから大変だ。これは側面のビニールレザーでいくら誤魔化しても無理があるので、上面部のビニールレザーを適当に曲げて誤魔化すしかない。あれやこれやと組み合わせながら何とか形を決めて、両面テープで留めてパネルをはめる。まあやっぱり不自然なシワは出るねえ。ま、しょうがない、これはどう頑張っても無理だ、素直に諦めよう。

あとは前後の端を裏側に折り込んでタッカーで強引に留めれば本体は完了。そして小物入れの蓋部分はグローブボックスと同じ要領で、ビニールレザーを貼り付けて、余った部分はベースとの間に挟み込んで強引にネジで留めて誤魔化す。あとは全体的に細かい部分を両面テープを駆使して誤魔化しまくって完了だ。ん〜、どうしても不自然な部分が多いねえ。角の部分はどうしても上手くいかない。まあいいや、とりあえず出来たことにしよう。伸縮性の無いビニールレザー相手にこれ以上やっても無駄だ。

さあ、待ちに待った瞬間がやってきた。シートの脇にドアの内張を置いてみる。うむ、悪くないではないか(遠くから見ればの話)。早速シートに腰を下ろす。左側シートだというのに右側から座るというのが若干残念だがこれは仕方がない。そして念願の肘掛けを試す。ふっふっふ、これだ、この柔らかい感触だ、これがやりたかったのだ。早速灰皿をパネルに差し込んで一服する。ふ〜、まさかこの一服をするまでに4時間も要するとは。そしてこの一服の後、今度は3時間かけて右側の内張を同じように加工したのは言うまでもない。


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