リヤブレーキキャリパー交換&ABSユニットエア抜き

K1100RSのリヤブレーキパッドが片減りしていたので、なんとなく入れ替えたら日帰りツーリング中に余計に酷くなり、さらにはABSエラーも出るようになってしまった。思いつきで余計なことをした自滅としか言いようがない。ブレーキに関してはあまり放置したくない。とりあえずやれることをやってみる。

そもそも片減りする時点でキャリパーの動きが渋くなっていることは想像がつく。既に70,000km近く走行しているので、キャリパーをオーバーホールしてもいい頃だ。実際、フロントは64,000km時点でやっている。そこで、Moto-binsへの部品注文時にキャリパーOHキットも同時に注文した。

程なくして届いたOHキットは伊ARIETE製品だった。ARIETEは、BMW純正品があっという間に劣化してしまうフロントフォークオイルシールにおいて非常に高い耐久性を示しており、印象は良い。

キャリパーを外す

部品が揃ったところで作業を始める。

キャリパー自体を外す前に、キャリパー自体を結合している8mmの六角ボルト(キャリパーOH時に外すことになる)を緩めようとしたところ、これがかなり固い。WD-40を吹いてしばらく放置した後に再度回そうとしたが、やはり固い。ガキッという嫌な音とともに動いたが、一度に動く量が小さい。ガキッ、ガキッを何度も繰り返してようやく緩む。これを2本。

続いてキャリパーをリヤアクスルから外す。こちらはそこまで固くないはずなのが、ボルトが奥まったところにあるため、8mmのロングビット(フロントフォークオイルシールを交換するときに必須)を使ったのが失敗だった。ちょっと力を入れてソケットレンチを押したら、先日アストロプロダクツで買ったばかりのロングビットが折れてしまった。160円とかの安物だからショックは小さいが、買って1回目で、しかも1本のボルトも抜いていないのに折れるのは気分が悪い。結局、通常のビットを使ってキャリパー固定ボルトを外す。最初からこれにすればよかった。

ABSセンサーを同時に外すために、センサーから出ているケーブルがつながっているコネクターを外す。このケーブルがかなり長く、ガソリンタンクのあたりまで繋がっている。いちいちタイラップで止まっているので、全て切る。

続いてブレーキホースのバンジョーボルトを外し、ようやくキャリパーを外す。さらにブレーキパッドを外し、先ほど緩めたキャリパー自体を固定するボルトも外す。外してみたところ、かなり錆びていて再利用する気になれないものだった。

後日調べたところ、どうやらBREMBO純正のリペアキットには六角ボルトも含まれているようだ。ARIETEのキットには含まれていない。実際にこのネジを見ていると、さっさと交換したい衝動に駆られるし、わざわざリペアキットに入れるぐらいなのだから本来は交換するのが筋だろう。しかし無いものは無いので再利用するしかない。

キャリパー分解&オイルシール装着

続いてピストンを抜く。豪勢なエアツールなど持っていないので、ダイソーで買ってきたチャリンコ用空気入れ+浮き輪用アタッチメントを使う。

この方法自体は以前フロントブレーキキャリパーのOHをした時もやったので一応実績があるのだが、今回はなかなか外れない。アタッチメントの角度や、オイルが流れる穴の塞ぎ方(ゴム板を当てた上でCクランプで挟んで密閉する)を工夫した結果、ピストン抜き出しに成功したのだが、その間にピストンをコジッたりしている間にピストンに傷をつけてしまったようだ。

ここで既にケチがついているのだが、とりあえず先に進めてみる。古いオイルシールを抜き、新しいARIETEのシールを装着する。なんとなく厚みが違うような気がする。その感覚は当たっていたようで、ピストンを圧入しようとしても全然入らない。向きを確認したり、なにか溝にゴミでも入っていないかと確認したが問題は見られない。仕方ないのでメタルラバーを吹いて強引にピストンを入れたが、こんなので本当に動くのだろうか。

このまま使うのは気持ち悪いので再度ダイソー空気入れでピストンを出すと、装着したばかりのシールが千切れてしまっていた。これはいくらなんでも使えない。

コレは明らかに不良品、または何らかの手違いで、とても互換品とは言えない。一応型番で確認してみたが、他の販売店でもこの型番のシールをK1100RS用の部品として販売しているので、型番違いのような根本的な問題では無さそうだ。だからといってMoto-binsに言ってどうにかなるのかというと、聞いていないのでわからない。仮に代替品を送ってくれるということになっても、あんまり使う気になれない。千円台のものなので勉強代と思って諦めたほうが良い。

中古キャリパーに入れ替え

ここまでの問題点は2つ。キャリパーオイルシールの再入手が必要であることと、ピストンに傷をつけたこと。オイルシールはBREMBO純正品を買えば済む話だが、ピストンは単体では売っていない。キャリパーAssyの新品購入などありえないので、中古キャリパーを買ってピストンだけ抜くことになる。傷とはいってもおそらくオイルシールには触れない範囲なので気にしなくてもいいとは思うが、ブレーキが相手なので気分的によろしくない。全く手段が無いならともかく。

そこでなんとなくヤフオクを眺めていると、走行17,000km程度で、外見も良さそうなキャリパーが出品されていた。走っていなさすぎることによる固着が気にならなくはないが、逆に程度が良ければ何もしなくてもそのまま使える可能性もある。他にも、キャリパーピストンだけなら流用できそうなボロくて安いキャリパーも幾つか出品されていたが、色々考えた結果として良さそうな方を落札した。

数日後に届いたキャリパーは、少なくとも外見上の程度は非常に良いものだった。外見で判断できるものではないが、このまま装着しても問題なく使えそうに見える。パッドの残量も十分だったが、これは手元に新品があるので使わず、パッドだけ入れ替えてそのまま使い回すことにした。

左側が今回購入品。右側の古い方は全体的な雰囲気が明らかにボロい。

装着&ABSリセット

平日の夜に作業再開。一応、ピストンとシールの間にメタルラバーを吹き、各所を掃除した上で装着する。キャリパー、ブレーキホース、ABSユニットの配線等を順次取り付ける。

この機会なのでブレーキオイルも総入れ替えしたいので、ABSユニットに溜まっているであろうブレーキオイルを注射器で抜く。思いのほか大量に出てくる。ちょっと前に聞いた話だが、ABSエラーが出ている車体をディーラーに持っていったところ、ユニット内のピストンを動かすべく吸引したりしていたとのことなので、単に抜くのではなく注射器を押したり引いたりしてみる。ほとんどおまじないの世界だが、なにかやった感はある。

あとはごく普通にマスターシリンダーのリザーバータンクからブレーキオイルを入れてエア抜きすれば終了。今回はストレートのブレーキブリーダーボトルを使ったが、これのおかげで楽勝だった。オイルを入れたり、ブレーキペダルを踏んだりを数十回繰り返してブレーキ周りは終了。

続けて、作業のために外していたリヤサスペンション等を取り付けてすべての作業を終了した。


一応やるだけやったので、ABSユニットのリセットをしてみる。以前もやったことなので方法はわかっている。ABSスイッチを何秒押すのかは諸説あるが、8秒では何も変わった感が無かったので続いて20秒やってみたところ、キーオン時のランプの付き方が変わったような気がした。変更前後の動画を撮っていなかったのが悔やまれる。本当にきちんとリセットされたかどうかは、数メートル走ってみないとわからないのだが、既に日付が変わろうとしている時間で、しかも雨が降り出したので、この日はこれで終了である。

試運転

数日後、各所のボルト類を適正トルクで再度締めた上で試運転をする。車庫からK1100RSを出してみると、取り回しが明らかに軽い。やはり前のキャリパーは引き摺っていたのか。

エンジンを始動すると、ABSランプは点滅している。そしてギヤを入れてちょっと進むと、見事にABSエラーを告げるランプは消えた。作戦は成功である。

そして実際に走る。リヤブレーキを何度かかけてみたが効きは悪い。ただ、新品パッドなので暫くはこんなものだろう。全く効かないわけではないので、作業自体は完了と言えるだろう。とりあえず馴染むまでは慎重に走るしかない。

なお、交換作業中にマスターシリンダーからのオイル漏れに気付いてしまった。2014年に800円で落札した中古品が、10,000kmほどで寿命になったようだ。こちらは諦めてオーバーホールキットを買うしかないだろう。

交換時の走行距離:70,290km

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