恐怖の車検

「もしもし〜、矢部自動車です〜」
仕事中に、矢部自動車のオッサンからいきなり電話がかかってきた。やけに元気だ。
「あのー、msotaさん、まだピアッツァ乗ってます?」
まだ乗ってますってば。少なくともJR130は。Irmscherは乗っているというより持ってるだけですけど。
わざわざ矢部自動車から電話をかけてくる理由なんて1つしかない。
「msotaさんねえ、車検ですよ、車検!」
やっぱり。
JR130の車検は2月13日で切れる。
忘れていたわけじゃなくて、出さなきゃイカンと思いつつ忙しくて放置していたら、2月13日がすぐそこまで来ていた、といったところ。
出しますよ、出しますってば。明日持っていきますってば。
ふと思い出してみると、この2年間、一度も矢部自動車の世話になることは無かった。
せいぜいATの載せ替えをしたくらいで、これといった故障はなかった。
・・・無かったことにしていただけかもしれないけど。
前回車検時の走行距離は108,690km。
そして今回は115,970km。
2年間で約7,300km走ったことになる。俺にしては走った方だろう。
その間、少なくとも致命的な故障は無かった。これならそんなに金はかからないだろう。
出社前の朝8時に矢部自動車に持っていくと、主に整備士のヒトたちがラジオ体操をしていた。
さらにその後は朝礼。なんか会社っぽい。
建物に入ろうとしたら、自動ドアが開かず、立ち往生する羽目になった。極めてバツが悪い。
ドアの前でオロオロしていると、中から事務の女の人があけてくれた。
納税証明を出したり、委任状に印鑑を捺したりといったいつもの儀式をする。
今回の車検ではリサイクル費用を取られてしまうらしい。7200円だそうだ。また名前を変えただけの増税か。こんなの払ったところで、どうせ天下り軍団が根こそぎ持って行くに決まってるんだから意地でも払いたくないが、拒む手段が無い。
手続き関係は簡単に終わり、湘南台駅まで送ってもらうことになった。
社用車らしきワゴンRに乗り込んで、若いニイチャンと下らない世間話をする。
どうして俺の名前なんか知っているんだろう、と思ったら、昨日こんな会話があったらしい。

オッサン「msotaさん、ピアッツァ車検なんだけど、持ってこないねえ。」
ニイチャン「まだ乗ってるんですかねえ?」
オッサン「じゃあ電話して聞いてみるか。」

(さっきの電話)

オッサン「・・・乗ってたよ(笑い)」

俺も思わず笑ってしまったのだが、その数時間後、まるで笑えない急展開がやってくるとは、この時点では知る由もなかったのであった。