エアコン再々修理

ピアッツァのエアコンは、ずっと前から壊れたままだ。

入手直後は、Irmscherよりも効いていた。
2008年に全く風が出なくなり、ブロアモーターを修理して暫くは使えていたが、次第にまた駄目になった。
2014年にはエバポレーターやらホースやらを交換したものの、今度はあっという間に冷えなくなった。

それっきり放置だ。ヒーター専用車となって既に10年経った。

乗車機会が少ないことを理由に直さないことを正当化し、さらにそれを理由に夏場は乗らないことにしていたが、言うまでもないが乗れないより乗れたほうがよく、そのためにはエアコンが動くにこしたことはない。乗りたいとか乗りたくないとかいうより、必要な時というのもたまにはある。

エアコン修理はタチが悪いというか、特殊領域だという話はしばしば耳にする。実際、2014年にいつもの工場で直した時は、結局直らなかった。そして、修理費用も高額になるという話も聞く。

乗車頻度と費用を天秤にかけて放置を選択していたが、マフラー交換やエンジン修理によりピアッツァ熱が以前よりは高まっていること、昨年6月のいすゞミーティングへの往復で相当ヘバってしまったこと等が重なり、少しずつ再修理する気分になっていた。

以前の経験も踏まえ、エアコンや電装系に強い工場に頼むつもりで調べていたところ、東京にある富士電機工業所を発見した。飾りっ気のないWebサイトの内容が実直さに溢れていて好感が持てる。

もし頼むならここかな、と思っていたところに、たまたま知人がここにエアコン修理を依頼し、良い評価をしていた。そんなこともあってこちらに依頼することにした。

電話でもよかったのだが、若干説明が長くなりそうだったのでメールで連絡をとってみると、勝手な想像より早く返信が来た。しかも、近日中に入庫可能との返事だ。待たされるのではないかと思っていたので逆に面食らってしまう。調整の結果、3/25(土)入庫ということで合意した。

そして3/25がやってくる。残念ながら雨。今年は雨ばっかりだ。

久しぶりに訪れる第三京浜都筑PAで小休止。

終点の玉川まで走り、荏原にある富士電機工業所へ向かう。

雨の都内は交通量が多い。ワイパー、ライト、カーステレオ、エアコン(曇り止めのため)をフル稼働させた状態で停止していると電圧計が乱高下するので心臓に悪い。あれやこれやとオフにしたりオンにしたりと忙しい。

這々の体で富士電機工業所に到着すると、レパードに出迎えられる。奥の方にあるクルマも変なのばっかり。作業場は、いかにも電装部品の修理屋さんといった雰囲気に溢れていて大変好ましい。

社長さんにエアコンの現状をあらためて説明する。エンジン始動時の儀式がないか、等を聞かれたので、古いクルマの扱いには慣れているのだろう。老舗の工場にはとっつきにくい職人肌の人も多いが、こちらの工場は真逆で非常に丁寧だ。最後に最寄り駅までの地図までいただいた上で、富士電機工業所をあとにする。

最寄り駅はいくつかあるが、武蔵小山駅を選択した。駅までのアーケードは、いかにも都内の下町といった風情に溢れていて好ましい雰囲気だ。東京23区に住みたいとは全く思わないが、こういった雰囲気の街に一度くらいは住んでみたかったとも思う。入社から2年ほど住んだ新丸子が一番これに近かったかもしれないが、金が無さすぎて街を楽しむ余裕など無かった。

武蔵小山から目黒線で一旦日吉に出る。東横線に乗り換え、横浜から京急で地元へ戻る。

3日後、在宅勤務中に早くも電話がかかってきた。メールではなく電話で連絡が来るのは予想通りではある。

  • ガスを入れて検査したところコンプレッサーのプーリー付け根あたりからガスが漏れている
  • リビルド品は無く現物修理を業者に依頼する
  • 所要期間は、現行品ならさほどかからないが、旧車なので2週間ぐらい見てほしい

どこかでガス漏れしているのは間違いないと思っていたがコンプレッサーだったか。現物修理になるのは予想の範囲内なので、そのまま作業継続を依頼する。

しばらくかかるだろうと思っていたら、1週間後に追加情報がきた。

  • コンプレッサー交換等は終わって冷えるようになったが、吹き出し口から冷風が出ない
  • ベルトが寿命だったので交換した
  • ヒーターと切り替える箇所のモーターが動いておらずヒーターのままになっている
  • 現在コントローラーの基盤などの調査している
  • 終わったらまた連絡する

こうしてこまめに状況を教えてくれるのはありがたい。

またしばらくかかるだろうと思っていたら、またしてもあっという間に追加情報が来た。コントローラーの基盤修正と、アクチュエーターのモーター修正により動作するようになったとのこと。こういったメンドクサそうな作業をアッサリやってしまうあたり、電装系専門店に頼んだ意味があったというものだ。

4/8(土)に引き取りということで調整した。そして引き取りに行く…のだが、諸般の事情により東京見物も兼ねることになってしまった。

そしてようやく引き取り。

この辺が新品同様だといかにも冷えそうに見える。

約2週間ぶりにピアッツァに乗る。修理したので当たり前だが、送風口から冷風が出てくる。10年間にわたり温風しか出てこなかったところから冷風が出てくるのだから感動的ですらある。雨が降ったり止んだりしていてエアコンを使う必然性など無い状況なんだが、無意味に使ってしまう。

行きとは雲泥の差の快適状態下で帰宅した。全然暑くなかったので真価はまだわからないが、キンキンに冷えていたわけではないので、過度な期待はしないほうが良さそうだ。