BMW K100RS Over 100,000km Project
初ロングツーリングインプレ

BMWの本領はやはりロングツーリングである、ということになっている。この俗説がホントかどうか検証するため、購入2週間後に、所属する倶楽部のツーリングで木曾の方まで行くことになった。

まず集合は中央道藤野PAに朝7時(早すぎる!)である。今日の天気はまずまずのようだ。例によってエンジンは白煙を上げて始動。そんなに寒くもないのに、チョーク(とは言わないが)を引かないとかからない。土曜の朝なので道は空いているから、辻堂の自宅から1時間強で到着。今回の参加者の半分は金曜日有休を取って先に行っているため、ここに集まるのは5台である。オフ車(何だか忘れた)2台にZEALにTRIAMPHのDAYTONA900、そして俺のK100RSというよくわからない組み合わせで合流地点の開田高原へ向かう。

オフ車とZEALはどうせ遅いので先に行かせ、DAYTONAと俺はノンキに休んでから出発し、双葉SAで待ち合わせということにする。中央道を走るバイクは週末だけあってデカイのばっかりだ。今までは何となく鬱陶しく見えたBMWのオヤヂ集団が何となく身近に見えるから不思議なものだ。オッサン連中が通り抜けるのを横目で見ていると、DAYTONAは一足先に行ってしまった。どうせすぐ追い付くんだから....とばかりにもう一服して、いざ出発。

藤野PAから暫くの間は渋滞もなく、快適そのものだ。どこかのクルマとは違ってちょっとやそっとのスピードでハンドルがブレることもない。お気楽に歌でも歌いながら走っていると、談合坂のあたりでいつも通り渋滞が始まった。前方のクルマが徐々にスピードを落としていく。しょうがねえなあ、とフロントブレーキをかけるのだが、全然スピードが落ちない! 仕方なしにもっと強くかけて、殆どフルブレーキ状態(自分ではそう思っていた)にしてみても、やっぱり効かない!! 目の前にシルビアのテールがガンガン迫ってくる。うぉー、買って2週間で廃車&入院か、それとも人生の終わりか!? と殆ど覚悟を決めたあたりで眼前のシルビアが気付いたようで、右によけてくれた。左側の確認もろくにしないで左に進行し、何とか危機を逃れた。ふーっ、参った。何がABSだ、全然効かないじゃねえか。とにかくぶつからないで良かった。こっぱずかしいのですり抜けしながらさっさと前に進む。さっきより慎重に。

走りながらブレーキが効かない原因を考える。まず最大の原因はフロントブレーキしか使っていないことだ。Ninjaはリヤなんてあって無いようなもので、そのかわりフロントは良く効いたのでその癖でフロントしか使っていなかったのだ。BMWはちゃんとリヤが効く。そのかわり前があまり効かない。 ほかの理由として、思いきりかけたつもりで実は全然強く握っていなかった、というのがある。BMWのブレーキはレバーの支点の関係で手の小さい人にはあきらかに不向きな作りだ(と思う)。全然力が入らないのだ。 そして最も阿呆な原因として、ブレーキをかけつつ無意識にグリップに力が入って、アクセルを開けていたのではないだろうか。ちょっとボーっとした状態でブレーキをかけ始めた(その時点ではアクセルを開けていた)ので、ありえない話ではない。

まあとにかく死ななかったので、今後も死ぬことがないように前方後方がクリアなのを確認して、あえて某速度+40km/h位からブレーキのテストをしてみる。フロントは相当力を入れてもやっぱり効きが良くない。リヤも併用して、両方のバランスをとりながらブレーキをかけると、やっとNinjaと対等に近いくらいの速度減となる。何が悪いのか良く判らないが、とにかくブレーキは大したことない。唯一Ninjaより優れた点は、かなり派手なブレーキングをしても車体が全くブレないことである。これは大したものだ。路面が良くない所では....どうなるか知らん。

結局オフ車連中はあっという間にブチ抜いて双葉SA到着。何となくR1100RSの隣りの空間に俺のK100RSを停める。遅い連中が来ないので一服していると、どっかのねえちゃんが隣りのR1100RSを見て「えーっ、びーえむぅ?」なんて言っている。世間のBMWに対する認知度なんて所詮こんなもんだ。15分程待ってようやくオフ車連合到着。やはりこの組み合わせには無理があり過ぎる。高速道路の星と林道のスタアでは比較にならない。ここで説明書に従って少しだけ間食を取り、今度は塩尻インター出口待ち合わせにして、またオフ車連合から出発。休みが少なくて大変だのう。

また途中でブチ抜きつつ塩尻到着。暇なので一服&バイクの写真を撮ったりしていると、やはり15分程経って全員集合。ここからはタンクバックの無い(アルミタンクなのでマグネット式はつかない)俺は後ろに下がり、DAYTONAが先頭を走る。途中のGSで燃料を補給すると、なんと21km/lも走っている。おー、すごいぞ。これだけ燃費に差があればNinjaとの差額なんぞあっという間に償却できるぞ。コケなければ。

なんて思いつつ開田高原までしばらくR19をダラダラ走る。ちょっと飛ばすとすぐトラックに追い付いてしまうので面白くない。さあR19を抜けて開田高原へ、と言う前にGSに入ろうとしたのだが、そこで何と前方のオフ車が転倒。どうも店先の排水溝に見事にはまってしまったらしい。殆ど停止状態だったので何の影響も無かったが、これが俺のK100RSだったらと考えると恐ろしい。おそらくそのまま特急しなの、否、鈍行で帰宅だったに違いない。

とにかく大事には至らず、一行はR361を通って開田高原へ向かう。途中地蔵峠の展望台なんぞを通りつつ、待ち合わせ場所到着。高原なんて言うからどんな所だろうと思ったが、なんてことはない単なる田舎道であった。ここで昼飯の蕎麦を食す。このあたりは蕎麦が名物らしく、丁度この日は蕎麦祭りなんぞをやっていて人が多い。確かにここの蕎麦は美味い。ちょっと量は少ないが、ここも説明書の教えに従って腹五分目で満足する。

ここからは先発隊と一緒に8台態勢でのツーリングとなる。先発隊にもオフ車が2台も居るから始末が悪い。ここからまたR19に向かい、寝覚の床なんぞを見つつ、宿のある馬篭宿まで向かう。R19までの道は全然混んでいないのだが、台数が多いのとオフ車が半分を占めることもあってペースが遅い。正直言ってK100RSでアベレージ50kmは苦しいことこの上ない。しかし自分もK100RSにはそれほど慣れていないので、隊列の一番後ろでライン取りやフォームの研究に励む。結局、リーンウィズに一般的なアウトインアウトになってしまうのだが。この速度では色々もがいても仕方がない。

かなり退屈しながら走りつつ、隊列は馬篭宿を目指して馬篭峠を抜ける。そこに今回の最大の難関が待っていた。かなりな急勾配、しかも曲がりくねったところに突然ダートが現れたのだ。俺は最後方に居たので落ち着いてダートに進入することが出来たが、前方の何台かはビビリが入って止まっている。しかしオンロードバイクならまだしも、オフ車まで止まってエンストしているのが情けない。こういうダートはK100RSみたいなデカくて重いバイクはあまり得意としない(実際前にNinjaで急ブレーキかけてコケた)のだが、これを越えなければ宿に着けないので、仕方なく進入。フラットならまだ良いのだが、工事中のようで凹凸が激しい。が、エンストした連中を横目に見つつ問題なくクリア。まあ当たり前と言えば当たり前なのだが。そして終わったと思ったらまた現れた。これもクリア。

そしてこれを抜ければ宿だ、と思ったら宿は集落の奥の方にあって見付からない。結局通り過ぎてしまってUターンするハメになる。まだK100RSでは旋回の練習をしていないので、あまりUターンする気がしなかったので、ヨワヨワだと思いつつも楽にUターンできるところまで行ってから戻る(情けない)。そしてやっと到着、と思ったら駐車場が急坂の途中というとんでもないロケーションだった。さんざんもがきながらも何とか入れる。こういう所では重いバイクは弱い。さっき馬鹿にしたオフ車連中に馬鹿にされるハメになった。

とにかく宿には無事到着した。ここまでの距離は約350km。ロングにしてはしけた距離だが、それでも体の疲れは少ない(ただし眠い)。さて、到着したらまずは晩飯だ。説明書に従い、ここでは腹いっぱい食べる。宿の親父が飯食っているそばで木曾節なんぞ歌っている。最初は良かったが何回も歌われるとさすがに飽きる。食後はそのへんの酒屋で酒を買い込んで飲みに入る。気付いたら1時近かった。翌日が不安だ。

2日目も晴れていた。朝が早いので眠い。とりあえず馬篭宿を散歩して眠さを紛らし、帰途に就くことになる。しかしまずバイクを出すのが一苦労だ。こんな坂道の途中の駐車場がある所は一人では絶対来れない。あまりに重いので手伝ってもらいながら何とか切り返し、ヨタヨタしながら道路に出る。

2日目の予定は馬篭峠(ダート含む)、大平峠、そして中央道をまっしぐらだ。ダートは出来れば避けたいので俺とDAYTONAは回り道しようとさんざんゴネたが、結局ダートを通ることになってしまった。しかしまあ帰りはどこで現れるかが大体判っているからまだ良い。そろそろか、そろそろか、と思ったところにやっぱり現れた。今回は下りなのでフロントブレーキは恐ろしくて使えないから、2速で適当にリヤを効かせながら下る。前方のオフ車はすごい勢いで行ってしまった。こういう時だけうらやましくなる。特に問題なく2回のダートをクリア。前方でオフ車が待っているので、その後ろで止まる。後続車を待つが、いつまで経っても現れない。ついにコケたか、こんなところで。これくらい大したこと無いぞ、と通り抜けただけに強気になる。5分待っても来ないから、いい加減やばいかと思ったころにやって来た。ZEALがエンストしただけらしい。しかし下りでエンストするというのも大したものだ。

最初の難関を抜け、大平峠へと向かう。しかし、何と大平峠は通行止めらしい。何てこった。今日のハイライトのはずだったのだが。これで一同一気に冷めてしまい、国道256号を飯田まで向かうことにする。ここもそこそこ峠なのだが、クルマが多くて面白くない。うーん、どうも今回は道運が無い。飯田IC手前のコンビニで休憩し、駒ケ根SAで待ち合わせ、ということにしてばらばらに出発。俺は行きと同じようにさらに一服して、ついでにガソリンを入れて出発。

飯田から駒ケ根PAまでの距離は約30kmである。かなりのんびり出発したはずだが、道が空いているので大体某速度×2位で走ってしまったので、オフ車連中をあっという間にブチ抜く。ここまで速度差が明らかなのに抜いても面白くも何ともないが、毎度抜かれる方も判っているとはいえ面白くないだろう。すぐに駒ケ根SAに到着。今回はDAYTONAに先を越された。そしてここで昼飯ということになる。

さて昼飯だ。他のメンバーはナントカ丼やらカレーやらの腹にたまるものを食っているが、俺はやはり説明書どおりに蕎麦で済ませる。あとで眠くなるのは目に見えているのにここで大量に食うのは自殺行為である。しかもちょっとスピードを出しても全然怖くないK100RSならなおさらである(但し、ブレーキが効かないので常に緊張していなければならないから困りモノだ)。天気が良いので外で暫く談笑した後、次は双葉SAに一時間半後に集合ということで適当に出発。眠くなりそうなのでメンバーにバイクの交換を申し入れるが、皆怖がって乗ろうとしない。仕方なく自分のバイクで出発。

たかだか100キロだから、そのまま走ると時間が余ってしまう。途中で飽きてきたこともあり諏訪湖SAで一服。ふと走行車線の方に目をやると、途中で抜いたオフ車連中が一生懸命走り抜けていく。連中は休憩していると間に合わないと思ったのだろう。たいへんだのう。俺は写真を撮ったりしながらさらに時間を稼ぎ、頃合いを見て出発。途中で首に巻いていたマフラーが飛びそうになって停ったりしたものの、問題なく到着。やっぱり一番手だった。対抗馬のDAYTONAは途中で同好の士に逢ってしまい、話し込んで遅れて到着。そしてオフ車軍団も到着。

さてここからが問題だ。中央道は絶対混むので、そのまま行くか、一般道に逃げるかの選択を迫られる。悩んだ末、一宮御坂で降りて御坂峠、河口湖、山中湖と進むことにする。既に皆眠くて帰ることしか頭に無いようだ。だからそんなに食わなきゃいいのに。とにかく出発し、ひたすら予定した道を突き進む。御坂峠の下り、河口湖周辺はずっと混雑している。これなら中央道の方が良かったのでは、と後悔の念にさいなまれる。しかしもうどうにもならん。ひたすらすり抜けして、山中湖畔から三国峠へ、と思ったらここも工事中で駄目。今回は何と道運が悪いのだ。仕方ないのでR139で御殿場方面へ。ここもやっぱり混んでいた。すり抜けの練習をしに来たのではないのだから、いい加減にして欲しくなる。

皆本当に帰ることばかり考えているようで、殆ど休まずにR246をひた走る。大井松田から裏道に入り、R134へ抜け、ここからは流れ解散となる。7時過ぎに帰宅。走行距離は約300kmであった。後半100kmは半分以上渋滞の中だったので、さすがに疲れた。

結論。BMWがロングツーリングに向いているのは本当だった。Ninjaよりは明らかに疲れないし、楽だし、峠だって別につまらないこともない。でも、これは渋滞が無い、という条件が必須だ。渋滞したら、すり抜け大変だし、取り回し悪いし、良いことなんて何もない。やっぱり作った国とのお国柄の違いが一番の問題なんだろうな。


Over 100,000km Project