iPhoneのアラームで目が覚めた。
このところアラーム以前に他の何かで目覚めていたので、久々に普通に起きた気がする。今日はそこそこ距離を走るので気合を入れて5時台に起きたのだが、目覚めは悪くない。
一通り片付けをして、湯を沸かして珈琲を淹れる。今まではメンドクサがって朝の珈琲はセイコーマートで済ませていたが、もうちょっとクッチャロ湖の眺めを楽しみたいのと、これが最後のキャンプの朝だということもあって、ちょっと真面目にやってみた。自然の中で飲む熱い珈琲はやはり格別だ。
やっぱり回を重ねると慣れてくるもので、片付けがやたらと早く終わった。7時ちょっと過ぎにクッチャロ湖を後にし、ツーリングマップルに載っている「クローバーの丘」なる場所に向かってみる。それはキャンプ場対岸の丘の上にある。行ってみると、そこはクローバーではなくクローバの丘だった。確かに全く目立たない場所で、単に眺めの良い高台という感じだが、素材が良いのでいい眺めだ。
丘を降りてR238に戻る。さらにその向こうには猿払村道のエサヌカ線という、ひたすら真っ直ぐな直線道路がある。さらにそのもう一つ向こう側には海沿いのダートがあるらしい。そこで、欲張ってどちらも走ってみることにした。
とりあえずエサヌカ線を端まで走る。去年も走ったが、とんでもない直線道路だ。そこから海方向に曲がるとすぐにダートが始まる。これは、まあ単なる砂利ダートなのだが、ボロボロの漁業施設を過ぎたところから道が怪しくなる。あまり使われていない道のようで、道路両側の雑草が激しく生い茂っていて、まっすぐ走っているだけで雑草にぶつかりまくる。まともに走れるのは四輪の轍部分だけで、中央部分は草が生い茂っていて走れない。これは大変だ。
単なる苦痛だったダートを暫く走ってエサヌカ線に戻る。そのうちさすがにエサヌカ線も終わってしまい、R238に戻る。去年キャンプした道の駅さるふつ公園で、温泉がどうなっているか確認してみる。去年はどういうわけか温泉じゃなくて単なる銭湯だったのだが、今日は何の張り紙も出ていないので、温泉が復活したのだろうか。それとも、開き直って銭湯宣言したのだろうか。
続いて向かうのは宗谷岬だ。宗谷岬側からR238を南下する際は、道が非常にいい感じなるので、それが反対側からだとどうなるかと期待していたが、それほどでもなかった。ここはやっぱり宗谷岬からのアプローチの方が良さそうだ。
程なくして宗谷岬に着く。3回目なので特に感動はない。まあ、ここに来るのは半ば儀式だ。最北端のガソリンスタンドで給油するのも3回目になる。モニュメントの裏に回って海沿いの岩の上に立ち、例によって「今この瞬間は俺が日本で一番北の端っこにいる人間だ」感に一瞬浸り、適当に写真を撮り、何となく土産物屋を眺める。
さて、宗谷岬を訪れた目的は、岬ではなくて宗谷丘陵だ。ここは牧草地を縫うように実にいい感じの道が広がっていて、素晴らしい景色が楽しめるのだが、地図を見る限り何箇所かダートがあるらしい。早速公園から丘陵に登り、ダートがある方向に行く。単にR238に下るだけっぽいダートがあるはずのところを誤って通り過ぎてしまったのだが、誤った先の道の方が良さそうなのでそっちに行ってしまった。この道は初めて通るのだが、一般人が誰もこない隠れステージみたいでいい感じだ。調子に乗って突き進んでいると、道がいきなりダートになってしまった。どうやらこの道はツーリングマップルに載っているダートらしい。さっきの道が実はここに繋がっていたとは。いやーセローで良かった。これがK1100RSだったら涙目になっていたはずだ。この道は、前方に利尻富士が見える素晴らしい道なのだが、基本的にはひたすら下りで、最後はR238にぶつかって終わる。
ちょっと走り足りない感じがするので、通常の舗装路で再び宗谷丘陵の旅に戻る。いつもバイクを停めて撮影をしている場所で停まる。これで基本的には満足したので、あとは冒険だ。
撮影ポイントの少し手前にダートがあることに気付いたので、ちょっとだけ戻って入り込んでみる。試しに進んでみたが、途中の分岐で意味不明な看板が現れる。これじゃ判断できないので、迷ったら真っ直ぐの法則従って直進。しかし、最後は牧草地で終点になってしまった。仕方ない、そろそろやめとくか。
R238に戻り、最北端のセイコーマートに寄ってソフトカツゲンで一服し、稚内森林公園に向かう。ここの奥に、利尻、礼文が見える丘があり、そこまでのアプローチがダートらしい。行ってみると、今までのダートよりも人が来ないからなのか、雨で出来た溝などか多くて走りづらい。周囲の景観は良いが、あまり見ている余裕はない。丘に着くと、確かに利尻、礼文はよく見える。放送施設はちょっと邪魔だけど。
さて、あとは今回のクライマックス、オロロンラインだ。その前にノシャップ岬でトイレ休憩。単なる漁港と観光地なので景色はイマイチ。そしてオロロンライン、というか道道106号に入り、南下開始。
いやーやっぱりこの道は良い!
一直線さで言えば他にも道はたくさんあるけど、景色や雰囲気まで含めるとやはりこの道は間違いなく北海道の道トップ3に入る。
今までは時計回りで走っていたが、今回は逆回りなので新鮮な感じだ。この道は、稚咲内から抜海の間が最も気持ちの良い場所なので、反時計回りだといきなり最高潮に達することになる。そういう意味でも、やっぱり時計回りの方がいいのかもしれないが、まあたまには逆に走ってみるのもいいもんだ。
稚咲内で一旦内陸に入って豊富に向かう。腹が減ったので昼飯にする。駅前にある来々軒という店で味噌ラーメンを頼む。何というか、どさん子ラーメンとかサッポロ一番的な昔ながらのラーメンだった。
次に向かうのは、駅近辺から6kmほど内陸に入ったところにある豊富温泉。この温泉は石油臭いらしい。町営の温泉施設に入ってみる。ここには湯治客も来るらしく、湯治湯と普通の湯、2つの風呂がある。それなりに有名なところのようだ。早速湯に入るべく浴室に入ると、その瞬間既に石油臭い。何だこりゃ。石油臭が嫌いな人には拷問だろう。まあそんな人はそもそも入ろうともしないだろうけど。
体を洗って湯船に浸かる。湯には油が浮いている。妙に身体がスベスベするのは、油のせいなのだろうか、それとも泉質のせいなのだろうか。湯自体はいい感じだし、石油臭も慣れると何ともなくなるので、次第にこのスベスベな湯が気持ち良くなる。あまり浸かりすぎると眠くなるので、適当なところで上がる。
そして再びセローの人に戻る。ちょっとだけ国道を走って、再びオロロンラインに戻る。北緯45度の碑などを見つつ走り続け、道道106号が終わり国道232号に出る。ここから先も増毛あたりまではオロロンラインなのだが、どうしてもオロロンライン=道道106のイメージがついてしまっている。
手塩を抜けて、ツーリングマップルに載っている怪しい町道を走る。調子に乗って走っていると、ここからがハイライト的な場所で工事通行止めになる。なんだか今回はこういうのが多い。仕方がないのでR232に戻り、淡々と走る。R232も、それ自体は非常にいい道なのだが、やはり道道106の後だと分が悪い。そういう意味でも、やっぱり時計回りが正解だ。この道沿いには旧国鉄羽幌線の遺構が多く残っていて、それを探しながら走るのもなかなか面白い。道の駅富士見で小休憩し、初山別のホクレンで給油する。残念ながらホクレンフラッグは品切れ。道北版の青旗を入手するチャンスはこれが最後だったのだが。
今日の寝床は旭川健康ランドの予定だ。この健康ランドには過去少なくとも2回、もしかすると3回行っていて、どういうわけか訪問回数が多い場所だ。何となく、行かなきゃいけないような気がしてしまう。もし天気がよくて夕日が見れそうだったら羽幌や留萌あたりでのキャンプも考えるところだったが、雲が多いので夕焼けぐらいしか見えないと思ったほうが良さそうだ。ある意味思い残すことなく旭川に向かえる。
旭川には苫前から霧立国道ことR239で行くことにした。苫前でオロロンラインに別れを告げて東に向かう。ツーリングマップルによると、この道はGSすらも無いワインディングロードとのことだが、ホントに何もない道だ。添牛内までの50kmほどで、擦れ違った車は一桁で、一台の車にも追いつかなかった。沿道に何もないのはまだしも、通過する人さえ居ないこの道は何のためにあるのだろうか。その間、SoftBankは当然ながら最初から最後まで圏外のままだったが、DoCoMoは律儀に霧立峠に基地局を立てていたりする。こういうところに会社の姿勢の差が出ている。
添牛内から士別に向かう道では多少車が増えてくるが、さっきまでよりは、というレベルであり、相変わらずガラガラ。トヨタの試験場前などを通過して士別の市街地に出る。昨日通ったところを30時間後に反対方向に走っている。そう思うと道北はちょっと駆け足だったと反省する。今回は道東の比重を上げすぎた。次に来る事があれば、もう少し道北で長く過ごしたいところだ。
士別剣淵から道央道に乗り、旭川北で降りる。そこで食べログでラーメン屋を探してみたが、あまり出てこない。とりあえず国道まで出て再調査すると、健康ランドに行く途中に一軒あった。他にも何店かあるのだが、どうも軒並み閉まるのが早く、既に7:30で閉まっているところまである。あまり迷わずに近場で済ませることにした。
店の前に着くと「味噌ラーメン よし乃」という看板が出ている。旭川と言えば醤油じゃないのか?と思ったが、面倒だし、地元に根付いていそうな店なので良しとする。出てきた味噌ラーメンは、非常に具沢山で食べがいのあるものだった。ちょっと辛いあたりが寒いところの食い物だという気がする。札幌みたいに凝ったものではないが、これはこれで良い。
そして旭川健康ランドに着く。金曜だからだろうか、駐車場はかなり埋まっている。何時の間にかバイク置き場というものが出来ていたのでそこに停める。荷物の整理をしていると、知らないオバチャンが割引券をくれた。実はWebのサービス券を印刷してあったので同じく割引になるのだが、折角なので有り難くいただき、活用させてもらった。
健康ランドの中は、今までとあまり変わりはなかったが、ロッカーが新しくなったような気がする。いつものように薬湯やサウナに入り、ほとんど空が見えない露天風呂でボケーとする。何度か来ていると勝手がわかっているので落ち着いてダラダラできる。
風呂から上がり、今まで入っていたレストランではなく、別の居酒屋に入って晩酌にする。こちらの方が閉店が遅いので都合が良い。ビールとグレープフルーツサワー、そして豚串と枝豆。酒を飲みながらこの文章を書いていたが、さすがに疲れていたらしく一気に眠気が来てしまい、最後まで書くことは諦めた。現金で会計を済ませ、レストルームに入る。あっという間に寝てしまった。キャンプやホテルより健康ランドの方が落ち着くってどうなのさ。
本日の走行距離:465km