燃料ポンプ/フィルター交換(2回目)

2019年の岐阜ツーリング時に気付いたのだが、K1100RSの燃料ポンプがミョ~~~という妙な音を立て始めた。すぐに致命的なまでに壊れるわけではないだろうが、気分的によろしくない。

この燃料ポンプは2011年、48,350km走行時に交換した
それから9年、20,000km走行。

消耗品とは言わないまでも、期待値としては5万kmぐらいはもってほしい類の部品なので、ハズレの部類だろう。

安物互換品購入

燃料ポンプの中古品はありえないので新品を探す。Moto-binsでは100ポンド超え。ヤフオクは1万円台後半。ebayは5000円ぐらいから。そしてあまり期待せずにaliexpressを見てみたら2588円。どこのメーカーだかさっぱりわからないが、それは純正含め他の商品も同じ話だ。人柱になっても良さそうな値段だったので買ってみた。ついでにストレーナーも買う。こちらは729円と、割安感に欠ける。

交換

aliexpressにしては時間もかからず、2週間ほどで燃料ポンプは届いたが、暑くて乗る気にならず、直す気にもならないのでしばらく放置状態だった。ちょっと涼しくなってきてからようやく着手する。

前回乗車時に燃料ポンプ交換を予測して給油を最低限に留めたのでタンクは空に近い。そのためガソリンを逃がす作業を省略できる。

早速燃料タンクからキャップを外す。プラスネジ4本を抜くだけで外せる。

そして燃料ポンプ交換…の前に燃料フィルターを交換する。こちらはaliexpressにはなく、別の部品購入のついでにmoto-binsで買った(11.5ポンド)。非純正だがMAHLE製品なので問題ないだろう。交換はマイナスドライバーでバンドを緩めてホースを抜き差しするだけなのだが、結構な力をかけないと抜けないため、それなりに緊張感がある。とはいえそれほど時間もかからず交換完了。

続いて燃料ポンプ。こちらは奥に見える8mmのナットを抜く、のではなく、そのボルト/ナットが留まっているプラ部品のブラケット自体を手で外す。これは左右両方がレバーのようにパチンと嵌るようになっているので、そのレバー的なものを少々力を入れて開放状態にしてから丸ごと抜く。但しタンク内でホースやら何やらが干渉し合うため抜きづらい。結果的に燃料フィルターも含めて丸ごと抜き取ることになった。タンクから出したところで電気配線も外す。ストレーナーを見てみると端が破れており、これ劣化を早めた原因かもしれない(全然関係ないかもしれない)。

あとはポンプを入れ替えるだけ。ブラケットを留めているナットを外し、新しいポンプに入れ替える。前回のポンプは位置決め用の突起がなく、針金をぐるぐる巻きにしてアルミテープで覆って突起を偽造するという、今となっては意味不明な対処をしたのだが、今回のポンプはちゃんと突起がある(それを確認してから購入した)。そんなことをしないでタイラップでも巻けばよかったんじゃないかと今になっては思うが、当時はとにかく元の状態に近づけたかったのだろう。現在ではそのアルミテープの糊が滲み出ており、これもまた劣化原因の一つかもしれない。やってはいけない手段だった。

ポンプを入れ替え、ストレーナーをプラハンで叩くように押し込んで装着する。そして配線も付け替え、新しいポンプ一式を元々あった場所に押し込む。そしてブラケットのレバーをパチンと外側に戻し、燃料フィルターとタンク内のパイプ間のホースを接続して作業完了。まあ全体的に大した作業ではない。

とりあえずメインキーを回してみる。以前の燃料ポンプに比べると駆動音の周波数が高く、動作時間も短い。製造元も年代も違うのでこのあたりは比べてもしょうがない。そしてエンジンをかけてみると、とりあえず始動はできた。同じタイミングでリヤブレーキの作業もしていたので、この時点では乗れず。

試運転(1回目)

リヤブレーキ作業完了後、燃料ポンプとブレーキの確認を兼ねて試運転に出かける。普通に動く…が、アクセルオン時の反応がワンテンポ遅れる気がする。これは暖気をろくにしていないことが原因だろうと決めつけて、自宅周辺をグルっと回っただけで終わりにして一旦帰宅する。走行距離はせいぜい1km程度。

試運転(2回目)

数日後、もう少しまともに試運転すべく家を出る。またしても出発時のアクセルの反応が鈍いが気にせず進み、自宅近くの信号で赤信号で停まる。青信号になってからスタートすると、途端にエンストしてしまった。ちょっとブスブス言ったがエンジンはかかった。しかし次の信号待ちでまたしてもエンスト。さすがにここで気付いたのだが、ガソリンを極限まで減らしたことでガス欠になってしまったようだ。目視レベルの話だが、タンクの反対側にはガソリンが残っていたことが判っているので、バイクを揺すってガソリンを寄せて再始動し、なんとか至近のガソリンスタンドまで到達した。

ガス欠なのか燃料ポンプがダメなのか、この時点では断定し難い。とりあえず満タンにするのはやめて1000円分だけ給油し、再度試運転を始める。その後は普通に走り出したため、やはりガス欠だったと断定しかけていたのだが、2kmほど走った信号待ちの後に再びアクセルオンの反応が鈍くなった。ここで雑にアクセルを捻ると、突然エンジンは復活して「ドンッ」と走りだした。危うく振り落とされるところだった。

なんだか色々あったので縁起が悪い。この日の試運転はこれで終わりにして帰宅することにした。

試運転(3回目)

日を改めて3回目の試運転。前回も一度「ドンッ」があっただけで、それ以降は何ともなかった。今回も特に何ともない。やれやれようやく交換完了か、と思いつつ信号待ちをしていると、何やら掃除機のような「ヒュ~〜」という高周波音が聞こえる。どこかの家で掃除をしているのかと思いたかったのだが、家なんて全く無いような場所なのでそれは違う。前の車かと思ったが、そうでもなさそうだ。そう、この安物燃料ポンプの駆動音だった。

キーオン時の駆動音が以前のものとは随分違うことは最初から判っていたのだが、乗車時の音もこんなに違ったのか。交換前の「ミョ〜〜」も萎える音だったが、これはこれで耳障りだ。動作音に不安を覚えて交換したのに、交換したモノの音も不快になるようなものでは交換した意味がない。うーん、やはり安物は安物だったか。おそらくクルマだったらそこまで聞こえない程度の音量だと思うのだが、バイクだと耳の50cm下で動いている音なのでよく聞こえてしまう。

新品なので、故障の前兆というより「こういうもの」なんだと思われるが、一度気になり始めてしまうと、その存在を忘れるのはかなり難しい。

プチツーリング

この燃料ポンプでいきなり遠出するのは憚られるものがあるので、近場のプチツーリングに出かけることにした。念のため、外した燃料ポンプと、交換時に必要な工具を持っていく。

ガソリン量が減ることで音が小さくならないか、長時間動かして馴染むことで音が小さくならないか、等と淡い期待を持っていたのだが、そんな期待は叶うわけがなく、最初から最後まで高周波音は変わらず聞こえたままだった。動くかどうかという観点では何の問題もなく93kmを走りきったので、やはり「こういうもの」なのだろう。

ロングツーリング

不安を拭いきれないため古いポンプを持参しての出走となったが、結果的には739kmをなんの問題もなく走りきった。ただし高周波音は出たまま。
当たり前だが高速道路走行中は全く気にならず、普通に走っていてもほとんど聞こえないし、走りに集中しているうちにその存在も忘れる。遠出になると信号待ちの機会も少ないので、不快な音に触れる機会も少ない。ただ、それなりに飛ばした後に停車すると高周波音が酷くなっている気はする。気がするだけかもしれない。

ロングツーリング後の感想

何だかんだで1000km近く問題なく動いているので少々悩ましいが、この高周波音はかなり耳障りなので別のポンプの購入に傾いている。とりあえずもう一度だけ人柱価格のものを買ってみて、それでもダメなら高いやつを買わざるを得ないだろう。または高周波音を諦めるか。