もはや何回目なのかわからないピアッツァの車検がやってきた。
ここ最近の車検は、極めてやる気がない状態で持って行っていた。
例えばタイヤがヒビ割れしまくっているとか、マフラーが爆音だとか。
納税証明書なんて毎度忘れている(クルマの場合は無くてもどうにかなるのだが)。
それが伝わっていたのか、必要最低限のところだけ直されて返ってきていた。
しかし今回は違う。
タイヤは替えた。
マフラーは新調した。
プラグとエアクリーナーを替えた。
古いプラグも確認用のために置いておいた。
ショックアブソーバーも替えた(車検合否には関係無いが)。
リヤワイパーのゴムも替えた(同上)。
何かあったときのために予備のデスビとプラグコードを室内に置いておいた。
そしてなんと納税証明書も用意した。
準備は万端である。
さらには年末に洗車済みのため外観がまともだ。
いつもとは違うのである。
車両持ち込み
今回の依頼事項は以下の通り。
- エンジンの吹け上がりが冴えない(まるで三気筒のようだ)
- ボールジョイント交換(アッパー/ロア両方)
- スタビライザーエンドブッシュ交換(ショック交換時にやり損ねたもの)
足回りの性能回復を図るべく、ショックアブソーバと同時に個人輸入した部品類を持ち込む。
このぐらい自分でやれという声が聞こえてきそうだが、年末でもないと十分な時間を確保できないので致し方ない。
いつもとは違うのだよ、といった雰囲気を出しつつ堂々と持ち込みたいところだったが、双方の時間的都合により営業終了後の持ち込みにならざるを得ず、依頼事項を書いた紙を印刷した上で、茅ヶ崎の工場に車両だけ置いて来る羽目になった。
整備依頼
翌日、茅ヶ崎の巨匠から電話がかかってきた。こちらが仕事中であることに配慮しているのか、電話代を節約したいのかはわからないが、ワン切りするのが巨匠スタイルである。
仕事を抜け出して電話すると、まず「いや〜このマフラー随分うるさいねえ」と言われてしまった。自覚していることを指摘されることほど困ることはない。車検は通るはずだとマフラー屋さんから言われている、ということで押し通す。
その他、吹け上がりやら足回り部品交換やらの話をする。銀河大橋程度の登りではなかなかわからないですよ、なんていう伝え方できちんと伝わるのがローカル色があって良い。その場で古いプラグを見てもらい、白焼けしていることを確認するが「まあ大抵こんなもんだ」とのこと。プラグに関しては、番手を替えたり新品にしたりしたところで、4気筒が3気筒になるほど劇的には変わらないことは承知しているので問題ない(プラグギャップが駄目な場合はその限りではない)。
ボールジョイント等については、非純正の互換部品なんてやりたくないと断られることをほんの少しだけ懸念していたが、「こんなの消耗品だからアメリカの値段が妥当だよね」といった感じで、全くの取越苦労であった。
整備完了
持ち込んでから約10日ほど連絡がない。これまでの車検所要日数は3日や5日。巨匠にしては長く時間がかかっている。吹け上がり改善に時間がかかっているのか、それとも互換部品に互換性がなくて純正品を取り寄せているのか。そろそろ電話して確認しようかと思っていたところで連絡が来た。例によってワン切りである。
執務室を出て折返しの電話をする。やはり問題は吹け上がりだったようだ。3番のインジェクターのコネクタ部に青錆が出ていたようで、これを掃除することで直ったとのこと。ただ、このコネクタ(コネクタ側・インジェクタ側両方)はかなり劣化していて、あまり外したくない状態だとのこと。最悪、ギボシ端子みたいなもので直結してコーキングで覆ってしまう手もあるけど・・・みたいな話になったが、とりあえず好調になったとのことなのでそれで良しとする。
そもそもの話になるが、このピアッツァのインジェクター、プラグコード周りは、以前の「雨が降るとエンジンがかからなくなる病」の際に、巨匠の手によりあちこちコーキングされまくっている。おそらくその時点で青錆はあったのだろう。
完全に忘れていたが、足回りについては全く話題にならなかったので、多分問題なかったのだろう。
引き取り&インプレッション
さっさと引き取って乗りたいところだったが、出張やら歯医者やらが重なっていて時間がなかった。特に予定がなかった土曜日に電車とバスを乗り継いで工場に向かい、ピアッツァを引き取る。
走り出した瞬間にわかるのはフロント周りの落ち着きっぷりだ。工場の前にある段差を降りる時点で全然違う。これまでなら「ガコン」といった音がしそうなところをアッサリと無音で降りる。道路を左折する際のフィーリングもまるで別物だ。ものすごく普通に曲がる。その後のR134二車線区間における高速走行も落ち着いており、車線変更等のステアリング操作にきちんと反応する。これまでは何をやってもワンテンポ遅れていたのだが。これなら自家用車のエクストレイル(15年落ち)に張り合えるのではないか(なお、翌日エクストレイルに乗ったが、やはりまるで張り合えるものではなかった)。
残念なのは、ボールジョイントとスタビライザーエンドブッシュを同時に替えてしまったので、どれがどのように効果があったのかがイマイチはっきりしない点だが、おそらく走行安定性はスタビライザー、挙動の確かさはボールジョイントが寄与しているのだろう。
そして問題のエンジン吹け上がりだが、確かに以前よりは良くなっているが、完全ではない。これまで何台か乗ってきた4気筒エンジン車に比べると、まったくもってスムースさに欠ける。自分が経験した中で最もスムースな4気筒エンジンは、今も乗っているK1100RS(但し同調をとった後の好調時に限る)だが、それとは比べるのも失礼なぐらいガサツだ。今時の4気筒と比べたらもっと鼓動感が際立つのだろう。
ただ、今回はインジェクタやコネクタを交換したわけではないし、掃除したのも3番だけだ。パーツカタログを見る限り、G200W(DOHC)とG200Z(SOHC)のインジェクタは共通である。海外輸出されているG200Z向けのインジェクタとコネクタ(いずれも互換品)は普通に米国の部品屋で売っているが、1本$40程度なので、送料込みで考えると20,000円超えになる。お試しで買える値段ではない。人柱になるには何らかのきっかけが必要な値段だ。
ちなみにいすゞ純正部品をモノタロウで検索するとヒットするが、14,000円と互換品の約3倍の値段だ。そしてヒットすること即ち在庫アリでもない。
「外しはじめたら後戻りできない」といった深刻な状況とは言い難いが、部品代だけで結構なお値段になる。吹け上がりの良質化のためにどれだけの投資をするかという話だ。
これまでも平坦路であればあまり気にならなかった。問題が顕著に感じられるのは「急な登り坂」である。自宅が丘の上なので、どこかに出かけるたびに必ず坂道を通らざるを得ないのだが、毎回吹け上がりに不満を感じるのは、それが積み重なると大きなストレスになる。
茅ヶ崎にはそのような坂がないので試しようが無かったのだが、帰宅途中の定番撮影スポットに向かう途中に自宅近辺と同程度の坂があったので試してみたところ、少なくとも以前のように回転上昇にストレスを感じる状態ではなく、鼓動感はありつつも回転数は上がり、普通に昇ることができた。
悩ましいが、とりあえず今の時点ではこれで良しとする。
とはいえ、全体的にはこれまでに比べれば格段に好調になっている。おそらくこのJR130ピアッツァXEを入手してからの20年間で、最も好調な部類に入るだろう。20年前に比べると、エンジン、ミッション、マフラー、ショック、ボールジョイント、ブッシュが別物になっている。そりゃ今の方がまともに違いない。
なお、フロントのウインドウォッシャーが出ない問題(ワイパー自体は動く)の修理依頼を忘れていたことに気づいたのは帰宅後の話である。さてこれはどうしてくれようか…雨の日に乗らなけりゃ済む話なのだが…
ピンバック: 米国の部品屋から足回りの互換部品を買う | sabitori.com
コメントは受け付けていません。