どこかの誰かがスーパー袋をガサガサさせている音で目が覚めた。
時間はまだ7:30。どうせ船内放送で起こされると思っていたのだが、意外な形で目が覚めてしまった。そもそもアラームすらセットせず、自力で目覚めることを放棄していたのだが。
広いロビーに出て、テレビを見ながら最後の北海道風朝飯を食う。おにぎりはどうでもいいとして、ソフトカツゲンはこれで年単位でのお別れだな。その後は朝風呂に入ったり、デッキに出てボケーとしたりして、10:00の仙台港着を待つ。
ロビーで座っていると、船内放送が入った。到着が少し早まり、9:30になったらしい。自分の寝台に戻って片付けをする。陸地までは数百メートルというところを進んでいるのだが、相変わらずSoftBankは圏外だ。本当に使えないキャリアだ。悪態をつきながら片付けを継続する。着岸が完了した頃にはさすがに圏内になる。放送に促されるように車両甲板に降りる。
適当に荷物を積み直して外に出る。暑い。何だこりゃ。ちょっと積み直し作業をしただけで汗だくになる。10:00前の仙台でこれか。先が思いやられる。
このまま東北自動車道で真っ直ぐ帰ってもいいのだが、セローで高速を走ってもまるで面白くないことと、福島県の海沿いには行ったことがないこと等の理由により、暫く一般道を走って海沿いを南下し、その後常磐道で帰ることにした。とはいえ、地図など持ってきているわけがないため、Highway Walkerの縮尺が大きい地図と、navicoの内蔵地図だけが頼りだ。
とりあえず県道10号を南下する。仙台空港あたりまではかなり車が多く、今回の選択が失敗だったと何度も舌打ちする羽目になっていたが、それを過ぎると、東北の農村地帯らしい風景と走行感がやってきた。田んぼの中や海沿いをひた走る道は、つい昨日まで走り回っていた北海道のそれと、それほど大きく変わらない。さすがに道の広さは降雪地帯である北海道の方が上だが、真っ直ぐさやだだっ広さに関しては大差がない。
navicoと、あとは自分の方向感覚だけを使って、適当に南下する。快適だった道がいきなりセンターラインも無い道に化けるあたり、さすがは県道だ。しかし、それもまた東北の県道ツーリングの味だ。やはり東北は県道に限る。松川浦、東電福島原発の展望台等を経て、常磐道の暫定終点である富岡ICから高速道路の人になる。約3時間のプチ東北ツーリングは、なかなか満足できるものだった。このエリアに何らかの理由で来ることはまずないだろうから、そういう意味でも貴重な体験だった。
今までがそこそこ変化に富んでいただけに、高速のつまらなさが際立つ。すぐに飽きてしまい、四倉PAで昼飯にした。魚が美味そうだったのだが、北海道でも何故か食い損ねた刺身定食を食うのは癪に触るので、ナマはやめて魚天丼にした。これはこれで美味い。
その後もどうにもこうにも走る気になれず、1時間近くPAでダラダラしてしまった。これではいつまで経っても帰れないので、気を取り直して先に進む。中郷SAで給油し、続いて守谷SAでも給油。遂に自宅まで100kmを切った。あとは首都高と横浜新道で一気に戸塚だ。
守谷SAを出て暫くすると渋滞になる。うざい。ここまでの車列を見るのは久しぶりだ。本当にうざい。当然のように中央をすり抜けするが、無駄に中央寄りを走るベンツがとにかくうざい。よく見たら電話をしながら走っている。こういうのには近づかないに限る。ずっと渋滞したまま首都高に入る。こちらも渋滞だ。小菅を抜けたあたりでようやく流れ始めるが、東京港トンネルでまた渋滞。少し疲れを感じて大井PAで小休止。
その後も湾岸線を走る。つばさ橋あたりから富士山がよく見えるようになる。富士山を目にすると、帰ってきた感が高まる。ベイブリッジとみなとみらいが夕景に映える。狩場線を経由して横浜新道に入り、戸塚でまた小休止。遂に残り20kmを切った。
いつものR1の渋滞を抜け、結局最後までノートラブルのまま、19:25に無事自宅に到着した。本日の走行距離は450km。9日間の総走行距離は3826km。よく頑張ったぞ、セロー。仙台〜茅ヶ崎間の意外な遠さに驚くとともに、毎日のようにこのぐらいの距離を一般道で走っていたことにもまた驚く。
その後、ピアッツァに乗ってラーメン屋「まつり家」に行って締めのラーメンを食して、今回のロングツーリングは幕を閉じた。部屋の中で山積みになっている荷物を見ているうちにどっと疲れてきた。今日の寝床は久しぶりに自分のベッドだ。いい眠りにつけることだろう。