2025 GW 四国ツーリング Day4

目覚ましにも鶏にも起こされなかったのに何故か目が覚めた。外はもう明るいようだ。あちこちからゴソゴソという音が聞こえる。ストイックな旅人たちが夜明け早々に出走の準備を始めたのだろう。実は無料キャンプ者はxx時までに撤収しなければならないという決まりがあったりしないだろうな、と若干不安になる。

だからというわけじゃないけど早々に片付けを始める。ズボンを履き替え、寝袋とエアマットを畳んで荷物をまとめてテントから出る。涼しい。皆さん淡々と片付けをしているか、もしくは既にここを去っている。ほんとストイックだな。

隣にいた二人組はとっくに出て行ったようだ

シュールな光景だ

自分はそこまでストイックじゃないので、特に焦ることもなく淡々と片付けを進める。火を使っていないので比較的簡単な部類だ。積みっぱなしだった防水バッグにキャンプ道具を、パニアケースに着替えとゴミを突っ込めば終わる。

時間に超余裕があったら湯を沸かして熱い珈琲といきたいところだが、周りの雰囲気的にもそんな感じじゃないので、出発前に買っておいたチョコチップスナックパンと前日食わずに残しておいた唐揚げ、そしてひまわりコーヒーを立ったまま飲み食いする。

雑な朝飯だな

さて飯も食ったことだし出発するか、ということで電子機器類の設定をしていると、なんだかInsta360 One RSの画面がものすごく青いことに気づいた。青色のセロハンを貼ったかの如く青い。色々設定変更を試みたが改善しない。動画じゃなくて写真だとかタイムラプスだとかにすると発生しない。原因がわからないのでファクトリーリセットしたら直ったが、色々な設定(操作音を鳴らさないとか)も当然初期化された。出足を挫かれてイライラ感があったのでこれ以上深追いせず、デフォルト設定のまま使うことにした。

余計なことをしている間に誰もいなくなっていた

高茂岬へ

下らないことに時間を奪われたため7:30の出発となった。今日の目的地は今治で、経由地としては愛媛県愛南町の高茂岬と、もっと北の方にある佐田岬を予定している。時間があれば他に何か考えるけど、どうせ時間は足りないはずだ。

これから向かう高茂岬は、元々予定していたわけでも何でもなく、せっかく宿毛に泊まったんだから途中に何かないか、と思いつつ地図を見ていたらあったので寄る、という程度のもの。ここから高茂岬の先端までは1時間ちょい。さて出発しますか。

宿毛駅の周辺をぐるっと回ったりしながら先に進む。20年ぐらい前に宿毛のどこかのショッピングセンター的なところで短パンを買った記憶があり、その店がないか探してみたが見つけられなかった。実は残っているのかもしれないけど、意地になって探すほどでもないので先に行く。

宿毛市街地を出てR56を西へ進む。しばらくすると愛南町に入る。市街地に入ってしばらく走ったところで県道34号に入る。この道は尾根伝いの快走路だ。景観が良い場所はあまり多くはないけど道路の線形が良いので楽しい。途中に紫電改展示館なんていうものがあった。帰りに寄ろう。

なかなかの快走路だ

たまに視界が開けると海が見える

途中にある幾つかの小集落を過ぎると、あとは高茂岬まで何もない。自ずと道もショボくなり、これまでの快走路から一転してセンターラインがないクネクネ道になる。これがまた長くて10km弱ぐらい延々続く。ナビのおかげで、あとどのぐらいかわかるので気持ちを維持できるけど、何もないとウンザリしていただろう。そしてようやく高茂岬に着く。突然現れた広い駐車場には1台も停まっていない。

やっと着いた

この駐車場が埋まることはあるのだろうか

せっかく来たのであちこち散策する。

カメラを持って展望台に上がる。いい眺めだけど、曇っているせいもあるのか、地味だな

空気が澄んでいたら九州まで見えるんだな。夕陽も綺麗だろうな

確かにいい雰囲気の場所ではある

散策を終え、Kを移動させて記念撮影に勤しむ。誰もいないので勝手し放題だ。有名な観光地だとこんなことは相当運が良くないとできない。

国立公園なので、それなりに金がかかっている

上から見るのもいいもんだ

島々って絵になるよね

なんだかんだで高茂岬を楽しんだので来た道を戻る。あのクネクネ道も片道分経験したので程度がわかっているため気が楽だ。クネクネ道を抜けて快走路に戻り、気持ちよく走ったところで紫電改展示館に寄る。

そのまんますぎる看板

海中から引き揚げられた紫電改と、関連する資料などが展示されている

何でここに紫電改?と思いながら来たけど、そういうことだったのか

高茂岬が予定外の行き先だったので、その途中にある紫電改展示館なんてもっと予定外だったんだけど、こうして通りがかりにこのような地域の歴史に関係する知見を得られるのもツーリングの醍醐味というものだ。時間は食ったけど寄ってよかった。

とりあえず八幡浜へ

次に目指すのは佐田岬だけど、まずはその付け根にある八幡浜に行く。そこまでの道は基本的に国道を淡々と北上するだけで、あまり面白味はない。田舎だからガラガラなんじゃね?と思いたいところだけど、車社会な上に、他に道の選択肢がないので案外交通量が多く、楽しめる感じではない。心を無にして淡々と走る。そうこうするうちに、昨日来るはずだった須ノ川公園に着く。なんとなく寄ってしまう。

過去2回キャンプしたことがあるので、そこそこ知っている場所だ

池の向こう側に、昨日定休日だった風呂屋がある

公園の雰囲気も良いし、風呂もあるし、タダだし、やっぱり良いところだよな。また機会があれば来たい。ちなみにすぐそこの海の沖には珊瑚礁もあり、真夏だったらシュノーケリングもできる。そう考えるとバイクよりクルマ向きなのかもしれない。

R56に戻って北上を続ける。しばらく走ると松山道の無料区間に入る。宇和島の手前で一旦降りて給油。すぐに松山道に戻り、宇和島の市街地を眼下に眺めながら北上を続ける。宇和島駅に行ってみたかったんだけど結果的にスルーしてしまった。何となく松山道に乗せられてそのまま走っているけど、この先どうするかをちゃんと考えたい。そのため一旦三間ICで降りて道の駅に寄る。こういう目的次第で乗ったり降りたりを繰り返す行動は無料区間だからこそできるんだけど、米国のフリーウェイみたいで楽しい。全部こうなりゃいいのに。

ずいぶん立派な今時の道の駅

とりあえず道の駅で土産物を買い、この先の道を考える。結果的には、Googleさんの言うとおり、松山道で北上して自動車専用道路で八幡浜に向かうことにした。途中で無料区間は終わって一部有料区間になるけど、ロングツーリング時は「時は金なり」だ。どうせこの区間の下道はさして面白くもないので、時間を金で買うことにする。

松山道はいつの間にか有料区間になるが、有料になって早々の大洲北只ICで降り、R197で八幡浜を目指す。ごく普通の田舎国道を進むうちに自動車専用道路の無料区間になり、八幡浜市街地近くまでワープする。そのまま進んで八幡浜の道の駅に着く。

八幡浜港に隣接した、まあまあ広い道の駅

昼飯のことはあまり意識していなかった(何しろ2日目、3日目ともに普通の時間に昼飯を食っていない)が、ちょうど昼時だった。昨日は食い過ぎなかったし、朝飯もショボかったので普通に腹が減ってきた。ここ八幡浜は15年前にも来て、名物の「ちゃんぽん」を食おうとしたものの、時間帯が悪くて営業している店が見つからず苦渋の撤退を強いられた場所だが、今回は昼飯時なので期待できる。そこで調べてみると、道の駅付近に数軒古そうな店がある。何の根拠もないがこちら「フジ観光」に行ってみることにした。

何がメイン収入なのかわからないフジ観光さん

いかにも古くからの食堂らしい店内は観光客と地元民が半々ぐらい。テーブル席に座ってちゃんぽんを頼む。

ごく普通の地元の食堂っぽいメニュー

なんだよ雨かよ、と思ったら長崎の情報。松山より大分の電波塔の方が近いのか

若干長めの待ち時間を経てちゃんぽんが出てきた。

15年待ったちゃんぽん

薄い醤油味のスープに太めの麺、具材は野菜メインで八幡浜名物のじゃこ天と蒲鉾が混じる、といった感じ。リンガーハットのおかげで全国的に有名な長崎ちゃんぽんとは異なりあっさりしている。どうして名物になったのかはよくわからないけど、これはこれでまあアリだな。

魅惑の佐田岬半島

道の駅に戻り土産物を買い、佐田岬への道を確認する。先ほどの自動車専用道路に戻って真っ直ぐ行くだけのようだ。

出発してしばらく走ったところで、ふとウエストバッグのチャックが開いていることに気づく。そして、そこに入っているはずのモンベルの帽子が無くなっていることにも気づく。なんてこった、またやらかしてしまった。旅行中に帽子を無くすのはこれで3回目だけど、走行中に無くしたのは初めてだ。2回目は高松の近くの屋島健康ランドのロッカーに忘れたので、慌てて電話して落とし物として確保してあることを確認して送ってもらって取り戻せたけど、今回はどっかに飛んで行っただろうからさすがに無理だな。出走して数キロだけど、あるかどうかもわからないものを探すのに時間をかけるほど暇ではない。これは諦めざるを得ない。

そんなわけでイマイチ気分が盛り上がらないまま佐田岬方面へ進む。ほどなくして超快走路佐田岬メロディーラインに入る。ここを走るのは3回目になる(1回目は終点の三崎港から大分へ渡った)。個人評価的には既に殿堂入りしている四国随一の快走路であり、近くまで来たら避けて通れない道だ。尾根伝いを走るこの道は、景観、路面状態、道幅、カーブの曲率等、色々な意味で完璧に近いが、八幡浜〜三崎を結ぶ主要幹線道路でもあるので交通量が多めなのが残念だ。そのため、前が詰まったら積極的に路肩に止まってやり過ごす必要がある。その欠点を差し置いても良い道だ。

標高の高い尾根伝いを走るので景色が良い

さっきまで左側が海だったのに、今度は右側が海になる

走行中に「風の丘パーク」という魅力的な名前の看板が出たので、佐田岬メロディーラインを外れてそちら方面に向かう。どうせ帰路に同じ道を通るので、多少の道草は何の問題もない。国道から無名道路になったので路面状態は多少悪化したが、道幅は十分で、何より交通量が皆無に近い。こちらはこちらで楽しい。「権現山展望台」という看板が出たのでそちらに向かってみる。駐車場には昼寝している地元民の車が2台あるだけ。展望台だけあって景色は良い。

山の右も左も海。佐田岬半島の細さを感じる

ここは終点なので引き返して「風の丘パーク」に向かう。着いてみたら、ただ単に駐車場と広場があるだけの地味な場所だった。

無駄に広くて誰もいない駐車場

丘に登ってみても広場があるだけ

まあ景色は良い

ここまでは拍子抜け気味だが、気になるのはこの先の道だ。風力発電の風車が何本も並んでいる下を道路が走っている。なんとなく良道の予感がする。

あの風車の下を走っている道は期待できるんじゃね?

この先の道に期待しつつ出発する。たくさんの風車が見えるところで停まってみたが、風車がデカすぎてうまく写真を撮れない。

近くに寄りすぎると絵にならない

微妙に離れた場所から写真を撮る方が良さそうだ。とりあえず前に進む。

これは絵になる…気がするが、少し離れないといけない

少し離れたところから撮る。おぉー、いいじゃん、これ。

やっぱり風車撮影は離れないとダメなんだな

道のウネウネ具合もまた良し

ちょっと進んで高度が上がったところからも撮る。こちらも良い。

やっぱり風車は離れないとダメなんだな

この区間は、風力発電用風車があるぐらいなので当然風は強く、あまり長居できる感じではない。たまに現れる他車も、さっと写真を撮ってすぐに居なくなる。とはいえ走って良し、撮って良しな区間なのは変わりはないので、昨日の四国カルストに続いて1往復半してしまった。

逆方向から見るのも勿論良し

風の丘パーク自体は特筆するものじゃなかったけど、その前後の道を堪能した。こんなの全く想像していなかった。たまたま見つけた看板に誘われてフラフラ寄った先が予想もしないものだった、というのはよくあるけど、今回の道の予想外っぷりは相当なものだった。佐田岬メロディーライン往復のどちらかで絶対に寄り道すべき場所なのは間違いないだろう。

その良道もほどなくして終わり、佐田岬メロディーラインに戻る。こちらはこちらで素晴らしい快走路であることに変わりはないが、残念ながら交通量が多めなのも変わらない。

若干雲行きが怪しくなってきた

その道も三崎港付近で終わりになり、そこから佐田岬に向けての県道256は、さほど楽しくない四国らしいセンターラインのないクネクネ道になる。15年経ったらセンターライン区間が増えていたりしないかと淡い期待をしたが、当たり前のように何も変わっちゃいない。そして走っているうちに雨がパラついてきた。時間の問題かと思っていたらやっぱり来たか。木に覆われた駐車帯があったのでそこに停める。雨雲レーダーによると通り雨っぽいので、休憩も兼ねてそこでやり過ごす。

雨が上がったっぽいので先に進む。相変わらず「基本的にセンターライン無し、たまにセンターラインあり」のクネクネ道が続く。たまに現れる好景観区間があるのでそこまで苦痛じゃないけど、曇っていてどんよりしているのでさほど気分は良くない。そんな区間をひたすら走り続けてようやく佐田岬の駐車場に着く。

いや〜やっと着きましたよ

南側に海があって開けた空間にある駐車場は、猛烈に風が強い。クソ重いKが倒れるじゃないかと思うほど強い。過去に3回強風で倒した(倒れていた)経験があるので気が気じゃない。

まともに立っていられないほど風が強い

佐田岬までは1.8km(徒歩限定)

この駐車場が車道の終点で、この先の佐田岬の先端までは1.8kmのハイキングになる。四国の東西南北端制覇をテーマとしていた15年前に行ったけど、激しく時間を消費するのがわかっているので今回はパス。今回は、どころか、二度と行かない気がする。

というわけで着いて早々に佐田岬を去る。あとは来た道をひたすら戻るだけ。三崎港までの県道は我慢を強いられるが、その先のメロディーラインは快走路であることが保証されている。

他車やり過ごし能力が問われる道だ

そんな感じでメロディーラインを堪能しているが、ここから宿泊地の今治までは2時間以上かかる。ビジネスホテルなので到着時間はさほど重要じゃないけど、あんまりにも遅くなると晩飯を逃す可能性がある(勿論、なんでもいいならどうにでもなるけど、名物を食いたいなら晩飯時間帯を大幅に外すことは避けたい)。あまりダラダラしてはいられない。

今治へ向けて疾走

そんなわけで、道の駅やら展望台やらをスルーしてひたすら先に進む。そして佐田岬メロディーラインは遂に終わり、帽子を無くしたことに気づいた保内からR378に入る。このR378は「夕やけこやけライン」の別名がある。あまり考えていなかったが、たまたま夕暮れ時間帯にこの道を通ることになった。

R378は延々海沿いを進む道で、景観はなかなか良いし、路面状況も良い。平日の夕方で、かつ会社の終業時間前だからか、交通量も少なめで快走できる。ただ、うちの近くのR134と同様、景観は良いけどずっと同じで変わり映えしないし、走り自体が楽しいわけでもないので、佐田岬メロディーラインみたいな殿堂入り道路に比べるとツーランク落ちる。15年前にも走ったにもかかわらず全く記憶に無いのは、そういった理由があるからだろう。

ずーっとこんな感じ

ずっと海沿いでアップダウンが皆無だから飽きるのかもしれない

走っているうちに、JR予讃線の下灘駅の看板が出た。海沿いにあり、青春18きっぷのポスターにも採用されて、いつの間にか有名になってしまった駅だ。フラフラとそちら方面に向かっていくと、駅に近づくにつれて人が増える。駐車場があるらしいが、混んでいて入れない。適当に駅前に停めるつもりで先に進むと、さらに人が増える。ウンザリしてスルーしてしまった。

なんでこんなに人が多いの?

こちとら小学生の頃は鉄道ファンだった(今はそうでもない)ので、予讃線が予算本線だった頃や、内子線が盲腸線で下灘駅が本線の駅だった頃から知っているが、お前らそんなことこれっぽっちも知らねえだろ。ただナントカバエを求めて来ただけだろ。きちんと半家駅にも行った俺に場所を譲るべきだろ。なんでお前らみたいな一見さんに占拠されなきゃいけないんだクソッ、と悪態をつきながらスルーしたが、夕焼け時間帯に来てしまったのが悪いんだと自分を宥めながら進む。

少し高台にある線路から国道の高さまで降りたところで一旦停める。すぐ上に線路が通っており、人しか通れなさそうな踏切がある。なんとなくそこまで歩いてみる。

人の多さに比べると酷い線路の荒れっぷりで色々考えさせられる。JR四国としては観光客なんてどうでもいいから一人でも乗って欲しいんだろうけど、どうせあそこにウジャウジャいた人たちは鉄道に乗る気は皆無でナントカバエしか興味がない。自分も乗っていないので偉そうなことは言えない。

Kのところに戻る。一応夕焼けの時間帯ではあるけど、かなり厚めの雲に覆われていて、ほんのり赤い程度でしかない。

夕焼けと呼べる感じではない

再び走り出し、10分ほど北東に進んだところにある道の駅ふたみで用を済ませ、さらに進むとR378は遂に海沿いを離れる。軽く一山超えると伊予市街地に出る。

ここから一般道で松山市を経て今治に向かうこともできるが、日も暮れているし道もつまらないので、とっととガソリンを入れて伊予ICから松山道に乗る。どこにも停まることなく今治の郊外にある今治湯ノ浦IC(終点)まで走り、そこから今治駅前のホテルに向かう途中にあるワークマンに寄る。

続いて、ほど近いところにあるマルナカにも寄る。時間を気にする必要がないのでゆっくり買い物ができる。

今回はマルナカばっかりだったな

おそらく最後になるであろう買い物を済ませてホテルに向かう。駅に向かうにつれて交通量が増える…ということもなく、街ゆく人の数も少ない。建物はたくさんあるのに人がいない。そんな中をホテルに向かうのだが見逃してしまい路地をグルグルする羽目になる。2周目でホテルは見つけたが、駐車場は裏の路地から入るようだ。ぐるっと回って入ってみると、Kの巨体が入るかどうか微妙な空間しか空いていなかった。着いたのが遅いので仕方ない。半ば無理やり停め、荷物を整理してフロントに向かう。屋根下駐車場なので明るくて片付けが捗る。

此処に停めていいのかどうか判断できない(結果は正解だった)

フロントでチェックインを済ませる。Kを停めた場所は問題なかったようだ。部屋に入って荷物を置き、ジャケットを脱ぐ。やっと身軽になれた。そして近くの焼き鳥屋を調べる。どうやら繁華街は駅前より海側、今治港側にあるようで、この近くにはさほど店は多くない。とりあえず行くか。

最後の晩餐

ホテルを出て海の方へ歩く。比較的近くにある焼き鳥屋に行ってみたら、まだ20時半なのに今日は終わりですーと断られた。別の店も明かりはついているのに準備中の札。どっちもGoogleさん情報だと22時閉店なんだが。地方都市あるあるだな〜

しょうがないのでアーケード街に向かう。入り口にあるチェーン店を無視して奥に進むと居酒屋が数軒ある。どれも繁盛していて五月蝿い。ソロ客向けの感じがしないのでスルー。

活気があるとは言い難いが、居酒屋は元気だ

アーケード街を出て少し歩いたところに鳥屋がある。とりあえず営業していたので、もうここでいいやと入る。

ようやく晩飯にありつける

とりあえずビールを注文して、何を食うか考える。ほんの数日前、高松で気の向くままに頼んで食いきれなかったことを思い出して慎重になる。とりあえず鶏もも焼きと枝豆だけ頼む。

なかなかうまい

もう1品ぐらいはいけそうだ。おすすめは鶏皮か「せんざんき」だが、2品はきつそうだ。何なのか想像つかない「せんざんき」と冷酒を頼む。調理担当以外の店員はベテランっぽいお姉さんを覗くと東南アジア人3名で、そのうちの一人に頼んだが通っておらず、結局お姉さんに頼み直すことになる。地方の若者不足は深刻なんだな。

何だかわからなかった「せんざんき」は、要するに骨付きの唐揚げだった。北海道の「ざんぎ」と関係があるのかはよくわからない。

味はふつうにうまい

酒を飲みながら、持ってきたツーリングマップルや、往路にSAでゲットしてきたしまなみ海道のパンフレットを眺める。

いい具合に腹が埋まったので店を出る。ホテルまではそこそこの距離があるので、否応なしに散歩する羽目になる。Kで走ってきた時点でそうだったが、輪をかけて人がいない。高松も居なかったけど、さらに少ない。高松より街の規模自体が小さいから当たり前ではあるけど。

ホテルを通り過ぎて今治駅に行ってみる。こちらも人がいない。普段の生活と鉄道が直結していない。特別な時しか乗らない存在のようだ。

ホテルに戻って大浴場に向かう。今ひとつシステムがよくわからなかったが、部屋からタオルを持参し、浴衣をフロント前の棚から取り出して風呂に入り、帰りは浴衣でそのまま帰る、という流れのようだ。既に23時近く、他に誰もいないので独占利用できる。

大浴場というほど広くはないが、誰もいないのでゆっくりできる

前日は30秒シャワー、前々日は一風変わったシャワーだったので高松以来の入浴になる。サウナとかは無いし温泉でもないけどこれで十分だ。そういえば今回は温泉に入り損ねたな。まあしゃあない。

満足して部屋に戻る。ホテルなので何の準備もなく寝るだけ。楽でいい。持参したウイスキーを軽く飲んで早々に床に入った。

Day4 まとめ

朝イチの高茂岬と、午後イチの佐田岬半島を除くと、ほぼ移動しているだけの日になった。このエリアはツーリングスポットが多くないので、こうなってしまうのはある程度仕方がない。地味な海岸線をトレースしたり、無名の山間路を走るという手も一応あるけど、そこまで時間の余裕もなかった。

距離がそこそこ長くて400km近く走っているのは、松山道の無料区間、有料区間を使ったのと、細長い佐田岬半島往復で100km走っているからというのもあるが、そもそも宿毛から今治までは単純に遠いからだ。宿毛は高知の南端に近く、今治は愛媛の北端に近い。そりゃ遠いに決まっているんだけど、四国全体の縦横比で言えば縦の方が短いので、なんとなく近い(さほど遠くない)と思い込んでしまう。悪い癖だ。

高茂岬の往復、佐田岬メロディーラインと、どちらも半島の尾根沿いの快走路という似たような道を走った。全くのノーマークだった高茂岬が案外良かった。このように無名だけど良い場所というのは実はもっとたくさんあるに違いない。今回は久しぶりだったということもあって佐田岬メロディーライン再訪を選んでしまったけど、そう遠くない将来にもしまた来れるなら、行ったことがない道の割合を多めにしたいところだ。

2日目、3日目は晴れ間が多かったが、4日目は曇り空が多く、一瞬だけど雨も降った。そうそう毎日晴れるわけがない。実は佐田岬メロディーラインではなく、UFOライン(町道瓶ヶ森線)に行く案もあったけど、この空模様だと行かないで正解だっただろう。ちなみに15年前はひたすら霧の中を走った嫌な記憶しかない。再度あの道を走るなら、Kじゃなくてもっと軽いバイクで行きたいところだ。それがいつになるのかは予想もつかないけど。