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1999/7/* ジ・エンドレス・錆 (1)

遂にうちの目の前に帰ってきたJR130。この状況で錆取りをしないとあってはいくらなんでもいいわけがつかない、というわけではないが、早速錆取り開始を決意して手持ちの道具をかき集める。道具とは言っても、ワイヤーブラシとかサンディングスポンジブロックとか錆取りケミカルとかそんなものだけで、大したものは持っていない。早速JR130のカバーを剥ぎ取る。前後左右、何処を見ても錆がある。そこで思う。

一体何処から始めりゃいいんじゃい!

そう、あんまりにも錆びが多すぎて、何をどうしていいか判らないのだ。最重要箇所は何処だ、と考えてみると、部品ごと取り換える所なんか後回しでいいから、やっぱり交換不能なところだよな、うーん、何処だ、やっぱり給油口だな、といった感じで何となく給油口から始めることに決定。早速折畳み椅子をセットして、右手にサンディングスポンジブロック、左手にワイヤーブラシを持って準備完了。

早速擦り始める俺。前オーナーが塗ったサビチェンジャーがうっとうしい。どうせこういう範囲の広い錆びには効き目無いんだよなあ、こんなの。実際、給油口からは錆色の跡が下の方にスーッと水あかのようにへばりついている。モンクを言いながらスポンジで擦る。うーん、どうにもフューエルリッドが邪魔だ。そもそもコイツも錆びている。邪魔くさいのでネジ2本を抜いてフューエルリッドを外してしまう。あーあー、ヒデエ錆びだなあ。モンクばっかり言いながらひたすら擦る。サビチェンジャーの下には、一応錆びから転換されたと思われる黒い金属(の、ようなもの)が現れる。これで終わってくれればそれでいいけど、そんなわけはない。どうせこの下は茶色に錆びているんだろうが!

すると、本当に錆びが現れる。こんな予想当たらなくたっていいのに見事に当たる。ワイヤーブラシとスポンジを駆使して、何とか地金が出るまで擦ろうとしても、この錆びはまっ平じゃなくて、いわゆるクレーター状態なのでワイヤーブラシも敵わない。しょうがないのでそこだけ細いマイナスドライバーを突っ込んで引っかきだしたりする。それにしても錆びている範囲が広い。いくらやっても終わらない。こんなになるまで放っておかなくたっていいのになあ。さっきからモンクばっかり言っている。モンク言ってもしょうがないのでひたすら擦る。

結局、かなりの部分の地金が出ることになる。何しろ、外見上何の問題もないのに塗装・下地と剥がすとその次に黒い錆びが出てくるところが多いのだ。実はこの黒いのは錆びでも何でもないのかもしれないけど、何も出てこない所があるんだからやっぱり錆びだと勝手に決めつけてひたすら擦り続ける。でも、いくら削ってもクレーターはクレーターのまんまなのでどうにもならない。結局2時間以上擦り続けても状況は好転しないまま夜になってしまった。うーん困った、地金が出ているところはさっさと何かしておかないとまたここから錆びてしまう。とりあえずここは錆び止めタッチペイント(ホルツのジンク・プレート)を塗って錆びないようにして、今日はおしまい。

次に給油口の作業ができるのは次の週末なので、その間にフューエルリッドの錆取りをする。こちらも状態は殆ど同じ。単純に錆びている所もあれば、クレーターもある。クレーターはこっちの方が酷いかもしれない。そして、同じくサビチェンジャー塗布済みで、その意味が無くなっているのもやっぱり同じ。よーく見てみると、あっちこっちに錆びがある。あーあ、コイツも駄目かい。でも、これはいざとなれば程度が良いものに交換する手があるから、かなり豪快かつ適当に作業することに決定。早速同じ要領で擦り始める。

こっちも酷いなー。擦っても擦っても黒いのが出てくるじゃないか。キリがないわい。ところでこの黒いのはサビチェンジャーなのか? それとも単純に錆びなのか、どっちなんだ? 良く判らないのでひたすら擦る。小さい分だけ楽に見えるけど、実は擦る相手が固定されていないので意外と面倒だったりする。しかも、モノ自体が小さいうえにクレーターだらけなので、擦ってばかりでは終わらない。キリやら何やら色々な小道具を駆使して錆びを徹底削除する、というのは実は意気込みだけで、実は結構残っているのに疲れてサビチェンジャーを使ってしまった。これが乾いたところで、耐久試験と称して外に暫く放っておくことにする。

フューエルリッドは半ばどうでも良いと思っているので、問題は本体だ。来る日も来る日もひたすら擦る。いつまで経ってもクレーターの底の黒いやつが無くならないので全然終わらない。キリ状のものでつっつくとそこから錆びが出てくるんだからしょうがない。こんなことを繰り返すうちに、とうとう穴が開いてしまった。あーあ、やっちまったか。この車も穴だらけかよチクショウ。ま、覚悟していたのでショックなんか全然ないさ♪ と自分を慰める。実際、どうせこの部分の鉄板は最初から使い物にならないのは目に見えているのでそんなことを気にしていてもしょうがない。遂に鉄ヤスリまで持ちだして豪快に削る。擦る、じゃなくて削る、にいつの間にか方向転換している。削っているうちに、ここは予想通り袋状態なことに気付く。しかも、やたらと狭い袋じゃないか。

何だこりゃ、いすゞさん、一体どうやったらこんなヘボい設計が出来るんだ、ちゃんと密着させるなり、溶接するなり、きちんと袋にして水抜き穴付けるなり、はっきりせい! これじゃ錆びるに決まってるじゃねえか!! 少々不機嫌モードに突入する俺。こうなったら勢いは止まらない。袋の外側をマイナスドライバーで浮かせたり、しまいにはその部分をバイスプライヤーでコジ曲げて毟り取ったりしながら猛烈な勢いで錆びた鉄板を破壊する。曲げた金属が如何に疲労破壊を起こすか、なんてのは大学時代の専攻だったくせにそんなのは完全に無視していたりする。削ったり毟ったりしているうちに、ふとプラハンでひっぱたくことを思いつき、何となく叩いてみる。すると、何やら関係ない下の方でポロポロという音を立てて物凄い勢いで錆びが落下していった。怪訝に思って再度叩くと、やっぱりバンパーのあたりからポロポロ落ちてくる。これはどう見ても給油口とは関係ない。こんな大量の錆びを見ては、どうしたってそっちの方が気になってくる。ちょっとバンパーをゆすってみる。やっぱり落ちてくる。何だ、これは?

オイオイ、こりゃ一体どういうわけだ。パッと見た感じだと別に錆びちゃいないのに、やっぱり裏側は酷ェってことかい? もう駄目だ、そっちが気になってしょうがない。さっきまでやっていた給油口にはとりあえずラストリムーバーを塗ったくっておいて、バンパー外しに取りかかる。トランクのカーペットを捲って、バンパー支柱のボルトが埋まっているカバーを外す。すると、そこはもう錆びて穴が開いている。嗚呼、すっげー嫌〜な予感がする。こんなところ普通錆びるか??? しかし、めげずにバンパー支柱のボルトを左右二本ずつ外す。そして、このXEは小型バンパーなのでナンバープレートのステーを90°ハネ上げるために、ステー裏側のボルトを外す。

しかしまたこれが困ったもので、かなり強烈に錆びている。あまりよく見えないもんだから少々当てずっぽでやったのが大失敗、見事にナメてしまったではないか。仕方ない、CRCをたっぷりかけて、何回かプラハンでひっぱたいて戦闘前の一服、といこうと思ったら、ひっぱたいた時点でこれまた大量の錆びが落ちてくる。嫌〜な予感は徐々に確信に変わりつつある。そして、潜り込んでインパクトで豪快にひっぱたく。しかし、動かない。参ったな〜、あとここだけでバンパーが外れるのに、何でこんな所にネジがあるんだチクショウ。

結局、この日はたった1本のボルトのために諦める。もう取れる寸前なので、ちょっとバンパーを抜いて揺すってみる。その度に錆びがポロポロ。しかもその落ち方が半端じゃない。落ちた錆びの大きさも半端じゃない。厚さ1cm近い錆びが駐車場に転がっている。嫌〜な予感はバンパー取り外し後の惨状が明らかに予想できるまでに膨らんでいる。この錆びと、ナメたボルトを見ているとやる気を完全に失ってしまった上に暑くてしょうがないので、涼みに行くという名の現実逃避のため、すぐそこの海まで波乗りに行ってしまったのであった。

翌日、貫通ドライバーとバイスプライヤーを持ってボルトに立ち向かう。前日よりも数段上の勢いでプラハンを振り回す。でも、取れない。あちらこちらからボルトをひっぱたき、さらにバイスプライヤーで摘んでグイングイン捩る。そうこうするうちにやっと緩んだようだ。でも、完全にナメているのでドライバーは全然使えず、最後までバイスプライヤーをグルグル回してボルトを抜き取ることに成功。まさか2日がかりでナンバープレートのステーを立てることになるとは。さあ、準備は出来た。御開帳といきましょうか。

ぬぉぉぉぉぉ何だこりゃ! オイ、一体どうやったらこんな目茶苦茶な錆びになるんだ、いいかげんにしやがれいすゞ!! 予想を大幅に超える凄まじいまでの錆び具合に叫び狼狽える俺。あーあー、これじゃ叩けばボロボロ落ちてくるに決まってるじゃねえか。あーあ。駄目だこりゃ。とりあえず一服して、冷静さを取り戻しながら再び錆びを見つめる。何度見ても酷い錆びだ。頭の中に「名誉の撤退」という言葉が浮かんでは消える。さあ、どうする?

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