直したつもりが壊していた

先日の車道峠最高所ツーリング中に、ある程度の標高以上(だいたい1500m以上)になると息つきが激しくなる症状が出まくったので、ためしにキャブの掃除でもしてみることにした。この症状、高所に限らず、急加速しようとした時にもたまに発生していたので、いつかは確認した方がいいだろうとは思っていた。その時が来たと思うことにする。

そもそも汚いし…

キャブ掃除作業自体は、ちょっと前にSRXのキャブを掃除した(というか、やってもらったのを横で見ていた)ので、特に困るようなことはない。仮に失敗しても、セローのキャブなんてネットにいくらでも情報が出ている。何も調べずにぶっつけ本番でどうにかなるはずだと決めつけていたのが悪かったのか、キャブをインテークから外そうとグリグリやっていると、指先に妙な感触があり、その直後に何らかの物体が地面に落ちる音が聞こえた。どうやら、キャブの横にあるプラスチック部品を割ってしまったようだ(これが割れるのはお約束らしい)。

割ってしまったものはどうしようもない。ひたすら無理矢理捻ってインテークおよびエアクリーナーBOXからキャブを外し、ネジを外して分解する。ただ単に分解するだけなら大した話ではない。ネットに載っている事例を参考にして作業をすすめる。そして中を見てみると、各部品は基本的にはキレイな状態であり、特に掃除の必要性が感じられない。そりゃそうだ、前にG湘南に掃除に出してから2年しか経っていないし、その後コンスタントに乗っているのだから、そうそう汚くなるはずがない。

掃除の必要性が感じられない

ということはパイロットスクリューの調整だけで良かったのかもしれないのだが、その調整はわざわざキャブを開けなくてもできるので、全くもって開けた意味がなかった。しかも部品を破壊してしまうとは。

とりあえず各種部品をキャブクリーナーに浸けた上で、組むだけ組んで元に戻すことにした。壊れた部品は当然壊れたままなので動く保証はない。しかし、組み付けてみたところ、動く/動かない以前の問題が発生した。ガソリンコックを開いたところ、ドレーンからひたすらガソリンが漏れまくるようになってしまったのだ。しかもその勢いが半端ではない。

ここで冷静にキャブの構造を考えれば致命的な誤りに気付きそうなものなのだが、何しろ自分で部品を破壊してしまっている上、各種Oリングはそのまま再利用で、しかも組み付け作業自体も自信満々とは言い難いことから、取付の誤りよりも部品の問題だと思い込んでしまった。ネットで注文すると10%引きになる部品店で、壊してしまった部品を注文する。たかがプラスチックの成形部品なのに2千円オーバーとは酷い値付けだ。いい機会なので、各種ナントカジェットとかナントカニードルとかナントカリングとか、そういった消耗する類の部品もついでに注文した。気づいたら1万円になっていた。やる必要もない修理をして1万円。1989年のバイクだから部品を変えてもいい頃だし…とか思いこまないとやってられない。

数日後に部品が届いたので再挑戦した。

慎重に部品を組み付けてキャブを組み上げ、それをセローに装着する。またドバドバ漏れるかもしれないので装着自体は適当にやってコックを捻ると、前回と全く変わらずガソリンダダ漏れ状態になる。あれだけ慎重に新品部品を組んだのだから部品の問題ではない。

ダダ漏れ

その後もネットの各種経験談とかSEROW FILEなどを見ながら、フロート位置調整だの何だのと色々やってはみたが、ダダ漏れ状態は一向に変化を見せない。ここまでくると何かが根本的に間違っているに違いないので、ドバドバの原因から真面目に考えざるを得ない。そもそもキャブの仕組みだとか構造だとかをきちんと理解せずにやっていることも問題なので、その手のサイトも見ながら問題を潰していくことにした。まるでソフトウェアのバグ取りをやっているみたいだ。

何故ガソリンが漏れるかと言えば、どこか止めるべきタイミングで止まっていないからであって、キャブの構造を考えればフロートとニードルバルブのあたりを疑うことになる。そこでキャブの中身の配管を想像しつつ、ここからガソリンが入って、ここに溜まって、溢れたものがこのドレーンから出てきて…なんて考えているうちに、そもそもガソリンコックからのホースをドレーンに繋いでしまっていたことにようやく気付いた。そして本来ガソリンが入って来るべき、ニードルバルブに繋がっているであろうパイプには、何も刺さっていない。嗚呼、何てこった、これだ、これに間違いない。

本来あるべきであろう位置にホースを繋ぎ直し、コックを捻ると、当たり前のようにガソリンは全く漏れてこない。やはりこれか。何やってんだ俺。馬鹿か俺。そして改めてキャブをきちんとインテーク、エアクリーナーBOXに固定し、セルを回すと、ごく普通にエンジンがかかった。ホラ、ちゃんと考えずにやるからこうなるんだ。こんなことで何リットルのガソリンを駐車場にバラ撒いたんだ。いいかげん反省しろ俺。

しかし問題はまだ終らない。やっと動いたと思ったら、今度は回転が安定しない。特に低回転がダメだ。問題の原因はチョークだ。正式にはスタータープランジャとか言うらしい。キャブを外す際にチョークケーブルを外さなければならないのだが、その取付用のプラスチックネジが割れて壊れてしまったのだ。こんなの無くても関係無いだろうと決めつけて部品注文時に買わなかったのだが、やはり無ければまともに動かないようだ。

折れてしまったネジ

買わなかったのには理由があって、この部品が法外に高いからだ。たかがネジなのに3309円もする。こんなプラスチックのネジがこの値段? 単品だったらせいぜい200円のネジを、無意味にAssyにして15倍の値段を取るこのヤマハ商法は許し難い。だいたいこんな箇所にプラスチックのボルトを使う事自体間違っている。さらに言えば、このネジは非常に場所が悪く、恐ろしく締めにくく、また緩めにくい。要するに設計上の問題がありすぎる。

この部品に関しては、今回壊したのではなく、以前から壊れていた可能性がある。ステアリングを左におもいっきり切るとエンジンが停止する症状が以前からあり、それがチョークと関係していたので、元々実は壊れていたのかもしれない。とはいえ不便に感じるほどでも無かったので、やっぱり今回とどめを刺した感が強い。

このネジはダメでも、スタータープランジャを強く差し込んでおけばとりあえず普通に動くので、その状態でパイロットスクリューの調整をする。標準は2回転戻しらしいのでそのようにしておく。一応動くことは動く状態になったので、試運転も兼ねて近くのYSPに部品を注文しに行く。前金で3309円を払う。セローの持病である消耗品なので仕方がないが、次に壊れるまでの間にどうにかして代替部品を探しだしてザマアミロと言いたくなる値段だ。

数日後、相変わらず低回転のおかしいセローで部品を取りに行く。

この取り付けにくいネジをどうにかこうにか回してチョークケーブルを取り付ける。ただ単に回すだけなのだが、横着してタンクをつけたまま回しても、なかなかナットが奥の方に進んでくれない。結局タンクを外して装着する羽目になる。

結果的には、同時にやったパイロットスクリュー調整とどちらが良かったのかはわからないが、エンジンは概ねまともな状態になった。

しかしその後、外出から戻って翌日になるとエンジンがかからない事態が発生。結局、ドレーンから少しガソリンを抜いたら簡単にかかったのだが、これはフロートの位置を誤ったか? 構造が簡単なセローとはいえ、また全部バラすのはメンドクサイ…