2023年に何度か行ったツーリングの過程、特に磐梯吾妻スカイラインや蔵王エコーライン、鳥海ブルーラインあたりで、360度カメラがあったらなあ…と思ってしまう機会があった。
これまで使っていた中華アクションカメラAKASO V50Xの走行動画撮影では、こんな不満があった。
- 走行記録として残したい景色は、前方に限らず左右方向にあることが多い
- その場合、カメラはヘルメットに装着するしかない(映像を残したい方向にヘルメットを向ける)
- しかし、給電、着け外し等々、面倒が多いので、できれば車体装着にしたい(吸盤マウントでフロントカウルに装着)
- カメラの手ぶれ補正をオンにすると、画角はさほど広くない
- そうすると結局前方の狭めの範囲しか撮れず、あとで振り返りたくなるほどの動画はあまり撮れない
そんなわけで動画撮影欲はじわじわと減退していってしまい、ここ最近は動画撮影を放棄し、付属のリモコンを併用の上、前方の走行証拠写真撮影(静止画)に徹していた。しかし、ツーリングシーズンが近づいてくると、またしても360度カメラの影が頭の隅っこにチラついてきてしまった。
360度カメラはあまり安いものじゃないが、近年は過度に物欲を我慢しないことにしている。たまたまセールをやっていたので我慢しきれずに買ってしまった。選択肢が幾つかある中で、使い慣れた形状のInsta360 ONE RSを選んだ。
K1100RSへの装着方法
まず最初に候補になるものは、従来と同じく吸盤マウントでスクリーンに貼り付ける方法だが、バイクから降りて移動する際や、バイク自体の写真を撮る時(カメラが装着されているとカッコ悪いので都度外している)の脱着が若干面倒なことはわかっており、あまり気が進まない。
世間一般でよく見かける装着手段は、ミラーのステーにクランプを噛ませてそこに自撮り棒を装着する方法だが、カウルマウントミラーのKではその手段は使えない。
そこで最初に考えたのが、専用の自撮り棒をハンドルに固定する方法だ。ハンドルへの固定はRAMマウント+カメラアダプターを使う。
この方法は、動画そのものとしてはまあまあな結果が得られたが、着け外しは自撮り棒をグルグル回してネジを外さないといけないので少々面倒で、且つ走っていても邪魔くさい。RAMマウントのネジの締め付けが弱いとじわじわと倒れてくるのも問題だ。というわけで、これは最終手段としておく。買った自撮り棒は普通に旅行などの際に使うつもりだ。
次に考えたのは、クリップ形式のマウントをスクリーン最上部に挟む方法だ。
ヤフオクでGoPro純正品の中古を購入し、装着して試運転してみたところ、挟む力が弱すぎて、走行中に簡単にズレてしまう。これは駄目だ。使い物にならない。
最後に試したのが、汎用のクイックリリースマウントアダプターなるものをカウル上端部に固定する方法だ。
クイックリリースというぐらいなので、着け外しに関しては期待できる。そしてカウルへの固定は、10年ぐらい前にSONYのDSC-TX10を自由雲台を使ってカウル上端部に固定していた時と同じ手段を使う。元々あるネジに汎用のL型金具を共締めする方法だ。
試運転してみたところ、グラつきやブレもなく良い感じだ。着け外しは勿論簡単だし、外したらさほど目立たないのも良い。高速走行時の風圧に耐えられるかが唯一の懸念だが、過去に自由雲台 + DSC-TX10で高速道路で撮影できていたので問題ないだろう。
音声録音
VLOGみたいなことをする気は更々ないので、録りたいものはエンジン音だけだ。そこで課題になるのは風切り音だが、残念ながらInsta360 ONE RSの風切り音対策モードはまるで役に立たない。仕方がないので外部マイクを装着する。
そのためにはアダプターが必要なので仕方なく買う。録音するだけならUSB-C→マイク端子変換だけすれば済むが、充電(給電)も併用する場合はアダプターが必要だ。
それに加えてマイクも必要だが、これは汎用のPC用の安物を買う。
これで風切り音が減るかと思いきや、外部マイクを装着すると風切り音対策モードを有効化できないっぽい(できるのかもしれないが見当たらない)。ウィンドジャマーを着けた上で、極力風切り音を拾わず、且つ簡単に着け外しできる場所を探した。何度か試した結果、ここが良さそうだった。
撮影感・使用感
あらかじめ外部マイク、電源ケーブルを繋いだカメラアダプターをInsta360 ONE RSに装着しておけば、あとはクイックリリースマウントアダプターに装着して録画開始するだけなので簡単だ。録画ボタンを押すだけで勝手に電源も入る。楽でいい。
360度カメラの特性として、どうせ画角や視野は事後調整するので、カメラ自体を傾けて装着してしまって後でガッカリする、といったことが無いのもいい。
撮影した動画は本体の小さい液晶か、連携したiPhoneアプリで確認できる。アプリとの連携はスムーズで、転送速度も不満の無いレベルだ。ササっと編集して公開することもできるが、アプリのAI自動編集みたいなものに任せると左右や前方の景色よりライダーを優先してしまい、かなりの時間を自分自身が占める動画になってしまう。これは自分的には使い物にならない。
ちゃんと視野や画角を指定して編集することも勿論できるが、ツーリング中に過剰にそこに時間をかけるわけにはいかない。そんなわけで、ツーリング中はひたすら録画開始・終了するだけで、中身の確認や編集は帰宅後、という使い方になるだろう。
実際、あとになって360度ぐるぐる回しながら動画を見るのはなかなか楽しい。前方だけを延々撮影した動画よりは格段に面白い。本当に真横や後ろが撮れているのかと疑心暗鬼だったが、何の違和感も撮れているからすごい。マウント位置の関係で右側の真横方向のみカウルが映り込んでしまうが、これは仕方がない。これが嫌なら自撮り棒を伸ばして少しだけ高い場所から撮影すれば回避できるが、邪魔くささや扱いの面倒くささとのトレードオフになる。
撮影の際に4Kモードを指定しておくと、結果的にはFull HDサイズのmp4動画として出力できる。もうワンランク上の画質やサイズが欲しければ5.7Kモードを指定すれば良いが、当然ながらファイルサイズが大きくなる。360度で見返したい場合はオリジナルファイルを保存しておかなければならないので、あまりにもディスクを食うサイズなのは考えものだ。
撮影/編集結果
2024/04/13の山梨方面へのツーリング時に撮影したものを、Macにインストールした専用アプリで編集した。
編集にあたり、上下左右への首振りは遠慮気味にしているが、最後の富士山が延々右側に見えている光景は普通のアクションカメラでは撮れなかったもので、こんなものが撮れるというだけでかなり満足している。海沿い、川沿い、雪の壁、古い町並みあたりを走るのが楽しみだ。
なお、専用アプリは360度動画の画角・視野編集という点では必要十分な機能だが、普通の動画編集機能としてはMac標準のiMovieよりかなり劣る。mp4エクスポート時に音声のFade In/Out情報が欠落するとか、しょうもない不具合もある。Final Cut ProとAdobe Premiereとの連携機能があることからも明らかなように、単体で完結するものではないというのは提供側も自覚があるのだろう。だからと言ってわざわざ個別のmp4をiMovieに取り込んで公開用動画を作るほどの意欲もないので、とりあえずこれで納得しておく。
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