セットしていた目覚ましが鳴る前に目が覚めた。結局布団はかけないまま寝ていたらしい。モゾモゾとカプセルから出ると、他のカプセルの人はそこそこ退出済みのようだ。外を見てみると、昨日のGSと風俗街がすぐそばに見える。こんなところだったんだな。
荷物を持ってロッカーに戻り、朝風呂に入る。朝食付きなんだけど、昨日食い過ぎたのを全く消化できていないので食える気がしない。勿体無いけど朝食はパスせざるを得ない。支度を済ませ、フロントでロッカーの鍵と引き換えにヘルメットと下駄箱の鍵を受け取ってホテルを出る。いやー昭和感溢れる良いところだった。いつまで続いてくれるか不安だけどがんばってほしい。
駐車場に向かって支度をする。さっさと出たいところだけど、延長スクリーンを取っ払ったり、Insta360を装着したり、各種充電ケーブルを装着したり、各種アプリを起動したり、Googleさんに行き先を設定したり。便利グッズがなーんにもないウン10年前に比べるとやることが多いけど、その代わり楽になったことも増えた。どっちがいいのかはなんともいえない。
とりあえず南へ
今日の想定ルートと行き先は、秘境駅の坪尻駅展望台、小歩危展望台、大歩危のモンベル、仁淀川上流の観光地「にこ淵」、仁淀川沿いの沈下橋、桂浜の坂本龍馬像、横浪黒潮ライン、中土佐の温泉といったあたりを経て、最終目的地は中土佐町にある「ライダーズイン中土佐」だ。距離的にはさほどでもないけど、どうせ撮影に無駄に時間をかけてしまって、いくつかのポイントは寄れずに終わることだろう。
というわけでJR土讃線と並行しながら香川県から徳島県に入るR319に向かうため、とりあえず琴平方面へ向かう…のだが、その前に昨日散歩した高松港近辺を流す。エンジンを始動し、昨日は暗がりの中を歩いた道を朝日を浴びながらKで走る。高松港が見えたところで、良い雰囲気の建物があったので思わず停まってしまう。
早速やってしまった。では今度こそ琴平方面へ…の前にまだやることがある。そう遠くないところに朝からやっているうどん屋を見つけてあったのでそこに向かう。しかしいざ着いてみると本日休業の看板が出ているではないか。祝日だからだろうか。しょうがないので途中で見つけたチェーン店っぽいうどん屋に行く。全然腹は減っていないので、そこまで無理して食わなくてもいいんだけど、食わないとそれはそれで後悔する気がしたので行く。
丁度すぐ前に先客がいたので、その人を真似しながら進む。うどんを注文し、お好みで天ぷら等を載せる、ごく普通のシステムだ。今回はなんの変哲もないかけうどん小を頼み、無料の天かすとネギだけ乗せた。席に座って食う。特筆すべき点はない、ありがちな讃岐うどんではあるけど、それを現地で食うことに意味がある。ありがちとは書いたけど、それなりにコシもあるし、西日本らしいダシが効いた汁も美味い。ただでさえ余裕がなかった腹はパンパンになった。
やることはやったのでさっさと進む。R32を淡々と西に進む。昨日感じたようにポッコリした山と溜池が多い。そんな中を走っていると綾川町に入り、道の駅滝宮が現れた。トイレに行きたかったので寄る。まだ店舗は空いていなかったが、用を済ませたら開店したのでなんとなく寄る。讃岐うどんの半生麺とお菓子を買う。
さて今度こそ向かうぞ…の前にまだやることがあった。昨日のマルナカがショボかったので、香川県でもう1件スーパーに行っておきたい。道中に「ハローズ」があったので寄る。面積はマルナカの数倍あるが、めぼしいもの、という観点ではあまり見つからない。いつも88円か89円で買っているエスビーの味わいカレーが78円だったので思わず買いそうになってしまった。あぶないあぶない。せっかく寄って何も買わないのもナンなので、讃岐うどんの乾麺と酒だけ買った。
展望台巡り
寄り道ばっかりしているせいで進みが悪い。8:30ぐらいには讃岐平野から山道に入るつもりだったが、もう既に1時間近く遅れをとっている。これはやばい。
とはいえ焦っても今更どうにもならない。R32を南西に向かって走り、途中でR319に入る。ようやくここから山道に入る。少しずつ高度を上げ、山をブチ抜く長大トンネルに入る直前で、旧道(国道から格下げされた県道5号)に入る。この道は以前にも走ったことがあるはずだけど全く覚えていない。旧道化したせいで他車がいないし、道自体は全然悪くないので、なかなか走りごたえのある道だ。
どんどん高度を上げ、トンネルを抜けたところで徳島県に入る。
徳島県側は少しずつ民家が現れるようになるが、どれも四国らしい天空の集落ばかり。一体どうしてそんなところに家を作ることにしたのかさっぱりわからないところが多い。讃岐平野の山と溜池もそうだが、こういうところで四国を感じる。
じわじわと山を下っているうちに、坪尻駅展望台に向かう細い道が現れる。これがなかなか険しい道だということは事前に調査済みだったが、実際に行ってみたらやっぱり険しい。一応舗装されているので過剰に力が入ることはないけど、斜度がきついしクネクネコーナーのRもきつい。
ちょっと走ったところで展望台には着いたけど、すぐそこの停めやすそうな場所に登りながら停めるのはなんとなく気が向かなかったので、そこをスルーしてUターン場所を探すべく直進した。転回可能な平坦地が現れることを期待していたが、一向に現れないまま数百メートル進む。これやばいんじゃね?と思い始めたところで、辛うじて転回できそうな斜度が緩い場所が現れた。平地じゃないが贅沢は言っていられない。降りるのが面倒なのでクルマの如く転回し、来た道を戻り、先ほどスルーした場所に停める。そこそこ下りがキツいので勿論ギヤを入れて停める。
ほっと一安心してKを降りる。展望台の向こうには天空の集落が見える。あそこからみてもすごい眺めなんだろうけど、どうせ行くのに激しく苦労するに違いない。行くなら原チャリだな。Kじゃ無理だ。
カメラを取り出し、そこにある展望台に行く。
展望台に登ると、期待通りの景色だった。四国の誇る秘境駅「坪尻駅」の秘境っぷりがよくわかる。この集落からも見える場所にあるので、周辺に人家が全くない…というわけじゃないけど、この激しい標高差やら何やらを考えると、あの駅を使う地元住民なんてほとんどいないだろう。
当然ながら非常に静かだ。ぼんやりと山々を眺めていると遠くから何やら音が聞こえてきた。ん、これはもしや? と思ったら、やっぱりそうだった。1時間に1本程度しかこない列車がやってきた。土讃線なので、岡山から高知に向かう特急南風だろう。坪尻駅には当然止まらず、かといって飛ばすわけでもなく、ノロノロと通り過ぎていった。速度が低いおかげでなんとか写真に撮ることができた。
道がヤバそうなので行くか行かぬか迷っていたけど、勇気を出して来た甲斐があった。満足して坪尻駅展望台を去る、と言いたいところだが、Insta360を装着しようとしたらクイックリリースのカメラ側の土台がパキッと折れてしまった。使っているうちにちょっとずつガタがでてきていたので、プラスチックが劣化しているんだろうなあ、というのは感付いていたけど、やっぱりこういうことが起こってしまったか。
しょうがないので吸盤マウント&クイックリリースの利用は諦めて、高速道路仕様のつもりだったハンドルマウント自撮り棒で撮ることにした(後で気づいたが、クイックリリースだけ利用中止して吸盤マウントに直接アームを取り付ければそれでよかった)。
気を取り直して先に進む。県道5号から再びR32に戻り、阿波池田の市街地を過ぎて、吉野川沿いに南下する。なかなかの渓谷美だ。
景色を楽しみながら走っていると、吉野川を渡る細い橋が見えた。その入り口が少しだけ空間があったので、若干強引にそこに停めた。
カメラを持って橋を歩く。真ん中あたりまで行くと素晴らしい景色になる。クルマだと停めようもないないので、当然この景色は見られない。バイクやチャリンコの特権だ。
呑気に写真を撮っていると、最近のバイクに乗った若いニイちゃんが現れた。こちらのダラダラっぷりを尻目に、ダッシュで反対側まで行き、パシャパシャとスマホで写真を撮り、また走って戻ってくる。いいカメラですね、なんて声をかけられる。そしてそそくさとバイクに戻って先に向かっていった。このスピード感は若さ故のものだろうな。もう俺には無理だ。否、若くてもダラダラしていたような気がしないでもない。
一応満足したのでKに戻って先に進む。次に目指す小歩危展望台はそう遠くないはずだ。それらしい場所を曲がり、展望台に近づくべく山道を登る。これもわかっちゃいたことだが、やっぱり道は狭いし斜度がきつい。
そして駐車場は砂利で、坂道途中にあるのでクソ重いKを停めるのはまず無理。諦めて道っぱたに邪魔にならないように停める。
カメラを取り出して、すぐそこにある展望台に向かう。おぉ〜、こっちもやっぱり来る価値があった。
こちらは先ほどの坪尻駅展望台に比べて名が知れているので観光客が多い。しかも外国人が案外多い。当然ながらレンタカーが増える。狭い道をすれ違おうとして脱輪しそうになっている人がいたりする。おいおい大丈夫か、と思ったりするが、俺としてはあまり人のことを言えたものではなく、ここからどうやって戻ろうか思案する。
ちょっと先にある場所で転回できなくもないが、先ほどの坪尻駅展望台の転回場所よりちょっと狭くて苦しい。この道をそのまま進めば元のR32に戻れるということは一応わかっている。少し考えた結果、転回せず先に進むことを選んだ。
しかしこの選択は若干微妙で、確かに道は繋がっているものの、つづら折りの回転半径は小さいし、上りも下りも斜度がきついし、路面もあちこち苔むしていたり木の枝だらけだったりする。そして勿論転回の余地もない。しょうがないので極低速でダラダラ進む。
そしてようやく元のR32に戻る。水を得た魚のようにスイスイ走り出す。程なくして大歩危のモンベルに着く。
目的は勿論大歩危店限定の「激流」Tシャツだ。過去2回買っているので手持ちが2枚ある。どちらも古いものなのでコットンだが、今売っているやつはどうせドライだろう。ドライシャツばっかり増えすぎなのでコットンも混ぜて欲しいんだけど…とか言いつつ結局買う。土産分もあわせて3枚。
Tシャツを見ていたら店員のおばさんに話しかけられたので、実は前に来たことがあって古いの持っているんですよ、と見せてみたら少し引かれてしまったので、ちょっとやりすぎてしまったかと後悔した。同じようなこと(他店の限定シャツを来て店内をウロウロする)を別の店でもやったことがあるが店員さんは軒並み無反応だったので、あんまり興味がないか、呆れているのか、どちらかだろう。
観光地へ
さて、寄り道しまくった上にノロノロ運転もしていたので、既に時間は12時を回ってしまった。そうなるだろうと覚悟はしていたけどやっぱり遅れる。少しペースを上げよう、というか寄り道を減らそう。大歩危は一応それっぽいところで停めて写真は撮ったがそそくさと去り、そのままR32を南下する。R32は大抵トロいクルマに行手を阻まれるが、幸い今回はほぼクリア。左右の山々と渓谷美を眺めながら素晴らしいハイスピードクルージングを楽しめた。
そして大豊町の道の駅大杉の手間でR439に入る。R439といえば酷道ヨサクと呼ばれるほどの酷い道という印象だが、ここから暫くは普通にセンターラインがある快走区間が続く。ただ、完全に山の中というほどの僻地ではなく、小規模の集落をつなぎながら走る区間なので、そこそこの交通量があり、走りを楽しめるというほどではないのが難点だ。
そのため徐々に飽きて来た頃に早明浦ダムの看板が出たので、思わずそっち方向に行ってしまった。下流側からダムを眺めつつ山道を登ってダム湖方面に向かう。大抵のダムは管理事務所あたりに展望広場があるのでそこに行こうとしたら、工事中で断られてしまった。仕方がないので来た道を下って、下流側から巨大な建造物を眺める。
またR439に戻って西に進む。あまり変わり映えのしない景色が繰り返される。飽きてきたところで駐車帯が現れたので、なんとなく停めて一休みする。
あまりダラダラしているとまた時間がなくなるので先に進む。次の目的地は仁淀ブルーが見られる観光地「にこ淵」だ。R439からR194に入って愛媛方面に北上する。思ったより交通量が多く快走できない。つまらないので川沿いの空き地に停める。仁淀ブルーと言えるような言えないような微妙な色だ。
他車をやり過ごしたので先に進む。そこそこ観光地化されているようで看板が多く出るため迷うことはない。R194から外れて細い道を進むと、駐車場の空き状況を示す看板まで出る。なんだか徐々に興醒めしてくる。そこまで秘境を求めているわけでもないけど、誰もが来る場所というのもそれはそれで面白くない。
とはいえ来てしまったので先に進む。交通整理のオッサンの指示にしたがってKを砂利駐車場に停める。左下りで停めづらいが仕方がない。カメラを取り出して案内に沿ってにこ淵に向かう。遊歩道がきっちり整備されていて、さらに興醒めする。
その遊歩道を数分歩くとにこ淵に着く。これが仁淀ブルーなのか、というと、写真で見ていたものとはなんか違うような気もするけど、太陽の位置だとか様々な条件に左右されると思われるので、いまこの場で見える物を楽しむしかない。
C-PLフィルタの角度を変えてみたり、カメラの設定をいじくったり、iPhoneやGRIIIで撮ったり、色々やってみたけど、いかにも仁淀ブルー、という色にはならなかったので、今日はこんなもんなのだろう。
目指せ太平洋
なんだか微妙な感想を持ったままにこ淵を後にする。次に目指すのは、とりあえず太平洋だ。長時間に余裕があったら高知駅周辺の市街地だとか土佐電鉄の車両を見たりしたかったけど、とてもそんな余裕はなさそうだ。そのため、雑に「太平洋」としておく。
R194を南に向かって走っていると、ラーメン屋「自由軒」が現れた。比較的四国全土にある「豚太郎」に比べて、高知県のこのエリアだけにあるチェーン店だ。Googleさんによると今日は営業していないはずだったのに営業しているっぽいので、思わず停めてしまった。流石に腹は減りつつあったけど、こんな変な時間に食うべきなのかどうか少々迷う。結局、迷ったらいっとけ、という自分的な旅の法則にしたがって店に向かう。変な時間なので待つこともなくさっさと入れる。
過去に四国に来た時は知らなかったけど、実は高知県では「味噌カツラーメン」というのが人気だそうだ。ここ自由軒のメニューでは特にそれはアピールされていないので若干迷ったが、味噌カツラーメンを食わないと後悔しそうなのでそれを頼む。
客が少ないのでラーメンはすぐに出てきた。早速食う。味噌ラーメン専門店ではないラーメン屋の味噌ラーメンなので、それ自体はまあこんなもんでしょうという感じだが、カツがなかなか良い。ラーメンに突っ込んでもフニャフニャにならないように固めに揚げられた薄めのカツが良いアクセントになっている。こんなにラーメンにカツが合うとは意外だった。まあ全国的に流行ることは考えにくいけど、これはこれでアリだ。
密かにツーリングの目的としていた味噌カツラーメンを食えたので満足ではあるが、またしても時間が押してしまった。先を急がねばならない。しかし、仁淀川沿いを太平洋に向かう途中で、今度は沈下橋が現れてしまう。どうしてこうもスルーできないものが現れてしまうのか。思わず沈下橋方面に降りていってしまったが、どうやらここは観光地化されているらしく、警備員が交通整理をしていたり、橋の手前に多くの駐車車両がいて歩行者が橋の上を歩いたりしている。残念ながらハズレ感が漂うが、もう降りてきてしまったのでそのまま渡る。
渡りきって暫く走ったところで適当にUターンして、川沿いに停めて橋を眺める。
今度こそ太平洋に向かう。R194から県道に入ってそのまま南下する。そしてようやく太平洋が見えるところに来た。時間的に高知市街地は勿論のこと、桂浜も厳しそうだ。20年ぐらい前にクルマで来た時に挨拶した坂本龍馬像に再会したかったが無理っぽいな。仕方がないので横浪黒潮ラインを目指す。
宇佐の街並みから横浪黒潮ラインに入る橋は実にいい感じで、これから先の期待感が高まる。
期待に満ちて走り始めてはみたが、肝心の横浪黒潮ライン自体がさほど景観が良くない上に、時間帯がよくなかったのか案外交通量が多いのが困りものだ。それでも少しずつ交通量は減り、楽しくなってきた頃に帷子崎展望台に着く。この展望台からの景色はなかなか良いが、困ったことにバイクとセットで写真を撮れるような場所ではない(皆無じゃないんだけど、丁度そこに地元のヤンキーが陣取っていた)。
消化不良のまま先に進む。暫く走るともう一つの駐車場(展望台とは言い難い)が現れる。ここは過去2回来ていて、その際はこの看板に迎えられていた。
この駐車場の片隅に看板があったのに、それが撤去されてしまっていたことは事前にストリートビューで確認していた。実際に来てみたら、やっぱり無かった。残念なこと極まりない。どんな理由があったのかは知る由もないが、一度設置した看板なり建造物なりを安易に撤去しないでほしい。地元民向けのものならともかく、観光客向けのモノなのだから、こういうものとの再会を楽しみにしている旅人がいるということをちょっとは考えて欲しい。
気を取り直して先に進む。少し走ると、なかなか景色が良い場所が現れた。さっきの帷子崎展望台より、こっちの方がよっぽど良い。
程なくして横浪黒潮ラインは終わる。まあまあ良いけど、意地でも来るほどでもない、という道だということを再認識した。あの看板がなくなってしまっただけに余計に。
横浪黒潮ラインから繋がる県道23号を須崎方面に進む。高知道と交差するあたりに大きめなモールがあり、そこにマルナカが入っているので晩飯調達のため立ち寄る。どうせなら高知にしかない「サニーマート」に行きたかったのだが、どうやら須崎には無いっぽいので諦める。ここで晩飯と明日の朝飯を調達する。
さっさと買い物を終え、敷地内にあるGSで給油し、高知道に乗って中土佐町を目指す。そういえば以前来た時は、中土佐町にテントを張ってから須崎に鍋焼きラーメンを食いに来たな。あの時は高知道なんてものは無くて、かつ下道が工事で混んでいて酷い目にあった。今回は高知道のおかげで快適だ。
ライダーズイン中土佐
高知道から降りて中土佐、というか久礼の市街地に出る。ここにある黒潮本陣という温泉に前回は来た。今回も行くつもりでいたが、これに寄ってしまうとライダーズインの到着予定時間に間に合わない。ライダーズインにシャワーも何も無いなら、到着を遅らせて温泉に入るところだったが、一応シャワーはある。かなり迷ったが温泉はスルーして先に進む。ライダーズイン中土佐は市街地から地元道をかなり走った奥の方にある。たまに現れる看板をみながら、最後は「ホントにココ?」と言いたくなるような狭い道を進むと到着する。
おー着いた、と思っていると、いかにもご主人らしき人に「ここに停めて」とジェスチャーで案内される。右側に管理棟、左側に宿泊棟、真ん中に一時駐車場、みたいな感じ。とりあえず一旦ご主人の案内のもと部屋に向かい、目の前にKを停める。
とりあえず一旦手続きを、ということなので、先に管理棟に入ってチェックインする。受付をしてくれたのは奥様だろう。翌朝何時に出発するかを聞かれ、7時ぐらいかなーと答える。出発時に写真を撮りたいとのことなので了承する。
既に他の宿泊客はほぼ到着しているようで、壁の向こう側のテーブルで皆さん談笑している。ほとんどソロ客の方で、ここで食事をしたり酒飲んだりしているので、よかったらあとで来てください、ということだ。部屋だとか海沿いだとかでコッソリ食うのも一興ではあるが、ここは素直に一期一会を楽しむべきだろう。
部屋に戻って中を確認する。笑っちゃうほど何も無い。シャワーとトイレがついているバンガローだと思えば良かろう。
Kのところに戻り、防水バッグから寝袋、マット、テーブル、椅子などのキャンプ道具を出す。一応コンセントはあるので充電が必要なモノを充電しておく。買ってきた食い物を晩飯用と朝飯用に分け、晩飯用をビニール袋に入れ、それを持って管理棟に向かう。
中に入ったはいいものの、既に盛り上がっているところにどう入っていくべきか考え込んでしまう。いやーどうもどうも、なんて入っていっても何だコイツとなるんじゃないかと変な心配をしてしまうが、そこはご主人が手慣れたもので、あーいらっしゃいこちらにどうぞ、といった感じで居場所を作ってくれる。既に皆さん出来上がりかけているので、どちらから?なんていうありがちな会話をする。とりあえず座ってしまえばどうにでもなるので、明日はどこに行くとか、あそこはどうだったとか、いかにもソロツーリングライダーらしい会話になる。そんな話をしながら買ってきた晩飯を食う。
全然把握していなかったが、ここは生ビールも注文できたようだ。エビスを買ってきてしまったのでそれを飲んだが、折角なので生ビールにしておけばよかった。晩飯もカレー程度はあるようだ。手ぶらで来ても何とかなるんだな。
そんな感じで沖縄の宿の「ゆんたく」の如く一期一会の酒飲みを楽しんでいたが、勝手に想像しているより早く一人、また一人と部屋に帰っていく。皆さん貴重な休暇をツーリングに割いているので、それを計画通り全うすることを重視しているのだろう。まあ当たり前と言えば当たり前なんだが、自分はそのへんが雑で、なるようになれとしか思っていなかったりするので少々意外に感じた。21:00頃には誰もいなくなりそうだったので自分も部屋に戻る。
とりあえず寝床の準備をする。布団類が何も無いのでエアマットを膨らまさなければならない。800円ほど高くなるけど布団付きのプランにしておけばよかったかと少しだけ後悔する。20回ほど息を吹き込んでエアマットを完成させ、寝袋を広げる。終わってしまうと布団なんてどうでもよくなる。
カーテンを閉じて着替えを用意してシャワーを浴びる。この時期なので問題ないが、冬場だったらエアコンをガンガンに効かさないとブルブル震えながら浴びる羽目になるだろう。
まだちょっと寝るには早いので、椅子を出して追加の酒を飲む。一度も外で使っていない椅子なので問題ないだろう。一応明日のルートを考えてはみるが、あんまり考える余地はないことはわかっている。ただ、四国カルストの西側にあるクネクネ道は、さほど苦労せずに降りられる道だということは先ほど聞いたので、今回はそのルートを使ってみることにした(前回は林道を名乗る快走路を日和ってピストンした)。
Day 2 まとめ
そもそも出発時間が遅いし、出走早々寄り道ばっかりするし、といった感じで、行きたかった場所(桂浜だとか)に行けなくても当たり前だろうという結果になった。距離も300kmにも満たないショボいもので、逆に言えば計画自体はさほど無理なものじゃなかった証明になる。
坪尻駅や小歩危といった展望台は期待通り、にこ淵は微妙に期待はずれ(観光地化され過ぎ)、無理だろうと思っていた味噌カツラーメンは食えた、といった感じで良いこともそうでもないこともあった。そして最後のライダーズイン中土佐の歓談もまた期待通りだった。
ま、それもこれもツーリングだ。明日は盛りだくさんの予定なので、ちょっと早く出ることにしよう。