Mscherシリーズとは

Mscher(武者/ムシャ)シリーズとは、1980年代半ばから1990年代初頭に掛け、いすゞ中古自動車販売株式会社が企画/販売した一連の商品化車シリーズの事である。

いすゞ中古自動車販売株式会社 : 1986年2月いすゞ自動車100%出資にて設立。(資本金4億円)

Mscherシリーズ発売の経緯

1980年代半ば、いすゞ中古自動車販売株式会社(以下いすゞ中販)では、いすゞの各ディーラーが下取り車として引き取って来たアスカの低年式車の滞留在庫に頭を痛めており、中古車の再販策としてアスカに思い切ったドレスアップを行った商品化車を企画した。
その際車両のネーミングも車体の外観同様思い切ったものにする事にし、当時のいすゞ中販社長梅津博志氏の一存でカゲムシャーと命名された。(当初「忍者」という案もあった)
カゲムシャーという命名のきっかけは以下の理由による。

  • いすゞの乗用車にイルムシャーシリーズがあり、人気を博していた。
  • 新車に対する中古車である事。
  • ボディカラーが黒である事。

カゲムシャーは文化放送主催の1987年5月の後楽園中古車ジャンボフェアの目玉商品として出品、テスト販売された。

カゲムシャー (影武者)

カゲムシャーはアスカガソリンターボ車をベースにした商品化車であり、ベース車のアスカターボに対する加修内容は以下の通り。

外装

  • ボディカラーはブラック。
  • フロントグリル,ヘッドライトはアスカイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • ボディサイド及びトランクリッドにASKA KAGEMSCHERのロゴステッカー。(シルバー)
  • ボディサイドにダブルラインのレッドストライプ。
  • ドアモールを新品交換。
  • マニュアルドアミラー装着。(ボディカラーキッド)
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • 195/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMAまたはDUNLOP。
  • 成型タイプマッドガード装着。

内装

  • シート生地及びドアパッドをイルムシャー用新品に交換。
  • フロントシートバックレストの文字はKagemscherと刺繍。(ロゴはオレンジ色)
  • MOMO本革巻ステアリングホイールをオプション設定。(2万円)

その他

  • バッテリーを新品交換。(36B-20L)

発売開始後の展開

当初カゲムシャーは、後楽園中古車ジャンボフェア用の一度限りの商品化車として企画されており、シリーズ展開する予定は全く無かったが、後楽園でのテスト販売に成功し、手始めに製作した60台のカゲムシャーの市場での評判も良好だった為、しばらくこの路線でやってみる事になり、87年8月にピアッツァの中古車を商品化車として製作する際、今後いすゞ自動車の中古車の商品化車は全てムシャシリーズで統一する事に決定した。
ピアッツァの商品化車ムシャブルイも販売は好調であり、その方向性に確信を持ったいすゞ中販は同様の企画を次々に立案して行く。
やがてムシャシリーズのベース車両は当時いすゞ自動車が販売していたほぼ全ての乗用車に及ぶ事になり、1車種を除き企画した商品化車はどれも大当たりするという目覚しい成功を遂げた。*1
ムシャシリーズの販売は好調であり、ベース車両の仕入れ値が安価な事から利益率も大変大きかったが、下取り車の減少によりベース車両の確保が難しくなった事と、いすゞ自動車がOPELと提携してから1991年初頭の段階で4年近く経過し(1987年12月提携)、今後OPEL車の下取り入庫が増加する事が予想された事から、いすゞ中販はOPEL車の中古車販売にリソースを割かねばならなくなり *2、1991年を以っていすゞ中販におけるいすゞ自動車製乗用車の商品化車の企画/販売事業は終了した。

*1:神奈川県大和市のいすゞ中販商品化工場の製作能力は月産30台程度だったが、ピーク時は月に
最大58台を製作した。
*2:いすゞ中販の業務の柱の一つとして、外車の販売業務がある。

商品化車製造の流れ

日本各地のいすゞディーラーが引き取った中古車は、神奈川県大和市と兵庫県神戸市内のいすゞ中販の商品化工場に集められ、外装パーツを全て外し、必要に応じ外装の鈑金加工が行われた後下塗り塗装が行われた。
エンジンルーム内は一部補機類を取り外した上で配線類をマスキングして塗装され、トランクルームの内側も塗装していた。下塗り塗装後に焼付塗装ブースに搬入され、焼付け塗装が行われた。
塗装の乾燥が終了するとムシャシリーズの標準仕様の新品パーツが組み込まれ、復元作業が行われた。
最後に塗装面の化粧アップ(磨き)が行われ、各中古車ディーラーへと発送された。

SPACE-U

いすゞ中販東京支社の建物に隣接して設けられたショールーム兼直営のアンテナショップがSPACE-Uである。
建物は支社に隣接した倉庫を改造したものであり、ロフト風の斬新な作りであった。(88年4月オープン)
中には乗用車が最大で12台展示出来、ここにムシャシリーズが常時10〜11台前後展示されていた。
(トライアルで外車中古車の展示も行われており、シボレーカマロが展示されていた事もある)
展示車両は販売も行われていたが、実際は見本的展示が主体であり、次期ムシャシリーズへの仕様展開のアンテナ的役割の方が大きかった。*3

ショールームの右奥にはカウンターがあり、ユーザーの希望に即した仕様の車を作成、販売していた。
カウンターの手前には大きさ30cm四方で実際の塗料を塗ったカラーパネルが6枚(後に8枚)壁に掛けられており、、ユーザーはこのカラーパネルを見てボディカラーを指定出来た。

ショールームの左奥は、タイヤ,オーディオ,オプションパーツが展示されていた。
1990年3月頃から、ショールーム奥の中央に何故か中古ヨットブースが設けられ、常時3艇程度の中古ヨットが展示され、中古ディンギーの販売も始まった。
ヨットは中古を販売するだけでなく、オリジナルペイントのオーダーも受け付けており、後にスペースUではセイリング講習会の斡旋も行う様になった。

末期はOPELのメーカー認定保証中古車も取り扱っていた。

なお、この建物はSPACE-Uの営業終了後も90年代までは現存していた。(車庫及び倉庫に転用) *4
いすゞ中販に代り(株)いすゞユーマックスが設立され、大和営業所が閉鎖された事に伴い解体されたものと思われる。

*3:スペースU設立の理由の一つとして、ディーラー相手の商売のみだとユーザーと直接の接触が無く、ユーザーニーズが掴めないので、自ら小売をしてユーザーニーズを捉え、今後の商品化に生かすという目的があった。

*4:住所は神奈川県大和市深見西4-1-14

ムシャブルイ (武者震い)

ピアッツァの商品化車は当初ブルーのみの外装色であり、そのボディカラーからMscher Blueと命名され、武者震い(ムシャブルイ)として販売された。*5
なお、ボディカラーはゲールウィンドブルーとキャバリエブルーが存在しており、後にホワイトも追加された。末期ムシャブルイはホワイトの代りにブラックとなったが、外装色に関しては流動的であり、明確な一貫性は無い。ベース車両の年式は56〜58年式が主体だが、60年式のベース車両も使われている。

*5 いすゞ中販の広告には「武者振い」の表記も見られるが、商標上は「武者震い」である。

ベース車のピアッツァに対する加修内容は以下の通り。

外装

  • ボディカラーはダークブルーまたはホワイトの2色。
  • フロントグリル,ヘッドライトはピアッツァイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • ボディサイド及びテールエンドパネルにMscherBlueのロゴステッカー。
  • フェンダーにイタリア国旗をアレンジしたMscherBlueステッカー。
  • ハロゲンフォグランプ装着。(装備していない車両もある)
  • クロムメッキマフラーカッター装着。
  • ドアモールを新品交換。
  • マニュアルドアミラー装着。(ボディカラーキッド)
  • ワイパーブレードを前後新品交換。
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • 195/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMAまたはCONTINENTAL。
  • 車両によってはドアバイザーが装着されている。

内装

  • ドアパッドを新品交換。
  • MOMOまたはNARDI本革巻36φステアリングホイール装着。
  • ペダルカバーを新品交換。
  • リヤパーセルシェルフを新品交換。
  • フロアマットを新品交換。

その他

  • バッテリーを新品交換。(36B-20L)

カゲムシャーII (影武者II)

アスカ カゲムシャーは好評により売り切れた為、再製作される事になった。これはベース車のアスカの仕入れ価格が安かった事もあり、前述の加修内容を施しても価格を抑える事が出来た事も影響した。
再生産に際しては、そのままカゲムシャーを増産するのではなく、仕様を変更したカゲムシャーIIとして企画、30台が製作され、ピアッツァ ムシャブルイと同時期に販売された。
カゲムシャーIIの仕様はカゲムシャーとほぼ同一であるが、以下の点に差分がある。

  • ボディサイドにシングルラインのゴールドストライプ。
  • ドイツ国旗をアレンジしたKagemscherステッカーをフェンダーに貼付。
  • ボディサイド及びトランクリッドにKAGEMSCHERIIステッカー。
  • 195/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMAまたはCONTINENTAL。
  • MOMOまたはNARDI本革巻36φステアリングホイール装着。

ヤマトスペシャル (大和スペシャル)

カゲムシャー及びムシャブルイは若者をターゲットとした商品企画であった為、新たにファミリー層を狙いアスカディーゼルをベースとしたヤマトスペシャルが発売された。
ヤマトスペシャルはそれまでの商品化車と異なり、全国同一仕様の商品化車では無く個々のディーラーが加修内容を選択出来る余地を持たせ、地域に拠っては過剰装備となるケースを防ぐと共に、価格的に販売し易く出来る様配慮されていた。
当初アスカディーゼルでの商品化車として企画されたが、ガソリン車も製作されている。
ベースグレードはLD,LTを除く全グレードで、58〜59年式の車両。
明度9.0以上の非常に明るいホワイトをボディカラーとし(ダークブルーも存在)、外装のプロテクションフィルムやトランクルーム内装のカーペットをオプション設定していた。130台製作。
当初の目論見と異なりファミリー層は全く興味を示さず、開発サイドに商品化車の方向性に対し重要な示唆を与える事になった。
なおヤマト(大和)スペシャルの大和とは、いすゞ中販の本社がある神奈川県大和市から取られている。

ベース車のアスカに対する加修内容は以下の通り。

外装

  • ボディカラーはホワイトまたはダークブルー。
  • 4灯ヘッドライトはオプション設定。(実際はデフォルトで殆ど4灯化されている様子)
  • ボディサイド及びトランクリッドにYAMATO SPECIALのロゴステッカー。
  • ボディサイドにオリジナルストライプ。(ホワイト/ダークブルー用で専用設定)
  • ドアモールを新品交換。
  • ドアミラーはオプション設定。
  • 195/70SR13タイヤ装着。
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • プロテクションフィルムをオプション設定。

内装

  • シート生地及びドアパッドを新品に交換。
  • ペダルカバーを新品交換。
  • フロアマットを新品交換。
  • カーペット仕様のトランクルーム内張りをオプション設定。

その他

  • ガソリン車はバッテリーを新品交換。
  • ディーゼル車のバッテリー交換はオプション設定。(110-5L)

ワカムシャー (若武者)

ヤマトスペシャルの企画が失敗した事もあり、若者ターゲットの商品設定に立ち返り、FFジェミニベースのワカムシャーが製作された。
ワカムシャーでは画一的なドレスアップではなく、ユーザー側に選択の余地を増やした仕様になっており、さらにkeihin versionと呼ばれるオプション設定が用意され、1988年3月19〜21日のISUZU YOUNG MEN’S COLLECTIONにて発売開始された。
ワカムシャーは原則的に3ドアハッチバックのみだが、4ドアセダンの車両も製作されている。

ワカムシャーキット

ボディカラーは以下の6色から選択。

  1. ブラックメタリック
  2. グリーンメタリック
  3. ガンメタリック
  4. グリーン(ソリッド)
  5. ブラック(ソリッド)
  6. ブルー(ソリッド)

ロゴステッカー及びサイドストライプは以下の2色から選択。

  1. ゴールド
  2. オレンジ
  • 185/70R13タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMA。
  • フィンタイプ13″アルミホイール装着。(リミット 5J-13)
  • MOMO本革巻36φステアリングホイール装着。
  • バッテリーを新品交換。(36B-20L)

オプションのkeihin versionは以下の通り。

オーディオは以下の3バージョンから選択

  1. スーパーバージョン(100W+100Wの大出力アンプ,3Way 4スピーカー搭載)
  2. ハイバージョン
  3. スタンダードバージョン

強化サスペンション

  • ハードタイプスタビライザー(イルムシャー用)
  • ハードタイプショックアブソーバ(イルムシャー用)

アラムシャー (荒武者)

ムシャシリーズの商品化車企画はRV車にも拡大し、秋口から冬場に渡って盛り上がりが予想されるRV車需要を志向したビッグホーンのムシャモデルが製作される事になった。これがアラムシャーである。50台製作。

ベース車のビッグホーンに対する加修内容は以下の通り。

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック。
  • ボディサイド及びテールエンドパネルにARAMSCHERのロゴステッカー。(シルバー)
  • ボディサイドにシルバートーンストライプ。(上部:ぼかしストライプ 下部:スリットストライプ)
  • ウェザーストリップをフロント部新品交換。
  • CIBIE角型(黄色)フォグランプ装着。(カバー付)
  • 純正成形タイプマッドフラップ装着。
  • ワイパーブレードを前後新品交換。
  • 純正スペアタイヤカバー装着。
  • 215/SR15タイヤ装着。(ホワイトレター)
  • 純正アルミホイールはオプション設定。

内装

  • シート生地及びドアパッドを新品のオリジナル織物に交換。
  • フロントシートバックレストの文字はAramsherと刺繍。(ロゴはオレンジ色)
  • トランクフロアマットを新品交換。(グレーまたはブラウン)
  • MOMOウッドステアリングホイール装着。(36φ〜38φ)

その他

  • バッテリーを新品交換。(NX120)

なお、アラムシャーには一部仕様の異なる車両もあり、同時期に販売されている。

  • ボディサイド及びテールエンドパネルにAramscherのロゴステッカー。(レッド)
  • ボディサイドに3色の特大グラディエーションストライプ。

ニューカゲムシャー (新影武者)

カゲムシャーシリーズの販売は好調であり、更なる増産が必要となったので、仕様を変更したニューカゲムシャーが製作された。
ニューカゲムシャーは1988年9月16〜25日のISUZU YOUNG MEN’S FAIRにて発売開始された。50台製作。

外装

  • ボディカラーはメタリックブラックまたはガンメタ/ブラックのツートン。
  • フロントグリル,ヘッドライトはアスカイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • ボディサイドにKagemscherの新ロゴステッカー。(ロゴの前には兜のイラスト付)
  • ボディサイドにシングルラインのレッドストライプ。
  • ドアモールを新品交換。
  • マニュアルドアミラー装着。(ボディカラーキッド)
  • 成型タイプマッドガード装着。
  • CIBIE角型55W(黄色)ハロゲンフォグランプ装着。
  • 195/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMA インテック。
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • ヒサコー製デザールアルミホイールをオプション設定。

内装

  • シート生地及びドアパッドをイルムシャー用新品に交換。
  • フロントシートバックレストの文字はKagemscherと刺繍。(ロゴはオレンジ色)
  • MOMO本革巻ステアリングホイール装着。
  • フロアマットを新品交換。
  • トランクフロアマットのLJタイプへの交換をオプション設定。

その他

  • バッテリーを新品交換。(36B-20L)

ニュームシャブルイ (新武者震い)

ムシャブルイも販売は好調であり、一連の商品化車の販売の主軸となっていた。
ムシャブルイの増産に際し仕様を一部変更し、ニュームシャブルイとして、ニューカゲムシャーと同時にISUZU YOUNG MEN’S FAIRにて発売が開始された。50台製作。

外装

  • ボディカラーはメタリックブラック,メタリックグリーン,グリーンの3色。
  • フロントグリル,ヘッドライトはイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • ボディサイドにMscher Blueの新ロゴステッカー。(ロゴの前には兜のイラスト付)
  • ドアモールを新品交換。
  • マニュアルドアミラー装着。(ボディカラーキッド)
  • 純正ドアバイザー装着。
  • CIBIE角型55Wハロゲンフォグランプ装着。
  • イルムシャー用2ステーリヤウィング装着。
  • クロムメッキマフラーカッター装着。
  • ワイパーブレードを前後新品交換。
  • フロントスポイラーをオプション設定。(純正オプションのJR120用)
  • リヤガーニッシュレステールエンドパネルをオプション設定。
  • 195/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMA インテック。
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • ヒサコー製デザールを初めとした5種類のアルミホイールをオプション設定。

内装

  • シートはクリーニング。ドアパッドを新品に交換。
  • シートをオプションで新品交換。(但しブラウン系統のみ)
  • MOMO本革巻36φステアリングホイール装着。(NARDI ELEGANZAを装着した車もある)
  • ペダルカバーを新品交換。
  • リヤパーセルシェルフを新品交換。
  • フロアマットを新品交換。

その他

  • バッテリーを新品交換。(36B-20L)

ワカムシャー(マイナーチェンジ)

ISUZU YOUNG MEN’S FAIRにて発売開始されたワカムシャーは一部仕様が変更されており、以下の点が従来のワカムシャーと異なる。ボディカラーは以下の5色から選択。

  1. ブラックメタリック
  2. ガンメタリック
  3. グリーン(ソリッド)
  4. ブラック(ソリッド)
  5. ブルー(ソリッド)
  • ドアミラーはボディカラーキッド。
  • 185/60R14タイヤ装着。
  • 14″スチールホイール+イルムシャー用ホイールカバー装着。
  • NARDI ELEGANZA本革巻36φステアリングホイール装着。
  • 14″アルミはオプション設定。

カゲムシャー特別限定車

SPACE-Uでは1989年3月4〜5日にMake the Original Fairを開催、通常のカゲムシャー,ムシャブルイ,ワカムシャー,アラムシャーを更にドレスアップした特別限定車を発売した。全ての限定車にオプションでJVCカーオーディオが用意されていた。
このフェアでは特別限定車の他外装色未塗装の下塗ボディ車が用意されており、ユーザーが好みの外装色を指定して塗って貰う事が出来た。

カゲムシャー特別限定車の仕様は以下の通り。

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック。
  • フロントグリル,ヘッドライトはアスカイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • フロントエアダム装着。
  • サイドスカート装着。
  • イルムシャー用リヤスポイラー装着。
  • リヤアンダースポイラー装着。
  • 前後バンパーはボディカラーキッド。
  • ボディサイドにシングルラインのゴールドストライプ。
  • フィンタイプ14″アルミホイール装着。
  • 195/60R14タイヤ装着。

内装

  • MOMO本革巻ステアリングホイール装着。
  • ハイマウントストップランプ装着。

ムシャブルイ特別限定車

ムシャブルイ特別限定車はムシャブルイにフロントエアダム及びh.b.L用リヤウィングを装着した車両である。小型バンパータイプのベース車両に無理やりJR120用のフロントエアダムを装着している。

外装

  • ボディカラーはブラックメタリックとブルーパールメタリック。
  • フロントグリル,ヘッドライトはイルムシャー用新品に交換。
  • グリルマークはIDFマークの代わりにISUZUロゴ。
  • フロントエアダム装着。
  • h.b.L用リヤウィング装着。
  • 前後バンパーはボディカラーキッド。
  • アルミホイールは純正三ツ葉ホイール(ホワイト塗装)とペンタゴン(シルバー)。
  • 195/60R14タイヤ装着。

内装

  • NARDI本革巻ステアリングホイール装着。

ワカムシャー特別限定車

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック。
  • フロントエアダム装着。
  • サイドステップ装着。
  • リヤスポイラー装着。
  • リヤアンダースカート装着。
  • 前後バンパーはボディカラーキッド。
  • フロントグリルはボディカラーキッド。
  • マフラーカッター装着。
  • イルムシャー用ホイールカバー装着。(ボディカラーキッド)
  • 60タイヤ装着。

内装

  • NARDI本革巻ステアリングホイール装着。
  • ハイマウントストップランプ装着。

アラムシャー特別限定車

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック。
  • ボディサイドにぼかしストライプ。
  • CIBIE角型(黄色)フォグランプ装着。
  • 前後バンパーを新品に交換。
  • ウェザーストリップをフロント部新品交換。
  • 純正ブラックスペアタイヤカバー装着。
  • 215/SR15タイヤ装着。(ホワイトレター)
  • 新品アルミホイール装着。

内装

  • シート生地及びドア内張りを新品のブラックオリジナルモケットに交換。
  • トランク内フロアカーペットを新品交換。
  • MOMO4本ステースポーツウッドステアリングホイール装着。
  • MONOシフトノブ装着。

ジェミニyR

ORIENT SPEEDではJTジェミニに対し、由良拓也がデザインした専用エアロ(製造はORIENT SPEED)を4ドアセダンに装着し、ジェミニyRとして1988年11月より発売開始した。
ベースグレードはイルムシャー(TURBO/DOHC)とh.b.L。200台限定。いすゞ中販でも’87.5型以降の4ドアセダンC/Cに同一専用エアロを装着し、1989年5月16日からの第23回東京ドーム中古車ジャンボフェアにて発売開始した。後にM.C前の’86型以前のJTジェミニをベースにした車両も作られている。50台製作。
なおエアロキットは単体でも販売された。

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック,イーアールレッド,ブルーメタリック,スーパーホワイト,グリーンメタリックの5色。(ORIENT SPEDD発売の車両はベース車のカラー設定に準拠)
  • エアロはフォグランプ内蔵フロントバンパースポイラー(PIAA製レーシングフォグ内蔵),サイドステップ,リヤバンパースポイラー,リアクォーターパネル一体型スポイラーの4点。
  • ドアミラーはボディカラーキッド。
  • フロントグリルはボディカラーキッド。
  • フェンダー両サイドとトランクリッド右側にORIENT SPEEDのエンブレム装着。
  • テールエンドパネルにyRロゴステッカー。(ゴールド)
  • クロムメッキマフラーカッター装着。
  • 185/60R14タイヤ装着。メーカーはYOKOHAMA インテック。
  • イルムシャー用ホイールカバー装着。(h.b.L用純正アルミをホワイト塗装した物を履いた車両もある)

内装

    MOMO本革巻36φステアリングホイール装着。(NARDI ELEGANZAを装着した車もある)

カチドキ (凱)

ムシャブルイに続くピアッツァベースの商品化車。
ムシャブルイと併売された。
ベース車両はJR120が主体だがJR130ベースの車両もある。
1989年10月13日からの第24回東京ドーム中古車ジャンボフェアにて発売開始。
20台製作。
カチドキは中古車ジャンボフェア出品車を除き全車SPACE-Uのみで販売された模様である。

外装

  • ボディカラーはブラックメタリック,ファントムグレー,ブリティッシュグリーンマイカ,ムーンストーンマイカ,ダークブルーパールの5色。
  • ボディサイド及びテールエンドにKACHIDOKIロゴ。(ロゴはステッカーでは無く塗装)
  • ’88型IMPULSE用ボンネットフード装着。(JR130ベースの車両は通常のボンネットフード)
  • mini quadヘッドライト装着。
  • フロントグリルはNERO ‘88.5型以降用だがエンブレム無し。
  • フロントエアダム装着。
  • リヤガーニッシュレステールエンドパネル装着。
  • h.b.L用リヤウィング装着。
  • h.b.L用テールレンズ装着。
  • アルミホイールは純正ペンタゴンが多いが三つ葉やタービンもある。

MscherシリーズのYearBook

1987/5/8   アスカ・カゲムシャー(Kagemscher) 発売。
5月8日の第19回後楽園中古車ジャンボフェアにて発表。
60台販売。
1987/9 ピアッツァ・ムシャブルイ(Mscher Blue)発売。
70台。
1987/9 アスカ・カゲムシャーII(KagemscherII) 発売。
30台
1987/11 アスカ・ヤマトスペシャル(YAMATO SPECIAL) 発売。
130台
1988/3/19 ジェミニ・ワカムシャー(Wakamscher)発売。
3月19日〜21日のいすゞヤングメンズコレクションにて発表。
1988/8 ビックホーン・アラムシャー発売。
50台
1988/9/16 アスカ・ニューカゲムシャー,ピアッツァ・ニュームシャブルイ発売。
9月16日のいすゞヤングメンズフェアにて発表。
各50台発売開始。
1989/3/4 カゲムシャー,ムシャブルイ,ワカムシャー,アラムシャー各特別限定車発売。
3月4日のMake the Original Fairにて発表。
1989/5/16 ジェミニyR(yR Version)発売。(いすゞ中販C/Cベース車)
5月16日の第23回東京ドーム中古車ジャンボフェアにて発表。
50台。
1989/10/13 ピアッツァ・カチドキ(KACHIDOKI) 発売。
10月13日の第24回東京ドーム中古車ジャンボフェアにて発表。
20台。

販売台数

車名 車名(英語表記) 発売時期 販売台数
アスカ・カゲムシャー Kagemscher 1987.5.8〜 60台
ピアッツァ・ムシャブルイ MSCHER BLUE 1987.9〜 70台
アスカ・カゲムシャーII KAGEMSCHERII 1987.9〜10 30台
アスカ・ヤマトスペシャル YAMATO SPECIAL 1987.11〜1989.4 130台
ジェミニ・ワカムシャー Wakamscher 1988.3.19〜 百数十台
ビックホーン・アラムシャー Aramscher 1988.7〜 50台
アスカ・ニューカゲムシャー Kagemscher 1988.9.16〜 50台
ピアッツァ・ニュームシャブルイ Mscher Blue 1988.9.16〜 50台
ジェミニyR yR Version 1989.5.16〜 50台
ピアッツァ・カチドキ KACHIDOKI 1989.10.13〜 20台

市販価格

車名 車両価格 キット価格
アスカ・カゲムシャー 880,000円〜1,280,000円 キット 280,000円
ピアッツァ・ムシャブルイ 900,000円〜1,980,000円 キット 320,000円
アスカ・ヤマトスペシャル 690,000円〜850,000円 キット 200,000円
ジェミニ・ワカムシャー 870,000円〜1,280,000円 キット 120,000円
ビックホーン・アラムシャー 1,300,000円〜1,450,000円 キット 450,000円
アスカ・カゲムシャーII 880,000円〜1,280,000円 キット 320,000円
アスカ・ニューカゲムシャー 880,000円〜1,280,000円 キット 320,000円/340,000円(ツートーン車)
ピアッツァ・ニュームシャブルイ 900,000円〜1,980,000円 キット 335,000円
カゲムシャー特別限定車 980,000円
ムシャブルイ特別限定車 1,008,000円〜1,270,000円

ワカムシャー特別限定車 930,000円
アラムシャー特別限定車 1,450,000円
ジェミニyR 1,003,000円〜1,600,000円 キット 390,000円
ピアッツァ・カチドキ 900,000円〜1,380,000円

登録商標

ムシャシリーズの企画に際し、いすゞ自動車が取得した登録商標は以下の通りである。
発売された車両以外にも将来的に以下のネーミングの車両が開発される可能性があった。
現在は影武者と武者震い以外は商標の存続期間が満了している。

登録番号 商標
登2219730 影武者
登2219731 荒武者
登2219732 若武者
登2219733 髭武者
登2219735 武者震い
登2432107 武者人形
登2432108 武者揃い むしゃぞろい
登2432109 姫武者
登2432110 武者
登2432111 武者修業
登2432112 武者走り
登2432113 武者草「じ」 むしゃわらじ