Kがバカスクになってしまった

夏場は暑いからKには乗らないのが通例だったのだが、土曜日に海抜0mの材木座海岸で泳いでいるうちに、何となく「暑いからこそ日本国道最高地点を走る」気分になってしまい、朝っぱらからKで出かけた。

まともにKに乗るのはGWの山陰・四国以来。一度オイル交換して試運転した以外は全く乗っていない。出発しようとしたら、フロントタイヤの空気が抜けまくっていて出鼻をくじかれた。フロントフォークのオイルが漏れていることは、走り出して暫くしてから思い出した。このあたりからして、今日はダメな日だったのかもしれない。

八王子から高速に乗り、圏央道、関越道、上信越道と経て、東部湯の丸ICで降りた。IC近くのスーパーで弁当とFREE(ノンアルコールビール)を買い、湯の丸高原を経てつまごいパノラマロードに入った。そこで、トロいレガシィを抜いて、段差を超えたところで事件は起こった。

リヤからのガクンというショックとともに、急に減速が始まった。アクセルを捻っても大して進まない。しかも後方からいかにもゴムが擦れるような嫌な匂いがする。パンクでもしてしまったのだろうか、と思いながら路肩にKを停めた。

後ろを覗いてみたが、少なくともタイヤに空気は入っている。何なんだ? ふと気付いてみると、やけに足付きが良い。というか、車高が低い。サイドスタンドを立てようとしたが、まったく立てられない。車体を右に大きく傾けないとスタンドを立てられない。とりあえずそのまま左側に降りて、センタースタンドを立てようとしてみたが、立つわけがない。

IMG_1172 空しく地面に刺さるサイドスタンド

そもそも、何でこんなに車高が低くなったんだ?

その原因を探るべくあちこち見ているうちに、リヤショックのロア側ボルトから、リヤショックが抜けていることに気付いた。(というか、この時点ではボルトが折れたと思っていた。ここはスタッドボルトに対してナットで固定しているということを忘れていた)

IMG_1175 何で抜けるの???

何故こうなったかは置いておいて、どうにかして車体を持ち上げて(センタースタンドを立てて)、このボルトをどうにかして手に入れて、リヤショックを固定できれば、走れるかもしれない。

とはいえ、このクソ重いK1100RSを自力で持ち上げるのは、重量挙げ選手でもない限り無理。とにかく、自力でどうこうできる状態じゃない。

幸か不幸か、タイヤがリヤフェンダーにきっちり接触しているおかげで、このKは前にも後ろにも全く動かないので、サイドスタンドをアスファルトに刺しておけば、とりあえず自立する。その状態のまま、とりあえずJAFに電話する。

IMGP2076 油断するとアスファルトが溶けて抜ける

場所の連絡等は問題ないのだが、症状を伝える方があまり要領を得ない。色々言ってはみるのだが、先方はとにかく誰かを派遣する以外のことには興味がないようだ。持ち上げないとどうにもならないこと、ボルトさえあれば直るかもしれないことをいくら伝えても、JAFでは修理はできない等とのたまう。まあ基本的にクルマ相手だから仕方ないのかもしれない。45分ほど待てということだったので、その間に弁当を食い、FREEを飲む。暑いので日陰で休みたいが、ここは残念ながら高原のキャベツ畑用の農道であり、周りには何もない。

IMG_1174 走っていれば快適なのになあ

やることがないので原因を考える。
ここのナットは、リヤショックを何度か入れ替えている関係で、自分で締めたり緩めたりしている。おそらく最後に締めた時に緩かったのだろう。マニュアルなんか一切見ないで作業しているので、適正トルクなど知る由もないし、そもそもトルクレンチを持っていない。そのナットがいつ外れたのかは、今となってはわからない。実は家を出る時点で既に外れていたのかもしれない。そしてリヤショックがスタッドボルトから抜けたのが、あのレガシィを抜いた直後の段差だったのだろう。

まあ要するに自業自得であって、コケたり怪我したりしないで済んだことを幸いだったと感謝すべきほどの馬鹿さ加減であることは間違いない。

暫く待っているうちにJAF提携工場の車載車が到着した。オッチャンも現物を見てようやく理解したようだが、要するに車載車が着たところで、前にも後ろにも進まないバイク相手ではどうしようもないのだ。だから言ったのに。

IMG_1179 万策尽きた感じ

ショックにジャッキをかけて持ち上げようとしたり、色々と試行錯誤はしたが、結局諦めて助っ人を頼む。レッカー車と、径が10mmか12mmぐらいで長さが50mmぐらい、ピッチ1.5mmぐらいのボルトを頼んだ。

また待ち時間になる。その間にオッチャンは近くの自販機(とはいっても20分ぐらいかかったのだが)でアクエリアスを買ってきてくれた。故障話や救助話などをしているうちに、ようやく助っ人登場。

ここで安心したのがいけなかった。ちょっと気を抜いた隙に、サイドスタンドが耐えられなくなり、Kが左側に倒れてしまった。ミラーやサイドカウルの傷は当然だが、クラッチレバーが曲がり、アッパーカウルの塗装も割れた。これは完全に余計だった。そもそも今回のトラブル自体がそうだが、こういう自業自得的なことでバイクが傷つくことが一番腹が立つ。

倒れたKを元に戻し、フレームにベルトをかけてレッカーで吊り上げ、ある程度正常な位置まできたところで、ギヤケースにねじ込まれているスタッドボルトを、バイスプライヤーで無理矢理抜く。思っていたより長いボルトだった(M12の70mmらしい)。

IMG_1181

助っ人は、とにかく中古ボルトがたくさん入った箱を持ってきてくれたのだが、残念ながらこれと同じスタッドボルトなどあるわけがない。じゃあせめて径とピッチが同じで適当な長さのものを、ということで探してみたが、やはり無い。苦肉の策で、アッパー側のボルトをロアに使い、アッパー側(単にシャフトの役割しかないのでピッチは関係ない)には適当なものを使うことにした。

本来はスタッドボルト+ナットであるところに単なるボルトを使い、アッパーはそのへんのボルトなので強度的にどうなのかという点はあるのだが、とりあえずショックを装着して、前後に進むことができる状態にはなった。

IMG_1183

対策が一段落したので、やっと落ち着いた。助っ人の兄ちゃんは、あまりに車高が低い俺のKを見てスクーターだと思ったらしい。

この状態でこのまま家まで帰るか、高崎あたりのディーラーに入れるか、慎重を期して車載車でどこかまで運んでもらって部品を待つか、選択肢は色々あるのだが、ここでは騙し騙し行けるところまで行ってみることを選択した。

IMGP1675 Uターンポイント

パノラマロードが素晴らしい道だと判っているだけに、この先に行かずに帰るのが実に名残惜しいのだが仕方がない。適当なところでUターンし、何があってもいいように、ワインディングは避けてそこそこの交通量の道を通って帰路につく。佐久から小淵沢に抜ける手もあるのだが、こちらのルートは仮に何かあった際にディーラーからの距離が離れすぎるので良くないと判断して、高崎方面に出ることにした。

たまに停まって確認しながら、余計な負荷がかからないように淡々と走り、高崎近郊に着く。この時点で、何となく帰宅できそうな手応えがあったので、高速に乗ることにした。たまにSAやPAに寄りつつ、特に問題が出ることもなく帰宅した。

精神的にも肉体的にも(あまりにも暑かった)疲れきった一日だった。とりあえず、中途半端な車体や適当な整備でツーリングに出かけるとろくなことがないことを改めて痛感した。毎度毎度、こういうことがあるたびに痛感しては忘れてしまうのだが、忘れていいはずがない。最後に起こってしまったアッパーカウルの割れも、それに対する戒めであろう。とりあえず、現時点で明らかに気になる箇所や、定期的に交換すべきものをきちんと整備するまでは、Kには乗らないことにしておく。

ところで、これまでの自分の修理歴を振り返ってみると、今まで様々な「締め忘れ」をやらかしている。

  • ピアッツァのフロントショックのロア側ボルト
  • K1100RSのブレーキキャリパー固定ボルト(両側4本)
  • セローのオイルフィラーキャップ

思い出せるだけでこれだけあるのだから、忘れっぽい自分の性格からして、他にも何度かやらかしているに違いないのだが、さすがに今回で打ち止めにしたいところ。

「Kがバカスクになってしまった」への6件のフィードバック

  1. いえいえ〜御身体に何事もなかったのが一番でした♪
    しかし、日陰のない路肩でJAF待ちは暑かったでしょうね_<)"

  2. これはご愁傷様でした。災難でしたね。
    かくいう小生も約6年前にリヤサスを交換する際に、サスを固定しているアッパー側のナットが手で回る程ユルユルになっていて焦った記憶があります。10万キロのBBSにカキコしたっけ。

    ちなみに、各種ボルトの規定トルクはココに記載されてます。

    http://www.rbracing-rsr.com/downloads/K1100LT_RS_Repair.pdf

    この機会に、トルクレンチは用意しておきましょう!小生のは、財布に優しいアストロのプリセット型(9.5sq)ですが、一応機能してくれているようです。

  3. >目玉さん

    乗っても暑く、降りても暑い1日でした 😛
    とにかく無事に帰ってこれたことを感謝すべきですね。

    > tamoさん

    アッパー側のナット、そういえば私のも緩んでいたことがあります。
    原因はおそらくトルク不足でしょう(苦笑)

    ご紹介のPDFはずいぶん前に落として、iPhoneにも仕込んであります。脱着手順やら油量やらの参考にはしているのですが、いかんせんトルクに関しては手ルクレンチしかないせいで無頓着でした。週末に横浜のアストロの近くを通るのでついでに買ってこようと思っています。

    >ダーツさん

    JAF隊員さん、途方に暮れていました 😀
    やっぱり基本的には二輪のヒトじゃないので、あんまり得意じゃないみたいです。

  4. Aniv.K.なべ

    Sotaさん ご無沙汰しております。

    色々と大変でしたね(汗
    でも事故に直結しなかったのは不幸中の幸い!
    ・・・本当に良かったです。

    >最後に起こってしまったアッパーカウルの割れも
    はい!私も最近割りました。まさかの洗車中に(泣

  5. なべさん、どうもご無沙汰です!

    とりあえず死ななくて良かったですが、今日の飯酒盃でもさんざん突っ込まれましたが、あまりにも自業自得で弁解の余地がありません 😀

    それに比べて、洗車中の割れは泣けますね・・・

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