連休とはいえ大型旅行に行く予定も無いので、セローでプチツーリングに出かけることにした(残念ながらK1100RSはエンジン不調)。
「日帰り圏内で、行ったことがなく、連休でも大渋滞しなさそうなところ」という条件であれこれ考えた結果、静岡中部の大井川鉄道沿線を走ってみることにした。日帰りなので大した準備もいらない。ETCやRAMマウント、タンクバッグを取り付けて、さて出発・・・したところ、なんだかブレーキがスカスカだ。すぐに戻ってブレーキオイルを補充すると、なんとなくまともになった気がするので、再度出発。
西湘バイパス、箱根新道と走り、R1で三島に降りて、伊豆縦貫道経由で新東名に乗る。箱根新道や伊豆縦貫道がタダなおかげで安く済むのはありがたい。まだ出来たばかりの新東名の各SAは、なんだか名古屋っぽいバブルな雰囲気が漂う。お茶マシーンが無かったりして(実はフードコート内にあるらしいけどそれはちょっと違うだろう、インフォメーション近辺にあるべきだ)、実用性という観点ではイマイチだ。SA/PAにドッグランなんていうソロツアラーにもトラック運ちゃんにも無縁なものを作るのはやめていただきたい。あくまで休憩所であって、目的地ではないのだから。「タダの茶を飲みながら椅子に座って電光掲示板の渋滞情報を見る」なんていう、ごく当たり前の休憩もできやしないなんて本末転倒だ。
大したスピードが出ないセローは、新東名をカッ飛ぶ他車にビュンビュン抜かれながらも何とか島田まで走り抜けた。インターを降りると、一般道に並行して大井川鉄道の線路がある。さて、山奥に入る前にガソリンでも入れるか、と思いつつ信号待ちしていると、何と目の前を轟音を上げてC11型SLが通過していくではないか。
思いつきでここまで来たのに、なんという運の良さ。ガソリンスタンドのことなんてすっかり忘れて、C11と並走すべく県道を北上する。線路が標高の低い川沿いを走るのに比べて、県道はアップダウンを繰り返しながら少し離れたところを走る。そのため、C11より前にいるのかどうかすら定かではない。単純に速度を比べたらこっちの方が早いが、鉄道の方が起伏もクネクネも少ないので比較しづらい。ちなみにこの県道自体も、道幅十分で適度にコーナーを繰り返す、非常に素晴らしいツーリングルートである。
もうとっくに抜いているに違いないと思われた頃に、再び県道と線路が並走しはじめる。暫くすると駅が現れ、多くの車が空き地に止まっている。これは皆C11を待っているに違いないと確信して、適当な空き地にセローを停めて線路に近寄る。ここは交換駅のようで、駅には元近鉄ビスタカーが停まっている。iPhoneのカメラを用意しているうちにC11が来る。そしてそのまま駅を通過していく。本線用特急列車が、支線用小型SLの通過待ちをしているのは絵面としては面白いのだが、知らない人にはどうでもいい話だろう。
C11に関しては満足したので、あとは普通にツーリングを続ける。大井川沿いは茶処であり、道路の両側は至る所が茶畑だが、残念ながら新茶にはまだ早い。とはいえ一応名物なので、途中の道の駅で土産の茶を買う。途中で渋い駅舎のある駅に寄ったり、珍百景にも出てきた異様に短いトンネルを見たりしながら走っているうちに千頭駅に着く。
ここでもSL待ちの人々が線路沿いにたむろしている。こちらも全く狙っていなかったのだが、俺が着いて数分後に千頭駅を金谷に向かって発車していった。こう何度も遭遇すると有難味がない。1日2往復ぐらいのはずなんだけど。
そのまま鉄道沿いを走っても良かったのだが、せっかくここまで来たのでついでに寸又峡に行ってみる。道路は狭くなったり広くなったりを繰り返す。紅葉シーズンは大渋滞間違い無いと思われるが、この時期はガラガラだ。そして集落に到着したが、駐車場が有料らしいので停めるのをためらってしまう。その奥にバイクを無料で停められるエリアはあったが、あまり落ち着かない場所なのでここにも停めず、そこから少し戻って、秋には混雑するであろう大駐車場にあるベンチのところで、途中のスーパーで買っておいた弁当を食う。せっかく自然のあるところに来たんだから、昼飯は店で食うより外で食う方が美味い。
腹も埋まったのでツーリングを続行して、さらに山奥に向かう。再び線路沿いの人になるが、千頭駅より先はアプト式の井川線。ダム湖の湖上駅などを眺めながら、どんどん人の気配が無くなる山道を進み、遂に大井川鉄道の終点井川駅に着く。駅とは言っても、周りには何もない。基本的に林業用の路線だからこんなもんか。そして、何とここでも列車に遭遇した。こんな山奥なのに静岡市で、しかも政令指定都市なので区を名乗っているのが変な感じだ。
これより先は単純に山道でしかなさそうだ。もう時間も遅いので帰ることにする。ここから高速までは、距離としては大したことはないが、ろくな道がない。どこを通ってもセンターラインのないクネクネ道ばかり。主な道は2本あるのだが、片方は土砂崩れで通行止めなので選択の余地がない。そのクネクネ道を淡々と走って、東名の清水ICから高速に乗る。その頃には既に暗くなっており、あとはひたすら走って帰るだけ。
特に問題を感じることもなく無事に帰宅したのだが、実はブレーキマスターシリンダーがすごいことになっていたことに後で気づくのであった。
走行距離440km、消費ガソリン13.6L、燃費32.3km/L。
道路代1750円、ガソリン代2088円。
まあまあ安く済んだし、大井川鉄道も観察できたし、楽しいツーリングでした。