K1100RSで走行動画撮影

今回のツーリングでは、ちょっとだけ真面目に走行動画撮影をやってみた。

使用したカメラはSONY DSC-TX10という、動画撮影に長けた防水コンパクトデジタルカメラ。この手の用途で使われるGoProCONTOURが欲しいところではあったが、これだけのためにいきなり数万円を投資する勇気はないので、普段の旅行や遊びでも使えるTX10を型落ちアウトレット価格(13,000円)で購入した。

基本的にカメラに関しては気に入ったカメラメーカーのものを使いたいのだが、今回は動画が主目的のため、そこは眼をつぶることにした。

【走行動画】

Part 1

Part 2

【撮影方法】

バイクでの動画撮影にあたっては、カメラの保持方法が最重要課題である。いかに振動を抑えるかがポイントで、結局のところ人体(ヘルメットや胸)に固定し、且つ余計な動きをしないことが最も良い方法と言われている。

GoPro等ではこの手のマウントが用意されているが、TX10用にあるわけがない。三脚穴を使って無理矢理作れないこともないのだが、カッコ悪い/確実な固定ができるか不安/使いづらい、等の理由によりやめた。

そのため、ハンドルかカウルのいずれかに固定することになるが、今回はカウル最上部にL字金具と自由雲台を使って装着した。

金具取り付け前

金具、自由雲台を取り付けた

TX10を装着

振動という観点で言えば、カウルの端っこというのは最悪だ。

K1100RSのハンドルはラバーマウントのため、ハンドルの方が振動を抑えられる可能性が高い。それならハンドルマウントにするべきなのかもしれないが、諸々の事情(K1100RSのカウルよりさらに高い場所にカメラを配置できるようなマウントを探す時間がなかった)を勘案して今回はカウルマウントにした。

【TX10の良い点】

  • コンパクトデジタルカメラにしては動画撮影能力が高く、フルHDサイズで60iの動画を撮影できる。実際、60iの動画の品質はこのサイズのカメラにしては満足のいくレベル
  • 動画性能が高い防水カメラは、動画撮影時は広角に弱い製品が多いが、TX10は25mmまできちんと使える(車載動画は広角が重要)
  • 防水、耐衝撃仕様であるため、バイクへの車載に向いている
  • 操作性はなかなか良い。グローブを装着していても録画開始・終了は可能
  • 動画撮影中に「キャプチャ」として静止画を別途保存できる(まあ、後で動画から抜き出せばいいだけではあるが)
  • 基本的なデジタルカメラとしての性能もそれなりに高いため、わざわざ一眼レフを出すのが面倒なタイミングでは意外と使える。特にパノラマ撮影は意外と重宝した
  • (ここが重要だが)型落ちなので安く買える

【TX10の悪い点】

  • TX10の形状では、ヘルメットへのマウントは難しい
  • 電池の持ちが非常に悪い(連続撮影で30分が限界)。しかもUSBからの外部給電時は再生しか出来ない(給電しながら録画できない)という意味不明な仕様である。防水性と両立させるにはそうせざるを得ないのかもしれないが不便だ
  • 充電/転送用のUSB端子がSONY特殊端子であり、専用ケーブルを用意しなければならないため荷物が増える(次モデルではMicro USBになったらしいが)
  • 風切り音防止機能はあるが、バイク動画のレベルではほとんど意味を成さない
  • 撮影開始/終了や電源ON/OFF以外の操作は基本的にタッチパネルだが、グローブとタッチパネルは相性が悪い。動画撮影の開始・終了だけならタッチパネルを触る必要はないのだが、たまにおせっかいなメッセージダイアログが出る時があり、これを消すことが出来ない
  • 散々言われているが、レスポンスがよろしくない

【今回の反省点】

  • カウルマウントのため、どうしても振動が多い。ハンドルマウントの方がもう少し抑えられたような気はするが、ヘルメットに比べたら五十歩百歩かもしれない。
  • TX10の内蔵マイクではどうしても風切りを防ぎきれず、音声は別のレコーダー(具体的にはiPhoneの内蔵マイク)で取ることになった。この音声録音も、当初はiPhoneに接続した外部マイクを利用したのだが、タンクバッグの中でさえも風切り音が酷く、結局iPhone内蔵マイクの開口部にセロテープを貼る状態が一番マシ、という結論になった。この実験も、ツーリング出発前にやっている時間がとれず、往路の東北道で何度もPA/SAに停まりながら試す羽目になった。これで無駄に1時間ぐらいは使った気がする
  • フルHD・60iだと動画ファイルサイズが大きくなる。そのためSDカードの容量消費が激しく、4日間のツーリングをきちんと撮ろうとすると32GBのSDカードが数枚必要になってしまう。そこまで品質を求めていないので、今回はHDでは最も小さいサイズで撮影した(これもTX10のせいではない)

【思わぬ問題点】

実は撮り終わった後が問題だった。TX10の動画をMacに取り込むだけで10時間ぐらいを要し、いつまで経っても見ることができない。しかもこの取り込み処理はしばしば失敗し、取り込みが中途半端に終わる(取り込み処理中のMacにiPhoneや他のSDカードを接続する等の際に発生するI/O処理が何らかの影響を及ぼしている気がする)。

さっさと見たければTX10を直接テレビに繋げばいいのかもしれないが、困ったことにうちの古いプラズマテレビにはHDMI端子がない。

Macに取り込む際は、AVCHDからMOVに変換されるため、ファイルサイズが2~3倍ぐらいになってしまう。1回のロングツーリングで100GB超を消費してしまう計算になる。ちょっとデカすぎる。

少なくともMacBookの内蔵HDDで数年にわたって捌ける範囲の消費量ではないので、今後のHDD運用を考えなおさなければならない。

【総評】

4日間で32GB/8GB/8GBの合計48GBのSDカードを使い切った。無駄なものも多くあるが、その無駄なものも含め、後で見て楽しむ分にはなかなか面白い。

ツーリング中に「写真」を撮ったとしても、それは目的地や中継地での休憩中であり、肝心の走行中の写真というものは、特にソロの場合は通常存在しない。そのため、気分的に最も盛り上がっているタイミングの写真がなく、肝心なところは思い出の中にしか存在しないし、他人にも説明もできない、という問題があるのだが、動画はそれを解決してくれる。

副次的な効果としては、動画を撮っていると、ちょっとは上手く走ろうという意識が高まるため、ライディングが多少改善される(普段から意識しろと言われたらそれまでだが)。