左リヤウインドウ端部錆取り&グロメット交換(代替品)

左ドア下部の錆取り(取るだけ)が思いのほか簡単に終わったので、前から気になっていたこの部分の錆取りをやってしまうことにした…のだが、開けてみたらとんでもないものが待っていた。

あれは氷山の一角だった

ここに錆が見えるということは、当然ながら左リヤウィンドウのウェザーストリップの裏側も結構な錆具合であることが予想できるので、錆取りのためには全容を確認せざるを得ない。くどい書き方をしたが、要するにこのガラスを外してウェザーストリップを剥がさなければならない。面倒だが避けて通れない。

プラスネジを3本抜いてガラスを外し、ウェザーストリップを半ば強引に引っ張り上げると、凄い量の錆がボロボロッと落ちてきた。

よく見ると、ウェザーストリップの向こう側(内装側)も酷い状態だった。内装の隙間から覗けば見えていたはずだが気づかなかった。

さらにメリメリッとウェザーストリップを外すと、鉄板の張り合わせ部が錆で無くなっていた。あるべき場所に鉄板がなく、ボロボロの錆がウェザーストリップの谷間に挟まっていた。

錆びていること自体は予想通りなのだが、錆具合が予想をかなり上回っていた。参ったなこれは。

こうなってしまった原因はよくわからないが、ガラス固定部のグロメットが劣化していたのを長年放置していたからだろうか。ただ、雨漏りしたからって、こんなところにそこまで水が溜まるのだろうか。下に落ちてきて溜まるならわからないでもないのだが。

急遽錆取り実行

ウェザーストリップを剥がすにはガラスのステー(下側)が邪魔なので外したいが、そのためにはBピラーの内張りを外さねばならず、そのためにはシートベルトを外さねばならない。「そのためには」が続きすぎて設計書の文書レビューで指摘を受けそうな状況だが、本当にそうなのだから仕方ない。

シートベルト脱着以外では一度も使ったことがない16mmのソケットでボルトを外し、内張りを力技で剥がし、ネジ2本抜いてステーを外し、ようやくウェザーストリップを外す。さらに内装も外すが、そのためにはリヤスピーカーのボルトを外し、リヤシート背もたれを固定するプラ部品を外し、さらにそのためにはリヤシートの座面を外し、…と、こちらも「そのためには」ばかりが続く。そしてようやく内装を外す(というより、浮かす)。

ここまできてようやく錆取りできるようになる。先ほどまでの作業で砥石アタッチメントをつけたままになっていた安物電動ドリルでガリガリ削る。どうせウェザーストリップに隠れてしまう場所なので容赦なく削る。わかりきっていたことだが、辛うじて残っていた鉄板にも簡単に穴が開く。残しておいても意味がないのでガリガリ削る。

作業中に、遠くの方から雷の音が聞こえるようになった。雨雲レーダーによると、あと40分ほどでこの場所にも雨雲が来てしまうようだ。これはまずい。よりによって色々外しまくってしまった状態でのゲリラ豪雨は困る。ここでやめるか、それとも急ピッチで作業を進めるか。慣れない作業だったら止めたかもしれないが、幸い慣れた作業だ。急いで進めてしまうことにした。

削っているうちに気づいたのだが、袋状になっている鉄板の間に、ビニールで覆われた柔らかい物体が挟まっている。住宅用の断熱材のように見える。こんなものが最初から入っていたのだろうか。もしかして自分で入れたのかもしれないが、全く記憶にない。

雑に穴を塞ぐ

削るだけ削ったので、あとは塞ぐだけだ。先ほど閉じたばかりのPOR15の蓋を開けて塗る。穴だらけなので、適当な大きさに切ったグラスファイバーを被せて穴を塞ぎ、失われた鉄板の代わりもグラスファイバーを板状に張り合わせて作る。

さらにその上からPOR15を塗る。いつもやっている手法だ。これで鉄板相当の強度があるかというと、無いだろう。ただ、今までそもそも鉄板すら無かったのだから、何もしないよりはマシだ。素人作業には諦めが肝心だ。

若干ウェザーストリップからはみ出す気がするが、急いでいるので放置する。気になるなら硬化後にカッターナイフで切り取るか、上から覆って誤魔化すことになる。もしくは気にせず放置する。

いよいよ雨雲レーダーが示す雷雨の時間が近づいてきた。大慌てでガラスやリヤシートを社内に放り込み、リヤクォーターウィンドウ部をマスカーと養生シートで塞ぐ。どのぐらい役に立つかはわからないが、何もしないよりマシだろう。

ちなみに、結局ゲリラ豪雨は来ず、数滴の雨粒が落ちてきた程度であった。

数日後、マスカーを剥がして状態を確認する。Bピラー外装に養生テープの跡が残ってしまって非常にみっともない。全然雨がふらなかっただけに腹立たしい。

POR15 on グラスファイバーの修正部は問題無さそうだ。完全に気休めだが、アルミテープで覆って完了扱いとする(グラスファイバーがトゲのようになっていてゴムに刺さったら嫌だなあ、とか、実は塞ぎきれていなくて穴が残っていたら嫌だなあ、という程度の話)。

グロメット代替品の選定

曲がりなりにも錆取りは終わったので、外したガラスを装着する。そのためには(しつこい)ボルト/ナットとガラス面の間に挟むグロメットが必要だ。ずっと前に適当にゴムを切って挟んでいたのだが、これは今でもよだれを垂らさずに使えている。ただ既に7年経過しているので、分解後の再利用はできないと思ったほうが良い。

とはいえ純正部品(8-94480-192-0)はモノタロウ価格で1個210円。左側分だけでも1260円、1台分だと2520円である。専用品とはいえたかだかゴムだ。安いとは言えない。

だからといって、また汎用のゴムを丸く切るのも面倒なので、代わりになるものはないかと探してみた。水道工事用のゴムで代替したというネット情報は幾つかあるが、困ったことにその水道用ゴムもホームセンター等で普通に買うとそれほど安くはない。大差ないなら純正のほうが良い。格段に安いものは無いかとネット上を探しているうちに、この2つを組み合わせればいけるのではないかという仮説に至った。

純正部品は凸型のグロメットを内側・外側から挟むこむ構造だが、代替品は平型2枚(ガラス表面)+パイプ状1つ(ガラスの穴部)という組み合わせが常套手段だ。画像上が前者、下が後者である。純正品と代替品のイメージは下図の通り。

単純計算だが、10円x12枚+12円x6枚、計192円。1/10以下なので圧倒的な安さだ。外側はまあいいとして、穴部用は微妙にサイズが異なるのでギャンブルになるが、アテが外れても全然悔しくない値段だ。また、ここではサイズ観点でしか見ておらず、材質はあまり深く考えていない。どうなるかはやってみないとわからないが、深く考えずに適当に使ったゴムがそれなりにもったので、速攻で駄目になることは多分無いだろうと楽観的に考えておく。

この錆をどうにかしなければならないことと、グロメット交換が不可避であることはわかりきっていたので、これらのゴム部品を事前に買っておいたのだが、それが役に立つ日がやってきた。

代替品グロメットでガラス装着

まずは物理的に装着可能かどうかを確かめなければならない。錆取りの都合により前側下部のステーを外してあるので、それを使って取り外し済みのガラス、ゴム2枚+1つ、プラスネジ、ナットを使って適合性を確認する。少なくとも外側の2枚は問題ない。懸念されるのはパイプ状のゴムだ。外径が少々ガラス穴より大きいのだが、極端に大きいわけではないのでグリグリと押し込めば入る。これが少々強引だったのでステー(パイプも兼ねる)が入らないことが懸念されたが、辛うじてステー兼パイプはゴムを通り、プラスネジとナットを使って固定することができた。事前の確認は成功と言える。

試行が成功したので、いよいよ本格的に車体に装着する。まず剥がしていたウェザーストリップ、外していたステーを元の場所に戻し、前方の上下ステーに外側のゴムとパイプ状ゴムを入れる。

その上でガラスをあてがう。手が滑ってガラスが落ちたりすると悲惨なことになるので、ここは極めて慎重な作業が必要だ。

試行の際はステーが外れているのでステー側をグリグリして押し込むことができたが、本番はステーが固定されていて、ガラス側をグリグリしなければならない。しかしガラスは基本的にボデーに押し付けているので隙間が少なく、グリグリできる余地が少ない。パイプ状ゴムの径が大きすぎるために起きている弊害だ。次に選ぶならもう1サイズ外径が小さいものを探したほうが良いだろう。自分の選択ミスに憤慨しつつグリグリし続けていると、ようやく前側上方のパイプ状ゴムがガラス穴を貫通した。

この時点で、ここだけ一旦ネジを締めて固定してしまうことにした。落っこちてこない安心感は重要だ。

続いて後方も同様に進める。こちらはステーを動かせるため、前方よりは作業しやすい。ただ、こちらはガラスをステーに押さえつけるとネジを回せないという酷い構造故、ゴム類を押さえつける(それにより圧縮する)ことができない。そのため全体の厚みが大きいままになり、プラスネジの頭がナットに届かず、ネジの歯を噛ませるのに苦労する。もう少し長いナットにしてくれればいいのに。

それでもどうにかこうにかネジを噛ませることに成功し、ここ以外にあまり使いみちがないオフセットドライバーで締める。

最後に残った前方下側は、ガラス穴とステーの位置が若干ズレている(もしかするとステー固定の際にコツがあったのかもしれないが…)ため、ちょっとグリグリやったぐらいでは嵌まらない。仕方がないので細いマイナスドライバー等を駆使して無理やりパイプ状ゴムとガラスをはめ合わせ、上側と同様にネジとナットを締める。

こうしてようやくガラスの取り付けには成功したが、予想通りPOR15とグラスファイバーがガラスとウェザーストリップの下から顔を出してしまった。

下側はお笑いのネタも兼ねてそのまま放置するかもしれないが、左側(ドア側)はさすがにみっともないので多少は対策をするかもしれない。とはいえ、ちょっと削って艶消し黒を塗るのが関の山だろう。

最後に、外していた内装、シートベルト、シート座面等を元に戻して作業終了。夜遅い時間の作業だったのに猛烈に汗をかいたので、さっさとシャワーを浴びて偽ビールで乾杯とした。右側もやってしまいたい気持ちはあるが、この猛烈な暑さが落ち着くまでは止めておいたほうが良さそうだ。

なお、当たり前だが代替品グロメットの耐久性は現時点では知る由もない。結果は数年後にわかるだろう。