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2000/1 〜 2000/4 バタークリームを塗りまくれ!

FRPで埋めた大穴、そしてあっちこっちがPOR15まみれ。こうしていつの間にやら迷彩色のようになってしまって、ぱっと見だと元の色が何だったのかさえ判らなくなってしまった我がJR130のエンジンルーム。このままじゃいくらなんでもみっともない。「どうせこんなの見えないから良いのだ」で誤魔化すことを常套手段としている俺から見ても、これはちょっとみっともなさが過ぎている。何となく一服している間にも、そうだよなあ、これはちょっとみっともないよなあ、なんて、「みっともない」ばっかりが口をついて出てくる。あれやこれやと部品が外されて、もはやエンジンをかけることさえままならなくなったエンジンルームを見ながら、一体コレをどうすれば良いのか考えてみても...

とりあえず色塗らなきゃマズイよなあ

でもなあ、ミスティホワイトなんてマイナーな色が缶スプレーにあるわけないよなあ

しゃあない、他車の色を流用するしかねェか

つうてもなあ、こんなバタークリームみたいな色の車なんか他にあるのか?

あるわけねえよなあ、じゃあ調合してもらってスプレーガンで吹くか?

オイオイ、コンプレッサーなんか何処にあるんだよ

わざわざコレのために買うってのもなあ。田宮のプラモ用じゃ無理か?

あんなミクロの世界なヤツを使ってたら何年経っても終わんねえっての

あ〜あ〜メンドクセエ、いっそのことこのままにしとくか?

それもちょっとみっともなすぎるぞ

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こんな無限ループを繰り返すばかりで一向に答えが出ない。こういう肝心なところで無限ループに陥ってしまうのは馬鹿プログラマーの証であり、ここで何としても確実な終了条件を設定しなければ、仮にも仕事でプログラムを組んでいる俺の沽券に関わるというものだ。そこで「他車の色を流用する」という最も安易な方法に逃げることにする。そこで、外してあったフューエルリッドをジロジロ見ながら色具合を頭に叩き込んで、近くのオートバックスへと急行する。

塗料コーナーで合いそうな色を物色する。色見本を見比べながらあれやこれやと比較していると、日産の「ホワイト」というのが目に付いた。これは何となくバタークリームっぽい上に、やたら古い年式の車に使われているのが俺の琴線に触れたのだ。とりあえずコイツを1本だけ購入。早速駐車場に戻り、まずは簡単なエンジンルーム左側からマスキングを始める。最初の塗装は若干実験的な意味合いで、上手くいけばラッキー、っていうつもりなので、一度に全体をマスキングしないで、前半分くらいから始めることにする。マスキングが終わったところでプライマーを吹いて、暫く置いてからプライマー面を軽くペーパーがけした後、買ってきた「ホワイト」を吹いてみる。ん〜、何だこりゃ、元のミスティホワイトに比べると真っ白なくらいに白いではないか。クソッ、やはりいすゞのバター混合比はただものではなかったようだ。しかし塗ってしまったからにはしょうがない。そのまま1週間ほど放っておいて様子を見ることにする。

そして1週間後、期待を胸にボンネットを開けてみる。ふむふむ、適当に塗った割にはまあまあな艶具合だな、なんて思っていると、よく見てみると早くも隅の方の塗装が地割れを起こしているではないか。何じゃこりゃ、プライマー吹いたってのにどういうわけだ、なんて考えているうちに、大事なことを思い出す。

ん? 考えてみりゃ、元の塗膜に全然足付けしてないじゃん

何というアホクサさ。こんなんじゃいくら塗っても全然意味が無いではないか。これでは剥がれてくれと言っているようなもんだ。あ〜あ〜、とんだ二度手間だ。まあいいか、実験みたいなもんだったし、なんて自分を納得させつつ、無駄になってしまったスプレー代980円を思うと泣けてくる。しょうがない、この間塗ったばかりの塗装を完全にひっぺがしてやってこそ980円の価値もあろうというものだ、なんて、無理矢理且つ強引に自己満足に浸ろうとするうちに、今度はプライマー代の600円が無駄になってしまったことも思い出してさらに泣けてくる。ダメだダメだダメだ、ここは心を鬼にして、意地でも塗装をひっぺがしてペーパーで擦らなければならんのだ。失った980円+600円の雑念を振り払うようにサンドスポンジを動かしまくる俺。そして気付いてみると辺りは粉塵の嵐。俺の手も顔も服もフロントガラスも全部真っ白。

気を取り直して、再度マスキング&プライマー作業にとりかかる。今回は失敗は許されんぞ。そうそう何度も金を無駄にするわけにはイカン。前回はテキトーなマスキングで誤魔化したけど、今度はそうはいかない。邪魔なインテークのパイプだとかを、無理矢理エンジンに巻き付けるように押し付けて、その上から古スポーツ新聞で覆う。ここでスポーツ新聞ではなく日経だったりすると少しは周囲の視線もマシになるかもしれないけど、既に冷たい目が暖かくなることは無さそうなのでとっくに開き直っている。しかし、邪魔なパイプ類を外さないで誤魔化す辺り、まだまだ開き直りが足りないようだ。それがアダとなって、いざプライマーを塗ろうとしても、どうにも塗りにくい場所が何箇所かあって、何とかそこを塗ろうとしているうちに、その周りがタレてくるという悪循環。クソッ、この安物プライマーめ、もっとパワーを出せパワーを、なんて、自分が部品外しをサボった結果、作業領域を広くとれなかったことを棚に上げてプライマーにケチをつける。まあタレたものは削れば良い、ということにして、プライマー吹き作業を終える。

その後何度かプライマーを吹いたり、タレた部分を整形したりを繰り返した後、遂に二度目の色塗りに入る。となれば、また缶スプレーを買わなければならないけど、日産の「ホワイト」は縁起が悪いとして却下ということにして、別の色を物色する。そして今度は「ホワイト」より多少バターっぽいスズキの「オリンポスホワイト」を選択する。コイツは現行のアルトとかに使われている色で、明らかにミスティホワイトとは違うことは判っちゃいるんだけど、どうせピッタリ合う色なんか無いんだからバタークリームっぽければそれで良いのだ。駐車場に戻り、プライマー面に溜まっている埃を吹き飛ばす。エアブロワーなんていう文明の利器は勿論無いので、口から出てくる肺活量パワーだけが頼りだ。そして遂にオリンポスホワイトを吹く。今度はさっきとは逆に必死に息を止めて吸い込まないようにする。丁度全体を吹き終わったころに1本無くなった。何というコストパフォーマンスの悪さだ。2日ほど置いて、その上からクリアを吹く。土日が必ずしも塗装に適した天候状態とは限らないので、出社前に塗ったりするところが何とも情けない。そしてまた暫く放っておく。うむ、なかなか良い具合に仕上がったぞ。

そしてやってくるこの瞬間。遂にマスキングを剥がす時が来た。ここで強引にやって塗装まで剥がすと大馬鹿なので、塗った面との境目のテープを慎重に剥がす。そして、塗らなかった室内側のパネルが姿を現すと...う〜ん、やっぱり色が全然違うぞ。遠くから見ればそれっぽく見えるけど、そばで見てみると明らかに違う。でも、今更塗り直したってしょうがないし、どの色を使っても同じ結果になるのは目に見えているので放っておく。まあいいや、どうせウォッシャー液のタンクとかを置いたら境目は良く見えないから別にいいだろ。相変わらず結論はテキトーだ。そしてエンジン側のマスキングも剥がして完了。プライマーを塗る前にやたらめったら擦ったのが功を奏したのか、今回は塗装が剥がれてくる気配は無さそうだ。ふぅ、やっと左側だけ終わったか。さらに1週間待って、外した部品を色々と取り付けて、やっとお終い。

さて、やっと左が終わったし、そろそろ右側もやりますかね。どうせなら同時進行にしてしまえば良いのに、わざわざ左側を終わらせてから右側を塗るのは、外した部品だとかコネクターだとかが何処にくっついていたかを覚えていられるかどうか自信が無い、という情けない理由に他ならない。しかし、いざ外しにかかってみると右側は電装品が異常に多くて、しかもアース系だとかギボシ端子だとか、紛らわしいものが多い。こりゃどう考えても塗り終わるまで覚えてられんぞ。しょうがないので、配線にビニールテープを巻いて、そこに番号を書いていくことにする。最初からこうしておけば良かったのだ。普通はこういう時は荷札なんかを使うらしいけど、こんな古くさい車の右側だけやるのにそんなたいそうなモノは要らん。ビニールテープで必要充分だ。あれやこれやと邪魔なコネクターを手当たり次第に外して、メインハーネスを引っこ抜いて外に出す。そして再びスポーツ新聞を持ちだしてマスキング開始。おっと、その前に足付けするのを忘れてはならん。これをやらなきゃまた金の無駄遣いになっちまうぞ。

あとは右側と全く同じ。プライマーを塗って、それが乾いたら表面をペーパーがけして、その上にオリンポスホワイトを塗るだけ。これを平日の朝の出社前にやるところまで左と一緒。そしてやはり暫く置いてからマスキングを外す。まあこんなもんかねえ。FRP & パテで埋めた大穴も、こうして塗ってしまうと殆ど判らない、というか誰もこんな所の元の形状なんか覚えちゃいないだろうから、実は形が微妙に違うんだけど判るわけないだろう。ここまで出来ていれば、大穴が開いていたことなど誰も気づくまい。フッフッフッ、これで元通りだ!

よっしゃ〜あとは外した部品を取り付けて、コネクターを繋ぐだけだ。ちゃんと番号を付けておいたので特に迷うこともない、と思いきや、配線の通し方だとか交差のさせ方だとかを忘れてしまったので結局迷うのだ。それなにり迷った後、遂に配線が終わる。うむ、あとはバッテリーを付けてエンジンをかけるだけだ。3ヶ月ぶりのエンジン始動の緊張の瞬間である。部品やら工具やら塗料やらが転がっているドライバーシートを整理して、久々にステアリングを握る。車検が無いので、ホントに握るだけだ。そしてキーを捻ると、これまた久々にデジパネに照明が浮かび上がる。きたきたきたっ、よっしゃ、エンジンかけるぞ!

キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル.... ありゃ?

オイオイ、何だよオイ、エンジンかかんねえじゃねえか! 思わずアクセルをガバガバ踏んだりと余計なことをしてしまったりするが、何をやってもかからないものはかからない。何度セルを回してもかからない。会社のPCが落ちた時みたいに、キーをオフにして10秒待ってからやっても勿論かからない。おかしいぞ、配線は間違ってるわけないのにどういうことだ? コネクターを外しただけで、部品自体は何もいじってないのに何でかからないんだよ、前はかかったじゃねえか。これじゃホントにゴミになっちまうじゃねえか、何だよオイ! 完全に動転している俺。とりあえず配線に間違いが無いかどうかを確認するが、どう見ても間違っていない。おかしいぞ、兎に角おかしい。再度運転席に座ってキーを捻る。ん? JR120だったらここで燃料ポンプの音がする筈なのに、コイツはジーともジャーとも何も言わんぞ。これは燃料ポンプが死んだってことか? 何もやってないのに。そうこうするうちにバッテリーが上がってしまい、肝心のスターターはヴィ、なんて情けない声を出すだけになってしまった。でも、問題はJR130でも燃料ポンプの音がするかどうかなんて覚えちゃいないってことだったりするので、慌てて130乗りに確認してみると、やっぱり音はしないらしい。うーん、だったら何だ?

数日後、充電したバッテリーと共に再度エンジン始動に挑む。ここでふと思いついて、ネジ止めしてあるアースを再度強力にネジ込んでみる。あんまり関係無いんじゃないのか? と半信半疑だったのに、これが見事大当たり。キュルキュルキュル....を暫く繰り返した後、無事G200WNは息を吹き返した。嗚呼、良かった、これでゴミにならずに済んだ。まだまだイケルぜ俺の130! 運転席での一服が実に美味い。うむ、ようやくエンジンルーム関係だけは終わったか。しかしいいのかね、目標の8月まであとちょっとしか無いぞ!?


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