一体何がどうなってイマドキのVespaなんて買うことになってしまったのか。その経緯みたいなもの。
そもそも何故スクーター?
そのへんの散歩や買い物に大活躍していたLead90を2010年にエンジン焼き付きで廃車にしてしまって以来、スクーターの代わりにセロー225をアシバイクとして使っていた。セローはアシとしては非常に優秀ではあるものの何だかんだでバイクであり、やっぱり原付二種(125cc)スクーターが欲しいと思っていた。
「なんか違う」と思いつつ、どうしても困るわけでもないので騙し騙しセローを使っていたものの、葉山に引っ越してからというもの、その「なんか違う」感は高まる一方。例えば夏場ちょっと海に泳ぎに行く、とかいう時にスクーターとオフロードバイクでは「ちょっと」具合が若干違っているわけであります。これは両方乗ったことがある人しかわからないかと。
何故今なのか
そうは思いつつ、しつこいようだが「どうしても困るわけでもない」ので、なかなか踏ん切りがつかない中でやってきたのがフロントタイヤの摩耗。もうそろそろスリップサインがツライチになってしまいそうだ。ここでタイヤを替えればあと数千キロは乗れるが、それは即ち今年の夏においてもアシはスクーターではなくセローであるということを意味する。去年の夏、何度「スクーターがあればよかったのに」と思ったことか。それほど深く考えるまでもなく、セローのタイヤ交換よりもスクーター購入を選択することになった。
車両の買い替えというのは突然の出物、消耗品の劣化、ナントカ切れ(車検だったり保険だったり)、生活パターンの変化(により乗らなくなった)、あとは金銭的問題が大半の理由。今回もその例に漏れず、フロントタイヤがそのきっかけとなった。
予算と条件
スクーター代として考えていた予算は、10万円。ちなみに前に乗っていたLead 90は5万円だった。しかし、10万円を想定して中古バイクサイトやオークションを調べてみると、10万円で買えそうなものはかなり限られていることが見えてきたので、セローを手放すことを前提に20万にした(セローの車両売却代+数年間の任意保険代相当)。
自分にとってのスクーターは基本的にアシであり、それ自体に何らスペシャルなものは求めていないのだが、今回はセローを手放してスクーターを入手することになるので、多少は面白味があったり、所有欲を満たせるものが欲しかった。アシとはいえ通勤で使うわけではないので、極普通にシグナスやリードでは面白くもなんともなく、全く食指が動かない。面白味って何だと言われても困るが、要するに一癖あればそれでいいのだ。
但し、足元に荷物を置きたいので、フラットまたはそれに近いことも必要条件になる。
じゃあどうしてVespaなのか
一癖ある国産スクーターというと、例えばBW’sあたりなわけだが、今のBW’sはどうにもこうにもガンダムチックというか、無駄なゴテゴテ感が凄くて、自分がそれに乗っている姿を想像したくない。だからといって今更2スト100ccの旧型BW’sなんて、すぐに壊れそうで買う気になれない。それはBW’sに限った話ではなく、さらに言えばスクーターに限った話でもなく、ここ10年くらいの国産車のデザインは個人的には全くピンとこない。それならいっそのこと旧車を・・・ということでジェンマやシグナスの古い型について調べてみると、さすがにそろそろ部品供給もやばそうだし、程度良好車に出会える可能性も低そうだ。そんなわけでフツーの国産車はほぼ候補から消える。
そこで半ば消去法で、タイヤマハあたりのわけのわからない並行輸入車と外車を調べ始めた。外車とは言っても台湾かイタリアぐらいしかないのだが。台湾製品は、いかにも対シグナス、対マジェスティ、またはインチキVespaみたいなものが多く、あんまり興味がわかない。東南アジア向けのヤマハやホンダのものにはなかなか面白そうなものもあるが、10万単位の金を出してまで欲しいとは思えなかった。残るはイタリア。アプリリアのSR125 motardあたりはなかなか面白いが、部品供給やら何やら不安が多すぎる。
というわけで、最後に残った選択肢が元祖スクーターのVespaだった。
Vespaと言われて想像するのはこんなやつななんだけど…
{This photo is by Jonathan Ponce on flickr}
今度買うスクーターは嫁さんも乗るかもしれないので、ハンドチェンジ&混合給油の古いヤツはその時点で却下になり、買うなら今時のAT VespaとかModern Vespaとか言われているものになる。
というわけで、個人的にVespaに思い入れがあるわけでもなく、カタチに惚れ込んだわけでもなく、どっちかというと「ちょっと風変わりなモノ」として面白そうだった、そして「そんなに皆良いって言うなら一度くらい乗ってみてもいいだろう」という程度の理由で、いわゆるModern Vespaを探すことになった。
このModern Vespa、クルマでいえば現行miniや現行ビートルなんかと近いものがあり、普段は現行miniを見るとなんだか釈然としない気分になる自分的に、今回の選択はどうなのかと思ってしまうのは否定しない。
何故LX125なのか
Modern Vespaで125ccのものは、そもそもET4, LX, Sのどれかしかない。Sの四角いライトとメーターは趣味じゃないのでET4, LXのどちらかになるが、ET4は最終年式でも10年落ちなのであまり出てこない。事実上LXの一択。ここでもまた消去法。
LXにも2010年頃を境にキャブとインジェクション(ie)、さらには最終型の3 valveと3種類あるが、買えそうな価格帯だと大抵キャブかie。ieは燃料ポンプに持病があるらしいけど、K1100RSの燃料ポンプ交換経験があるのであんまり気にならない。
ちなみに最新型のPrimaveraはデザインも洗練されていて、素直にこっちの方がLXより格好良いと思えるが、まだ出たばかりで新車しか無いので予算オーバー。Primaveraが普通に中古で買えるような値段まで落ちてきたら考えるかもしれない。
LX125の中古車を探す
これまで4台のバイクを個人売買やYahoo!オークションで買った経験上、それらには何のアレルギーもないので、当然のようにオークションを探す。しかしLX125はあまり出てこない。たまに出てきても中古車屋並に高い。
オークションなのに安くないのでは意味が無いので中古車屋を探すが、LX125の中古車は少ない。検索サイトを見ても数台しかない。そこでレッドバロンの実店舗を巡ってみると、最初に行った港南店でLX125 ieの白、4500km走行で風防とリヤキャリアがついたものが245,000円だった。
値段、程度は「まあこんなもんか」だったが、白という色が微妙だった。そこで近隣のレッドバロンやPIAGGIOディーラーを巡ってみたが、LX125の中古は置いていなかった。あったと思ったら150だったり、50だったり。レッドバロンのお兄さんに在庫検索をしてもらったが、多走行車なら20万程度のものもあるが5,000km程度のものはやはり25万円前後になるようだ。意外と高い。若干ながら予算オーバーだ。
横須賀のレッドバロンにはLX125 ie 3vの新車が307,000円で置いてあった。客観的に見れば、5万円程度の差で3vの新車だったら全然悪くない話なのだが、スクーターに30万も払うというのは自分的にどうにもこうにも許せない。K1100RSでさえ285,000円で買ったのに、それより高いスクーターというのはどこかおかしい。そんなつまらない理由でこの新車も見送る。
遂に思い切る
そこで、ちょっと前から埼玉の中古車屋に出ていた「3000km走行、237,000円、紺、2010年式 LX125ie」を見に行くことにした。葉山からは少々遠いので見なかったことにしていたのだが、色々と調べていくにつれてこの車両はかなりの上物に見えたので、現物を見ておいても後悔は無いだろうと思えた。店に行くまでのガソリン代も安くなってきたことだし。
まだ売れていないことを電話で確認した上で見に行くと、少なくとも外見はネットに載っていた画像の通り上物だった。おそらく車庫または屋根下+カバー保管だろう。ナンバーがないので試乗できないが、エンジンの調子は悪くなさそうだ。価格交渉してみると、自賠責3年も含めコミコミで275,000円(車両代は約210,000円)に値引きしてくれた。他店やオークションで、この程度・この値段・この色のものが再度現れる可能性はほぼなさそうに思えた。遂に思い切るタイミングが来たようだ。
2015年1月24日、遂にVespa LX125ieを買ってしまった。3ヶ月前には思ってもいなかった展開。
せっかく埼玉まで来たので、幸手まで行ってジョイフル本田に寄り、併設スーパーで寿司を買って帰った。
さて、リヤに箱をつけるか、それともキャリアにするか、サイドスタンドはどうするか・・・なんていう楽しい悩みに没頭するかと思いきや、本業で大トラブル発生。LXのことなどこれっぽっちも考えることなく納車日を迎えたのであった。