ALPINE POWER AMPLIFIER MRV-T502

エンジン廻りが一段落して普通に走るようになると、別のところに目が行ってしまうのはごく自然な成り行き。ボデーの錆も気になるところだが、錆取りは、騒音の観点で(比較的ソロ活動の時間を確保しやすい)夜中にやるのは無理。そこでなんとなく目線が向かうのはオーディオ回りである。

結論を先に書くが、オーディオの外部アンプをALPINE MXE-F130からMRV-T502に付け替えた。MXE-F130は外付けアンプとしては極小サイズの4ch、MRV-T502は2chにしては大柄。アナログアンプは体積と音質が比例するため、音質は明らかに向上した。かなり満足しているが、3555(後述)と比べたい衝動は燻っている。

カーオーディオ(というかアンプ)の変遷

交換前のカーオーディオ構成は、ヘッドユニットはALPINE 7618J、アンプはALPINE MXE-F130、スピーカーはKENWOOD KFC-SV1710(のウーファー部のみ)に、Mercury Speakersのツイーター(2000年頃に出てきた新興メーカー、その後どうなったのかわからない)という組み合わせになっている。スピーカーはフロントだけで、リヤは数年前に取っ払っている。

ヘッドユニットは、2001年の復活に向けた作業中はナカミチのものを装着していたが、ヤフオクでALPINEの緑の6個ボタンのやつが容易に入手可能と知った途端に路線変更し、それ以降は一貫して7618Jを使っている。スピーカーも、20年ぐらいこの組み合わせのままだ。もう一台のNERO Irmscherのスピーカーはあれこれ入れ替えたのだが、結局この組み合わせ以上のものには巡り会えなかった。

(これは2001年の復活時。この当時の合皮内装は2010年頃にやり直した)

このセットのうち、アンプだけは色々と変遷している。当初はALPINEの3555という古い4chアンプをトランクに置いていた。コレが欲しかったというより、たまたま7618Jとセット売りしていたものを落札したのが発端である。これは図体がデカいだけあっていい音がした。

(これは落札したものが届いたときの画像。2022年にコレを出品したら簡単に6万円ぐらいにはなりそうだ)

しかし、トランクの雨漏り頻発だとか、トランク常備品の増加(走行中に壊れるのが不安なので荷物が増える)に伴い取っ払った。最初にやったのは、ADDZESTのA-60という1/2DINサイズの4chアンプへの交換。小さいのでトランクに置いても邪魔にならない。これはサイズの割には良い音がしたのだが、古いだけあって突然死してしまった。その後は、KENWOODやCAROZZERIAのミドルクラスの中古4chアンプ、またALPINEに戻って3554、3555買い戻し等、あれこれと変遷した。なにげにピアッツァで最も数多く入れ替えた部品がアンプかもしれない。

結局、3555の音質が一番気に入っていたものの、サイズや置き場の問題で再度使うのをやめ、一旦は中華デジタルアンプ(車載用ではない)をセンターコンソール内に置くことにした。そのままだとノイズが酷いのでBOSSのサプレッサーを入れるとか、電源を取るために端子を作ったとか、案外装着に手間がかかった割にはろくすっぽ写真が残っていない。昼飯の写真の片隅に写っているのがそれだ。思い入れがないとそんなものだ。

この交換にあたり、リヤスピーカーの利用を中止した。元々後ろから音が聞こえることに違和感があり、フェーダーでフロント重視にしていたので、この結果は自然の帰結である。リヤに使っていたALPINEのスピーカーの音質が極めてショボかったのも一因かもしれない…が、仮に超高音質スピーカーだったとしても最終的にこうなっていただろう。

また、これをセンターコンソール下段に置く都合上、コンソール3段目に置いていたDSP 3617を外した。元々お飾りでスルーしていたので、音質的には影響はない。見かけが格好悪くなるだけ。

この中華デジタルアンプは車載用ではないので、REMOTE機能すら効かないので不便だったが、音質はそこそこだった(が、ALPINE 3555には到底及ばない薄っぺらい音だ)。その後この中華アンプが突然死して何も音が出なくなり、やはりクルマにはクルマ用が良かろうということで、ALPINE MXE-F130を導入したのが現状である。

このMXE-F130だが、ヘッドユニット内蔵アンプに毛が生えた程度の薄っぺらい音しか出ない。アナログアンプの音質の良し悪しは基本的にはアンプ筐体体積にほぼ比例するというのが持論であり、このMXE-F130は超小型の部類に入るので、音質的に冴えないことは致し方ないが、それにしてもショボい。中華アンプより劣るとはどうしたことか。しかし、コレはセンターコンソール三段目に入る。それだけの理由で使い続けていた。どうせ音楽なんてろくに聞けないし(エンジン音が気になってしょうがないので)。

このように、変遷記述がやたらと長くなってしまったが、シリンダーヘッドOH完了とともに、音質的に納得できないまま使い続けていたMXE-F130を入れ替えるときが遂にやってきた。

何にするか

入れ替えるとすると、主な選択肢は以下の4つである。

  1. 得体の知れない中華アンプ
  2. 信頼と実績のALPINE 3555
  3. イマドキのデジタルアンプ(CAROZZERIA GM-D1400IIとか)
  4. 何らかの中古2chアンプ

色々な意味で面白いのは1.なのだが、クルマ用が良いというのはわかっているのでこれは除外。間違いがなさそうなのは3.だが、本能的に気が進まなかった。古いクルマ、古いヘッドユニットに最新デジタルアンプを装着する行為は「なんか違う」感が拭えなかった。

残るは2.と4.だが、2.は置き場に困ることはわかっている。そこで4.となり、適当な2chアンプを探す。

元々ALPINE派なので、それを中心に探す。調べていくと、3555みたいな4桁数字の古いものの後継機で「V12」とか言っている頃のものでも、中古価格は大差ないことがわかる。2022年現在、どっちも「昔のやつ」で十把一絡げにされるので結果的にそうなる。そして、カーオーディオ自体が下火と言うか、誰も注目しないようになってしまい、新しいものが出ないままラインナップが自然消滅している。つまり、選択肢は「V12」の頃のどれか、になる。

型番的には、MRV-Tnnnになる。nnnは、5nnか3nnになる。3nnが小型、5nnが大型。設置場所はシート下を想定しているので、小型の3nnの方がいいのだが、あまり出物がない。売れなかったのだろうか。

色々考えた結果、ヤフオクでハズレを掴むリスクと価格差(ほとんど変わらない)を考慮し、CrooooberにてMRV-T502を購入した。外観は良いとは言えないが、どうせ目につかない場所に置くのでどうでもいい。もっと新しいもの(その分値段も少し上がる)もあるが、音質的には大して変わらないだろう。

ちなみに価格は4,000円。MXE-F130はヤフオクで4,000円前後で落札されているので、差し引きゼロとは言わないが物々交換に近い。

装着

数日後、プチプチと段ボールに包まれてアンプが届いた。業者の割には梱包が雑だが、こんなの過剰に包んでもしょうがないので気にしない。出してみると…案外大きい。うーん、失敗したか…?

とりあえず運転席シート下に入れてみる。辛うじて入る。これならまあ良かろう。多少はみ出るが、ここに誰かが座ることは考えにくいので、邪魔になることもない。

アンプなんて何度も着けたり外したりしているので装着作業は慣れっこ…と言いたいところだが、3555を手放した時点で配線類も同時に放出しており、MRV-F130(配線は専用カプラーを介する)では使わなかった配線がいくつか必要になる。それを新たに作らざるを得ず、無駄に時間を要した。

装着を終えて試奏。Crooooberの動作確認済み製品なので、普通に電源が入って音が出るのだが、何かおかしい。7618J側でバランスを左右に振っても音量が変わらない。よく見たら入力モード切替スイッチが1chになっていた。前所有者はウーファー用に使っていたのだろうか。

しかし、そこを替えてもまたおかしい。今度は右側しか音が出ない。先程まで両方音が出ていたのに片方になったということは、インプット側(ヘッドユニット側)がおかしいのかもしれない。そこで、フロント側RCA端子からリヤ側に付け替えると、普通に音が出た。この7618Jがおかしかったということだ。この現象(突然左右どちらかが音が出なくなる)は以前からたまに出ていたことを思い出した。偶然この時にも再発していたということだろう。

動作することと、配線が正しいことは確認できたので、あとは正式な装着である。配線をまとめながらアンプをシート下に突っ込む。シートを動かした時に配線が干渉して断線したりすると面倒なので少々慎重になる。プラプラとはみ出した配線があるとそうなりやすいので、ある程度束ねておく。そして最後にセンターコンソールを取り付けて作業終了となる。

片付けを終え、ようやく落ち着いて試聴する。音質は3555と似た系統で、スピーカーKFC-SV1710を充分に鳴らしている。MXE-F130とは雲泥の差だ。奥行きや広がり感がまるで違う。走行中は排気音や軋み音で聞こえにくいとはいえ、このぐらいは鳴ってもらいたいものだ。ただ、記憶の中にある3555よりは少し落ちるような気がする。美化しすぎかもしれないが。

以前とは違って排気音が大きいし、クルマの具合が気になるので窓開けで走ることも多いため、あまり音楽を聴いている場合ではないのだが、基本的な音質が良い(趣向にあっている)というのは気分が良いものだ。

イコライザー3348装着

今回の作業でセンターコンソール3段目が空いた(アンプがいなくなった)。そのため、以前装着していたDSP 3617を戻すことにした。

3617は2台持っている。画像右上と、ひとつ(イコライザー3348)を置いて3つ目が3617だ。片方ぐらい動くだろうと思っていたのだが、1台は音量が妙に小さくなってしまい、もう1台はノイズが酷い。どちらも実用面では使い物にならない。では電源だけ入れて音は通さずに飾り物にしようかとも思ったのだが、どちらも電源オンからしばらくすると照明が暗くなってしまう。これでは見掛け倒しにすらならない。

仕方がないので、1台とってあったイコライザー3348を装着した。こちらは無事に動作した。

3617の方が見た目やボタンの配置が7618Jに合っているのだが、価格帯的が違うのか開発時期が違うのかはわからないが、右下のボタンの意匠が7618Jとは違うところと、ボリュームノブが安っぽいところが気になっていた。

その点、3348は各ボタンの意匠や雰囲気が7618Jと同等で気分が良い。色々ボタンをいじくり回してみたが、大きな不具合はなさそうだ。イコライザーとして使うつもりは毛頭なく、最初からお飾りのつもりだが、見るからに80〜90年代的なスペクトラムアナライザの動きはなかなかこのクルマに合っている。当面はこの組み合わせでいこう。

後日談(ポカ)

無事に装着を終え、週末に早起きしてちょっとばかし出かけようとしたところ、エンジンがかからなかった(セルが回らなかった)。モバイルバッテリーブースターを使ってもかからない。

夜中に(LED電球とはいえ)ルームランプをつけて、オーディオをオン・オフする作業をしていたのが原因だろうと決めつけ、充電器をつけて数時間放置した。

が、やはりセルが回らない。

ふと室内を見てみると、極めて初歩的なポカだった。

これではセルが回るわけがない。

エンジンはきちんとドライバーズシートに座ってからかけろ、と怒られているような気分だ。何かあるとすぐにバッテリーのせいにしてしまうところも改めなければなるまい。