1999/4/10 これ、ホントに3,000円でいいの?
こういう色々やりたい時に限って仕事は忙しい。月間130時間の残業に追われていた俺はさすがに暫く何も出来なかった。何だよ〜全然進まねえよ〜、と嘆いているところに、一獲千金のチャンスが訪れる。4月10日と11日に、狭山のイーグルでPIAZZAと117Coupeの部品取り車を大放出してかっぱぎ大会が行われるという情報を得る。ふむふむ、今回は何台か出るのか。前の時はHBL1台だけだったけど、今度は一体何が出るんだ? どうせJR130なんかありゃしねえんだろ? 疲れているので面倒くさがる俺。でも、行ってみたら大当たりということも有りうる。行かないで後悔するのは馬鹿だ。だから、行かないわけにはいかない。
そして4月10日。天気はあいにくの雨。かっぱぎ大会は土日の二日間だけど、ここで日曜日に行く奴は馬鹿である。目ぼしいものは土曜日に全部持っていかれるに決まっている。週に2回は遅刻するほど朝には猛烈に弱い俺も気合いが入るというものだ。平日より早起きして、10時にイーグルに到着。いつもは売り物の車が並んでいるところに、古タイヤに載せられたPIAZZAが全部で6台。黒やら白やらが並ぶ中に燦然と輝くセルリアンブルーのJR130 XEを発見した俺は、降りしきる雨など全く気にせず思わずそれに向かってダッシュする。
既にボンネットもエンジンもないこの車、室内にもホイールだの何だのがゴロゴロ転がっていて、何だかもうどうにもなりそうもない雰囲気。残念ながらメーターもサテライトスイッチも既に無い。それでも、フロントシートに載っている邪魔なものをかきわけてセンターコンソールを凝視すると、何とそこには凄いものがあった。
嗚呼! これでやっとちゃんとしたXEになれる!!
そこには確かにマルチドライブモニタがあった。何ということだ、エンジンも、デジパネも、何もないのに、何故かマルチドライブモニタだけは残っていた! 思わずボタンを押してみる。バッテリーが無いんだから動くわけが無い。でも、確かにこれはマルチドライブモニタだ。思わず天を仰ぐ俺。気分は完全にスカイ・ハイ。他のJR120なんか目に入らない。達成感のあまりに思わず一服する。しかし、ここで1つ重要なことを思い出す。
他に誰かコレを狙っている奴は居ねえだろうな???
これは非常に重要だ。他の奴に取られたら元も子もない。駐車場を見回してもJR130の姿なんか当然見当たらないが、そもそも俺だってJR120で来ているんだから油断は禁物だ。まだ金も払っていないから勝手に外すわけにはいかない。室内に転がっている部品をセンターコンソール前にさりげなく置いて見えないようにする。そんなことしたって、どうせ俺みたいな飢えた奴は探しだすだろうから意味ないのに。
建物の中に入ると、知った顔が何人か居た。117Coupe狙いで来ていた人は、エンジンもホイールも無いなんて冗談じゃねえと怒っている。そのうちPIAZZAもそうなると思うと人事ではない。色々と世間話をする中にも、なるべくマルチドライブモニタの話は出さないようにする。アレの存在を他の奴に知られたら非常にマズイ。そうこうするうちに、店長代理が参加者を呼び集める。集まった人間は10人くらいか。勿論、俺は最前列に並ぶ。何が何でも他の奴にアレを渡すわけにはいかない。PIAZZAの人は一日3,000円、何を取っても良いし、取った部品を報告する必要もない、ということだ。早速3,000円を払う。みっともないのは承知で、金を払うやいなや建物を飛び出して自分のJR120の元に走る。車をそのままかっぱぎ会場付近まで移動し、モノスゴイ勢いで工具を持ちだしてJR130のところに猛ダッシュする。ドアを開け、運転席に乗り込む。ここで思う。
勝った!!!
グワッハッハッ、これでマルチドライブモニタは俺のものだ! 3,000円でこれが手に入るんだぜ、笑いが止まんねえよハッハッハッ! 他の人はのんびりと他のHBLだのIrmだのに向かっているというのに一人興奮して拳を握る俺。いやーたまんないねー、なんて言いながらセンターコンソールを外す。何度もやっているので何てことはない、すぐ取れる。ブラケットごと取り外し、コネクターを抜く。古くさい純正オーディオと一緒に手に持ち、丁寧に自分のJR120の助手席に載せる。笑いが止まらない。
その後もJR130からあれやこれやと部品を外す。貴重な初期型バンパーは勿論外す。割れているトランクの内装も外す。色違いだとかそんなことに構っていてはJR130は乗り続けられないからそんなことは気にせず外す。ワイパーも何となく外す。そんなにたくさん自分の車に乗るわけが無いということが判っているのに外す。さらに探すと初期型灰皿も出てくる。リヤのフロアマットも出てくる。アレもコレも出てくる。別に俺が近寄りがたいからではないだろうけど、俺以外に誰もJR130なんかに近寄ろうとする奴は誰もいない。実はあんなに焦らなくてもマルチドライブモニタは簡単に手に入ったに違いないということにようやく気付く。色々外していると、やってますね〜、なんて言いながら知人が近寄ってくる。そして何となくトランクのカーペットをめくると、何と完全無使用のスペアタイヤが出てきた! スペアタイヤと言ってもただものではない。この時期のやつはテンパータイヤじゃなくて普通のタイヤ、即ち無使用の純正アルミホイールがもれなく付いてくるのだ。ますます笑いが止まらない。
これだけ取ればもう満足だけど、目の前の宝の山を前にして帰るわけにもいかない。雨は相変わらず降っているけど、何としても3,000円の元を取らなければならない。定価10万円以上のマルチドライブモニタを手にした時点でもうとっくに元は取っているというのに、全く貧乏性というのは困った病気だ。JR120からは、無理矢理外そうとして割ってしまった灰皿とかパワーウインドウスイッチとかが付いているプラスチック(名称不明)だとか、パワーウインドウレギュレータとかを外す。三段センターコンソールも探してはみたけど、どれもめくれていてイマイチだ。そろそろ疲れた。当たり前だ、何も食わないで延々工具を握りっぱなしなんだから。110円の缶珈琲を買って、建物に戻って一服する。
あーあ、もう疲れた。そろそろ止めるか。雨だからもう面倒だよ。ホントはステアリング関係も取りたいんだけどなあ。テールゲートも取りたいんだけどなあ。まぁいいか、もう疲れたし。いやーそれにしても今日は豊作だったなー。今日取ったものを全部新品で買うと一体幾らになるんだ? 今日取った部品は...
from JR130
- マルチドライブモニタ
- 前後バンパー
- スペアタイヤ(アルミホイール)
- ヘッドライト
- テールランプ
- 前後ワイパー
- トランクの内装
- フロアマット(後席だけ)
- 灰皿4つ
- エンジンルームのヒューズボックス
- サンバイザー
from JR120
- 例のプラスチック(左1つ右2つ)
- ルームミラー2つ
- パワーウインドウレギュレータ(右だけ)
- 左リヤサイドウインドウ
- HBL用ルームランプ(レンズ無し)
- サンバイザー
その他にも細かいネジだとか、あれやこれやと色々取って、結局自分でも何を取ったのかわけが判らなくなってきた。ダメだこりゃ、値段なんか判らん。多分20万から30万の間だろう。いやーそれにしてもこれで3,000円? 半年に1回くらいやってくれないかなあ。でも、今日来た客ってせいぜい20人がいいところだよな。イーグルの売り上げって10万もいかないよな。あーあ、ダメだこりゃ、もう二度とPIAZZAのかっぱぎ大会なんかやってくれないよ。これじゃ全然儲からないもん。
建物の中で喋っている間に雨が止んできた。もう一度外に出てみると、外すだけ外したくせに、車に積んでいないものが沢山あることに今更気付く。そもそも、積むとか積まないとか言う以前に、こんなに沢山載るわけが無い。仕方がないので、レガシィで来ていた知人に頼み込んで、暫く預かっておいてもらうことにした。いやーすいませんねえ、なんて言いながらレガシィにフロントバンパーとスペアタイヤを載せてもらう。さあ片付いた、腹減ったし、ファミレスでも行きますか、なんて言っているうちに、また困ったことに気付いてしまう。思わずバンパーなんか取っちまったけど、何処に置くんだ? 俺の部屋には既にHBLの大型フロントバンパーが鎮座していて、これ以上置く場所なんか無い。あのバンパーだって邪魔でしょうがないのに。仕方がないので実家に電話して、家の裏に置いてもらうように頼み込む。車はカローラが一番だと信じ込んでいるような旧人類の我が親父は、バンパーを車に載せて運んだ上に家の裏に置いておくという絶滅の危機に瀕しているJR130を救おうという美しき行為が全く理解できないようだ。適当に理由をつけて無理矢理納得させる。その夜、雨でビショ濡れになりながらバンパーを担いで歩いている俺の姿は限りなく怪しかったに違いない。
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