2025 GW 四国ツーリング Day1

高速道路移動以降のルートも寝場所も決まらないまま迎えた四国ツーリング初日。

目が覚めて早々に天気予報アプリを見てみたが、特に良くも悪くもなっていなかった。週間予報ならともかく、当日の予報が劇的に変わることはない。この時点で、淡路島は諦めて瀬戸大橋から四国入りせざるを得ないだろうという覚悟を決めた。

案外目覚めは良い。ベッドから出て、準備しておいたバイクウェアに着替える。今回はメッシュジャケットで行くことにした(この選択はどちらかといえば失敗だった)。

顔を洗い、前夜のうちに準備してあったコーヒーメーカーのスイッチを入れ、前日買っておいたBLTサンドを食う。サンドウィッチを頬張りつつ、悪あがきで天気予報を見るが、もちろん何も変わっちゃいない。

出発の準備は前夜までに終えてあった。机の上に置いてある財布や鍵、時計などを身につけ、荷物を放り込んである330円のトートバッグを肩にかける。玄関に向かい、とりあえずブーツではない普段履で外に出て、倉庫のシャッターを開け、Kを外に出す。外してあったトップケースやパニアケースを装着する(外さないとシャッターが閉まらない)。Insta360やら何やらは前夜のうちに装着済みなので、既にハンドル周りはゴテゴテしているが、そこにナビ用iPhone SE2を装着してさらにゴテゴテ感が増す。

バイクの準備は終わった。あとは自分だ。

玄関に戻ってブーツを履き替え、扉を閉めて鍵をかける。ウエストバッグを装着し、首からぶら下げたiPhone13 Pro Maxをそこに入れる。ヘルメットをかぶり、Kに跨り、iPhone13 Pro Maxの充電ケーブル接続、ROADSTOCKの起動、iPhone SE2のナビの設定などの電子機器系の設定を終える。

時刻は5:55。何とか6時前に出られそうだ。さて、行くか。

しつこいようだが、4泊以上のツーリングをするのは15年ぶりのことで、過去の経験則なんてものを無にするほどの空白期間があり、当然ながら自分もKも15年分劣化している。これはもう初めて行くのと大して変わらないんじゃなかろうか。2泊3日は過去2年続けてやってるけど、4泊5日のキャンプ込みツーリングは全然別物なんじゃないですかね。

そんな状況なので、出発時には昂りよりも緊張が上回るんじゃないかと思っていたが、それほどでもなく普通に出発できた。ちょっと前に八ヶ岳方面で予行演習をしていたり、ここ1年ほどKに大きな不具合が無くて不安が少なかったからだろうか。

そして、これだけの期間を自分一人だけ家を空けるのも初めてのことだ。仕事の出張も含めれば、5日ぐらい居ないというのは2021年の宇都宮出張連発時代にも、その前の名古屋出張連発時代にもあったけど、あれはあくまで仕事で、今回はただの遊びだ。今日は平日なので、家族は普通に学校と仕事で、まだ寝ている。朝っぱらから遊んでいるのは自分だけ。行かせてくれた家族に感謝しなければならない。今回は珍しく置き手紙を書いた。こんなことするんだね、と馬鹿にされるのが目に見えているが、まあいい。何かしら形に残しておいた方が、思い残すことがなくなる。

淡々と西へ

朝早い…というほど早くないので、R134はごく普通の流れ具合だ。

天気も微妙だし空いてもいないので気持ち的には盛り上がりに欠ける

よく停まる七里ヶ浜駐車場や茅ヶ崎海岸をスルーして走っていると、Googleさんが秦野中井ICではなく箱根新道方面を指示し始めた。距離的にはこちらの方が短いことは把握しているが、時間観点でも早いようだ。西湘BPに乗らずに大磯港のPあたりで停めてあらためて確認する。所要時間が同じなら秦野中井から乗る意味は何もないので、指示通り箱根越えを選択する。

箱根越えを選択したので寒さ対策でカッパを着る

時間の浪費を防ぐため、いつも停める西湘PAをスルーし、そのまま箱根新道に入る。残念ながらトレーラーに行く手を遮られてしまい、あまり順調とは言えないが、仮にトレーラーがいなくてもせいぜい数分しか変わらない。これから先の数百キロの所要時間を考えたらシケたものだ。淡々と登り切って、なんとなく箱根峠のPに停める。案の定寒い。

霧はそれほど深くない

硬直した身体を動かし、すぐに出発する。三島方面にR1を下り、途中で伊豆縦貫道に入る。高速道路のクソ高いGSでの給油量を極力減らすべく、沼津長泉IC手前でR246に降りて給油する。

単価は高めだが高速道路よりはマシだろう

給油に加え、高速道路走行に備えてヘルメットスピーカーとBluetoothオーディオリモコンのスイッチをオンにして、音楽プレイリストを再生した。問題ない。

GSを出て、ふたたび伊豆縦貫道に乗り、長泉沼津ICから新東名に乗る。車では年に1,2回程度走っているが、Kで走るのは相当久しぶりだ。前がいつだったのか思い出せないぐらいだ。車で走る新東名は退屈だが、バイクだと新緑の山深い景色がよく見えるので案外気分が良い。ハイウェイキングのKなら相当なスピードでかっ飛ばすこともできるが、精神的疲労を抑えたいので瞬間最高速度を上げず、制限速度程度で比較的淡々と走る。40kmほど走った清水PAで小休止する。

随分だだっ広いところだな

PAと名乗っているが大型車用駐車場を中心に駐車エリアは広い。建物も大きめで、これが東北道や常磐道だったら堂々とSAを名乗る規模だろう。

せっかく停めたので、この先の天気予報と雨雲レーダーを確認する。既に西の方では雨が降っているようだ。こりゃカッパは避けられそうにないな。とりあえず先に進もう。

浜松あたりは晴れているんだけどなー

淡々と走り、110kmほど進んだ長篠設楽原PAで停まる。昨年の東北道走行後に激しく膝が痛くなった反省で、今回は休憩間隔を若干短めに取ることにしたので、もうちょっと走れそうなところで停まった。

せっかく停まったので、今回も雨雲レーダーを確認する。

雨雲レーダーは、概ね事前の天気予報通りの推移を示している。もう心はほぼ決まっているが、あと1区間だけ走ることにする。若干の眠気を感じたのでガムを補給して出発。

新東名から伊勢湾岸道に入る。この道を走るのはたぶん2015年の紀伊半島ツーリングの帰路以来だろう。

いかにも「湾岸線」という雰囲気の道

そして三重県に入り、湾岸長島PAに停める。

あの遊園地はまだ健在なんだな

停まった目的は、休憩に加えて、コレだ。

数日前からほぼほぼこうなるだろうと予想していた。ついに観念して決断を下した、というのが実態だ。淡路島は走りたかったんだけどなー。アワイチしたかったんだけどなー。まあしょうがない。またいつか。

走行中ずっとモヤモヤしていたことに結論を出したのでスッキリした。気持ちを入れ替えて瀬戸大橋を目指そう…と言いたいところだが、空の方はスッキリとは真逆のドンヨリ模様。どんどん空が暗くなってくるので、あまり走っていないのに土山SAに入る。

雲行き怪し過ぎだろこれ

雨雲レーダーを確認すると、すぐそこまで雨雲が迫っている。残念ながらカッパのお世話にならざるを得ないようだ。

カッパの準備をしていると、すぐそばに別のバイクが停まった。何者かと思ったらK100RS 4Vだった。

コレは珍しい

軽く挨拶し、いやー珍しい、なんて言いながら写真を撮り合う。K仲間と走る時以外に、フツーにKに遭遇するなんてもう何年ぶりのことだろうか。仙台からフェリーで名古屋まで来たそうだ。このKは友人の形見だとのこと。

こんな感じで突然現れる会話の機会ってバイクならではだよなーって思う。ソロだと全く誰とも喋らず1日が終わるのが当たり前なので、こういうのは貴重だ。雨のせいで気持ちが落ち込みかけていたが、思わぬ出会いにより少し心が軽くなった。さて先に進もう。

iPhone SE2をビニール袋に入れて雨対策をする(カウルに隠れるのでまず濡れないけど)。パニアケースからカッパを取り出して着込む。潔くブーツカバーも装着する。いつ以来だかわからないぐらい久しぶりに使うが、裏側のシームテープが剥がれてボロボロだ。きちんと直すか、それとも買い直すか。今回はこのまま使うしかない。

ガソリンが怪しくなってきたので土山SAのGSで給油。案の定高い。¥219/Lって人を馬鹿にしているだろ。何をどうしたらこんなに高くなるのか。去年まではツーリングプランを駆使して高速GSでの給油を避けてきたが、今回は旅程が長すぎてツーリングプランが使えず、高速道路SAでの給油が不可避なのでどうにもならない。ETCだったらICを出てxx分以内に同じICから入ったら継続扱いで料金計算、なんて簡単にできそうなのにやらない。本当にこの国の道路行政はクズだ。

文句ばっかり言っていてもしょうがないので先に進む。走り出してすぐに、雨で濡れる前に軽く昼飯食っておかないと色々と面倒なんじゃね? と思い直し、すぐそばにある甲南PAに停めて昼飯にした。

食い終わって出走の準備をしていると、とうとう雨が降り出した。わかっちゃいたことだが楽しいことではない。

この先の道は実はあんまりよく把握していない。新名神が少し延伸したようなので、そちらを走りたい気持ちもあるものの、久しぶりに太陽の塔を見たい気もする。東名vs新東名とは違って、どちらから行っても時間は変わらないみたいなので、昔からある中国道経由で行くことにする。その手前にも、名神か京滋バイパスかを選べる区間があるが、これもどっちでも所要時間が同じ。景色も道路状況も大差ないだろうから、ナビが言う通りに行く。

雨の中を淡々と走る

幸い雨はさほど激しくないので、特に苦労することもなく淡々と走れる。身体が硬直しないように適度に動かしながら進む。雨が避けられない場合の苦肉の策として、雨の時間帯は高速道路で長距離を淡々と移動する、というのは昔からの定石だが、今回もうまくそのパターンに乗れたと言える。京滋バイパスから名神、中国道と入り、モノレールと並走しながら太陽の塔を眺め、西宮名塩SAに入る。首尾よく屋根がある二輪駐車場に停められた。

屋根ありがてえな

ここは2010年にも停めた懐かしい場所で、且つこの近くの三田市に出張でちょくちょく来ていた(なのでJR福知山線の西宮名塩駅を通過していた)ため、なんとなく親近感がある場所だ。なんとなく建物内に入ると、古典的な飾りっ気ない店内の片隅に、最近見かけないスタイルの給茶機があった。冷えた身体にはありがたいものだ。

昔はSAといえばコレだったのにね

居心地の良い空間で緑茶を飲みながら雨雲レーダーを眺める。とっくに諦めているが淡路島経由はやはり無理だ。そのまま西に向かうと、兵庫県あたりで雨雲から脱出できそうだ。先の見通しが立つと気分的に上がってくる。入り口付近のパンフレットコーナー(これも昔に比べて種類が減った)で、高知県の冊子をいただき、雨に濡れないように隠しながらKのところに戻る。冊子をトップケースに仕舞い、身支度を整えて出発する。

途中の三木SAで何となく停車しつつ、少しずつ小降りになってきた雨の中を淡々と走る。そして姫路を過ぎたあたりで遂に雨が上がった。特に意味はないが思わず白鳥PAに入ってしまった。

そして四国へ

雨が止んだ上に、瀬戸大橋がすぐそこまで近づいてきた。俄然やる気が出てくる…が、そろそろ給油しておかないとあぶない。吉備SAで千円分だけ給油する。そして倉敷JCTから遂に瀬戸中央自動車道に入る。あ〜ここまで無駄に長かったな。どこでもドアでここまで移動できたらどんだけ楽だったか。南に向かって走っているとなぜか高揚感が出てくる。

山が低くなり、雰囲気が変わってきた気がする

鴻ノ池SAで本州最後の小休止をする。四国がすぐそこにある雰囲気が漂っている。

さて、これからとうとう瀬戸大橋を渡る。2010年は宇高フェリーで渡っているので、2008年の中国・四国・九州ツーリング(超無理矢理)以来の瀬戸大橋走破だ。

2008年は、男の建造物に感動しつつも1回走れば十分、なんて書いているが、あれから17年も経っているので、もはや何も覚えていない。また別の感覚が得られることを期待して出発する。

SAを出て本線に入る。ほどなくして瀬戸大橋が見えてくる。おいおい何なんだこの巨大な建造物は。横浜ベイブリッジやら何やらはしょっちゅう通っているけど、コレはスケールが違う。永遠に続くんじゃないだろうかと言いたくなるほど延々「大橋」だ。そして橋から見える景色がまた良い。瀬戸内海の穏やかな海と小島を遥か下に見ながら悠々と走る爽快感をどう例えれば良いのか。ここはクルマでも電車でもなくバイクで走るべき道だ。この独特な空気感はバイクでしか得られない。おいおい17年前の俺、感性がショボ過ぎじゃないのか? なんでコレを1回走れば十分なんて言えるんだよ。年に1回走りたくなるんじゃね?

うぉーーーー

瀬戸大橋ができてもう何十年も経っているが、こんな物凄いものを作った日本人スゲーと思ってしまった…が、こんなの作れたのは諸々の時代背景もあり、今同じことをやれと言われても格段にショボいのしか作れないだろうし、あと何十年かしたらそもそも技術伝承出来てなくて作れなくなってるんじゃないかねえ、なんて悲しいことを考えたりする。もういいや、日本人バカばっかりだから将来のことなんて知ったこっちゃねえ。

感動したり妄想したりしながら走っているうちに与島PAが近づいてくる。勿論寄る。ループをグルグル回りながら降りて見上げてみると、瀬戸大橋の男の建造物っぷりにまた感嘆する。いやーホントよくこんなの作ったな。ボーっと眺めていると電車が通過していったりして感嘆に輪をかけてくれる。

とにかくスケールがでかい

展望台から眺める橋もまた良い

夕暮れ近い瀬戸内の穏やかな海の眺めも良い

橋も海もどちらも良いので延々ダラダラしてしまう。まあまだ全然明るいし別にいいだろ…と思って時計を見たらもう18:00近い。そうだ、西日本は日暮れが遅いんだった。

結局50分もダラダラしてしまったが、さすがにもう出発しなければならない。与島PAを出る際も勿論ループをグルグル周り、再び瀬戸大橋に戻る。

夕陽が見える中を走るのもまたサイコーだ

ここから坂出まで延々と続く高架橋もこれまたサイコーだ。とにかく全部サイコーだ。そして遂に四国に上陸し、坂出北ICで四国に降り立つ。いや〜遂に15年ぶりに来ましたよ。まさか15年も間が開くとは思っていなかったな。

まだ辛うじて陽は落ちていない。夕陽スポットっぽい展望台として、ちょっと高松の方に行ったところにある五色台と、すぐ近くにある青ノ山山頂展望台というのがある。時間的余裕が少ないので後者を選ぶ。距離的にはさほど遠くないが、県道から展望台までの道がなかなか細くて険しい。延々高速道路の真っ直ぐな道ばっかり走ってきた自分にはキツい道だ。

やっとこさ山頂駐車場に到着

雨上がりの湿ったクネクネ道を登って駐車場に着いたものの、そこから展望台までがまた遠い。カメラを手にして数百メートル歩くと広場に出る。展望台はさらにその奥。小走りに展望台に向かうと、もう陽が落ちるところだった。そして、瀬戸大橋はモヤに隠れてほぼ見えなかった。

ギリギリ間に合った

橋はそんなに遠くないはずなんだけどよくわからん

一応夕陽は見られたが、なんだかビミョー感が漂う結果となった。まあ五色台に行っていたら到底夕陽に間に合わなかっただろうから仕方あるまい。トボトボ歩いて駐車場に戻り、高松のカプセルホテルまでの時間を調べたら、なんと50分以上かかると知って愕然とした。チェックイン時間の19:00には到底間に合わないので一応電話しておく。

クネクネ道を下って県道に戻り、あとはGoogleさんの言う通りに淡々と走る。15年ぶりの四国の道ではあるけど、瀬戸内側の市街地なので、あんまり四国っぽさは感じない。今や地元では見かけなくなった二輪車用の二段階停止線があるぐらいか。

それでも、たまに見かける「マルナカ」「レデイ」といった四国ローカルショップの看板を見ると、あーやっぱり四国なんだなーという気分になる。

それと、基本的に平地なのに、ちょいちょいポッコリとした山があったり、たまーに溜池があったりするのも四国(の瀬戸内側)っぽい。そういえばこんな感じだったなー、と懐かしくなる。

二輪停止線とポッコリ山

カプセルホテル到着時間はどれだけ遅くなっても問題ないので、スーパーに寄って土産物の買い物をしようと企んでいたが、たまに現れるスーパーは軒並み反対車線側にあった。もはや車線を跨ぐことすら面倒なので左側に現れることを期待していたら、もうすぐそこがホテルというところまで来てしまった。たまたまホテルの向かいにガソリンスタンドがあったので給油し、そのままホテルには行かず、そう遠くないところにあるマルナカに行く。

チャリンコ置き場に堂々と停める

このマルナカは琴電の駅の近くにあり、徒歩客向けの小規模店のようだ。コンビニ2軒分ぐらいの広さしかないので、品揃えも当然ショボい。それでも土産物になりそうなものは一応あるので、それ(さぬきビール、骨付鳥、日本酒)だけ買っておく。買い物をパニアケースに入れつつ、ホテルに持って行く荷物の準備を整える。今日はカプセルホテルなので荷物は厳選しなければならない。ホテルの駐車場は暗そうなので、明るい場所にいるうちにやっておく。

そして、つい先ほど通り過ぎたホテルに戻る。一応バイク置き場はあったのでそこに置く。バイクの先客はカブの1名だけのようだ。

これにて本日の「ツーリング」自体は完了。高速道路ばっかりだけど、それなりに走ったな。準備済みの荷物を持ってホテルに入る。

靴を脱いでロッカーに入れ、鍵をフロントに渡すシステムのようだ。この時点で健康ランドっぽい。フロントのいい感じのおばちゃんにチェックインの旨を伝える。予約時にオンライン決済済みなので支払いの儀式は何もない。そこがロッカー、そこが風呂、4階が部屋(といってもカプセルだけど)、といった感じで説明を受ける。ヘルメットはロッカーには入らないのでフロントに預ける。

すぐそこにあるロッカーに向かう。健康ランドによくある細長い縦長のやつだ。着替え類や小さい荷物は一応入る程度のもの。まあだいたい予想通りだ。

よくあるやつ

普段だったら服を脱いでそのまま風呂に向かうところだけど、今日はその前に晩飯を食わねばならない。荷物を仕舞って、最低限のモノとツーリングマップルだけウエストバッグに入れて、フロントのおばちゃんに外出する旨を伝えて下駄箱の鍵を貰い、靴を出して外に出る。

メッシュジャケットやインナーを脱いで長袖シャツだけの軽装で出てきたら微妙に寒い。さっさと晩飯に行こう。せっかく高松で徒歩で晩飯を食いに行くのだから、生ビールを飲みながら骨付鳥と洒落込みたい。ホテルから最も近い「鳥源」に向かう。ホテル前の信号を渡り、小さい港沿いの道を歩く。対岸ではやたらと派手なネオンが輝いている。パチンコ屋かと思ったらどうやら風俗街のようだ。まあ四国の玄関口の港町だからそんなのがあっても不思議じゃないな。今の自分にはそんなところに行くパワーはないけど。

程なくして「鳥源」に着く。暖簾は出ているがなんだか暗い。平日だし、変な時間だし、もう終わってたりしないだろうな、と不安に思ったがやっていた。

開いててよかった

店のお姉さんに手前のテーブルに案内された。とりあえず生ビールを頼む。テーブルメニューはなくて、壁に貼ってあるやつを見ながら頼む。とりあえず骨付鳥(若)を頼む。野菜が不足するのでサラダを頼む。せっかく海沿いにいるので海鮮も…と言う気分になり蛸のぶつ切りを頼む。なんとなくご飯ものが欲しかったのでおにぎりを頼む。

すぐにビールが来た。お通しでおでんが出てきた。

なんだかこれだけでそれなりに満足してしまう

そしてお待ち金の骨付鳥だ。柔らかい鳥もも肉のタレ焼きを胡椒でスパイシーに仕上げている。つけ合わせのキャベツが実に合う。

これはうまい

その上サラダ、タコが出てきて、やべー頼みすぎたか感が漂うところに、おにぎりが3個も出てきた。これはまずい。俺としたことが調子に乗って頼みすぎた。

こんなに食えねえ

とはいえ頼んだからには食う以外にない。頼んだものを残すのは主義に反する。幸い店が早々に閉じる雰囲気はないので、ツーリングマップルを広げて明日のルートを考えながら時間をかけて食う…が、そんなの焼石に水だと言いたくなるほど量が多い。

だいぶ苦労したがなんとか食べ切り、食事代を支払う。何故か飴を持って行くように促されたので、いちごミルクをもらって店を出る。

猛烈に胃が膨れているので、このままホテルに戻っても寝られるわけがない。幸か不幸か高松は四国では都会の部類だし、この場所も市街地からさほど遠くないので、気の向くままに散歩して腹ごなしをすることにした。

高松港が近いようなので、とりあえずそちらに向かって歩いていると城が現れた。全然存在を知らなかったが高松城跡だそうだ。夜なので中には入れないが、外から櫓を見るだけでも十分立派だ。

お城ってカッコいいよね

そのまま進んで高松港に入る。船の運航はとっくに終わっているけど、施設は開放されているのであちこち見て回る。

ようこそやってまいりました

もちろん誰もいない

夜の港っていい感じだよな

こういうよくわからんモニュメントはつきものだよな

次に目指すのは高松駅。高松港からは歩いて5分程度。それなりの規模の街のはずだが人が少ない。列車や船が来る時間でもないし、このへんは夜の街でもないからだろうか。

ガラーンとしている

高松駅に着いたが、やっぱり人がいない。四国に限らないけど、地方都市では地元民が通勤目的で列車を使うこと自体がレアで、観光客と通学客がメインになっているだろうから、こんな22時近い時間に人が少ないのは当然といえば当然なんだろう。

駅前もガラガラ

駅ナカもガラガラ

そろそろ終電の時間だ

駅ナカにあるセブンイレブンは土産物の品揃えが多い。ここだけが唯一人が多い。ほぼ観光客だ。

まだ歩き足りない。琴電の駅を見に行く。ちょうど出発するところだった。

元京急旧1000系か

繁華街の方に行ってみようと思い立ち、それっぽい方向に歩く。少しずつ人が増えてきたような気がしたところに「兵庫町」というネオンが現れた。なんでここで兵庫なんだろうか。あとで調べたところ、藩の兵器倉庫があったから兵庫らしい。なるほど。

兵庫町???

兵庫町アーケードに入ってみた…が、全然人がいない。ここは昼間に人がいる商店街で、夜の街じゃないということだろうか。

ここもガラーンとしている

あまりシャッター街という感じもしないし、昼間に来たら印象が違うのかもしれないけど、昼間はツーリングしていてこんな街中には来ないだろうから、結局昼間どうなのかを知る機会は少なくとも今回はなさそうだ。

そのまま歩くと「片原町」という別のアーケードに入る。ここには琴電の駅もある。琴電の線路がアーケードをぶち抜くという、あまり見かけない組み合わせが見られる。

ありそうでなかなか無い光景

さらに歩くと長かったアーケードは終わり、先ほど寄ったショボいマルナカの近くに出る。もうここからは知っている道だ。ホテルに向かって歩く。

途中でちょいちょい渋い建物が現れる

ホテルに戻って、最初と同じ儀式を終えて、ロッカーに荷物を入れる。健康ランドだったらこの場で服を脱いで風呂に向かうが、どうやらここは風呂の目の前にある脱衣所で脱ぐようだ。たかだか5メートルぐらいしか離れていないからどうでもいいんじゃないかという気もするけど、他の人がそうしているのでそれに従う。

というわけでようやく風呂だ。残念ながら温泉ではなく風呂だが、長かった1日の終わりに入る風呂は格別だ。しかしまあ、まさか風呂に入るのが23時近くになるなんて想像もしていなかった。朝5時に起きて延々走ってきたっていうのに。

サウナと風呂を終え、館内着に着替え、ちょっとした荷物を持って2階の休憩コーナーに向かう。ソファーエリアは寝ている人がいるのでそこは避けて、誰もいない漫画コーナーに陣取る。冷水が用意されていたので、グラスに氷と冷水を入れ、持参していたウイスキーを飲む。

ちょうど誰も居なかったのでここに陣取る

これが飲める程度には腹がこなれてきた

漫画は読まずに地図やらなんやらを読み耽っていると、フロントのおばちゃんがやってきて、そろそろ消灯だと告げる。もうそんな時間か。荷物をまとめてエレベーターに乗って4階のカプセルに向かう。4階は全てカプセルだらけの少々異様な空間だ。自分のカプセルはどうやら上段のようだ。荷物を放り込んで、狭い梯子で上段に入り込む。テレビが使えないのは最安プランなので認識していたが、カプセル内のライトまで点かないのは想定外だった。これは不具合なんじゃないかという気もするけど、もう12時なのでさっさと寝ろということだと割り切ることにした。

幸いイビキが五月蝿いということもなさそうなので、耳栓もせずそのまま寝る。布団をかけると若干暑い、かけないと微妙に寒い、という中途半端な温度だったが、結局何もかけないまま、あっという間に寝てしまった。

Day1 まとめ

基本的には東から西への大移動の日なので、着いてしまえば目的達成ではある。淡路島経由のつもりだったのが瀬戸大橋経由になったけど、想像以上に楽しかったので結果オーライということにしておく。

本来はキャンプのつもりだったのが高松のカプセルホテルになったが、高松の街散策や骨付鳥を楽しめたので、これはこれで良かったんじゃなかろうか。キャンプは3日目もすることだし。

淡路島は帰路に…という手も無くはないけど、今治に宿を取っているので普通はしまなみ海道だし、淡路島よりしまなみ海道の方が遠いので、そっちを重視するのが普通だろう。

近年雨中走行をしていなかったので久しぶりだったが、豪雨というほどでもなかったのでさほど苦労せず走り抜けた。腹が膨れていたとは言え、5時に起きて700km走って日付が変わるまで平気で起きていられるのだから、K1100RSの高速移動性能は流石としか言いようがない。カウルなし単気筒だったらヘロヘロだったに違いない。

というわけで、総じて満足な1日目だった。