Michinoku hitori tabi Part 6 晩飯がカップラーメンではないという幸福


Route Map 980701 本日(1998/7/1)の走行ルート
蟹田町の道路脇 → 青森ベイブリッジ [R280]
青森ベイブリッジ → 城ケ倉大橋 [R103,R394]
城ケ倉大橋 → 虹の湖 [R394,R102]
虹の湖 → 十和田湖 [R102,R454]
十和田湖 → 酸ヶ湯温泉 [R103,R102]
酸ヶ湯温泉 → 奥入瀬渓谷 [R103,R102]
奥入瀬渓谷 → 平庭高原 [R454,地方道45号,R4,R395,R340]
平庭高原 → 久慈 [R281]
久慈 → 十府ヶ浦の駐車場 [R245]

(某地図より無断借用)



走り抜けるトラックの轟音で目が覚める。何だか随分すぐそこで走ってるなあ。あーあ、良く寝たわ。そうか、そういえば道っ端のパーキングの隅で寝たんだよな。そんなのすっかり忘れてたぞ。テントから出てとりあえず伸びをする。昨日よりは通り過ぎるクルマの目が気になるなあ。まあいいや、折角フィルター買ったんだから珈琲でも飲もう。テントから荷物を出して珈琲の準備をする。そして湯が沸くまでの間にノンビリとテントを片づける。キャンプ生活二日目にして妙に作業がシステマティックになっていることに驚く。湯が沸いたところで、マグカップに携帯ドリッパーを載せ、今度こそフィルターの中に珈琲を入れ、湯を落として蒸らす。暫く蒸らしたところで湯を注ぐ。そうそう、やっぱりちゃんとしたフィルターじゃないとダメだよな。そこのトイレに行って顔を洗っている間にドリップは終わっていた。折畳み椅子に座って淹れたての珈琲を飲む。美味い。昨日の残りのサラミをつまみながら、通り過ぎるトラックの列を眺める。たまに運ちゃんと目が合う。ふと駐車場の方を見てみると、俺のK100RSは昨日と同じところにスックリと立っている。ちょっと安心。空は残念ながら曇っているけど、雨が降りそうな雲ではない。ま、雨じゃないだけ良いとしよう。今日もいいツーリングができそうだ。

一服しながら今日のルートを考える。明後日は宇都宮の知人の家に泊まることになっているから、1日まるごとフリーに使えるのは実は今日が最後だ。寒そうな山間部を避けて海沿いに寝るとしたら、やっぱり三陸海岸は外せないから、今日は十和田湖、奥入瀬あたりの内陸をメインにして、酸ヶ湯温泉に入ってその後適当に三陸に抜ける、ということにする。本当は下北半島をノンビリ回りたかったんだけど、横手に長居してしまった以上仕方がない。あーあ、本州最北端まで行きたかったんだけどなあ。なんて考えているうちに「青森ベイブリッジ」という文字列が目に入る。ワッハッハ、何だこりゃ、本州の北の果てにはこんなものがあったのか。本家である横浜ベイブリッジのある県に住む俺としてはこれは見ないわけにはいかない。まずはここを目指すことに決めた。そんなことを考えていると、下北半島にある横浜町にも行きたくなってしまうが、これはもうどうしようもない。とりあえず腹が減ったから、昨日のコンビニで飯を食おう。珈琲一式とマグカップを片づけて、キャンプ道具の片付けを加速させる。さっき途中までやっていたのですぐに終わる。さあ、行きますか!

走り出してすぐにコンビニに着く。いつものようにスポーツ新聞とサンドイッチ、甘ったるい缶珈琲を買い込んで、そのへんに座り込んで新聞を読みながらサンドイッチを頬張る。東京だと高校生が座り込んでダベっているのは当たり前なんだけど、このへんだとやっぱりみっともないのかもしれないなあ、なんて考えつつ、昨日途中経過だけを聞いていた大洋ホエールズの試合結果を堪能する。あーあー、優勝モードなんて書いてやがる、どうせあっという間に5位まで落ちるに決まってるじゃねえか馬鹿野郎、一体誰だこんな記事を書いた阿呆は、俺と交代しろコノヤロー、俺の方がよっぽど現実味のある記事が書けるぞ馬鹿野郎、なんて朝っぱらから悪態をつく。大洋ファンにとって悪態をつくということは何事にも替えられない喜びなんだから仕方がない。ブツクサ言っている俺の横を地元の学生が変な目で見ながら通り過ぎていく。変な目にはもう慣れたので気にもならない。存分に新聞を堪能したところで、もう一度地図をチェックする。青森ベイブリッジに行くためには、とりあえずこのままR280を進めば良いみたいだ。まあ近くまで行けば看板くらい出るだろう。さっさと片付けをして、今度こそ出発だ。

走り出すとすぐに蟹田町から蓬田村に入る。これまでと同じく単調な道なんだけど、ポツリポツリと現れる電柱に、これでもかとばかりに笑える看板がついているではないか。
10kmの海岸線
ゲートボールの村
駅が4つある村
ワハハハハ、何だこりゃ、海岸線が10kmあって、ゲートボールが盛んで、駅が4つある村なんていくらでもあるじゃないか。捻ったんだか捻っていないんだかよく判らないところがまた笑える。でも、よくよく考えてみりゃ綾瀬市には駅が1つも無いから、村なのに駅が4つあるのは凄いのかもしれん。そんなことを考えながら、全然変化のない道を走る。そして、暫くすると青森市に入る。おぉ〜、久しぶりの「市」だ! だからって別に周りの景色は全然変わらないのに、何となく住宅が増えてきたような気がするから不思議なものである。このへんは鉄道もあるし、青森の会社に勤めている人のベッドタウンだと考えれば何ら不思議はない。さらに進むうちに、明らかに辺りは都市の様相を呈してくる。クルマも増えてきて、同じ単調な道でも、今までとは違う意味で単調になってくる。そういえば今回のツーリングで大都市に来るのは宇都宮以来だよなあ。久しぶりにすり抜けなんかしてみる。ちょっと落ち着かない。何しろ俺はこの道が何処に通じているかなんてはっきり覚えていないのだ。単調すぎて忘れていた。そろそろ青森ベイブリッジが見えるんじゃないのか? と思っていたらそんな青看板が出ているではないか。R280を途中で左に曲がってフェリー埠頭の方に行くと、おぉ、あれか! しかし俺は今青森ベイブリッジに向かって走っているので、棒が2本立っているだけにしか見えない。横から見ないと本家ベイブリッジとの比較なんかしようがない。そして遂に通過する瞬間がやってくる。ふむふむ、本家は渡るだけで500円もふんだくるけど、こっちは無料とはなかなかやるではないか。しかしその長さは残念ながら本家の1/3くらいしかない。渡りながら港の方を見渡す。旧青函連絡船の八甲田丸が停泊している。そしてその横には公園。ちょっとあそこで休むとしますか。

本家とは比較にならんな〜

公園の脇にK100RSを停めて、ちょっとばかし公園を散策する。人の姿はポツリポツリとしか無いが、平日の朝っぱらなんかに沢山人がいたらそれはそれで変だ。歩いていてすれ違うのはお年寄りばっかりだが、カップルだらけの本家の公園に比べりゃ目を背けたくならないだけマシだ。端の方まで歩くと青森ベイブリッジがよく見える。うーん、やっぱり小さいねえ。何より高さが足りない。本家はこれの5倍、いや10倍くらい高いところにあるんじゃないのか? まあ別に高けりゃいいってもんじゃないか。他には特に何もないようだ。一服してK100RSのところに戻って、これからの道を確認する。とりあえず十和田湖方面に行くにはR103だな。ん、ここは実は青森駅のすぐそばだったのか。ちょっと見てみようかとも思ったけど、そちらの方はビルだらけで風情も何も無さそうなのでやめる。そろそろガソリンも切れそうだし、途中で給油してさっさと十和田湖に行こう。

都会的雰囲気の青森市街を抜けてR103に入る。3車線の気分の良い道路だ。暫く走ったところでスタンドを見つけたので入る。丁度その向かいにはいすゞの営業所があって、駐車場にはフローリアンが停まっている。そうか、こんなところにまだ残っていたか。しかもバンだ、こいつは珍しい。給油を終えてさらにR103を山の方に進む。段々とビルが少なくなり、住宅と平屋建てのスーパーだけになってくる。そして徐々に高度を上げていく。さあ、そろそろ本番の始まりか、と運転モードを切り替えようとすると、目の前には相も変わらずノンビリとスプリンターが走っている。もうちょっとペース上げてくれないかなあ。道はどんどん気持ち良くなってくるのに、速度は上がるどころか落ちる一方だ。折角良い道なのに、目の前でオートクルーズ状態で走られるとどうにもならない。だからといって強引にイエローラインを無視して追い抜くのは主義に反する。諦めてダラダラ走っているうちに展望台が見えたので、勿論俺はそこに入る。何故かスプリンターも入る。さっさと先に行ってくれればいいのに。

お〜い、岩木山、顔を出せ!

一応ここは岩木山展望所らしいんだが、残念ながら曇っていて何も見えない。あーあーもう、岩手山もろくに見れなかったのに、岩木山もダメかい。カンカン照りってのも困るけど、もうちょっと景色良くないとつまんないよなあ。もう次は何時来れるか判んないのに。仕方ないので一服する以外に俺には手が無い。仕方が無いので地図を取り出す。すると、実は岩木山なんてここから見えるのが不思議なくらい遠いところにあることが判る。何だ、これなら見えなくてもしょうがない。千葉県から富士山を見るようなもんだ。さて、問題はここから先だ。十和田湖に行くには、このままR103で酸ヶ湯〜奥入瀬経由で行くか、右に曲がってR394,R102を使って行くかの2つの道がある。別にどっちでもいいんだけど、おいしいものは後にとっておきたい貧乏根性で右側から攻めることにする。途中で「橋形式では国内最長で支間255m、谷底から高さ122m」という城ケ倉大橋を渡って、虹の湖なるところを横目で見ながら十和田湖に出る。橋形式ではと言われても何のことなのかピンと来ないけど、まあ行ってみりゃわかるだろう。少なくとも青森ベイブリッジよりはスゴイに違いない。

とりあえず橋のところまで走る。今度こそ前にはスプリンターは居ない。いや〜やっぱりこうでないと。適度なカーブが続く道が気持ち良い。そしてR103とR394の交差点を右に曲がって少し走ると、そこに城ケ倉大橋がある。橋のたもとに駐車場があるのでそこに停めて歩いてみる。うーん、確かに高い。しかし肝心の「国内最長」はイマイチ実感できない。レインボーブリッジなんかより長さを感じないのは、あれが「橋形式」では無いからなのか、それとも周りに何もないか山だらけかによる違いなのかはよく判らない。そもそも首都高速なんてずっと橋の上を走っているんだから、あれに慣れると橋に感動できないのは仕方がないのかもしれない。そしてまた先を目指す。今度はR102との交差点に辿り着くはずで、そこを左に曲がれば良い。このR394というのはさっきのR103に比べるとダラダラした道で、景色も可もなく不可もなくで少々面白みに欠ける。面白みが欠けてくると眠くなるというの法則に従って徐々に眠さを感じ、運転も段々適当になってくる。本能だけで走っても何にも問題無さそうなくらい淡々とした道だ、と思っていたら突然工事中の砂利道になったりして目が覚める。そしてR102との交差点に辿り着き、左折して十和田湖方面に向かう。ちょっと走ってトンネルを抜けると、そこにはダム湖の虹の湖がある。どうしてダム湖ってのは虹の湖だとかみどり湖だとか、こういうわざとらしい名前の湖が多いんだろうか。普通に地名とか付けりゃいいのに。さらにちょっと走ると道の駅があるのでそこに入る。

丁度遠足でもあったのだろうか、駐車場には観光バスが何台か停まっている。公園をブラブラ歩いていても特に面白いものは無い。湖にしても、ダム湖なだけにこの後現れる十和田湖と比べたらたんなる水たまりなのでやっぱり面白くない。オジサンが何人か釣りをしているので一服しながら暫くそれを眺めていたが、全然釣れそうもないのでその場を離れる。そしてさらにブラブラしていると、ちょっと面白いものを見つけた。

ん、何のレプリカだ?

うーむ、これはどう見てもRZVにしか見えない。しかもサイドカーじゃないか。何となく乗ってみたくなってしまうが、遠足の幼稚園児が近づいてきたのでみっともないので止める。すると一人の幼稚園児が青/黄のフランスヤマハな方を選んで走り出した。残念ながら遅い。フッ、2ストV4でもこの程度か、これなら俺の直4の方が早いぞ、なんて馬鹿なことを考える。馬鹿馬鹿しくなったのでここを去ることにする。さあ、今度こそ十和田湖だ。あとはここを真っ直ぐ行けば良いはずだから、問題は何処で停まるかだ。地図を取り出すと、十和田湖第一の展望台という発荷峠なんてのがある。よっしゃ、ここに行こう。

引き続きR102を走る。進むにつれて道幅は若干狭くなり、そして小さいコーナーが増えてくる。K100RSにとってはちょっと細かすぎてイマイチだ。ついでに工事までやっていたりするのでもっとイマイチだ。目の前に遅い車が現れてイマイチ度に輪をかけてくれる。そして暫くすると右側に駐車場が現れ、その遅い車は駐車場に入ってくれる。目の前には交差点の青看板がある。ん? 実はもう十和田湖はすぐそこなんじゃないのか? 迷わず右折すると、眼下に十和田湖が見える。おお、遂にここまで来たか! そして道は急激に下り、どんどん湖面の高さに近づいてくる。そして一番下まで降りると周遊道路になる。十和田湖を左に見ながら走るのはなかなか気分が良い。やはりダム湖とは雰囲気が違う。ダム湖ってのは水面が恐ろしく下にあるから、走っていてもそこに湖があるような気がしないのだ。平日の午前中だというのに道は混んでいるが、大して気にはならない。暫く走ると右折できる交差点が現れる。これを曲がってちょっと登ったところが発荷峠の展望台だ。またもや道は急激に登る。いかにもカルデラ湖って感じだ。途中まで登ったところに展望台が現れた。駐車場に入り、建物のそばにK100RSを停める。傾斜しているので停めるのにちょっと苦労する。既に足下がふらついているのが情けない。かなり疲れが来ているようだ。それでも何とか無事に停めて、カメラを持って展望台に向かう。

うわ〜すげ〜キレイだ〜。

ウヒョー! これはすごい。とんでもなくキレイじゃないか。丹沢湖だとか宮ケ瀬湖だとかばっかりで、せいぜいまともなのは芦ノ湖くらいしか無い神奈川県民にとってはタマラン景色だ。何より余計な建物が全然見えないのが良い。建物なんか何もなくて良いのだ。景色だけあればそれで充分。俺が勝手に見とれていると、老夫婦が写真を撮ってくれと言ってきた。そりゃ〜撮りたくなりますわなこの景色見たら。これで失敗しようものなら何をどう言っても謝りようがないので、極めて真剣に撮る。すると俺がカメラを持っているのをみたお爺さんは、撮ってやろうと言ってきた。あ、メット脱いだばっかりで髪ボサボサだし、いいですよいいですよ、と言いたいところだったけどここは御好意に甘えて撮ってもらう。暫くこうして景色を堪能したところで、ちょっと湖岸に降りてみようと思い立って、もう一度K100RSで走り出す。さっき登ってきた峠道を下って湖岸を走る。駐車場云々と書いてあるのでそちらに向かう。どうやらここは休屋という場所らしい。適当に路上駐車しようと思ったけど、他に誰もそんなことしていない上に道が細いので気が引ける。適当な歩道も無い。仕方ないのでそのまま駐車場に入れてしまう。何とこの駐車場は無料では無いらしい。あーあ、余計な金を払う羽目になってしまった。ま、たかが100円だし、観光地で下手な所に停めると景色的にも迷惑だから仕方あるまい。金を払ったのだからいいだろうとばかりに車1台分のスペースに堂々と停める。平日だから全然問題無い。

何軒か並んでいる土産物屋の間を抜け、特に意味もなく湖岸を歩く。どうやら何も考えずに十和田湖のメイン湖岸に来ていたようで、乙女の像とか十和田神社とか色々なものがあって面白い。平日で観光客が殆どいない湖岸を暫く歩いたところで小腹が空いたので、土産物屋で乙女餅なるものを食う。200円だが美味い。はっきり言ってしまえば団子を平たくして焼いただけなんだけど、そんなことはどうでも良い。ここでは何を食っても美味いに違いない。缶珈琲を飲みながら一服する。こういう所で一服していると、満足感とともに、わざわざキレイな空気のところで煙を吸わなくてもいいじゃないかという罪悪感に駆られる。会社のある浜川崎は日本一空気が汚い場所だから、そんなの全然気にもならないのに。

ここからは湖岸を回って奥入瀬渓谷へ、そして渓谷を通り抜けてR103を通り抜けて酸ヶ湯温泉へと向かう。暑くもなく寒くもなく、そのへんの芝生で昼寝したら気持ちいいだろうなあ、とは思うけど、いい加減時間がなくなってきたのでそうもしていられない。今は暖かくても、どうせ夜になったら極寒なのだ。こんな所で寝たらどうなるかわかったものではない。K100RSの元に戻り、出立の準備をする。地図を見る限り、国道ばかりなので看板に従っていれば特に問題は無さそうだ。

R103は、完全な湖岸道路というわけでもなく、山中を通ったり、突然眼下に湖を見下ろしたりしながら進む。単純に走る道としても面白いが、わざわざこんな景色の良いところで目を三角にして走る必要はない。暫く進むうちに、遂に奥入瀬方面への看板が出る。さあ、遂にこの旅のクライマックスだ。意気揚々と交差点を右に曲がる。

曲がって暫くはなんてことない道が続いたが、暫くすると、オヤジが会社から貰ってきたカレンダーに載っているような素晴らしい渓谷美が顔を出す。そして銚子大滝のところで思わず停まる。こういう場所にエンジン音は無粋極まりないのでさっさとエンジンも止める。特に何をするわけでもなくただ滝を眺める。そしてまたエンジンをかけて進む。良い景色があるとまた停まる。それを何度も繰り返す。どうせ何度も停まるのなら、いっそバイクなんか湖岸のドライブインにでも置いてきてハイキングした方が良い。ここはエンジンがついた機械で来る所じゃない。何百年経っても同じように流れていそうな川と、それを囲む木々を見ていると、急いで通り抜けるのが馬鹿馬鹿しくなる。

溜息。

また溜息。

呑気に写真を撮りまくっているうちに、遂にフィルムが切れてしまった。まだあるはずだったな、と思いながら鞄を探ってみると、あと1本ある筈だったフィルムは、実は今カメラに入っているのが最後の1本だったようだ。何ということだ、クライマックスの場でフィルムを切らすとは相変わらず詰めが甘い。何とも俺らしい馬鹿馬鹿しいミスだ。仕方ない、湖岸まで戻れば店の1つや2つあるだろ。さっさとUターンして戻ることにする。普段だったら自分に憤慨しながら走るのに、この景色を反対側から楽しめると思うと、全然損したような気がしないところが不思議なものだ。

反対側からも溜息。

そして湖岸のドライブインにある自動販売機で24枚撮りのフィルムを購入。また今来た道を戻る。何回通っても飽きない。途中ハイキングしている老夫婦を追い抜く度に、五月蝿くてすいませんねえと心の中で頭を下げる。そして遂に奥入瀬渓谷は終わりを迎え、看板に従ってR103を進んで行く。こちらは先程までとは変わってかなりきついコーナーが続き、しかもかなり標高を上げていくので道としてはあまり面白いものではない。景色もダメだ。しかしある程度登ったところで、八幡平のような、とまではいかないけれど、なかなか気分の良い高原道路へと変貌する。左右の山々を見ながら走っているうちに、何故か突然徒歩の人々がポツポツと現れる、何かあるのか? と思っていたら、いつの間にか目的の酸ヶ湯温泉に到着していたようだ。

思っていたより建物は立派。

ネタ本には千人風呂とか書いてあったけど、どうせ大したこと無いんだろうとばっかり思っていたら、それは明らかに見当違いだった。駐車場はかなり広く、しかもそれは殆ど埋まっている。建物も妙に立派だ。この辺りには建物なんか殆ど無いので、ここだけがやけに浮いている。しかもこれだけ客が来るんだから、これはよっぽどスゴイんだろう。早速建物に入ると、入口に券売機があるのでそこで500円払って入湯券を買う。このロビーがまたやけに広くて、一体何処に行けば風呂に入れるのか判らない。単なる温泉だとばっかり思っていたが、どうやら湯治場としての旅館でもあるらしい。そのせいか、そのへんの椅子に座っているのはお年寄りばっかりで、20後半の俺はどう贔屓目に見ても一番若い。ここは混浴らしいが、あらぬ期待はするだけ無駄のようだ。そのまま真っ直ぐ進んでいくと、右側に風呂の入り口があった。何と番台まである。そこで券を出して、中の脱衣所で服を脱ぐ。そして扉を開けると....うーん、デカイ。

とにかくデカイのだ。千人風呂はさすがに誇張表現だけど、間違いなく百人は入れるに違いない。しかも脱衣所は高い所にあり、そこから階段を下りたところに風呂があるせいで余計広く見える。しかしまあ御老人が多い。というかそれしか居ない。わざわざ平日の真っ昼間に来る暇な若い阿呆は俺くらいだろう。どうにも場違いな雰囲気を感じながら洗い場で身体を流し、一番デカイ湯船に浸かる。ん〜、極楽極楽。出てくる言葉がすぐにジジ臭くなる。これだけ雰囲気があると、何はともあれ露天風呂といった世論が急に馬鹿げた話に思えてくる。その雰囲気に浸りながら、打たせ湯でマッサージしたりしつつ、のんびりダラダラする。俺としてはかなり長めの30分近くダラダラした後、風呂から出てロビーでリアルゴールドを飲みながら一服する。俺はアンチ巨人なのでオロナミンCは問題外だ。それ以外のものを買わねばならない。他のお年寄りと完全に同化してノンビリとテレビを眺める。このダラダラ感がたまらない。あ〜あ、もう走るのメンドクセエなあ、いっそのこと、今日はここに泊まっちまおうかなあ。

リアルゴールドを飲み干したところでようやく重い腰を上げる。ダラダラとK100RSのところに戻り、また地図を確認する。時間は既に2時を過ぎていて、予定していた三陸海岸でのキャンプは極めて微妙な状況になってきた。寒い山中でのキャンプは避けるとすれば、最も近いのは三沢または八戸近辺になるが、わざわざ青森第2の都市の近辺でキャンプをする必要は無い。そうなると軽米あたりを抜けて久慈あたりに行くのが良さそうだが、どうせならちょっとだけ遠回りして平庭高原と久慈渓谷沿いを通って行ったほうが楽しめそうな気もする。何より俺は高原と言う言葉に何故か弱いのだ。そう思った時点で既にコースは決まっている。結局最初に考えたコースと同じだ。まあ晩飯を食おうと思ったら多少大きな都市に行かないと、昨日の三厩みたいにさっさと閉まってしまって結局カップラーメンになるのは判りきっている。あんまり変なところを目的地にするのは避けたほうが良い。ついでに遅くなるのも避けたほうが良い。どうせここから久慈までは大した見どころも無さそうだし、不思議と腹も減っていないので、晩飯食うまで思いっきり突っ走るとしますか。

とりあえず平庭高原までの道を考える。何処を通ってもつまらなそうなので、もう一度奥入瀬を通って、あとは適当に国道を通り、金田一温泉近辺をかすめて九戸あたりを通り抜けて平庭高原、ということにする。とりあえず奥入瀬までは簡単だ。そしてその後R454を暫く走ったところに道の駅があるらしいので、その後はそこでまた考えよう。ハイ、これで決まり。見どころが無いとかくも簡単に決まる。地図をザックに突っ込み、ジャケットを着てメットを被る。さて、行くぞ。

さっき走ってきた道を逆に行くだけなので何ということはない。車も少ないのでガンガン走る。そして奥入瀬まで戻ったところでまたノンビリ走る。ここは何度来ても良い。ついさっき走ったばっかりなのに、温泉でダラダラした後だとまた違って見えるから不思議なものだ。そのうち渓谷も終わり、湖岸道路をさっきと逆の方向に少し走ったところでR454との交差点に辿り着く。さらば、十和田。ここを左折してただただ進む。冬期閉鎖になるという見返峠は、極めて道幅が狭いタイトターンの連続で、正直言って面白くない。完全な山の中で、しかも進むにつれて道が細くなるので、暫くしたらまた津軽の竜泊ラインみたいに砂利道になるんじゃないかとやけに不安になるが、そんなこともなく迷ヶ平なる場所に到着する。久々に建物を見た。何となくここで停車する。地図によると、ここからわき道にそれても何とかなるように思えるが、どうしてもダートの恐怖が拭いきれないのでそれは止めておく。途中に牧場しかないというのは危険すぎる。何があるか判ったものではない。予定通り真っ直ぐ進むと、暫くして「道の駅しんごう」が現れる。しかし道の駅とは名ばかりで、トイレと自動販売機があるだけだ。折角なのでトイレに行って缶珈琲を飲む。ここは高台にあるのだが、何故かお爺さんが柵に自分の家の布団を干している。こんなところまで持ってくるほうがよっぽど面倒だと思うんだが、何か理由があるんだろうか。そんなことを考えつつも地図を見る。ここから暫くいったところにある戸来という所から十和田三戸線なる道を抜けるとR4に出られるようだ。まあどこを通ってもつまらなそうだからこれしか道はあるまい。そしてR4に出た後はR395、R340と行くと九戸村に入る。三桁国道ばっかりで覚えにくくてしょうがないのでかなり不安だ。

考えていてもしょうがないのでとりあえず進む。なんてことない道を暫く進むと看板が出るのでその通りに曲がる。一応センターラインはあるが、どう見ても地元民しか通らなそうな田舎道なので不安は増す一方だ。まあ変なところを曲がらない限り問題は無いだろう。そのまま走っているうちにようやくR4に戻る。これで一安心。しかしR4は例によってトラックだらけだ。こんな北の方まで来てもやっぱりトラックかい。モンクを言いながらダラダラ走っているうちにR395への交差点に辿り着く。念のために地図を見て再度確認する。間違いないようだ。そして左折して橋を渡り、暫く走ると今度はR340への交差点があるはずだ。三桁国道らしく面白くも何ともない道が続く。やっぱりモンクを言いながら走るうちにようやく右折の看板が出た。八戸道の九戸IC方面なので今度は分かりやすい。今度こそは面白い道であってほしいんだけど、そんなことよりガソリンが残り少ないことの方が気になる。まあどっかにあるだろう、なんて思いながら走っていると、困ったことに全然現れない。いくらなんでも九戸ICのあたりにはあるだろう、と思ったら、何とICは本当にICしかなくて、その周りはただの田んぼだ。コイツは参った、この道だって仮にも国道だろうが、スタンドくらいあったっていいじゃないか。しょうがないのでそのまま先に進むと、徐々に民家が増えてくる。一応九戸村の中心部に入りつつあるようだ。すると右側に怪しさが充満しているスタンドがあった。背に腹は代えられないのでここに入る。給油機のメーターを筆頭に、デジタルな雰囲気は何処にもない。お爺さんがダラダラとガソリンを入れる。ハイオクっていう言葉が通じているんだかどうなんだか怪しいものがあるが、機械を見る限り判っているようだ。スタンドを出て少し進むと、おそらくこの村で唯一と思われるスーパーが現れる。この先どうなるか判ったもんじゃないので、とりあえずおにぎり2つとカップラーメンを買っておく。これでとりあえず空腹で困ることは無いだろう。食い物を見ているうちに小腹が空いてきたのを感じて、そのおにぎりを1つ食ってしまう。そして平庭高原への道を再確認すべく地図を出すが、確認も何もない、とりあえず真っ直ぐ行くだけだ。そして途中でR281に曲がれば良い。

たまに現れる民家以外は何もない谷間の道をただただ進む。つまらん道だなあ、と思いながら走っているうちに、久しぶりに青看板付きの交差点が現れ、これを左に曲がる。このR281は平庭高原に向けて登る道で、多少峠らしくなってきたな、なんて思っていたら、あっという間に高原の一番上に着いてしまった。K100RSを他に誰も居ない駐車場に停める。もう夕方なのでかなり寒い。一応キャンプ場もあるけど、こりゃ寒すぎだ、こんな場所でキャンプしたら凍ってしまうぞ。駐車場のそばにはテニスコートがあり、何となく高原らしい雰囲気があるが、そのテニスコートは誰も使っていないし、他には閉まっているドライブインがあるくらいで、いかにも季節外れの高原といった感じだ。あー寒い寒い、さっさと先に行こう。

少し走ると、道の両脇は白樺ばかりになってくる。うむ、ようやく景色も含めて高原らしくなってきたぞ。やはりこうでなくてはならん。延々と続く白樺の間を少しずつ下りながら進んでいく。これはなかなかのもんだ。白樺が終わると、今度は道が面白くなり始める。これでこそあの退屈な九戸村を越えてきた価値があったってもんだ。さらに進むと、今度は川沿いを走るようになる。これが久慈渓流というやつか。でも、ついさっき奥入瀬を見たばっかりの俺にとってはひどくつまらなく見えてしまうのが困りものだ。多分紅葉の季節なんかだと良い雰囲気なんじゃないだろうか。車も全然居ないし、自分のペースで半ばボーッと走っているうちに、道の両わきには久々に住宅が現れ始める。そろそろ久慈の市街地に入ってきたようだ。ふう、やっと三陸海岸までやってきたぞ。何とか日が暮れる前にここまで来たか。既に陽は落ちかけているが、いい加減カップラーメンは飽きたので、港のあたりで魚でも食いたいぞ。そして道は久慈駅近くを通る。道の脇には寿司屋を筆頭に食い物屋には事欠かない状態だが、一度港の近くで、と思ってしまったもんだから何となく通り過ぎてしまう。そのまま直進して港のあたりまで来てみると、困ったことに食い物屋なんかこれっぽっちも無い。あるのは木造の倉庫ばっかりだ。あちこちうろついてみても、せいぜい住宅地と煙草屋があるくらいで、ろくな食い物屋が無い。クソッ、昨日も晩飯を食いそこねたというのに何という学習能力の無さだ、さっさと駅前で入っちまえば良かったのに。と思ったところに、前方に妙にこぎれいな食い物屋が現れる。この「おおみ屋」なる店は、何となくファミレスっぽいところが少々気になるが、看板には海鮮ナンタラと書いてあるし、既に空腹の極みである俺は引っ張られるようにそこにバイクを入れてしまう。もう探すのは面倒だ、ここで食っちまえ。

ん、何だここは、海鮮料理とか書いてあるのに何故ショーウインドウにこんなに沢山珈琲が? と思ったら、何とここはアートコーヒー系列の店だったようだ。何てこったい、折角こんな所まで来てチェーン店に入る馬鹿が居るか? しかし、ここで引き返すのもカッコ悪いので、ウエイトレスのネエチャンに連れられて席に案内されて、いかにもファミレス風な椅子に座る。何だかえらく久しぶりにこういう椅子に座るような気がするぞ。そしてメニューを見ると、一応海鮮料理屋なので魚系の食い物が色々ある。早速ネエチャンを呼び付けて、マグロだの海老だのウニだのが乗っている「大漁重」なるものを頼む。1400円は俺の晩飯にしては異常に高いが、こんな所まで来てケチっても仕方がない。客が少ないのをいいことに、出てきたおしぼりで堂々と顔を拭く。これはバイク乗りの儀式であるからして避けて通るわけにはイカン。鞄から地図を取り出して、今日の寝床を探す。ここから南に少し下ったところにキャンプ場があることを発見。まあここでいいや。探すの面倒だし。ここでふと外を見てみると、まあ完全に日が暮れたとは言わんけどかなりの暗さだ。ちょっと前に寝床を探して男鹿半島を暴走したことをすっかり忘れているところが情けない。しかもここは太平洋側だ、日が暮れるのだって早いに決まってるじゃないか。そんなことを考えているうちに大漁重が出てきた。中々美味そうである。適当に醤油をぶっかけてバクバク食う。うむ、美味いぞ、美味いぞ。昨日の晩からろくなものを食っていないんだから美味いに決まっている。あっという間に食い終わってしまった。直後の茶がこれまた非常に美味い。これでビール飲みながらテレビで野球でも観れたら最高なんだが、困ったことにここは俺の部屋ではないので、意地でも寝床を探さなければならない。外はもう夕闇寸前だ。おう、マズイぞ、さっさと行くかい。

さっさと金を払ってバイクの所に戻る。そして目の前の道路に出る。キャンプ場へはこの道を真っ直ぐ南下するだけだ。キャンプ場がダメだった時のために、念のため道の両サイドをチェックしながら走るのは基本中の基本である。途中で道の駅を発見したが、困ったことにここは三陸鉄道の駅と一体化しているのでダメそうだ。そこから少し走ると、十府ヶ浦という海岸に出る。何となくバイクを停める。ここの海岸で寝るのも悪くなさそうだ。しかし、キャンプ場はすぐそこのはずなので、一応そこまで走ってみる。「玉川野営場」なる看板が出たのでそこを左折すると、とんでもなく狭いうえに恐ろしい勢いでアップダウンする道になってしまった。オイオイ、海の側の筈なのになんで登るんだ? そのままダラダラ走ってみても、どういうわけかキャンプ場は何処にもなく、ダンプ置き場になってしまった。何なんだ此処は、こんな所怖くて寝られるかい。さっさと十府ヶ浦まで戻り、さて何処に停めるか、と思っていると、前方に脇道を発見する。何となくそこに入っていくと、いかにも誰も来なそうなだだっ広い場所に出た。多分ここは夏場に海水浴場用の駐車場にでもなるんだろう。上手い具合に目の前にトイレがあり、そこの明かりのおかげでそんなに暗くない。少々石ころが多いけど、エアマットもあるし、まあ寝るだけだから別にいいだろ。はい、決まり決まり。

早速今日の寝床の作成に移る。テントを建てるのも慣れてくると殆ど考えもしないで出来てしまうから不思議なもんだ。この暗さで慣れていない状態だったら結構大変なことになっていたに違いない。テントはあっという間に終わり、パニアケースを外してテントに放り込む。そしてエアマットを膨らます。今日はまともなものを食ったのでいくらか体力があるようだ。キャンドルランタンやラジオ等の夜更かしセットを出して準備完了だ。そんなことをしているうちに、気付いたらもう8時を過ぎている。おう、もうこんな時間か。早速サラミとジャックダニエルを引っ張り出して一杯やろうかと思ったが、明日泊めてもらう予定の宇都宮の知人に連絡するのを忘れていたことを思い出す。出発前に言ってはあるけど、一応言っておいた方が良いだろう。この駐車場に入る別れ道の前にドライブインらしきものがあったことを思い出し、荷物を外して身軽になっているK100RSに乗ってそこまで行く。虫が沢山寄りついている電話ボックスに入って電話をかけると、その知人はいつも帰りが遅い筈なのに、今日は何故か居た。そして翌日行くことを告げる。何時に来る? ん〜、10時頃かね。テレホンカードの度数を気にしながらそんな会話をする。業務連絡を無事終えてテントまで戻る。

駐車場に入ろうとすると、その道沿いにはいかにもガラの悪そうなクラウンが停まっていて、そのすぐそばの堤防の上でヤンキーどもが花火をやっている。あ〜あ〜、俺様の寝床の前で何を騒いでやがる。これは寝付きが悪そうだ。こっちが胡散臭そうな顔をして連中を見上げると、そいつらも突然K100RSに乗って現れた珍客を、いかにも何だコイツは、って感じで見ている。俺は気にしないで駐車場に入る。この駐車場は、入り口以外は垣根のように木が並んでいるので、テントのそばに停めると丁度連中からは見えなくなる。もし奴等がこのテントに気付こうもんなら面倒なことになる可能性もあるけど、連中からしても俺は相当怪しい奴に見えただろうから、わざわざ近づいて来たりはしないだろう。念のためK100RSにバーロックをかけて、テントに入る。そして今度こそ至福の酒の時間だ。昨日より南下しているせいかどうかは判らないが、昨日に比べると少々暑いので、テントは内側の網窓だけ閉める。蚊が多いので、これだけは閉めないわけにはいかないし、外で酒なんか飲んでいたらとんでもないことになってしまう。エアマットに座ってジャックダニエルをラッパ飲みする。キャンドルランタンの暗い明かりの下で、サラミを食いながら明日の予定を考える。こんな生活も今日が最後だと思うとちょっと残念だ。そう思うと、なんだか地図を見ていること自体がすごく小さいことに思えてきて、何となくエアマットに寝転がる。たまに蚊が耳元に寄ってきて五月蝿い。外からは相変わらず花火で騒ぐヤンキーの声が聞こえる。すぐそばを走る三陸鉄道の列車が走り抜ける。そうだよなあ、三陸鉄道なんて下手すりゃ死ぬまで見れねえかと思ってたけど、そんな列車が走ってるそばで寝るなんて思わなかったなあ。段々眠くなってきたので、このまま寝ちまうか、なんて思っていたら外から妙な音が聞こえる。何だよヤンキーどもめ、五月蝿いぞ、と思ったらどうも違うらしい。ふと外を見てみると、遠くの方で何かが光っている。お、何だありゃキツネか? 少なくとも犬はこんな声で鳴いたりしないよな。確かめるようにジロジロ見ていると、こちらに気付いたのか、その動物は何処かへ去っていってしまった。そして俺も今度こそ最後のテントでの眠りについた。

本日の走行距離 410km
本日の費用 ガソリン代 2515円
温泉代 500円
朝飯 200円(サンドイッチ)+120円(おにぎり)+115円(缶珈琲)
昼飯 200円(乙女餅)+120円(おにぎり)
晩飯 1400円(大漁重)
缶珈琲代他 240円
十和田湖の駐車場 100円
24枚撮りフィルム 560円
スポーツ新聞 130円
合計 6200円
累計 34995円


Part 7 呑気に温泉なんか入ってるんじゃなかった (Now printing)  


Over 100,000km Project