毎年恒例となっている、会社創立記念日(10月第1金曜日)にかこつけたソロツーリングに、今年も出かけることにした。
行き先
たかだか1泊2日でロングツーリングと言いたくはないが言わざるを得ないとか、天気に左右されて直前まで行くかどうか決まらないのは毎年の話である。大半が雨とわかっている状況でわざわざ出かけるほど、頻繁に自分だけの時間を持てるわけではない。どうせ出かけるなら不快とわかっている状況は避けたい。
行き先の候補は、1泊2日という日程と距離の都合により福島・群馬・長野・岐阜のいずれかとなるが、東北方面は今年は断られている感があるため遠慮する。温泉つきキャンプ場がある、というだけの理由で奥飛騨方面に決めそうになりつつネットを彷徨っていると「裏ビーナス」なる道を見つけてしまった。ビーナスラインなんて何度も走っているので今更感が強いが「裏ビーナス」の存在には気付いていなかった。ほとんどそれだけの理由により長野方面に行くことにした。
天気予報次第で行き先は変えるつもりだったが、今年は珍しくその必要は無さそうな予報だった。そのため、事前想定そのままに長野方面とする。
準備
今回のツーリングにあたり(というか、昨年のツーリング以降に)追加したツーリング機材は以下のものである。その他、既出の燃料ポンプやドライブレコーダーを追加している。
- 40Lのバイク用防水バッグ(Ali Expressのセールで購入)
- そのバッグにタープを入れるための短いタープポール(中華品)。
- 以前(APEMAN A80)よりは画質が良い中華アクションカメラ(AKASO V50X)
- ワークマンで買ったバイク用にしか見えないグローブ(最初プロテクター付きを買ったが、あまりにも手に合わないのでヤフオクで売却し、その後追加されたプロテクターなしを購入)
購入したものが中華品とワークマンであることが時代を感じさせる。防水バッグが波乗り用25Lからバイク用40Lに変わったことを除けば、準備自体は例年通りだ。防水バッグに入らなかったものが全部入るようになっただけの話。ソロキャンプツーリングを重ねることにより持参品の最適化が進んでおり、EvernoteとGoogle Spreadsheetに要不要を溜め込んだ結果、準備で迷うことは殆どなくなった。
K1100RSは、細かいところだが以下の事前調整をした。
- 昨年、走行中にウインカーが接触不要を起こしたので、全灯火類のソケットにコンタクトスプレーを塗布
- 球切れしたまま長年放置していた車幅灯の電球を交換
- USBソケットを追加(ドライブレコーダーと共締め)
- テールカウルを中心に、あちこちの自家塗装が剥げてしまったので修正
滑り出しは順調
5:15に目覚ましに叩き起こされる。在宅勤務のダラけた勤務体系に慣れた身には辛いものがあるが、幸い前日は早めに寝付けたためそれほど不快ではなかった。以前はツーリング前日はなかなか寝付けなかったのだが、徐々にそういうこともなくなってきた。朝飯を済ませ、6:13に出発。いつもの柳島のGSで給油と空気圧調整を済ませ、普段なら乗らない新湘南バイパスに乗る。年に1回か2回しかないロングツーリングだ。こういう時は金をケチるのはやめる。
週末だと八王子JCTと小仏トンネルの渋滞に悩まされるのだが、金曜日なので無関係だ。新しい燃料ポンプで高速道路を走ることに若干の不安はあったが、走行上の問題は発生しなかった。高速走行中は風切り音が上回るのでほとんどポンプの音はわからない。淡々と100kmほど走って中央道釈迦堂PAで一休み。硬直した身体を伸ばし、さっさと再出発して諏訪ICで中央道を降り、毎年恒例の岐阜ツーリングで使うENEOSで給油してオギノヤの駐車場で一休みする。ここまでは順調だった。
雲行き悪化
小腹がすいたので、持参したチョコチップスティックパンを食うべくパニアケースを開けたところで問題が発生した。
パンを取り出して蓋を閉めようとしたところ、なんだか閉まりがよろしくない。蓋のかみ合わせが変なのだ。ちょっと持ち上げれば閉まるのだが、本来そんな必要はない。なんかおかしいので何度か開けたり閉めたりしているうちに、パニアケースのヒンジ部が割れていることに気付く。
部品としてヒンジが設定されていることは知っていたので、交換可能だということは認識していたのだが、それはこういう事態に備えてのことだったのか…
そもそもコレは消耗品扱いだったのか。
ヒンジは前後2つに分かれており、幸い割れているのは片方だけだ。そのため、現段階で致命的というわけではないが、とにかくこのまま走るのは気持ち悪い。テールカウル内にガムテープが入っているので、シートの荷物を一度全部降ろしてガムテープを取り出し、破損部分を覆うように貼る。作業自体は大したこと無いのだが、ロングツーリング中にこういうことが起こると気持ちが萎えるし、時間も無駄に浪費する。ただでさえ時間が貴重なのに。
このまま走るのは少々気持ち悪いので、行程途中にあるダイソー(以前寄ったことがあるので存在は把握していた)に寄り、旅行用スーツケースが開かないようにするためのベルトを買う。通い慣れた店ではないので配置がわからず店員さんに聞いたりする時間もまた無駄で、こういうのがいちいち気持ちを下げさせる。いつ開いてしまうかわからないという爆弾を抱えたまま走るよりは明らかにマシなのだが。
気を取り直す
この程度なら、燃料ポンプが壊れたりするよりは格段にマシだ、等と自己暗示をかけながら先に進む。目指すのは霧ヶ峰高原。道の選択肢は色々あるのだが、ツーリングマップルで「渋滞時の抜け道」とされている道を選ぶ。ここは20年ぐらい前に暗くなってから、ピアッツァのラジオで野球の日本シリーズ中継を聞きながら下ったことがある。道自体は悪くなかった記憶があるものの、なにせ暗くて景色がさっぱりわからなかった。今回は最短経路且つ(実質的に)未体験道路としてこれを選んだ。
ちょっとした店舗や住宅が並ぶエリアから逸れて長野県道424号に入る。姑息にもGoogle Street Viewで事前学習していたので何となく予想はついていたが、なかなかのワインディングだ。路面状態は素晴らしいとは言えないが平均的な県道レベルで、交通量も少ない。軽快に登り続けたところで、パッと景色が開ける場所に到着する。丁度駐車場があったのでそこに停める。
ここから先は惚れ惚れするような素晴らしい景色となる。この道は正解だ。まあ普通の車山あたりのビーナスラインも勿論正解なんだが、この道みたいな穴場感は無い。
そして霧ヶ峰の交差点に着き、この道は終了となる。
再び状況暗転
そのまんま美ヶ原方面に進んでもいいのだが、せっかくなので少しだけ車山方面に走る。富士山が見える展望台までの間のS字カーブがこの道のハイライト(だと勝手に思っている)なので、とりあえず展望台駐車場まで走る。やはり素晴らしい道だ。この道を走るときに晴天だったことはあまりないのだが、今回は雲ひとつ無い快晴。とにかく気分が良い。
違う視点で走行映像を撮りたくなったので、スーツケース用ベルトで留めているパニアケースを開けてステーを取り出してエンジンガードに固定しようとしたところ、ステーを固定するナットが無くなっており、ネジがひたすら空回りしてしまった。これでは残念ながら別角度からの動画は撮れない。普通のM4だかM5のナットであり、家に帰ればいくらでもあるし、ホームセンターでも買えるのだが、俺は今すぐ欲しいのだ。ここで動画が撮れなくても、後の楽しみが減るだけでツーリング自体に困ることはないのだが、既にパニアケースでトラブっているので、こういうのは萎える。
気を取り直して再び走り出す。つい先程走ってきた道を反対方向に走る。そう、この道はこちら向きの方がより良いのだ。良い。実に良い。大変良い。素晴らしい。語彙不足。
霧ヶ峰の交差点を右折し、美ヶ原方面に向かう。この先はどちらかというと景色よりは走りがメインになる。勿論景色も良いのだが、先程の霧ヶ峰周辺と比べると2ランク下になってしまう。金曜日故に交通量も少なく、気分良く走っていると、途中で「長門方面通行止め」という怪しい看板を発見した。よく見ないで通り過ぎてしまったのだが非常に気になる。今回目指す裏ビーナスは、長門方面そのものではないのだが、長門方面に向かう道から分岐している。何処で工事しているかにより、裏ビーナスに行けるかどうかが変わってしまう。
微妙にモヤモヤしながら先に進む。途中の三峰茶屋の駐車場入口で一旦停まり、ヘルメットに取り付けたアクションカメラV50Xの電池を入れ替える。そして再び録画を始めようとすると「SDカードをフォーマットせよ」といったおかしなエラーメッセージが表示される。このメッセージは以前にも出て交換してもらい、その後の試運転では問題なかったのだが、よりによってここで出てしまうとは。コレが出てしまうとそのSDカードは使い物にならない(のだが、何故かMac/PCで読み込むと再度使えるようになる)。ここには当然そんなものはない。仕方ないので別のSDカードに入れ替える。またしても時間をロスする。
何度も気を取り直して出発する。途中まではそこそこ快調だったが、和田方面に向かう分岐を過ぎて傾斜が急になるあたりで遅い車が現れて糞詰まり状態になる。これは毎度のことなので諦めるしかない。そして美ヶ原の頂上に到着し、美ヶ原高原美術館兼道の駅には向かわず、その上にある道で一休みする。
さて、ここから裏ビーナスに向かうには県道464号をひたすら武石方面に下る…のだが、その入口でいきなり通行止めの看板が出てしまう。危惧していたことが起こってしまった。
元々の想定では、12時頃に裏ビーナスに到達しているつもりだったのだが、小さいトラブルが続いた関係で既に12時55分。長門方面からグルっと回って裏ビーナスに行くこともできるかもしれないが、着いた頃には15時を過ぎていそうだ。そこからキャンプ場に向かうのは少々無理がある。残念だが裏ビーナスには歓迎されていないのだろう。縁がなかったとして諦めるしかない。これだけマイナートラブルが頻発すると諦めもつく。
さてこれからどうするか。とりあえず来た道を戻るしかないのだが、そこから下る先は松本方面、長門方面(を経て上田方面)、諏訪方面等とあるが、元々裏ビーナスの後は安曇野方面に向かうつもりだったので松本方面を選択する。ビーナスラインを淡々と南下し、扉峠の分岐から松本方面に下る。このあたりの道は狭いクネクネ道で、K1100RSには不向きだった印象があるのだが、それは思い違いだったようで、快走路とは言えないが酷くもない、ごく普通の峠道だった。
ようやくテンホウにありつけた
Google Mapのナビ通りに進んで松本市街地に出た。案外早く市街地に出ることができた。まだ辛うじて13時台なので、昼飯はコンビニ飯ではなく長野のローカルチェーン店「テンホウ」にする。最も近く、且つ想定経路に近い「追分店」に目的地を設定してナビの言うがままに進む。何の変哲もない市街地の道を走り、テンホウに着く。変な時間なので余裕でカウンターに着席。メニューを確認し、一押しっぽい「タンタンメン」を注文する。本来は餃子も食いたかったところだが、もうかなり遅い時間だったのでやめておく(晩飯が食えなくなる)。
長野方面は何度も来ていて、しょっちゅう見かけていたものの食べたことがなかった「テンホウ」でようやく飯を食うことができた。素晴らしく美味いわけではないが、いかにもローカルチェーン店らしいまとまった味だ。出先ではその地の人が普段食っているものを食うに限る。
満足感に浸りつつ冷水を飲みながら地図を眺める。時間的に、今日のキャンプ場は、いくつか用意していた選択肢の中では木崎湖キャンプ場が良さそうだ。そこまでの道は基本的に平坦路で、北アルプスや安曇野の農村風景を眺めながら淡々と走る、という選択肢しかない。その中から、一応ツーリングマップルで推奨されているいくつかの道をちょこまかしながら北上することにした。もし時間があれば、黒部アルペンルートの入り口までピストンする道を走るつもりだったのだが、その時間がとれるかどうかは微妙だ。多分無理だろう。
終わらないトラブル
もう3時近いというのにそこそこ客が来るテンホウを後にして北上する。特に面白くもなんとも無い松本市街地を抜け、川沿いの道に出る。単なる盆地の田舎道で、しかもそこそこ車が多い。このあたりは何度か走ったことがあるので予想できていたが、全くその予想通りで、あまり面白くはない。その面白くない道を淡々と走っていると、ドライブレコーダーが突然シャットダウンした。おいおいなんだよ一体…
たまたま駐車帯が現れたのでそこに停める。よく見るとUSBソケットも死んでいるし、ETCも死んでいる。これらは皆同じところから電源をとっていて、その間にはヒューズを噛ませている。そのヒューズを取り出してみると、思ったとおり切れていた。
原因はわかっている。テンホウを出る前に、USBソケットにアクションカメラ用バッテリーの充電池を繋いだことで、ヒューズが想定する電流を超えたのだろう。今まではiPhone6sしか繋いでいなかったところに追加したからだ。よく見てみたらこのヒューズは1Aだ。ETCしか想定していなかった時期に装着したヒューズに色々追加したらこうなった。試運転の際に、2口あるうちの1口しか使っていなかったから問題が起こらなかっただけで、テストケースのミスと言えよう。
そんなシステム屋的なことを言っていてもしょうがない。ヒューズが切れたなら替えればいいのだが、予備で持っているヒューズもまた1Aで、替えたところで同じ問題が起こるに決まっている。仕方ないのでホームセンターに寄ることにしよう。幸いなことに、大町で寄る予定だったスーパーDELICIAがあるモール内に、西日本でよく見かけるホームセンター「ナフコ」がある。そこまではドライブレコーダー無しで向かう。
相変わらずな田舎道を淡々と走って大町のモールに到着した。ここでやることは以下3点である。
1) DELICIAで晩飯の調達
2) ナフコでヒューズを購入
3) ダイソーでクリップを購入
1) は予定通り、2) は予定外だが自分のミスによるもの。3) はというと、アクションカメラが受け付けなくなってしまったmicro SDカードを、念の為持ってきていたAndroidスマートフォンに読ませてエラーを回避したいがために、micro SDスロットを出すためにクリップが欲しい、というものである。別にクリップじゃなくても安全ピンでもなんでもいいから細くて硬い針金が欲しいだけ。こんなの適当な書類か何かがスーパーの隅っこに置いてあったらそこにくっついていたりしないかと思いたいのだが、世の中そんなに都合よくいかない。
とりあえずダイソーに向かう。クリップは無駄に120個も入っている。1個しかいらないのに。チラシか何かを束ねたものでも配布されていればそれで十分なのだが、残念ながら見当たらない。もっと小さいものが別の店にないかと期待して一旦何も買わずに出る。次いでDELICIAに向かうが、期待に反して地元っぽい惣菜がない。地場スーパーなんだからもうちょっと頑張ってほしいのだが仕方がない。適当にあるものを買う。
続いてナフコに向かい、とりあえず2Aのヒューズを買う。クリップ的なものは残念ながら見当たらない。探す時間が勿体ないので諦めてダイソーに向かい、先程見送った無駄に多いクリップを買う。駐輪場に戻り、買ってきた2Aのヒューズを装着する。なんとか切れずに持ちこたえているようだが、また切れたら面倒なので、アクションカメラの充電は諦め、別途持参しているモバイルバッテリーに委ねる。
食材調達だけだったはずなのに関係ないことばかりしていて30分はロスしたであろう。まだ辛うじて明るいが、太陽はとっくに北アルプスの向こう側に落ちてしまっている。なんとか明るいうちにテントの設営をしたいので、さっさとキャンプ場に向かうことにする。
木崎湖キャンプ場
程なくして木崎湖キャンプ場に到着した。門を通過して事務所前で停止するとオーナーが出てくる。事前に情報収集していたので想定内ではあったが、コロナ対策で色々と面倒くさい。こちらは泊まらせてもらう立場なので何も言わないが面倒くさい。一旦K1100RSを駐輪場に停めて事務所に戻り、料金を支払う。タープ代金が追加で必要なのは残念だ。湖畔とはいえ林間キャンプ場だし、雨予報でもないのでタープなんて要らないのだが、折角ポールを買ったし、持ってきてしまったので使いたいではないか。無駄とは思いつつ追加料金を払う。今日の宿泊者は自分を含めて7組とのこと。さすが平日だ。明日土曜日は相当数の来場を予想しているとのこと。無駄にアウトドアブームになってしまった昨今、混雑を避けるにはこうして自ら平日に動くことで自衛するしかないのか。
先客は皆既に準備を終えて晩飯体制に入っている。奥の方も空いている場所はたくさんあるが、そこまで行くのが面倒くさいので近場に陣取る。両隣とは25m以上空いているのでまあいいだろう。K1100RSを持ってこれれば良いのだがそれは許されていないので、パニアケースと防水バッグを抱えて持ってくる。荷物が3点にまとまっているというのはそれなりに便利だ。ソロだとこんなに荷物が少なくて済むのに、ファミキャンだとリヤカーでも収まらないくらいに膨れ上がるのは本当に不思議だ。
まず最初にやることは窮屈なバイク用ブーツを脱いでワークマンの防寒靴に履き替えることである。そして防水バッグからテントやら何やらを取り出して設営を始める。このテントを設営するのは2回目だが、至極普通なテントなのですぐに終わる。わざわざ追加料金を払ったタープの場所に若干迷ったが、それほど時間がかかることもなく、なんとか日が暮れる前に設営を終えることができた。
設営完了後、近くにある公営温泉「ゆーぷる木崎湖」へ向かう。近いとは言っても徒歩では少々遠いのでK1100RSで移動する。これがあったので到着早々ビールというわけにはいかなかったのだ。あっという間に到着して早速建物に入る。なんだかよくわからない木像が出迎えている。入ってすぐのレストランの黒部ダムカレーは魅力的だが我慢する。入場料700円を払って中に入る。設備、泉質ともに特筆すべきものは無いが、若干古めの公営温泉によくありがちな寂れた雰囲気で実に居心地が良い。ボロすぎても豪華すぎても落ち着かないので、このぐらいが丁度良い。
温泉を出て、すぐそばにあるローソンでビールとつまみを買ってキャンプ場に戻る。既に周囲は真っ暗で、両隣の客はどちらも食事を終えて焚き火&晩酌モードに入っているようだ。こちらも既に空腹の極みだ。とりあえずビールと枝豆で腹を満たす。
昨年の岐阜ツーリングで、レトルトライスの湯煎に30分待ちという失態を犯したので、今回は1/2サイズのパパッとライスを持参した。当然ながら待ち時間も半分だ。量的にもこれで十分。
静まり返った湖を前にして、安物ウッドストーブでベーコン等を焼いて酒を飲む。至福のひとときである。ある程度腹も埋まったので、あとは基本的にダラダラするだけ…なのだが、エラーが発生していたアクションカメラの対応をしなければならない。折角気持ちよく酔っ払っているのに、スマートフォンのmicroSDカードスロットを開けたり閉めたりするのは面倒くさいことこの上ない。予想通り、一度スマートフォンに読ませるとエラーは解消し、全てのmicroSDカードがアクションカメラで再度使えるようにはなったが、毎度こんなことをやらされてはたまらない。帰ったら早速返品手続きをしなければ。
夜が更けるにつれて気温が下がる。下がる、とは言ってもおそらく平年よりは寒くない。しまむらのパチもんヒートテックとユニクロのライトダウンで問題なく過ごせる程度だ。Kindle版ツーリングマップルを眺めつつ、持ってきた安バーボンをウッドストーブで温めながらチビチビ飲む。湖畔を走る大糸線の最終列車(と思われる)を見届けたところで寝床につくことにする。
超快走路 大町アルペンライン
疲れと酒のおかげか熟睡し、朝焼けを期待して一応早めに起きたが、曇っていて全く風情のない朝であった。こればっかりはめぐり合わせなので仕方がない。とりあえず飯にする。昨晩食べきれなかったベーコン&ウインナーとコーンスープという、結果的にかなり豪華な組み合わせになった。
さっさと出発したいところだが、朝は身体がついてこないので動きが鈍い。撤収に激しく時間を要し、せっかく6時半には起きていたのにキャンプ場を出たのは8時半になってしまった。
さて、本日最初に向かうのは立山黒部アルペンルートの大町側のアクセスルートである大町アルペンラインである。本来は昨日のうちに行っておきたかったのだが、トラブル連発で行けずに本日になってしまった。
その大町アルペンラインだが、K1100RSには実に好適な快走路であった。終着点であるロープウェイ駅までのピストン道路なので、行きはひたすら登るだけなのだが、ストレートとカーブの具合が非常に良い。
気持ちよく走っているうちにロープウェイ駅の駐車場に着く。ほとんどの人は車を置いて先に進むのだろうが、俺は山登りには興味がないのでそのまま来た道を帰る。
下りきって暫く進んだ大町市街地で給油する。ついでにアクションカメラの電池を変えようとしたところ、レンズのところに虫がへばりついていた。いつからついていたのかは判らないが、アルペンラインの動画は台無しかもしれない。今回のツーリングはホントにダメなことが多い。
これまた快走路 長野県道12号
次に向かうのは、ツーリングマップルでおすすめルートになっている聖高原あたりの長野県道12号である。そこまではかなり距離があるので、ツーリングマップルのコメント的に良さげなルートを適当に走る。大町から長野県道31号に入る。これもまたかなりの快走路だったが、少々交通量が多いのが残念だ。
さらに国道19号、長野県道395号と進み、長野県道12号に入る。この道は別名「アルプス展望道路」と呼ばれているだけのことはあり、景色が非常に良い。道路自体は狭い箇所やクネクネ箇所もしばしば現れるので走りやすいとは言い難いが、景色も含めれば快走路の部類だろう。途中の景色が良さげな箇所で何度か停まりつつ先に進む。
そして何度目かの停車後、エンジンを始動しようとしたところ、スタータースイッチを押しても無反応だった。キーはオンだしサイドスタンドは上がっている。キルスイッチも問題ない。そこでサイドスタンドを何度か上げたり降ろしたりしてから再挑戦したところ、無事にセルは回り、エンジンが始動した。過去何度か起こったトラブルではあるが、こんなところでまた起こるとは。ホントに今回のツーリングはマイナートラブルが多い。
おそらく一過性のもので、致命的な問題は無いと思われるが、あまりにも辺鄙なところで再始動不可になると面倒くさい。そのため、そこそこの市街地で且つホームセンターがあるところまでエンジンを止めずに進むことにする。ここから先の予定はあまり明確に決めていなかったのだが、とりあえず上田市のコメリまで向かうことにした。
県道12号、国道143号と、山奥の快走路を進む。上田市街地に近づくと交通量も増えて退屈になる。疲れを感じてきたが、コメリまでは止めるわけにはいかない。退屈感に耐えながら1時間弱でコメリに到着。サイドスタンドを降ろしてエンジンを止め、再度サイドスタンドを上げてエンジンをかけると、何の問題もなかった。何度か繰り返したが、問題は再発しない。やはり一過性のものだったのだろう。
時間は既に13時を過ぎている。腹が減った。道の駅で蕎麦でも食おうかと思ったのだが、すぐ近くに「ツルヤ塩田店」があることがわかった。ツルヤは長野有数の地場スーパーであり、ここのパンはかなり美味い。どうせ土産物も買いたいので、ツルヤに行って買い物と昼飯を一度に済ませることにする。すぐ近くなのであっという間に到着。早速買い物を済ませ、ピザとカレーパンを食う。
またしても快走路 長野県道40号
腹が埋まったところで次の道を考える。時間的に早いのは上信越道でさっさと帰る手段だが、面白くも何ともないので除外。中央道方面へのルートは、大別して以下の3つがある。
1. そのまま国道152号を南下
2. 佐久に出て国道141号を南下
3. 適当な県道を南下
どれも所要時間は大差ない。退屈で交通量の多い国道を選ぶ意義など無いので、当然のように県道を選ぶ。県道40号か152号となるが、近い方の県道40号とする。
ツルヤ塩田店から県道40号までは少々込み入っているので、素直にGoogleナビに従って進む。林檎畑の中やら何やらを通って進んでいるうちに県道40号に入る。市街地を離れるにつれて快走路になる。過去に1回か2回走ったことがある道なのだが、もう随分前の話なのであまり覚えていない。途中で良さげな撮影スポットを見つけたので一時停止して写真を撮る。
あとは帰るだけ
更に進んで車でもバイクでも何度も来ている女神湖、白樺湖周辺を抜け、ビーナスラインに行きたい誘惑を振り切って(あまりおもしろくない)国道152号で山を下る。そのまま八ヶ岳エコーラインに入り、諏訪南ICはスルーして適当に一般道を走る。このあたりは何度も走った勝手知ったる道…なのだが、給油ポイントを逃して小淵沢IC近辺でウロウロする羽目になってしまった。
あとはとにかく帰るだけである。中央道は例によって小仏トンネル渋滞をしているので一宮御坂ICで降り、御坂みち、東富士五湖道路と進んで東名高速道路に御殿場〜秦野中井間だけ乗り、あとは海沿いを走って帰宅した。総走行距離は754kmであった。
あんまり走っていないな…というのはもっともな話で、特に1日目にマイナートラブルを連発して距離を稼げなかったのが原因だ。まあ距離が長ければいいかというと別にそんなわけはないのだが、トラブルのせいで距離が伸びなかったのは残念だ。2日目のルートは交通量の少ない快走県道が中心で、走ること自体の満足度は高かったのだが、それ以外の余計なトラブルが多すぎて、結果的にはここ数年で最もさえないツーリングになってしまった。