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Part 3 まずは温泉、次も温泉
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本日(1998/6/28)の走行ルート
横手のW家 → 夏油温泉 [R107,県道37号]
夏油温泉 → 東北道北上江釣子IC [県道37号,R107]
北上江釣子IC → 一ノ関IC [東北道]
一ノ関IC → 栗駒峠(須川温泉) [R342]
栗駒峠 → 横手のW家 [R398,R13]
(某地図より無断借用)
午前9時過ぎ、持参した目覚まし時計の音で目覚める。う〜ん、良く寝た。8時間以上寝たのでかなりスッキリした。ダイニングに行くと既にW夫妻は起きていて、奥さんが朝食の準備をしていた。結局朝飯を御馳走になってしまう。宿泊料0円ソロツーリングでこんな贅沢をしても良いのだろうか。珈琲を飲みながら今日の予定を考えてみるのだが、残念ながら外は雨だ。Wは秋田に来てもう5年目だが、普段は梅雨でも雨なんか全然降らないのに、こんなに雨が降るのはおかしい、なんて言っている。どうも今年は東北ツーリングのはずれ年みたいだが、そんなことを言っていてもしょうがない。しかし雨が降っていると外に出るのが億劫になるのもまた事実なので、なかなか今日の予定が決まらない。結局秋田ローカルのテレビCMを見ながら世間話をしているうちに雨が上がっていた。時間はもう11時、天気のことは放っておいて、とりあえず出ますか。
アパートの車庫にて。右側のパニアケースの鍵が痛々しい。
とりあえずWを跨がらせてみる。なんか似合わない。
夏油温泉はWの言うところの「バイク乗りにはすごく楽しいはずだ」というR107を東に向かい、途中から県道に入って山を登ったところにある。地図を見ながら走るのも面倒なので、とりあえずここは地元民に先導を任せ、W夫妻のジムニーの後ろについていくことにする。雨は上がったが路面は相変わらず濡れている。途中いすゞ117Coupeの廃車なんかを見つつ、ジムニーの後ろをのんびり走る。確かに道路としては面白いのだが、まだ民家が多いのであまり飛ばす気にもなれない。しばらくしてジムニーが突然停車する。俺もとりあえず停めると、そこにはこんなものがあった。
日本一大きい男根わら人形。「わら人形」と「男根」のどちらが日本一なのだろうか。
さらにその向かいにはAM 7:01開店の「本日売切れ」という看板が出たラーメン屋があったりして、田舎情緒が満喫できる妙な空間。Wがわざわざ車を停めたのは、俺にこれらを見せたかっただけらしい。流石に俺のVOW好きが判っている。ちょっと一服して、湯田町を通り抜けたあたりで道は完全に乾き始め、そのまま県道37号に入る。暫くして峠道に入り、道端には夏油温泉スキー場の看板が目に付く。スキー好きのW夫妻はよく来るらしい。スキー場を抜けるとそれまで快適だった道が突然細くなり、車だと擦れ違うことすら難儀するような道になる。そんな山奥でもたまにハイキング風のオジイチャンが歩いていたりするから不思議なものだ。そのまま暫く進むとようやく目の前が開けてきて、夏油温泉に到着。
やっと夏油温泉に到着。
こんな山奥なのに、駐車場に停まっている車の数は結構多い。でもバイクはやっぱり俺だけ。夏油温泉といえば洞窟風呂なのだが、とりあえずそれではなくて「元湯夏油」なる旅館の風呂に入ることにする。こちらは混浴の露天風呂が幾つかあるらしい、というのはどうでもよくて、殆どの人がこちらに出入りしているので何となくこっちがいいんじゃないか、と思っただけなのだが。奥さんは混浴に尻込みしたのか、入らないで車で待っているというのでWと二人で400円払って温泉へ。
宿の建物の間を抜けて、ちょっとした階段を下りていくと川があり、その両側に温泉らしきものが点々とある。内湯もあるが、風呂というより物置にしか見えないのでそんなのは無視して川沿いを歩く。まあまあ良さそうな場所で早速温泉に入る。ちょっと人が多いので今一つ秘湯感に欠けるのが残念だが、風呂自体は悪くない。暫くすると飽きたので別の風呂へ移る。こちらはぬるすぎて駄目だ。仕方なく別の風呂に行くと今度はとんでもなく熱い。我々二人はアチィアチィ言っているのに、さりげなく湯船の隅でオバアチャンがじっと湯に浸かっているあたりが何とも言えない。それを見て実はここは混浴だったことをようやく思い出すが、ネエチャンが居ないのでどうでも良い話である。我々もオバアチャンに負けじと風呂に入るが、3分も入っていられない。アチアチ言いながら風呂から出る。ほとんど熱湯コマーシャルだ。これでもう夏油温泉は満足だ。洞窟風呂にも行ってみたいような気もしないではないが、体中が熱いのでもうどうでも良い、着替えてアイスを食う方が先だ。
夏油温泉がちょっとばかり期待外れだったので、昼飯はスペッシァルにいきたいものだ。この辺にお勧めの食い物屋は無いのか? と聞くと、北上に面白い焼き肉屋があるというのでこれに決定。早速向かうことにする。道が判らないのでここもWのジムニーに先をいかせるが、道路の素晴らしさに対するジムニーの巡航速度の低さがだんだん耐えられなくなってきてしまい、途中で思わず追い抜いてしまった。しかし道が判らない悲しさ、先程曲がった交差点の所で暫く待つ羽目になる。しかし、そんなに猛烈に飛ばしたわけでもないのにジムニーはなかなか来ない。仕方なく一服しようとしているとようやく来た。突然だったのですぐには走り出せないのだが、Wは気にも留めずにどんどん去っていく。完全に立場が逆転したので一人熱く追いかける。その後北上市街の裏道をクネクネと行きながら北上江釣子ICを抜けるとジムニーが左に曲がった。そこではこんな看板が我々を迎えていた。
さらば〜地球よ〜旅立〜つ船は〜。
一体誰の許可を得てこのフォントを使っているのかは定かではないが、これは紛れもなく
あのヤマトである。間違いなくあのヤマトだ。最も理解できないのはこれと焼き肉がどう関連するかであるが、それは社長にでも聞いてみなければ判らないのだろう。W曰くこの店は実はチェーン店で色々なところにあるらしいので、ここに社長が居る保証は全く無いのが残念極まりない。う〜ん、判らん、と一人悩む俺を置いてW夫妻はさっさと店に入ってしまっている。仕方がないのでメットやら何やらも手に持って店に入る。店の中はごく普通のファミレス系焼き肉屋と言ったところであまり面白味はない。メニューを見てもやっぱり普通である。まあとにかく岩手県まで来たので、とりあえず冷麺を選ぶ。ボーイが箸とお冷を持ってきたが、割り箸の袋に書いてある「ヤマト」の字は極めて普通のフォントであり、全然面白くない。何だこれは、期待外れもいいところだ。これで出てきた冷麺が不味かったら店長を呼びだして看板のフォントの由来を聞き出すところだったが、残念ながら冷麺自体はまあまあ美味かった。食い終わったところで以降の予定を考える。ここから三陸方面に抜けて海岸沿いのキャンプ場に向かうというのも考えたが、既に時間は四時近いので少々無理がある。かといって、内陸の山岳地帯のキャンプ場は寒そうなのでこれも遠慮したい。15秒ほど悩みに悩んだ末、結局今晩もW家の世話になることを決定。キャンプするつもりで来たのに、出だしから何とも情けない事態となったが、これも昨日全然寝られなかったせいだと例によって人のせいにして自分を納得させる。
ここからはW夫妻は自宅に戻り、俺は適当にツーリングしながら7時か8時頃にW家に戻ることにする。早速地図を取り出してルートを考えるが、東は時間的に無理、西ではW家に着いてしまう、ということで北か南しか無いのだが、北は翌日向かうつもりなので少し南下してから戻ることにする。本来の俺なら一般道でダラダラ走るのだが、いかんせん時間が無いので仕方なく東北道を使って一関まで行き、そこからR342で栗駒峠を経由し、稲川町で名物の稲庭うどんを食って戻る、というコースに決定。早速スタンドに入ってガソリンを補給すると、スタンドのおじさんが「おう、どっから来たんだ?」なんて話しかけてくる。こういうのがあるから田舎はやっぱり良い。そして北上江釣子ICから東北道に入る。
途中前沢SAでの一服を挟み、一関ICまでの44.4kmはあっという間に終わる。久々に走る高速の風が心地良い。ここからR342を西に向かうと、道路の左側には厳美渓の渓谷美が続く。そして反対の右側には民家や畑があったりして、普通の観光地でも住宅地でも農村でもない妙な雰囲気がなかなか面白い。
調子に乗って撮ったは良いが、もう渓谷美は殆ど終わっていた
暫くすると道は川から離れ、暫く農村地帯が続いた後は山岳地帯に向かい、周囲は別荘が目立つようになる。両側を杉の木に囲まれた真っ直ぐな道路を走るのは非常に気分が良い。そしてその奥にはテニスに興じるネエチャンがいたりする。ん、そういえばこの旅の目的には「秋田美人を探す」というのもあった筈だぞ、なんてふと思い出したりする。木々の間を抜ける高速コーナーを気分良く曲がりながら走っていると、徐々に道幅が狭くなり、さらにセンターラインまで無くなる。基本的に高速クルーザーなK100RSにとっては少々面白くない状況になるが、道路は山腹をさらに小さく細かくうねりつつ、急角度で上っていく。こうなるともう走っていてもK100RSの重さが体にこたえるだけで全然面白くないのだが、徐々に深くなる霧がつまらなさに輪をかける。他に車が全く走っていないのが唯一の救いである。さらに高度を上げてるうちに厳しくなる寒さまでがつまらなさを助長し、これのどこがお勧め道路なんだツーリングマップルめ、と思い始めた頃に突然開けた場所に出た。そこが標高1100メートルの栗駒峠の頂上にある須川温泉であった。
どこを見ても霧ばかり。視界は僅か50メートル。
つい先程夏油温泉に入ったばかりなのだが、折角ここまで来たのだから須川温泉にも入らない手はない。しかし、レストハウスのようなものは幾つかあるのだが、肝心の温泉が見当たらない。こりゃどういうわけだ、と思ったら隅の方に温泉入口の看板を発見。早速500円払って入ってみると、何だこりゃ、一応露天風呂ではあるが、いわゆる露天らしい自然に囲まれた湯船ではなく、木で作られた20メートル四方の正方形の浴槽であった。これでは単なる屋根の無い巨大な銭湯ではないか。どうにも面白くないがとりあえず湯に浸かる。ちょっと水温が低めなので自然と長居することになるのだが、どうしたってこれでは露天風呂らしくないので気分はまるで盛り上がらない。仕方がないのでマッサージしたり、他に誰もいないのをいいことにちょっと泳いだりしながら疲れた体をほぐすことに専念するが、これも次第に飽きてきたのでさっさと出ることにする。
さて、もう既に時計は6時を過ぎている。どうせこの先も街灯も何もない山道なので、暗くなる前に山を下ることにする。県境を越えて秋田県に再び戻り、そこから元有料道路の県道282号を抜け、さらにR398を湯沢方面に向けてひた走る。また細いクネクネ道なんじゃないかと思っていたのだが、こちらはきちんとセンターラインのある快適な道路で、しかも当然他に車は居ないので自分のペースで淡々と走る。暫くの間森の中を走り続け、少し民家が見え始めた頃に稲庭うどんの発祥の地である稲川町に入る。走りながらうどん屋を探すものの、うどん屋はおろか営業している店自体が一軒もないではないか。稲庭うどんの看板はいくらでもあるのだが、その全てが閉まっている。オイオイ、まだ7時だぞ、どういうわけだ。開いている店を探しながらひたすら走るが、一向にうどん屋が現れる気配が無い。そうこうするうちに湯沢市に入ってしまったではないか。こりゃ困った。田舎の夜が早いことは判っていたが、いくら何でも7時を前にして終わっているとは思わなかった。とりあえずWに電話して「こんなことがあってもいいのか!」と聞いてみたが、こんなもんだと言われて素直に納得する。しかし飯は食わねばならないので、はてどうしたものか、とか何とか考えているうちに、前の日の夜にWが「秋田のラーメンは目茶苦茶不味い」と言っていたのを思い出す。ここまで言われたらラーメン狂の俺としては食わないわけにはいかない。湯沢近辺にラーメン屋が無いかどうかを聞いてみる。2店ほど聞き出し、早速そこに向かうことにする。
程なくして湯沢の中心部に到着。言われた通りに駅前の交差点を曲がって商店街に向かうが、開いている店など一軒もない。何だこりゃ、いくら日曜だからってそれはないだろう。みんなサザエさんでも見てやがるのか畜生め、ちったあ仕事せい! どうにもならないのでWお勧めの店はあきらめ、W曰く「まずさではトップクラスなのに何故かいつも混んでいる」という「ラーメンと○太」がR13沿いにあったのを思い出してそちらに向かう。暫くすると「と○太」が見つかったが、本当に混んでいる。広い駐車場が満杯で、店内も満席状態だ。待つことが大嫌いな俺がこんな所に入るわけが無い。さっさと諦めて辺りを見回すと、ちょっと先にもう一軒ラーメン屋があった。既にこの時点で稲庭うどんのことなど完全に忘却の彼方であった俺は条件反射的にそちらに向かう。こちらは「と○太」とは違って空いている。早速店に入ってカウンターに座り、モヤシ味噌ラーメンを頼む。客が少ないうえに店員にもやる気が見られず、何だ水も出さんのか、と思ったらセルフサービスだった。やけにキョロキョロしながら待つ俺を前にして、パートのオバチャンが淡々とラーメンを作る。10分ほどで出てきたモヤシ味噌ラーメンは、見た感じは極普通である。麺も俺好みの固めの太麺であり、しかもスープは特にくどくもなく、薄くもなく、まあまあ良い味である。モヤシも悪くない。これなら70点は付けられる出来なのだが、この味でこんなに空いているのに何故「と○太」があんなに混んでいるのか、と思うとこれはいよいよ「と○太」で食わねばならない、との義務感が生じてくるのであるが、一杯食った直後にまた食ってもしょうがないのでそれは翌日以降に持ち越すこととする。
さて、あとはW家に帰るだけだ。殆ど自分の家のような気分である。ここからは10キロ程あるが、道が空いているし信号も全然無いのであっという間だ。20時40分、W家到着。勝手に車庫にK100RSを停め、鍵の壊れたパニアケースから着替え他を出す。ただいま〜、なんて言いながらアパートに入ると、二人揃ってテレビを見ていた。俺は当然のように「野球が見たいぞ、大洋はどうなったんだ、早く見せろっ」と強硬に主張するが、あっさり却下されてしまった。とりあえずはビールをご馳走になって乾杯する。二人は焼き肉ヤマトから真っ直ぐ帰った筈なのだが、何だかやけに疲れ切っていて俺の方が何故か元気が良い。温泉に入ってばっかりで全然走っていないのだから当たり前である。暫く馬鹿話をしていたのだが、奥さんは10時を過ぎると早くも寝に入る。そんな姿を見ているとこちらまで急激に眠くなってくる。翌日は月曜日だから、Wは当然会社だ。同じ時間に起きることにして、実はこの旅で最後となる夜の歯磨きをして布団に入った。
本日の走行距離
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276km
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本日の費用
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ガソリン代
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1531円
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有料道路代
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東北道(北上江釣子〜一関)
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1050円
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温泉代
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400円(夏油温泉)+500円(須川温泉)
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昼飯
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無料(Wのおごり)
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晩飯
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600円
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珈琲、軽食代
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310円
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合計
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4391円
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累計
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19451円
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Over 100,000km Project