■PIAZZAを救え!
そろそろ旧車と呼ばれるようになってきたJR型PIAZZA。メッキバンパー車専門雑誌だと思われていたOld Timer等にも掲載されるようになり、ちょっと前までは古くさい車だと酷評していた一般の自動車雑誌も、最近では手のひらを返すようにそのデザインを褒めたたえるようになってきました。JR120は旧車と呼ぶにはまだ早すぎますが、ターボ車登場以前のJR130は今となっては滅多に見かけることもなく、雑誌の中でしか見ることができない車になりつつあります。現実問題として、地球上からPIAZZAが減ることはあっても増えることは絶対にありません。特に、初期型が無くなっていくスピードは、残念ながらJR120を大きく上回っています。
一般的に、旧車の世界では何故か初期型がもてはやされる傾向があります。オリジナルデザインに最も近く、且つ自動車メーカーが最も情熱を注いで作り上げ、市場に送り出したもの。それが最も現れているものがモデルライフ初期の車。後期になればなるほど、車というものは市場の要求やその他の要因により、徐々に大元の思想から離れていってしまうもの。だからこそ、古い車こそ初期型が求められるのでしょう。なのに、現時点では何故かPIAZZAの初期型はあまり相手にされていません。PIAZZAに乗る人は、ほぼ100%の確率でそのデザインに惚れ込んだに違いありません。それなのに、何故、あのAsso di fioriの面影を色濃く残す初期型よりも、handling by LOTUSやIrmscherばかりがもてはやされるのでしょうか。まだ「極普通に」乗る車として選ぶ人が多いからかもしれませんが...
確かに、性能を見ればJR120とは比べるまでもありません。部品供給の面でも不安が多いのも事実です。それでも、初期型には初期型にしか無い大きな魅力があります。なのに、その初期型PIAZZAが地球上からどんどん消えてなくなっていくのを黙って見過ごすことは出来ませんでした。
結局この'83型PIAZZA XEを入手することになりました。正直な話、この車が新車だった時のように颯爽と走り回るところまで復活させることができるのかどうか、自信は全くありません。でも、放っておいても錆びの塊になってしまうだけです。とにかく、出来ることからやってみるしかありません。どうでしょう、貴方も瀕死の初期型PIAZZAを救ってみませんか? 後世に残す価値のある車だからこそ...
■コンセプト
上記のリンクを見て頂ければ判るように、この車はとりあえず自走することは出来る車でした。ただ、本当に「とりあえず」でした。詳細はCheckのページに書いた通りですが、今後ずっと乗り続けることが出来るかどうか、という点では大いに疑問符の付く車です。特に、ボディの至る所にある錆を見ていると、このままでは車としての寿命を迎えるのもそう遠くはない、ということを感じさせました。ステアリングのブレもかなりのもので、とてもじゃありませんが峠道を飛ばせるような状態ではありません。
しかし、エンジンやAT、サスペンションの動き等は、多少年代を感じさせる部分はあるものの大きな問題は無く、ダッシュボード及びセンターコンソールを除いた内装も極上とは言えませんが充分に使用に耐えうるものでした。つまり、ダメなのは主に外装で、それ以外の部分は一部を除いて大きな問題は無いのです。だからこそ自分で何とかする気になれた、というのも事実です。これで内装や足回りまでダメなら、おそらくエンジンやデジパネが誰かに貰われていったことでしょう。そして、また初期型が1台消えていく...
復活させると決めたものの、残念ながら個人で出来ることは限られています。この時代のJR130の部品は機能部品以外のものは欠品となった部品も内装を中心として多く出ている上、仮に在庫があったとしても、すぐにそっくり返るダッシュボードのように明らかに耐久性の無い部品もあります。機能部品ですら無いものもあります。これらは好む好まないに関わらず、本当のオリジナルの純正部品の使用は諦めざるを得ない可能性がかなり高いため、どこまで妥協し、どこまで拘るかを明確にしておかないと先に進みません。そこで、復活へのプロセスとして以下のようにコンセプトを定めました。
■完全オリジナルには拘らない
オリジナルであればそれが良いにこしたことはありませんが、部品を探してばかりでいつまでも車が動かないのでは持っている意味がありません。それに、折角見つかってもすぐに駄目になるのが判っているものをわざわざ使う気はありません。そこで、ものによっては後期型の部品を敢えて流用します。そして、例えばカーステレオ等、普通に乗っている時に使うものもオリジナルには拘りません。別に博物館に展示するわけでもないし、あくまで普通に乗れる車として復活させます。
そもそも私は本来車を2台持てるほどの金持ちでは無いです。無い部品をワンオフで作れるほどの余裕はありません。我慢できる妥協は積極的に行います。
■オリジナルに拘るところには拘る
いきなり矛盾したことを書いているようですが、初期型のアイデンティティを捨ててしまっては意味がありません。例えば、以下の項目です。
- バンパーは小型のもの
- 各目2灯ヘッドライト
- ウイングも何もないテールゲート
- XEの証、マルチドライブモニタは動かなくてもいいから外さない
- 内装も出来るだけ初期型のものを残す
- センターコンソールは三段分割でなければならない
これを見ても判るように、基本的に見かけだけの問題です。とはいっても、エンジンを除けば初期型の特徴はほぼ上記に集約されるわけで、これらを変えてしまってはJR120と見かけ上大差なくなってしまうのです。それでは意味がありません。だから、外見には拘りたいのです。
■全塗装は必須項目
「オリジナルの塗装を大切にしたい」というのもよくある話ではあります。しかし、ここまで錆びていてオリジナルも何もありません。また、例えばフェンダー等はいちいち錆取りをして仕上げるより、まだまだ手に入る解体部品を流用したほうが当然手っ取り早い上に、折角仕上げたところがまた錆びるという心配がありません。それに、当然ながら後期型の濃色系の外装の方が手に入りやすいのも事実です。仮に同じミスティホワイトのフェンダーがあっても、色合いはまず合わないでしょう。そこで、最初から全塗装を前提として部品を集めることにします。
■目標は10年
「10年後に作業を終わらせる」ではなく「10年くらいはもつように仕上がればいいなあ」ということです。これは主にボディ関係ですが、本気でやるなら当然一度塗装を全部剥がして完璧に錆取りをしなければなりません。でも、これをやろうとすると、きちんとしたガレージなり、100万円単位の金をポンと出せるくらいの金銭的余裕なりがないと出来るわけがありません。今の車の状態を考えれば、どんなに頑張って自分で錆取りをしても10年もてばいい方でしょう。そして、10年を無事に過ごすことが出来たら、その時にその後の10年を考えます。
■動力系、駆動系は後回し
前述のように、こと動くことに関してはステアリングを除いて特に悪いというわけでは無いのできっぱりと妥協し、とりあえず錆取りと内装関連、あとは動くことに関係しない電装系等に集中します。その後、まずは車検レベルの点検及び液体の交換、調整を行うことにします。このあたりはあくまで時間があればの話で、どうせ車検は工場に頼むのであまり考えないことにします。ただ、ステアリングだけはあまりに気になるので先にチェックすることになるでしょう。また、付いているショックが本当にビルシュタインなら、オーバーホールに出すかもしれません。まあ現状でもあまり不満はありませんが。
■作業環境
屋根付きでも何でもなく、単なる駐車場です。幸い、自宅の前に格安で確保することができました。残念ながらコンセント等は無いので、あまり大したことは出来ません。実際に作業が出来るのは、車本体にかかわることは週末のみ、取り外し可能な部品については平日の夜になります。他にもやることが沢山あるので、あまりペースは上がらないでしょう。
■復活目標期日
2000年8月に車検が取れるように作業を進めます。特に深い意味はありません。単純に、今所有しているJR120、そして単車との車検時期のバランスを考えただけです。これを逃すと、今度は2002年8月になってしまいます。まあ、色々あるだろうからそうなってしまう可能性も否定できませんが、いつまでも仮ナンバー取らないと乗れないというのも寂しいですから。