辻吉家@辻堂

前日に、意図的にアッサリ系を求めて樹のラーメンを食ったせいだろうか。妙にくどいラーメンが食いたくなり、雨が上がった一瞬をついて梵天家に向かった。
梵天家に着くと、どういうわけかシャッターが下りたままになっている。よくよく見てみると、
「定休日じゃないけど、お休みです ぼんてんや」
なんていう妙にやる気の無い貼り紙がしてあるではないか。
普通の店だったら、単に臨時休業だろうと思うところだが、梵天家の普段のガラガラ具合を考えると、どうしてもよからぬことを考えてしまう。
とにかく、開いていないのでは仕方が無い。どうするか考えた挙げ句、久しく行っていない辻吉家に向かうことにした。
辻吉家は、1年くらい前はよく行ったのだが、ここ半年くらいご無沙汰している。最初に食った時はかなり美味いと思ったのだが、その後は味のバラつきがかなり激しくなり、さらに味も薄くなってしまい、あまり満足できないまま店を去ることが続いてしまった。その結果としてあまり行かなくなってしまったのだが、半年経ってどうなったのだろうか。
店に着くと、相変わらず客は多く、満席であった。客が入っているということは悪くない証だろう、と思いたいところだが、我々の足が遠のくようになった頃でもやっぱり客は多かったので、あまりあてにはならない。頼むのはやはりラーメン(600円)で、食券を買って壁沿いの椅子に座っていると、店のお姉さんが食券を取りにくる。味濃いめにしようかどうか迷ったが、結局何も言わなかった。
空いた席に移り、暫く待ったところでラーメンが出てきた。見たところ前と全然変わっていない。スープを飲んでみると、案外悪くないような気がした。しかし、何回も飲んでいるうちに、段々と何も感じなくなってくる。味が薄いのか、熱すぎて判らなくなってしまうのか。とにかく、ただ飲んでいるだけになってしまう。麺は太めの縮れ麺で、食感も悪くないのだが、スープの味がとにかく薄い(というか、味が感じられない)ので、麺ばかりが目立ってしまう。具は一般的な家系のもので、あまり特徴は無い。チャーシューは1枚で、味といい大きさといい、あまりパッとしないチャーシューである。
結局のところ、全体的に悪くはないのだが、やっぱりもう一押しが足りない。何かが足りない。パンチが無い。素直に「美味い」と言えない。もしかすると味濃いめなら美味いのかもしれないが、そういう「条件付きの美味さ」は、あんまり認めたくない。デフォルトで美味くて、さらに好みを加えられるからこそ価値があるのだ。この味だと、二度と来ないとは言わないが、多分また半年くらいは来ないだろう。同じ600円だったら、やっぱり梵天家の方が好みだ。それにしても、何で閉まってたんだろう?