Michinoku hitori tabi Part 1 初っぱなから自殺行為


Route map 本日(1998/6/26)の走行ルート
藤沢市辻堂(自宅) → 空港中央IC [R1、産業道路]
空港中央IC → 鹿沼IC [首都高速、東北道]
鹿沼IC → 会社の先輩の家(宇都宮市内)

(某地図より無断借用)


とうとう来たぜ出発の日が! 仕事は手に付かないのでフレックスタイム制度を大いに活用して3時半でさっさと退社し、夕方に辻堂の自宅を出て夜10時頃に宇都宮に到着する、というのが今日の予定だ。この日はワールドカップの日本対ジャマイカ戦があるから、何としても試合開始の11時までには宇都宮の先輩宅には着いていなければならない。行程の半分以上が首都高速と東北道だし、宇都宮なんか何度も往復しているから面白くも何ともないのだが、K100RSで行くのは今回が初めてだし、何しろ1週間の長旅の船出だからそれなりに気分も高揚するもんだ。

そんなわけで、仕事は適当に終わりにしてそそくさと帰宅する。帰宅途中にちょっと買い物をしたりしていたせいで、家に着いたらもう5時だ。とりあえずは腹ごしらえとして冷し中華を食す。一応準備は前日までに殆ど終わっている筈なのだが、もう一度最終チェックしたり、さっきまで使っていたPalmPilotだの何だのをウェストバッグに入れたり、カメラにフィルムを入れたり、煙草を買い込んだりしているうちに結構な時間が経っている。にもかかわらず出発前の風呂には入る。まあ多分忘れ物は無かろう。忘れたらその時に考えれば良い。というわけでバイクに括りつけを始める。荷物が多いから部屋とバイクを3往復もする羽目になった。

Start ! 積み込み完了。っていってもバイクに括るのはテントと椅子だけだから楽勝。

呑気に写真なんか撮っていたせいで、気付いたらすごい時間になっている。もう夕方どころか夜じゃないか。そそくさとジャケットを着込み、ウェストバッグを装着し、リュックを背負う。かなりの重さなので、重みが肩ではなくバイクにかかるように、ステップに立ったり座ったりしながら肩ヒモの長さを調整する。そうだ、高速道路だからスクリーンのフラップも上げ気味にしておこう。準備完了だ。エンジンを始動し、暖気が終わるまでの間に最後の一服をする。センタースタンドを外し、ゆっくりとバイクを道路に出す。相変わらず取り回しは重い。荷物の多さがそれに輪をかける。煙草を消し、愛用のSETAのジェットをかぶり、グローブを着ける。6時45分。さあ、行くぜ!

国道1号をひたすら横浜方面へ向かう。車の列の間を適当にすり抜けながら走る。毎日車で通勤している道だし、渋滞していることもあって全然面白くない。しかもリュックをしょっているせいで、腕に荷重がかかりぎみになってしまうのでそれを抑えるのに苦労する。参ったなー、こんなに荷物を背負うのが疲れるとは。先が思いやられるぞ。途中横浜新道をタダ乗りし、新子安から産業道路に抜け、途中のGSで給油する。ついでだから「近藤家」でラーメンでも食おうかと思ったが、眠くなりそうなので止めておく。多摩川を渡り、東京都に入る。さらば、神奈川よ。暫くのお別れだ。羽田空港沿いを走り、首都高の空港中央ICへと向かう。

Haneda airport 羽田空港前で高速に乗る前の最後の一服。さあ、ここから一気に都会におさらばだ。

既にもう8時を過ぎているというのに、首都高は相変わらず車が多い。大井で通行料700円を渋々払い、東京港トンネルを抜け、お台場あたりのライトアップ、そして延々と続く中央環状線の灯を見ながら淡々と走る。さらにハープ橋を抜け、良い気分に浸っているところに、例によって堀切JCTで大渋滞をおこす。有料道路でステップから足を外す羽目になるなんて腹立たしいことこの上ないが、こんな酷いジャンクションの設計ではそれも仕方がないだろう。渋滞では荷物の重さがこたえる。川口線に入るとようやく空いてくるが、トラックが多いのであまり走りやすくはない。そして東北道浦和料金所に到着。通行券を受け取り、その先でしばし休憩を取る。

まだ100kmちょっとしか走っていないのに、どうにも腕が疲れてしょうがない。しかも手のひらが痛い。いかに腕に力が入っていたかが良く判る。今まで100kmごときでこんなことになったことは無いのだが、やっぱり背中の荷物の重さは相当こたえるようだ。途中でトップケースを購入してリュックの中身を全部突っ込みたい気分だが、そんな金と暇があるわけがない。そもそも代理店を見つけるのが大変だ。そんな下らないことを考えながらの一服タイムはあっという間に終わる。おっと、もう9時近いぞ。さっさと出発しよう。

この時間の東北道はいつもの通りガラガラだ。なるべく腕に荷重がかからないように、しかも風を避けるために少しだけ伏せて走るためには相当の背筋力が要求されるが、生憎今の俺の身体はそんなものは備えていない。某速度+40km/hくらいで淡々と走り続ける。街灯も無くなり、真っ暗な道路と、まばらな車のテールランプだけが視界にある。眠くなるので多少ペースを変えたり、追い越しをしたりしているうちに利根川へ。すると橋の直前から雨が降りだす。おいおい、雨だなんて聞いてないぞ。ここのところずーっと週間予報をチェックし続けていたのに。でもこの程度の雨ならK100RSのカウルは殆ど防いでくれる。特に気にしないことにして次々とインターをクリアしていく。次第に霧が出てきたが、これも気にせず変わらぬペースでひたすら走る。そのまま鹿沼ICまで行くつもりだったが、空腹を感じたため急遽佐野SAに入る。バイクは俺だけで、車がまばらに停まっていた。

しかし困ったことに佐野SAは工事中のようで、軽食コーナーは営業していない。7月に入ってから営業開始と言われても俺にはそれでは意味がない。レストランは営業しているようだが、この蒸し暑いのにSA内でただ一人ジャケットを着ている俺には不釣り合いだということで却下。仕方がないので珈琲を飲んで一服する。ついでなので3万円のハイウェイカードを購入する。本当ならボーナス直後なだけに5万円のものを購入すべきなのだが、残念ながらそこまで手持ちが無い。その間に雨は徐々に激しさを増してくるが、今更合羽を出すのも面倒だ。ここまで殆ど濡れることなく来ることができたし、NORTHFACEのジャケットもそれなりの防水効果があるので何とかなるだろう。エンジンを始動する。すると、今まであまり調子の良くなかったエンジンが納車当時のようにスムースに回っている。ようやくオイルが馴染んだのか、それとも久々の高速度キープ走行が調子を取り戻す原因になったのか、理由は定かでは無いが調子が良くなったのは良いことだ。さあ、このまま調子に乗って行くとするか。

ここから鹿沼ICまでは30km強といったところか。ここから先は山間部となり、当然のように霧が深くなる。雨も止む見込みは無いだろう。それでも相変わらずのペースで走る。雨だからといって特に意識する必要もないし、下手にチョロチョロ走ると余計危険だ。雨を避けるように伏せながら走るうちに鹿沼IC到着。後続車が無いのでのんびりと精算を済ませる。山間部を抜けて雨が弱くなっていることを期待していたのだが、どうもそれは期待外れに終わったようだ。合羽を着るかどうか迷うが、ここから先輩宅へは20分程なのでもう諦める。一般道ではあるが、車も少ないだろうからそれなりの速度で走れるだろう(合羽を着ない場合は、多少の速度があった方が雨を防げる)。宇都宮在住時に何度も走った道を結構な速度で走る。暫く見ないうちに何か変わっただろうか、と期待していたが、一部立体交差化工事している以外はあまり代わり映えしていない。R4に入り、宇都宮駅近くを通り過ぎたところで先輩宅のあるマンションの場所をはっきり覚えていないということに今頃気付く。目の前にくれば思い出すだろうと思ったら結局思い出さず、どうも通り過ぎてしまったようだ。少しウロウロしたところで思い出し、ジャマイカ戦の試合開始15分前に到着。懐かしい場所だ。先輩は自分のXLRの隣にでも停めておけと言っていたが、見つからないので適当に隅っこに停める。センタースタンドをかけ、何故かパニアケースに入れてしまった寝巻き代わりのジャージを取り出し、部屋へ向かう。

10時頃着くと言っておきながら着いたのが10時45分だったので、先輩はさぞや御立腹かと思ったがそうでも無いようだ。既に奥さんと子供が寝ているようなので静かに部屋に入る。蒸し暑い中をずっと走ってきたのでシャワーでも借りたいところだが、もうすぐ日本対ジャマイカ戦が始まるのでそれは我慢し、まずは手土産の地ビールを渡す。これが功を奏したか、先輩は冷蔵庫から自分でも何だか良く判らないというビールを持ってくる。乾杯をして試合開始を待つ。良く考えてみれば何も食っていなかったのだが、これも上手いことに夕食の残りがあったようなので素直に頂く。そうこうするうちに試合開始。結果は周知の事実であるが、正直言って俺にとってはこの敗戦より横浜ベイスターズが負ける方がよっぽど悔しいというのもまた事実である。

既に1時過ぎだが、外は相変わらずの雨だ。雨の場合、翌日の米沢牛ツアーに行くかどうかは朝の4時過ぎに主催者のYさん(熊谷在住)に連絡して、仮に行く場合は6時半に東北道の矢板北PAに集合することになっている。もう寝ないと明日のツーリングが大変だ。しかし先輩は今の会社の状況はどうなんだ、とかオブジェクト指向方法論について教えろだとかやけにクソ真面目な話を始めてしまう。泊めてもらう立場上適当にお茶を濁すわけにもいかないし、遠隔地に長期出張していて、色々知りたいことがあるという気持ちも良く判るのでこちらも真面目に答えてしまう。ビールや発泡酒を追加しながらああだこうだと言っているうちに、うぉーっ、もう3時半じゃないか!! これはマズイ。明日は長旅だというのに睡眠時間が3時間以下というのはマズすぎる。しかし今寝てしまっては4時に電話なんか出来るわけがない。仕方がないので、何とか米沢牛ツアーを雨天中止にして、俺は昼前まで寝て高速を使って横手まで向かうといった感じに話を持っていくという完全に自己中心的な計画を立てたのだが、困ったことにもう雨は止んでいるではないか。仕方がないのでそのまま4時まで話し続ける。

すぐに4時になった。電話してみると何と話し中だ。これはマズイ。既に何者かがYさんに連絡して、ツーリングを決行することになっていたら計画倒れになってしまう。暫く待って電話すると、今度は繋がった。お久しぶり〜、なんて当たり前の挨拶をして、天気予報は大雨ですよ、なんて言ってはみたが、やはり既に行くということに決まっていた。クソッ、4時まで待った俺が馬鹿だったぜ。先に連絡が取れたら栃木は大雨だとかテキトーなことが言えたのに。しかし行くというのなら仕方がない。こうなったらもう覚悟を決めるしかないのだが、そうとなれば1分でも多く寝ることが重要だ。6時半に矢板北PAに着くにはいくら遅くても6時にはここを出なければならない。そのためには5時半には起きる必要がある。しかし既に今はもう4時半近い。何てこったい、今日の睡眠時間は1時間ちょっとかよ。これで500km近く走るなんて自殺行為もいいところだ。でも徹夜に比べたらナンボかマシだ。しょうがねえ、目覚ましセットしてさっさと寝るべー。

本日の走行距離 210km
本日の費用 ガソリン代 1066円
有料道路代 首都高速 700円
東北道 2200円
珈琲代 100円
合計 4066円
(道路代は現金で払ったことにして計算。翌日以降も同じ。)


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Over 100,000km Project