Prologue....ホントに俺でいいんでしょうか


海外出張指令はいつも突然やってくる。初めて渡米したシアトル出張も、2ヶ月(ホントは半年の筈だったけど)のシンシナティ出張も、そして今回のオーランド出張も、全部こっちがまるで無防備の時だった。そして今回のは一番ヒドイ。何しろそれを言われたのは自社内ではなくて、思いっ切り公の場であった。某社のJapan Kickoffみたいなやつが新宿の京王プラザホテルで行われて、例によって5時過ぎからカクテルパーティーになったところで、突然本部長直々に「オイ、今度オーランド行ってこい」ときた。別にオーランドに出張先の会社があるわけではなく、勿論ウチの会社の支店があるわけでもなく、とあるシンポジウムがオーランドで催されるからそれに参加してこい、って話。そのシンポジウムの存在自体は前から知っていて、いいなあこれに行く奴、なんて思っていたけど、まさか俺にその話が来るなんて全く考えちゃいなかった。だって俺はもう2回行ってるんだし、まだ一度も行ってない人だって他に何人も居るんだから、俺にそんな役得が回ってくると思うわけが無い。そんなわけで、本部長に言われたときも「はぁ??」なんて気が抜けたような答えをしてしまった。

だからって別に行きたくないわけじゃなくて、行けるならそれはそれで大歓迎なんですよ。だってオーランドですよオーランド。何つうてもフロリダ州ですよ。オレンジ(色じゃなくて果物)のナンバープレートの所ですよ。まさにリゾートじゃありませんか。シンシナティみたいな中部の何にもない所とは大違いじゃありませんか。テーマパークなんか別にどうだっていいけど、オーランドからフロリダの海まではすぐではないか。シンシナティで一緒に仕事していたRaviは、わざわざThanksgivingの休暇にレンタカーを借りて12時間もかけて行ったようなスゴイ所だぞ。そんな所にタダで行けるなんてオイシイ話を放っておくわけがない。だからといってそこではしゃぐのも大人げないので「はぁ??」の後には「えぇはぃはぃ別にいいですよそのくらい屁でもないですよハハハハハ」なんて極めてテキトーに答えておくのが常套手段である。ここで弱みを見せると、この件自体がいわゆる「借り」みたいに思われかねないから、あくまでどうでもよさそうに答えておくのが無難なのだ。

しかし、その手の話(というかうわさ話)が来るのは早いくせに、正式決定通知がいつまで経っても来ないのも我が社伝統の悪癖である。今回も例によって全然話が進みやしない。そのシンポジウムは5月末開催なのに、5月連休が終わっても一向に通知は来ないのだ。ったくまたこれかよ、そうやってダラダラやってるから前回だってチケットが取れなくて、結局悪名高いポートランド経由になって、入国審査であんな酷い目に遭っちまったんじゃねえか。そして連休が明けてから暫く経って、ようやく本当の通知が来る。あーあやっと来たか。じゃあ考えますかね、色々と。そこで一緒に行く上司に旅程なんかを聞いてみると、何と「行きと帰りは多分別行程になるから、飛行機は勝手に決めてくれ」なんて言うではないか。何やら出張と絡めて米国本場のエアショーを見たいらしい。じゃあ俺も遊びに行かなきゃ損じゃないか。別にそんなつもりは無かったのに、そっちがそう来るならこっちもやらねばならん。

今回のシンポジウムは5/30(Wed)〜6/1(Fri)という日程で行われる。ということは、普通に参加するのであれば渡米するのは5/29(Tue)で、帰国は6/2(Sat)に米国発、6/3(Sun)に日本着、といった日程になる。つまり、火曜日に日本を出るわけで、出発前日の月曜日なんて、わざわざ会社に行ったって別にやることなんかありゃしないのだ。仮にあったとしてもあまり手に付かない可能性が高いので、出社しても無駄なのは見え見えだ。だったら月曜も休んで、その前から行ってしまえば遊べるではないか。最初のシアトル出張の前にロスで遊んでいたのと考えは同じだ。こうやってどんどん勝手な妄想を膨らましている時間が実は一番楽しかったりする。じゃあ土曜日に行くか、というと、前の週が八丈島旅行だったりしてあんまりにも準備の時間がなさ過ぎるので、土曜日は一応避けておいて日曜日に行くことにする。そうすればとりあえず到着日の午後から火曜まで、約二日半くらいは時間がある。まあそれだけあればいいだろ。それ以上になるとモーテル代やレンタカー代が馬鹿にならん。そして飛行機を調べて、色々ある中からワシントン経由のANA(+UA)を選択。理由は簡単で、単にANAの国際線には乗ったことが無いからというだけの理由。NWもDLも乗ったことがあるからあまり面白味が無いのだ。JALも乗ったことが無いし、こっちはシカゴ経由だから少し短い時間で着くんだけど、何しろ既に空席無しなんだから話にならない。だからさっさと決めろって言ったのに。

というわけで準備完了である。航空券さえ取れればもうこっちのもんだ。前々回、前回はメチャクチャ緊張しまくってあれやこれやと準備したもんだけど、今やたかだか1週間程度の海外出張では準備するものなんか何も無い。とりあえず航空券とパスポート、クレジットカードさえあれば死にゃしないのだ。こういうところで曲がりなりにも2ヶ月滞在した経験がモノを言う。俺にとっての必需品で、日本で買えて米国で買えないものなんか何も無い。せいぜいペヤングソース焼きそばと日刊スポーツくらいだ。おっと、セーラム・ピアニッシモも買えないか。まあシンシナティにあってオーランドに無いものなんか何も無いだろ。唯一不安なのは、調子に乗ってモノを買いすぎて持ち帰りようが無くなった場合なんだけど、だったら米国でもう1個スーツケースを買えば良い。というわけでお終い。

ってな感じでナメきって臨んだ今回のオーランド旅行出張。シアトルに行ったときに買った鞄に服なんかを詰めて準備完了。はいお終い、楽勝楽勝♪ なんてたかをくくっていたら、落とし穴はいきなり目の前に現れたのであった。


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