何の予定も無い土曜日。予定があるときは寝坊するくせに、こういう時だけ不思議と朝早くに目が覚める。なかなか良い天気だったので、ツーリングに行くことにした。
過去の経験上、前から予定しておいたツーリングより、思い付きでブラッと出かけるツーリングの方が「当たり」が多いような気がする。
帰りが遅くなるのは避けたかったので、椿ラインを登って箱根近辺をうろつく程度にしておくか、なんて考えつつ鉄砲通りに出てみると、富士山がくっきりと見えた。それを見た途端に予定を変更してしまった。先週のリベンジをするしかないだろう。今度こそ富士山を一周することに決めた。箱根経由は縁起が悪いので避けて、R246〜三国峠経由で向かうことにした。
西湘バイパス(無料区間)〜小田原厚木道路(無料区間)と走り、R255とR246の合流付近のスタンドで給油する。まだガソリンに余裕はあったが、この先はリッターあたりの値段が上がるのは見え見えなので、先に入れておく。R246はそれほど混んでいない。足柄辺りの工事は何時の間にか終わり、快適な道になっていた。
暫く走った後、小さなY字路でR246から別れて小山の市街地に向かい、看板も何も無い交差点を曲がって三国峠方面へ。富士山がはっきり見える。今日は当たりだ。
山中湖畔を通り、渋滞が激しい富士吉田市街地を抜け、コンビニでパンとおにぎりを買って道の駅鳴沢に寄る。丁度富士山の写真展が催されており、富士山マニアによるスバラシイ写真が沢山(50枚近く)展示されていた。6/20までだそうだ。折角コンビニで食い物を買ったのだが、道の駅の蕎麦屋が案外安くて、ちょっと損した気分だった。
その後は県道71号(朝霧高原)経由で富士山スカイラインに入り、新五合目に向かうことにした。富士山スカイラインなんて、これまで何度も通っている。しかしどういうわけか一度も五合目まで行ったことが無かった。折角天気がいいので、試しに行ってみることにした。
富士山スカイラインをひたすら登り、これまで入ったことが無い五合目方面に向かう。三合目、四合目と過ぎていく。前の方にゆっくり走るワンボックスが居るせいでかなりペースが遅い。走りなれた道だったらさっさとぶち抜くところなのだが、初めて走る道だし、景色も色々な意味でスゴい(そしてキョロキョロしながら走っている)ため、特に苦にならない。高度のせいだろうか、TDMのエンジンは咳き込むように苦しげに回っている。
いくつものヘアピンコーナーを抜けた後、五合目に到着した。周りに見えるのは雲だけ。こういう景色は、周りに高い山が無い富士山ならではのものだろう。初めて見る不思議な光景に浸る。人はそれほど多くないが、どういうわけか外国人比率が高い。
五合目を後にして、その後は御殿場を経由して箱根を超え、西湘バイパス経由で帰路についた。箱根湯本を過ぎたあたりで一度休んだだけだったのだが、それほど疲れは無い。
そして、西湘バイパスを抜けて、もうそろそろ相模川、というあたりで、再びエンジンが咳き込みはじめた。どうやらガス欠みたいだ。ガソリンコックをリザーブに…したつもりだったのだが、何の変化も無い。どうやら最初からリザーブになっていたみたいだ。先週リザーブにして、戻すのを忘れていたのだ。K100RSみたいなリザーブが無いバイクに乗っていたせいで、コックを戻す習慣がなくなっていたのだ。
どっと疲れがきた。トリップメーターは220km。TDMのタンクは18リットル。リッター12kmくらいしか走らない計算になる。何という燃費の悪さだ。町乗りなら判らなくも無いが、ツーリングなのにこれかよ。これじゃクルマと変わらない。いくら何でももうちょっと燃費が良いだろうと思って、まだまだガソリンには余裕があるだろうと過信していた。
燃料計が無いバイクに乗るのはSRX-4以来なのだが、やっぱり燃料計はあるに限る。何でこういうツーリング専用バイクに燃料計をつけないのだろうか(現行型はついているらしいけど)。あーチクショウ。
モンクばかり言っていてもしょうがないので、遠くに見えるシェルの看板に向かってTDMを押した。ヘルメットを被り、暑苦しい格好をしたヤツが奇妙な形のバイクを押している姿は滑稽極まりない。道行く人の怪しげな視線がうざったい。ぼけっと見てるくらいなら手伝いやがれコノヤロー。ぶつくさ言いながら押す。とにかく押す。これがK100RSだったら、と思うとぞっとする。あんなバイク、5mでも押したくない。たまに思いついたようにセルを回してみても、キュルキュル音が空しく響くだけ。バッテリーの無駄遣いなので諦めて押す。
シェルは開いていた。スタンドのネエチャンは、押してくるバイクなんて見慣れたものであるかのように普通の対応をする。ガソリンは満タンになったが、すぐにはエンジンはかからない。数分待った後にようやくエンジンがかかった。
トリップメーターで測ったところ、停止位置からガソリンスタンドまでは400mだった。たかだか400mなのにこの疲れ具合はどうしたものか。しかし、たった400mで済むなんて、ガス欠にしては運が良かった方だろう。ちなみに、帰りに寄ろうとしていた相模川の向こう側のセルフスタンドまでは、残りたったの3kmだった。3km走るために必要なガソリンは、たったの250cc。クソッ、行きに寄った大井松田のスタンドで、もうちょっとギリギリまで入れていればよかった。
今度から、ガソリンは意地でもギリギリまで入れると心に誓ったのであった。そのためだけにセンタースタンドが欲しいぞ。っていうかヤマハさん、ツーリングバイクなんだから燃料計とかセンタースタンドをケチらないでほしいんですけど。