鵠沼のショボ波

鵠沼は、俺にとっては元々ホームポジションだった。大学時代、車を持っていなかった俺にとって、他人に頼らず自由に行ける海は鵠沼ぐらいだった。その後Bearのロングボードを購入して、そのまま置かせてもらうようになったコーストライン(サーフショップ)も鵠沼にある。自分史上最高の波も、1994年くらいに鵠沼で乗った波だった。
しかし、何時の間にかやってきていた波乗りブームによって、鵠沼の混雑は尋常なものではなくなってしまった。芋洗いだの、人の間に水があるだのとバカにされるほど人が多い。しかも、俺が嫌いな見掛け倒しの馬鹿が多い(見かけも中身もダメなのは微笑ましいので可)。当然の結果として、鵠沼の海にはギスギスした空気が漂うようになってしまった。こんなところで波乗りするなんて、わざわざムカツキに行くようなものだ。さらにトンビに食い物を奪われたりしたらますます噴飯モノだ。自然と鵠沼からは足が遠のき、ここ数年というもの、鵠沼の海は散歩の行き先でしかなかった。
ただ、年間通して波が小さめの湘南エリアで、最もコンスタントに波乗りできるのは鵠沼であることもまた事実。連休明けのこの日も、他のポイントは壊滅状態に近かったのだが、鵠沼だけは波乗り可能な状況だった。しかも平日なので、人も少ない(鵠沼にしては、だけど)。
そこで意を決して、数年ぶりに鵠沼で波乗りすることにした。前に鵠沼に入ったのが何年前なのか、もはや全く思い出せない。
久々の鵠沼の海は、やっぱり人が多くて、ビーチも水も汚かった。奇声を上げてる変なヤツも多かった。ヘタクソも、前乗りばっかりする馬鹿オヤジもたくさんいた。色んな意味でカッコいい人もほんの少しだけいた。それらが微妙なバランスで共存している異質な雰囲気が、どこか懐かしかった。
肝心の波はというと、せいぜいセットで腿くらいで、力が無い波。この間のパワーに欠ける入田浜よりさらに力が無い。こういう波にはロングボードの方がよっぽど適しているのだが、俺のファンボードも案外悪くない。但し、形が今一つなので、例の「降りて上がってまた降りる」なんてもってのほか。ただ淡々と進むだけ。
2時間ほど経ったところで、急に波が割れなくなったので上がった。鵠沼は近場だし、便利だし、独特の雰囲気も悪くないんだけど、やっぱり伊豆の海がいいなあ…