Part 1 やあアメリカ、久しぶり (2001/05/27)


今回乗る飛行機は異常に朝が早い。11時半に成田発だからメチャクチャ早いっていうわけでもないんだけど、あいにく俺が住んでいる辻堂から成田空港まではそんなに近くはない。しかも成田エキスプレス(当然料金会社持ち)の都合で、辻堂駅を6時48分発の電車に乗らなければならないのだ。そんな時間は普段だったら当然のようにガーガー寝ている。しかも海外出張となったらいくら何でも家を出る前に多少の儀式(PowerBookを鞄に詰めるとか、戸締まりや電気モノやガスの確認とか)があるから、ちょっとは早めに起きなくちゃならん。まあしょうがない、5時半ぐらいに起きればまあ充分だろ、なんて思っていたら、目が覚めたら何ともう6時10分。うぉー何てこった!

コイツは参った。普通に会社に行くんだったら「いや〜首都高の渋滞が酷かったんですよハハハハハ」で済む話なんだけど、そんな理由では飛行機は待ってくれない。恐ろしく慌てて着替えや荷造りなんかを済ませる。戸締まりなんかは全然確認しやしないくせに、メールチェックをしながら朝飯をきちんと食う(しかも珈琲付き)のがいかにも俺らしいところである。まあこのインチキマンションに入り込むアホは居ないだろ。それに俺の部屋なんてガラクタばっかりだし。しかしさすがに歯磨きをする時間に欠き、6時半には無念の出勤を余儀なくされる。慌てまくっていたせいで、約1年ぶりの海外にも全く緊張感を持つことなく家を出られることが唯一の救いであろうか。そして荷物をガラガラと引きずりながら辻堂駅に到着する。おー何とか間に合った。開店準備中のキオスクで日刊スポーツと爽健美茶を買って東海道線に乗込む。さすがに空いている。そして大船駅で成田エキスプレスに乗り換え。

どうせ空いているに違いないと思った成田エキスプレスは実際空いていたんだけど、何故か俺が座っている辺りだけが混んでいる。何だこりゃ、大外れな席だなクソッ、とか思っていたら結局東京駅でほぼ全席が埋まる。こんな妙な時期の、しかも日曜日の朝っぱらにこんな混んでいるなんて、海外に行くやつって案外多いんだなあ。俺なんか一度も自分で金払って行ったことが無いぞ。そんなの何の自慢にもならんけど。そしていつの間にか寝てしまい、気付いたらもう成田空港第二ターミナルに到着。少々慌てながら電車を降りる。改札を出たところで早くも身分証明書チェック。見送りとか出迎えなんかに来た人もやっぱりチェックするんだろうか。メンドクサイなあ。

さてチェックインしますか。荷物を通して、それからエコノミーの列に並ぶ。早速並ぶ場所を間違えて係員に誘導されてしまうあたりが情けない。暫く並んでチェックインして、通路側の席を確保する。そしてこれからが暇な時間。あーあ、まだ1時間半もあるじゃないか。これだから国際線は嫌なのだ。だからといってギリギリに来て窓側の席にされたらたまったもんじゃないからしょうがない。仕方がないので本屋でNumberなんかを買ったり、小腹が空いたのでマクドナルドでハンバーガーと珈琲を買ったりして暇を潰す。こんなところで食うから太るのだ。どうせまた機内で家畜の如く食わされるのに。適当に時間が経ったところで出国窓口へ。特に問題無く通過。そして70番ゲートに行ってみると、何だこりゃ、目茶苦茶混んでいるじゃないか。しかも喫煙所もないぞ。前にデルタに乗った時のゲートの周りはガラガラで喫煙所もあったのに。しかもよく見たらここから飛行機まではバスでの移動じゃないか。ったく、米国の首都たるワシントンに行くっていうのに何ちゅう失礼な扱いをしやがる。しかも椅子も全然空いてない。ふんだりけったりとはこのことだ。

ようやく時間になって列に並ぶ。しかしチケットを機械に通す前に係員に「ハンコが捺されていないではないか、たわけ者」と言われてしまい、慌ててそばのカウンターで捺してもらう。何なんだよコレ、いつの間にこんなの捺すようになったんだ? 何の意味があるんだ? 判んないけどどうだっていいや。そしてバスに乗って第1ターミナルの近くまで行き、747-400に乗りこむ。そして36Gの席に行ってみると、何とトイレとかがある部屋のすぐ後ろというベストポジションではないか。しかも隣は誰もいない。うむ、寝坊しつつも何とか電車に間に合わせた甲斐があったというものだ。新聞を読んでダラダラしているうちに飛行機は動きだす。そして離陸。もう飛行機にもいい加減慣れたので全然緊張しないし、たかが1週間なので全然感傷的な気分にもならない。

暫くするとドリンクサービスが始まる。フライトアテンダントが全員日本人というのは実に気分が良い。カッコつけてオゥレンジジューとか言ってみたのに怪訝な顔をされて居心地が悪くなるといった嫌な気分をしなくて済む。本だの何だのを読んでいるうちに食事が出てくる。明らかにノースウエストやユナイテッドより美味い。あとは寝たり映画見たりしている間にワシントン到着、と言いたいところだが、さすがに12時間のフライトは長い。いつまで経っても着いてくれない。とは言っても何しろこの席はベストポジションであり、トイレに行くのも別の新聞を取ってくるのも楽勝なのでまだマシだ。そしてようやくワシントン・ダレス空港に到着。あー長かった。ホントに長かった。とにかく歩きたいぞ、一服したいぞ、なんて思いながら人の列に続いて歩いていると、いきなり妙なシャトルバスみたいなものに乗せられてしまう。うーん、何なんだこれは、ホントにこれでいいのか? そして暫くするとバスは動き出す。外を見ると他にも同じようなバスが走っているが、とんでもなくカッコ悪いバスだ。かなり長い距離を走ったところでバスは別の建物の入り口で停まる。

そして問題の入国審査となった。行き先がオーランドなだけに観光だってウソついてもまずバレないだろうけど、まあシンポジウムに出席するのは事実なんだし、何処にも疑う余地なんか無いんだから素直に言えばいいだろ。さて何処の列に並ぶか、と思ったら、並ぶまでもなくすぐに俺の番になった。そしてパスポートを出し、目的を聞かれて、シンポジウムに出席する、と言ったらそれだけでお終い。何という簡単さ。ますます前回のポートランドの時の異常さが際立つ。そして一旦荷物を受け取って、さて一服だ、と思ったら目の前に「オーランド、ボストン行き」と書かれた看板が立っている。しかも日本語で。よっぽどここで迷う日本人が多いのだろうか。そして看板に従って進んでみると、仮設カウンターのようなものが現れて、そこにオーランド行きのユナイテッド航空のチケットが並んでいる。へぇ〜、コードシェア便って、最初の航空券でそのまんま行けるのかと思ってたら、やっぱりこんな儀式があるんだな。名前を言って航空券を見せると、その並んでいるチケットと交換してくれる。何だか良く判らんシステムだなあ。そしてどういうわけかまたもや手荷物チェックがあって、それを過ぎるとまたしてもシャトルバス。一体どうなってるんだこの空港は。今自分が何処に居るんだかさっぱり判らん。そしてシャトルバスはまたしても別の建物に到着して、降りてみるとすぐそこがオーランド行きのユナイテッド便のゲートであった。うーん、便利なんだか、馬鹿にされてるんだか。少なくとも俺は好きじゃないぞこういうのは。

さて、手続きは終わったし、出発まではひたすら待つ以外やることが無いので、当然ながら一服の時間だ。しかし困ったことにこの建物から外に出る手段が無い。建物の案内図みたいなのを見てみると、どうやら外に出ようとする場合はまたシャトルバスに乗ってメインターミナルに行かなくちゃならないみたいなのだ。しかも館内放送で延々と"Washington dalles airport is smoking free airport..."とか何とか言ってるくらいだから、当然喫煙所なんかあるわけが無い。あーもう何てこったい、13時間も我慢してきたのにあと2時間も煙草無しか。しょうがないので何かの店に入ってウロウロしたりしながら時間を潰しているうちに、ようやく時間になって飛行機に乗込む。今度の席も通路側だったが、残念ながら前は壁ではなくて普通の席。しかも何だか妙に前の席との間隔が狭くないか? まあたかが2時間だから別にいいや。とか何とか思っている間に早くも寝てしまう。しかしやたらと元気なフライトアテンダントの兄ちゃんに起こされてしまう。とりあえず水だけ貰って再び寝る。そのうちに朝食と称してベーグルサンドイッチみたいなやつが配られ始めて、その雰囲気で何となく目が覚めてしまったが、そんなものより睡眠欲が先に立っているのでNo thank you.って言ったのに、何故か気付いたらテーブルの上に置かれていた。しょうがないので食ってしまう。何だか冷たい上に固くて美味くない。ここでも全日空の良さが際立つ。そしてまた寝てしまう。

完全に寝ていたところで、ドン、という衝撃で目が覚める。おぉぉ、いつの間にか着陸してるじゃないか。あのクソ長い12時間フライトの後だと、2時間のフライトがとんでもなく短く感じられる。飛行機から降りて、Baggage claimの表示を探しつつ、あまり多くない乗客の流れに続いてダラダラ歩いていくと、この空港はどうやらモノレールを使ってメインターミナルに行くようで、みんなゾロゾロと乗込んでいく。そしてメインターミナルに着いて、2階に降りたところでベルトコンベアから荷物を引っ張り上げる。そしてようやく一服の時間がやってくる。荷物をガラガラ引きずりながら空港の外に出る。自動ドアを抜けると、ワオ、何だこりゃ、目茶苦茶暑いぞ。さすがフロリダは違うなー。まあジメっとしていないだけマシか。着ていた長袖シャツをさっさとリュックにしまって、同時に煙草を取りだす。ようやくやって来た至福の瞬間。約16時間ぶりの一服をすると、長時間煙草無しで過ごした時独特のドラッグ効果が襲ってくる。ベンチに座って何となくボケーッとする。そういえば去年の9月以来なんだよなあ、米国は。緊張感とかそんなものより、やあアメリカ久しぶり、っていう感じ。馬鹿デカイ荷物を引っ張りながら歩いていくデブな連中を見ていると余計にそう感じたりする。しかしまあ、もうそうそう来る機会は無いと思ってたけど、1年もしないうちに来るとはねえ。ま、折角来たんだから楽しませてもらうとしましょうか。


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