2024 GW みちのく一人旅 Day1

2023年に続き、5月連休の谷間(世間は平常運転だが、製造業が連続休暇を取るので、自分だけ休み)に二泊三日ツーリングをすることにした。主たる行き先は去年行けなかったココだ。

2023年はこのへんが最北端で、秋田と岩手は南半分ぐらいしか走らなかった(総走行距離1738km)のだが、2024年はもう少し北、八幡平・男鹿半島・八甲田・十和田湖近辺を目的地とした。過去の経験上、津軽半島や下北半島まで行こうとすると三泊四日が避けられないが、八甲田あたりまでなら辛うじて二泊三日でも行けなくはないんじゃないか、という気がしている。

今回新たに導入したロッジモーティブのモリタ氏渾身の力作絶景と快走路7東北と、Google Mapでバーチャルツーリングをしながらルートを検討し、秋田と十和田湖畔に宿を取ったのだが、困ったことに当初予定していた日程(4/30〜5/2)のうち、特に4/30・5/1の天気予報がパッとしない。仕方がないので天気アプリを取っ替え引っ替えしながら前倒し・後ろ倒しを検討し、結局4/28〜4/30に前倒しした。結果的には5/1〜5/3に後ろ倒しした方がマシだったんだけど、もはやどうでもいい話。

日程変更に伴って宿も再検討することになった。ツーリング直前だし、連休前半だし、そもそも空きが少ないし、値段も高めだ。そんな中で、どうにか鹿角と秋田に確保した。ルートももちろん再検討になる。色々シミュレーションしながら大雑把に決めた。

とりあえず高速移動

1日目は東北道の西根ICまでひたすら高速道路で走り、昨年の宿題である八幡平を走破し、あとは鹿角の宿に行くだけ、という極めてシンプルな予定にした。八幡平の前後にどこか別の場所に寄るというのも考えたが、八幡平そのもの以上に満足感が高そうな道や場所を見つけられなかったので、もう1日目は宿題クリアに全力を注ぐことにした。

というわけで前日はさっさと床に着いたのだが、1年越しの宿題に興奮してしまったのか、全く寝付けない。最近あまりこういうことはなかったんだけど…

寝たような寝ていないようなよくわからない状態で4時半のアラームが鳴った。少なくとも眠くて動く気がしない状態じゃないので、予定通り出かけることにした。熱い珈琲と菓子パンの朝飯を済ませ、前日用意した財布やら何やらを身に着け、ワークマンの安全靴を履いて自宅を出る。Kを倉庫から出し、トップケースやパニアケース、ナビ用iPhone6sの装着など、諸々の準備を済ませる。

北北東へ進路を取れ

そして4:59にエンジンをかけ、暖気もそこそこに出走する。2023年は5時半起床・6:16出走なので、1時間以上早い。単純に行き先が遠いことと、この日が連休2日目で渋滞が予想されていたことが大きな違いだ。

例によって逗子ICから横横に乗り、並木を経て幸浦から首都高湾岸線に入る。大井PAで小休止して荷物のガタつきなどを再確認し、葛西から中央環状線、小菅と川口を経て東北道、という空いていればそれなりに快適かつ景色も良いルートで北上する。2023年は小菅が大渋滞していて山手トンネルを通らされて酷い目にあったが、今年はそんなことはなかった。

東北道は久喜のあたりで若干渋滞していたが、激しく遅れることはなく通り抜けた。都賀西方で一休みするつもりだったが、特に疲労感などもなかったので、そのまま進んで大谷PAで小休止する。連休中はどこのSA・PAにも警備員がいて停車場所を指定されてウザいのだが、ここ大谷PAはその辺りは緩く、空いていて停め放題だ。ここで旅の友Highway Walker入手する。

読むかどうかは別として恒例行事なのでゲット

あまりダラダラしている余裕はない。ガムを口に入れてそそくさと進む。ツーリングプランの特権を利用して白河ICで降り、目の前のGSで給油してまたすぐに東北道に戻る。100km弱そのまま走り、ツーリングプラン北限の福島飯坂ICで降りてまた給油。ここからはKの給油限界の270kmほど先の西根ICまでひたすら走る…のだが、さすがに一気走りとはいかずちょいちょい停まる。

とりあえず福島飯坂ICからすぐの国見SAで一旦停まる。

小腹が空いたので持参したおにぎり(沖縄ジューシー)を頬張る

暑いのでジャケットインナーと長袖シャツの2枚脱ぎを敢行し、さらにジャケットのエアインテークを開ける

すぐに宮城県に入る。宮城県は全く停まらずに走り抜け、中尊寺PAで最後の小休止。ここまで北に来ると、さすがに人が少なくなる。

こういうトイレしかないPAに遭遇すると遠くに来た感が高まる

淡々と走って西根ICで降りる。ここまで630km、7時間30分。ほぼ同じ姿勢で走り続けたので身体のあちこちが硬直している。

1年ぶりの岩手山

岩手山パノラマライン

ICを出たところにある駐車エリアで、延長スクリーンを外す、ヘルメットのシールドを拭く、残りのおにぎりを頬張る等、諸々の雑用を済ませる。ここまでガンガン走ってきたのに、この休憩で簡単に20分ロスするあたりが自分らしい。

さて、ここからは八幡平を目指すわけだが、経路としてはモリタ氏推奨の「岩手山パノラマライン」を選ぶ。西根ICそばのGSで給油し、何の表示も出ない脇道に入って「焼走り溶岩流」を目指す。この時点で既に良い道・良い眺めだ。

良い眺めだ

ほどなくして焼走り溶岩流の駐車場に着く。

わざわざ誰も居ないエリアに停めるのはいつものことだ

時間に余裕があるのをいいことに、自分にしては珍しく観光する。ちょいと先にある焼走り溶岩流を見に行く。

なかなかすごい光景だ

さすがに奥の方まで歩くほど暇ではないので、ちょっと齧った程度で駐車場に戻る。そのまま元の道に戻ってしばらく走ると、岩手山パノラマラインのハイライトの直線道路に出る。前方に八幡平、左に岩手山を見ながら、新緑の中をひたすら直進する道は快適この上ない。

素晴らしい道だ

爽快なことこの上ない

なんだかいきなり初日のハイライトを迎えてしまった気がしないでもないが、この先には八幡平が待っている。なんとも贅沢な初日になりそうだ。

八幡平へ行く道はアスピーテラインと樹海ラインの2つがある。どちらか一つを選べと言われると非常に迷うところだが、今日は時間に余裕があるので両方とも通ることにした。樹海ラインで一旦頂上まで登り、アスピーテラインで一旦岩手側に降り、またアスピーテラインで頂上まで登って秋田側へ降る、という算段だ。八幡平にはそれだけの価値があるということは判っているし、しつこいようだが去年から渇望していたのだ。そのために八幡平を通る初日に時間の余裕を持たせる旅程にしたのだ。往復した程度でバチは当たらないだろう。

樹海ライン

樹海ラインの入り口に桜が咲きほこっている公園があったので寄り道する。キャンプ場でもあるようだ。いつかキャンプしてみたいもんだ。

若干わざとらしいけど良い眺めだ

そして遂に樹海ラインに突入する。以前通ったのは2011年のことなので、細かいことは全然覚えていない。ただ、降るより登る方が良さそうな道だったことはなんとなく覚えている。

途中までは森の中を貫く道で、あまり景観も良くない普通の山道だが、ある程度まで登ると視界が開けてくる。そして雪も増えてくる。

停まって写真を撮るほどの場所でもないということは後になってわかる

わかりにくいが、雪解け水が滝になって流れている

このぐらい開けてくると絶景感が高まる

雪の壁の向こう側に八幡平が見える

雪原の中を走るかのようだ

藤七温泉を過ぎたあたりで、雪の壁がどんどん高くなる。

道路から湯船が見える藤七温泉

かなり高い壁だ

雪の壁越しに岩手山

雪の壁の先には、また別の絶景がある。この狭い場所に停められるのはバイクの特権だ。

これもまた絶景だ

最高標高地点まであと少し

八幡平アスピーテライン

ここから少し先に進むとアスピーテラインとの交差点、且つ最高標高地点になる。交差点を右に曲がり、岩手方面に向かう。アスピーテラインの山下りは、常に岩手山を前方に見ながら下っていく。これはこれで良いものだ。ここを下るのは2012年以来だ。

樹海ラインより総じてゆるやかな作りの道

岩手山に向かって走る

道の左側は山側になり、あまり停める場所もないこともあり、全く休むことなくアスピーテラインを降りきってしまった。全く停まらずに走ると、案外あっという間に終わってしまう。

そして過去に何度も立ち寄った産直「松っちゃん市場」に寄る。しかし、店内の品揃えがパッとしない。あまり目ぼしいものがない。15:00過ぎという時間帯がいけないのかもしれないが、過去の印象とはちょっと違うな…

以前何度か寄った印象は良かったんだけどなあ…

何も買わずに出発。気を取り直してアスピーテライン方面に戻る。途中で八幡平の麓っぽい記念写真を撮る。

好ましい光景だ

そして先ほど降りてきたアスピーテラインを登る。山下りも良いが、やはり登る方が楽しい。

岩手山の眺めに関しては樹海ラインより良い

徐々に岩手山から遠ざかる

頂上が近づいてくる

頂上はやはり雪の壁

有料の駐車場はスルーして秋田方面へ向かう。頂上、というか道路の最高標高地点からすぐに降るのではなく、しばらくは同程度の標高で稜線上を走るのだが、この区間が実に楽しい。

なんという眺めだ

最高に気分が良い

最高の道だ

少しずつ高度を下げていく

最高すぎて語彙を失う

素晴らしかったこの道も、標高を下げるにつれて徐々に普通の山道に戻っていく。後生掛温泉を過ぎたあたりからはもう何の変哲もない東北の山道になってしまう。八幡平ビジターセンター前、R341と合流する交差点にある北緯40度の碑で小休止し、宿がある鹿角市街地を目指す。

毎度ビジターセンター前のこの場所で小休止している

北緯40度の碑、もうちょっと手前に置けばいいのに

途中、キャメルマート秋田八幡平店にも停まったが、着いた途端に閉店時間になってしまったので寄らずにスルーした。

鹿角市街地探訪

さらに淡々とR341を走る。人家があるエリアまで降りてくると、まるで特徴のない東北の田舎道になってしまうが、川沿いを走っているうちに、あーそういえば10年以上前にここを反対方向(八幡平方向)に走ったなー、なんてことを思い出す。

R282に合流し、そのまま北上すると宿に着く。ただ、この日は素泊まりなので晩飯は適当に済ませなければならないし、スーパーにも寄りたいし、給油もしたい。やることはたくさんある。宿を素通りして北進すると道の駅があったので寄る。17:00で店舗が閉まってしまう道の駅が多いが、この鹿角の道の駅はかなり規模が大きく、18:00までやっている。えらい。とはいえ何も買い物はせず、トイレだけ借りる。

とりあえず道の駅のそばにある地場スーパー「マルホンカウボーイ」に行く。過去に何度か見かけたことはあったが寄ったことがなかった。いい機会なので行ってみる。しかし結果的には可もなく不可もなく、あまり特徴がないスーパーだった。とりあえず地物の酒を買った。

特徴的な名前に反して中身は普通

続いて、すぐそばにあるオカモトセルフで給油。オカモトセルフは北海道の印象が強いが、東北を中心に東日本にはそこそこある。随分安いと思ったら税抜き価格だった。こういうのはやめた方がいい。

道の駅とオカモトセルフ

そして道の駅で調べてあったラーメン屋に行ってみると、なんと本日貸切の看板が出ていた。仕方ないので別のラーメン屋に行くと、今度は目の前で暖簾が仕舞われた。今日はどうやらラーメンの日ではないようだ。

こうも晩飯にありつけないと少々メンタルが落ち込むので、回復させるべく近くにあるスーパーITOKUに向かう。こちらは秋田県では手広くやっているスーパーで、そこそこ良い品揃えがあることはわかっている。入ってみると、秋田や鹿角の土産物コーナーがあったりして、やはりこちらの方が旅行者には使いやすい。ここで幾つかの土産物に加え、晩酌用のビール、翌朝飯のイギリストースト等を買う。イギリストーストは秋田ではなく青森の名物だが、もう青森はすぐそこなので別にいいだろう。

秋田でスーパーといえばITOKUが鉄板だ

気を取り直して晩飯のことを考える。ラーメンはもう避けることにしてドライブインにする。宿までの道沿いにドライブインが2軒あるが、手前にある「八幡平ドライブイン」を選ぶ。さほど遠くなく、数分走れば着く。

看板が暗いが営業はしている

ドライブインらしくメニューは豊富だ。色々心惹かれるものが多いが、困った時のナントカでカツ丼にする。

カツ丼 700円

疲れた身体に濃い味のカツ丼はガツンと響く。うまい。

しかし、テレビから流れる天気予報が、満足感に浸る俺に冷水をぶっかける。明日はいいとして、明後日は雨予報になってしまったようだ。なんてこった。まあ帰る日だからそこまで晴れにこだわってはいないが、雨だと何かとメンドクサイし気が乗らない。

明後日の予報なので、良い方に変わることを期待しながら会計を済ませて店を出る。出走の準備をしていると、20:00閉店のはずなのに暖簾を降ろして閉店モードに入ってしまった。さっきのラーメン屋もそうだったし、このあたりの店はどこもそんなものなのだろう。

本日の宿「五の宮の湯」まではほんの数分。真っ暗なR282を南下し、あっという間に到着。部屋に入る準備を整える方がよほど時間がかかる。

ここはどうやら日帰り温泉に簡素な宿泊施設を追加した宿のようだ。元々は宿がメインだったのかもしれないが、今の実態はどちらかというと日帰り温泉がメインに見える。玄関は完全に日帰り温泉施設のそれで、鍵も何もない下駄箱に安全靴を突っ込み、フロントでチェックインを済ませる。フロントのオバチャンは親切でいい感じだ。支払いは現金のみ。宿代5,300円と入湯税150円、合計5,450円を支払う。

オバチャンの指示にしたがって部屋に向かう。わかりにくい鍵を捻って引き戸を開けて部屋に入る。無駄に広い部屋に布団とテーブルがポツンと置いてある。残念なことに座椅子がない。壁にもたれるしかないので、結果的に部屋の広さが意味を失う。ついでに言えば、この広さにしてはテレビが小さい。

無駄に広い部屋

ま、こういったアンバランスさが安宿の醍醐味というものだ。とりあえずビールと生酒を廊下にある共用冷蔵庫に突っ込み、浴衣に着替えて温泉に向かう。

内風呂は日帰り温泉としてはさほど広くはない。温泉宿視点でみれば十分な広さ。湯はなかなか良い感じで、無色透明なのに少しヌルヌルするという好みの湯だ。隅の方にあるジェットバスは停止したままになっている。扉の向こう側にある檜の湯という湯船は休止中になっている。さらに外にある露天風呂は4月末まで冬季閉鎖とのことだが、さすがに4月末の盆地エリアで冬季を理由にしてはいけない気がする。要するにあまり金をかける余裕がないのだろう。サウナは一応機能しているがだいぶボロい。時計も砂時計しかないが、あまり広くもないこともあり、実際問題としては特に困ることもない。

風呂だけを目的に来るとビミョーな感じではあるが、安宿に温泉が付いている程度しか求めていなかったのでこれで十分だ。風呂から上がり、冷蔵庫からヱビスを取り出し、部屋に戻って乾杯をする。

困った時のヱビス

この日の走行距離は782kmだが、うち高速移動で630kmほど占めている。さらに最後の10kmぐらいも鹿角市街地を往復しただけで全然ツーリングっぽくない。ツーリングらしかったのは実質140kmぐらいだが、八幡平エリアが充実していたので満足度は極めて高い。

翌日は朝風呂に入った上で、なるべく早めに出発し、十和田・八甲田方面へ向かう。久しぶりの青森県突入に興奮を隠せないが、前日よく寝れなかったこともあり、早々に眠りにつくことができた。