春の原チャリツーリング in 南房総

4月に入り気温が上がってきた。ピアッツァは灼熱地獄化して乗車欲が減退し、変わってバイク欲が上がってくる時期なのだが、困ったことに昨年末に痛めた左肩〜上腕部の具合が相変わらず芳しくない。クソ重いK1100RSの取り回しには不安がつきまとう。

そこで俄然脚光を浴びるのが買い物マシンVespa LX125ieだ。昨年夏に初めてツーリングらしきことをしたのだが、これはこれで面白かった。LX程度なら左腕痛も許容範囲だ。

そこで、以前からなんとなく頭の片隅にあった「原チャリで東京湾フェリーに乗って千葉県に渡り、房総半島をウロウロするツーリング」をやってみることにした。

東京湾フェリー乗船

フェリーの時間を調べると、久里浜発は8:20または9:25。9:25だと遅すぎるので8:20を選ぶ。7:20に乗って寝るのもいいけど少々やりすぎだろう。昔は45分おきぐらいだった気がするのだが、アクアライン開通以降はだいぶ間隔が空くようになってしまった。利用客が少ないのだから致し方ない。

7:30に家を出て、通勤車両が走る一般道をひたすら疾走。いつもの昼時とは違って通勤車両はキビキビしていて走りやすい。約30分で久里浜港に到着。平日だというのに列に並ぶバイクは思いのほか多く、自分は18台目だった。もうそろそろ乗船が始まる雰囲気だ。急いで窓口に向かい、往復券を購入。3250円。原チャリで延々金谷まで走ることを考えれば破格もいいところだ。

LXのところに戻り、手ぐすね引いて待っている係員のニイチャンに切符を渡す。手続きは済んだので、LXの元を離れて適当に写真を撮っているところで乗船のアナウンスが流れた。大慌てでLXのところに戻り、身支度をしてエンジン始動。少々焦りながら乗船する。

三階の船室に居場所を確保し、階段を登ってデッキに出て風を浴びる。いつも買い物をしているカインズホームが目の前にある。

思えば昨年時点からコレに乗ることを渇望していたのだ。

その後も、何度となくカインズホームの駐車場からフェリーを見送った。そして今日、遂に反対側に来ることができた。感無量である(大げさ)。

ほどなくして出港。船は港内でグルっと転回し、じわじわとスピードを上げて東京湾に出る。他の船の間を縫うように前進する。

徐々に寒くなってきたので船室に戻り、iPhone2台(通常利用のiPhone11、Google Map専用のiPhone6s)の充電やカメラのセッティング等を済ませる。少し時間があったので足を伸ばし、目を瞑ってボケーッとする。少し遠いところでは三人席に横になって寝ているオッサン(これはフェリーの風物詩だろう)もいるが、そこまでするほど眠くはない。眠りに落ちることなく、金谷港到着のアナウンスが流れる。

着船のアナウンスを聞き届けてから車両甲板に降りる。事前のアナウンス(着船後に降りろという指示)は有名無実のようで、多くの常連客はクルマ、バイクともに既に準備万端状態であった。これがK1100RSだったら少々ジタバタしたかもしれないが、原チャリなので気楽なものだ。ロープと輪止めから開放されたLXに跨ってエンジンをかけ、車両甲板から埠頭に降りる。LXにとっては初の千葉県上陸となる。

金谷から富津岬へ

とりあえず目指す場所は富津岬である。何か目的があるわけではなく、ただ単に行ったことがないからこの際行ってみよう、というだけの話。房総半島に限らないが、海沿いのツーリングの際は海側車線を走りたいため時計回りが基本だ。富津岬に行くことは、その基本方針にも合致する。

海沿いのR127を快調に走っていたのだが、先行するタンクローリーが現れた。しばらく耐えたがバカバカしくなったので一休みしていると、同じフェリーに乗っていたバイク軍団が現れた。それに続いてまた別の激しく長い車列が現れた。こんなところで突然の渋滞発生。またしてもバカバカしくなり、思わず国道を外れて脇道に入ってしまった。細い道、河口、そして鉄橋。まあまあ味わい深い光景だ。順調に走っていたら遭遇しなかったであろう光景に出会えたのでヨシとしたい。

その後もふと見つけた「一般的にはどうでもいい場所に違いないが、自分的にはなんとなく気になった場所」でチマチマと停車する。気づいたらすぐにUターンして停車できるのが原チャリのいいところ。K1100RSだとメンドクサさが上回ってしまう。

漁港を抜けると、富津岬に向けての直線道路が始まる。左側は砂浜なのだが、一部舗装されていて、何台かのクルマが停まっている。休日だともう少し人が多いのかもしれない。

少し走って直角に右折し、さらにその少し先を左折すると、今度は防砂林の中の直線道路になる。北海道級とまでは言わないが、神奈川県ではなかなか体験できないレベルのロングストレートだ。あえて言えばR134がそれに近いが、片側2車線だと何故かロングストレート感が薄まる。そして防砂林が終わり、目の前に巨大な建造物(明治百年記念展望塔)が現れた。これが富津岬の先端だ。

展望台を見ると登らずにはいられない性分なので、当然のように歩を進める。見た目どおり段数の多い階段を登りきると、なかなか他では見ることができない光景が見られた。

反対側は、つい昨日も行ったばかりの横須賀エリアが見える。そしてここは関東の富士見百景にも選ばれている場所だとのことだが、晴れてはいるものの霞が多めでうっすらとしか見えなかった。

富津から久留里へ

長い階段を降りてLXのところに戻る。気温の上昇と階段昇降により暑くなってきたので、インナーのヒートテックとダウンベストを脱いでメットインに放り込む。そして次の目的地である久留里(の途中にある経由地、鹿野山九十九谷展望公園)への道を確認する。とりあえず途中までは来た道を戻って、途中から県道を淡々と走り、マザー牧場の北側あたりで山を登るというルートを選ぶ。

準備を終えて再び直線道路を進む。その途中でまた寄り道をしてしまう。

海から離れて内陸に入る。今度は田園地帯だ。これはこれで良い。そして思わずまた脇道に入ってしまう。

原チャリだとお気楽すぎて脇道病を止められない。困ったものだ。これでは全然先に進めない。

脇道の誘惑をこらえながら先に進み、一瞬戻ったR127から県道163号に入ると遂に峠道になる。良くも悪くもない、ごく普通のワインディングが続く。とは言ってもせいぜい300mちょっとの標高なのでそれほど大した峠ではない。しかしこの斜度は125ccのエンジンには若干荷が重いようで、先行する枯葉マークのフィットを追い越せるほどのパワー感はない。焦ってもしょうがないので淡々と上りきると、県道93号との交差点に出る。これを左折して暫く走ると、突如大きなお寺(鹿野山神野寺)が現れた。

この木の大きさからして、かなりのパワーが感じられる。

そこから少しだけ走ると、経由点である九十九谷展望公園に到着する。

展望公園を名乗るだけのことはあって良い眺めだ。

腹が減ったので先に進む。次の目的地である久留里へは、このままひたすら県道93号を走っていれば到着する。展望公園から先は下りとなるが、そこそこ落葉もあるのであまり飛ばせない。下りきったところで左折してさらに走る。房総スカイラインとの交差点を抜けると急にダンプが増え、路面にも土や砂が増える。丘の上に採石場だかなんだかがあるようで、そこまではこんな感じだ。路面と巨大な対向車を気にせざるを得ないので気分良く走れない。

その採石場らしき場所を過ぎるとようやく走りやすくなる。そのまま淡々と走り続けて久留里線のガードをくぐると、久留里の中心地っぽい場所に出る。「止まれ」で停まって左右を見ると、左側に久留里駅があったのでなんとなくそちらに向かう。駅のホームではワンマン気動車が発車時刻を待っていた。

暫くウロウロしていたが、気動車は動く素振りもなく、乗客は全く現れず、駅前ロータリーには一台のクルマも来ない。平日の真昼間とは言えのどかなものだ。

全くの予定外だったが、一通りローカル線の駅を楽しんだので先に進む。R410に入って南下すると、今回の最大の目的地に到着した。

チャー弁

チャー(Char)がプロデュースした弁当、ではない。チャーハン弁当でもない。「としまや」の「チャーシュー弁当」である。これにありつくのが今回のツーリングの最大の目的だったのだ。

元々「チャー弁」なんていうものは知らなかったのだが、ルートを調べるためになんとなくググっていたら何故か「チャー弁」に行き当たり、そして「としまや」の店舗を調べていたところ、月曜に営業していて且つルート的に真ん中あたりに置けそうなのがここ久留里店だったので、それを中心としてルートを決めた(そのため、富津岬やら九十九谷展望公園がルート入りした)というのが真相だ。ツーリング中の食事は、極力その土地に住む人達が普段からフツーに食べているものを食う、というのが信条なので、チャー弁はまさにそれに該当する(ように思える)。

こういうご時世なので、Google情報に反して閉まっていたりすることを懸念していたのだが、営業してくれていてよかった。店に入り、先客が支払いを終えたところでチャー弁を頼むと、丁度店のオバちゃんは作り置き用のチャー弁を並べようとしているところだったのでそれを購入する。本来は店内にイートインスペースがあるのだが、テーブルは重ねられていて使えない。仕方がないので店外で地べたに座って食う。バイク乗りは何歳になってもこのような行為を厭わないものだ。

味はどうかというと、チャーシューは若干の臭みが感じられるが歯ざわりが柔らかく、何より米にも染み込んでいるタレが実に美味い。そしてチャーシューが5枚入っているだけという潔さが実に良い。期待に違わぬ美味さだ。Googleの口コミによると、店によって若干の味の違いがあるようで、他の店舗のチャー弁や、別のメニューも食ってみたくなる。じゃあ晩飯も…と思わず想像してしまうが、どういうわけか月曜休みの店が多く、今回はそれは難しいようだ。また次の機会ということにしたい。

南下して外房へ

今回はチャー弁を食うことを目的としたツーリングであり、その目的を達成してしまったので、これ以降どうするかはろくに考えていなかった。まあ何となく外房というかフラワーラインを時計回りにグルっと回って帰るんだろう、ぐらいにしか考えていなかったので、ここから先はとくに決まった行き先もない。

とりあえずガソリンは入れておいたほうが安心できるので、鴨川のベイシア(ガソリンスタンド併設)に向かって南下することにした。このベイシアは市街地の西端に位置しているので、そこそこ混んでいる鴨川市内を通らなくて済む。Google Mapによると、目の前のR410をそのまま南下すれば着けるようだ。

準備を整えて再び走り出す。R410は目立った特徴もない単なる田舎の国道なのだが、交通量が少なくて走りやすい。景色というほどでもない田畑や山々、古い家々などを眺めつつ、自分のペースで淡々と走る。途中のR465との分岐は曲がらずに直進して県道24号に入る。国道から県道になったが、道の雰囲気は特に変わらない。途中で亀山湖(の端っこ)や道の駅に寄りつつ淡々と走るうちに徐々に民家が増えてくる。鴨川の市街地に入ったようだ。暫くすると見慣れたベイシアに着く。このベイシアは、このあたりに来ると必ず寄っている。ガソリンスタンドと巨大スーパーの組み合わせは便利なことこの上ない。

土産物の購入と給油を済ませて再び走り出す。少し先にあるトンネルを抜けると鴨川市街地は終わり、太海あたりで海が見えるようになる。午前中に見ていた内房のおだやかな海と比べると段違いに荒々しい海だ。午前中より風が強まっているので余計に荒れて見える。たまに現れる海を左手に見ながらR128を南下し、和田浦の道の駅に入る。ここで最後の土産物購入となる。

少し先の南三原のところで国道と別れてフラワーラインに入る。ここからローズマリー公園あたりまでのロングストレートは房総ツーリングのハイライトの一つだ。ここを走ると「あーまた来たなー」という気分になる。しかし毎度毎度午後遅めのタイミングなのであまりゆっくりはできない。今回もただ素通りするだけだった。千歳、千倉とサーフスポットを通過し、千倉漁港のだだっ広い防波堤で休憩する。

その後もフラワーラインを淡々と走る。フラワーラインを名乗っている割には雑草ぐらいしか咲いていないよな、と来るたびに思う。一応花摘み屋さんはあるし、たまに整備された生け垣もあるが、大半は何もない。千倉の道の駅や大きい橋を過ぎたところで、いつも「ここで写真を撮れたら良さそうなのに」と思いつつも、クルマにしろバイクにしろ停めようがなくて素通りしていた場所に来た。今回は原チャリなので停めようがある。歩道に乗り上げてエンジンを停止し、柵がない場所まで押した。歩道さえなければ北海道のオロロンラインあたりの景色に見えなくもない(スケールが違いすぎるが)。

全く予定していなかったが、来るたびに残念に感じていた場所を遂に攻略できたので、かなりの満足感がある。気分を良くして先に進む。少しずつ観光客が増えてきたところで白浜の野島崎に到着。以前に一度行ったことがある(そして、何度も行くほどのものでもなかった)ので、遠目に灯台を見ただけで終わりにする。

そこから少し西に進み、左折して海沿いの道に入ったところからがフラワーラインのハイライト…なのだが、入ってすぐのところで一旦停める。ここも原チャリでなければわざわざ停まらないだろう。

さあ今度こそハイライトだ。浮き砂があるので、それだけ気をつけながら気持ちよく疾走する。その途中で、やはりこれまで素通りしていた撮影スポットに気付いて停める。

しばらく走ると海沿いの道が終わる。思わず往復したくなってしまう素晴らしい道だが、そろそろ日が落ちてきて光がオレンジ色になりつつあるので諦めて先に進む。相浜の交差点で県道257号に入り、平砂浦沿いを進む…のだが、左に入る交差点の奥の方の景色が良さげだったので、一旦通り過ぎてしまったがUターンしてわざわざ戻ってそこに入る。道なりに進むと、予想通り良い道だった。県道257からは平砂浦は全く見えないのだが、ここからは端っこだけだが一応見える。さらに進むと漁港があり、その一角が平砂浦に面していた。K1100RSだったら絶対に入りたくない場所だが、原チャリなので全く気後れせずに入る。

ここ平砂浦は、まだ波乗りをやっていた頃に外房エリアで唯一満足に乗れたことがある場所なので、良い印象がある。千倉や九十九里あたりは波のパワーに負けっぱなしでほとんど乗れた記憶がない。単純に下手糞なんだから仕方ない。そういう場所だということもあってか、LXの向きをあっちこっちに変えて撮影に没頭してしまった。

かなり時間を食ってしまったので先を急ぐ。県道に戻り、ローズマリー公園あたりに負けずとも劣らない直線道路を走る。淡々と走っていると、とんでもないスピードで走ってきたテスラに追い抜かれた。そのテスラは前方の別のクルマも追い抜いていた。あれはそのうちやらかすだろう。そうこうするうちに、このあたりで最後の撮影地である伊戸漁港付近の道に着く。前回のK1100RSでのツーリング時にこの場所をたまたま見つけた時は思わず心のなかでガッツポーズをしてしまった。このカーブの雰囲気は素晴らしい。ガードレールが無いか、または錆々になっていればもっと良いのだが仕方がない。

金谷港へ

さて、そろそろ帰ることを考えなければならない。行きの乗船時に入手した時刻表によると、金谷港発のフェリーは18:25または19:30。現在の時刻は17:00。18:25に余裕で間に合うだろうと思いながらGoogle Mapを見てみると、それほど余裕はなく、ノンストップで向かっても18:10着。夕方は交通量が増える可能性もあるので少々危なっかしい。19:30の便もあるので最後の手段は残されているが、日が暮れた金谷付近で一時間潰すというのも至難の業だ。やはり18:25には間に合わせたい。

ダラダラ撮影モードだった心をスパッと切り替え、準備を整えて始動する。洲崎を超えて内房側に入ると海が途端におだやかになる。太平洋側の波のパワーはやはり比べ物にならないのだろう。急がなければならないと判っているのに思わず停まってしまう。

館山市街地で一時的に交通量が増えるが、館山駅付近を過ぎるとまた元に戻る。しばらく淡々と走っていると、青看板とGoogle Mapが違う案内をしていることに気付く。一旦Google Map通りに進み、空き地で停止して確認すると、Google Mapは人家が少ない館山道沿いの抜け道を案内しているようだ。平日だし、普通に国道でも大差無いんじゃないかと思ったが、戻るのも面倒なのでそのまま抜け道を進むことにした。

最初のうちは人家がたまに現れていたが、途中からは周りに何もない単なる山道になってしまった。まだ日が暮れていないので助かったが、真っ暗だったら平均速度が20%ぐらい落ちてしまって結局余計に時間がかかってしまったに違いない。センターラインも引かれていないショボい道は裏道として機能しているようで、たまに対向車が現れる。こちらがバイクだと判ると対向車は全然寄ってくれない。このへんの人はそういう人ばかりなのだろうか。そんな道も10分程度で終わり、再び国道に戻る。Google Mapによると到着時間は18:07、多少挽回している。

国道を北に向かって淡々と走る。途中で「としまや勝山店」を見かけたが、Googleの情報通り月曜は定休日だった。帰りのフェリーでチャー弁をおかわりする夢は儚くも崩れた。すぐそばにあるラーメン屋は、30年近く前に初めて房総ツーリングに来た時に寄ったところだ。以前はどさん子だった気がするのだが。

徐々に陽は落ち、太陽が沈もうという時間になった。間に合うことは間違いなさそうなので、随分前にたまたまストリートビューで見つけていた夕陽スポットに立ち寄る。

とはいえ撮影に没頭するほどの余裕はないので、そそくさと始動して国道に戻る。そしてようやく金谷港に到着…したのだが、太陽光の加減か、こちらの方が富士山が少しだけはっきり見えたので、また撮影を始めてしまう。

そんなことをしていると、クルマの乗客向けに乗船準備を促すような場内放送が流れた。慌ててLXのところに戻り、所定の場所に進む。チケットはあるかと聞かれたので往復券の復路分を差し出す。なんとか間に合ったようだ。最後の撮影はちょっと余計だったか。少しだけ待って、乗船するように促されたので船に乗り込む。メットインから珈琲を取り出して客室に向かう。

あとは帰るだけ

ふぅ、間に合った。富士山が見える南側に席を確保してダラーッとする。外は既に寒くなってきており、しかも慌てていてダウンベストをメットインに忘れてきてしまったので、デッキに出ての富士山見物はやめる。ベイシアで購入し、メットインで温めていたマックスコーヒーを飲みながらボケーッとする。このボケーッとした時間こそがフェリーツーリングの醍醐味である。

もうあとは帰るだけなので、準備することもない。日も暮れて富士山も見えなくなった。やることもないので寝ようとしたが、近くで酒盛りしているゴルフ帰りのオッサン軍団がうるさかったこともあり、行きと同じく寝られないまま久里浜港に到着。行きの反省に基づき、さっさと車両甲板に降りて準備しようとしたのだが、固定用ロープのせいでメットインを開けられない。結局大したことはできず、時間を持て余した。

久里浜港を出て、すぐそばにあるカインズホームに寄って自宅の在庫が切れた安バーボンを買い、ダウンベストを着込む。次は晩飯だ。ツーリングの締めといえばやはりラーメンである。久里浜エリアにはそこそこラーメン屋はあるが、駅前や北久里浜は行くのがめんどくさい。帰路の途中にある「せい家」を選ぶ。そこそこ道幅が広い歩道にLXを止めて店に入り、ラーメンの食券を買う(680円)。20時閉店なので、次の便だったら間に合わなかった。

少々アッサリ目の家系風味な豚骨醤油ラーメン、といったところか。海苔は普通に3枚にした方がいいんじゃなかろうか。気合を入れて食べに行くほどでもないが、近くにあったらたまに行きたくなるだろう。

そして今度こそ自宅に向かう。走り慣れた道を走っていると、なんだかエンジンが軽く回るようになった気がする。あながち気のせいだけではないかもしれないが、おそらく明日にはこの感覚は忘れてしまうのだろう。家から一番近いガソリンスタンドで最後の給油をして、20:13 に無事帰宅した。

総括

走行距離は241.6km、所要時間は12時間50分、そのうち乗車時間は9時間57分(これにはフェリーの時間も含んでいる)。時間の割には距離が伸びないのは原チャリだからだろう。平均速度も25.3kmとショボい(これもフェリー込みだが)。

燃費は35.5km/L。これは前回のツーリング時の41km/Lには及ばないが、累積のトータルでは25.4km/Lなので格段に良い。

こうして2回目の原チャリツーリングを終えたのだが、房総半島はもう大型で行かなくてもいいや、と思ってしまうほど満足した。そもそも房総半島南部には高速道路もなく、ハイパワーが必要な峠道も少ない。ロングストレートはあるが所詮一般道、大したスピードは出せない。セローみたいなお気楽なオフ車や原チャリが丁度よく、むしろ大型で行くメリットが少ない。それに原チャリならフェリー代も3250円。行く前から破格だと感じていたが、実際に行ってみると破格どころではないと言える。

帰ってきたばかりだが、早くも秋口あたり、寒くなる前にまた行けないかと企んでいたりする。

余談(撮影関連)

今回の撮影は主に買ったばかりのGRIIIを使った。画素数が大きいおかげもあってトリミング耐性が高いし、得られた画像の素性がいいのか、RAW現像の幅も広いように感じられる。記録写真としては十分すぎる画質だ。ただ、バイクのグローブを付けたままだとタッチAFは少々使いづらいのは想定外だった。

一部の「ここはちゃんと撮りたい」と思わせられたポイントでは、PENTAX KP+FA31 Limitedを使った。とりあえずGRIIIで撮り、追加で撮りたくなったらKP+FA31も使うような感じだったので、大抵の写真は両方のカメラで撮ったものがあるのだが、やはりどちらが印象的な写真かというとKP+FA31に軍配が上がる。これは超えられない壁というか、目的が違うものを比べるようなもので意味がない比較になる。

一応FA43 Limitedも持っていったが使わずじまい。ただ、たまたま最初に装着していたのがFA31だったので、替えるのが面倒でそのままにしただけのような気がしないでもない。どういう構成がいいのかは、もう少し試行錯誤せざるを得ないだろう。

ちなみに、主にTwitter投稿用としてiPhone 11 Pro Maxでも同じシチュエーションの写真を撮っているのだが、良くも悪くも加工された写真という印象が強く、GRIIIやKP+FA31の写真と比べると、絵と写真ぐらいの違いがある。仮にGRやKPにSNS投稿機能があったら、iPhoneの写真なんて絶対に使わないだろうというぐらいの差だ。比べさえしなければアリなんだけどねえ…

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