八ヶ岳一周ツーリング

11月の三連休に何故か丸1日ソロ活動デーがやってきた。前週にピアッツァで遠出したので、今週の外出は言うまでもなくバイクだ。ピアッツァの錆取りや内装修理に没頭するという手もあるが、これらは平日昼休みや夜でもできる。どう考えてもバイクだ。

当初は行き先として伊豆方面を考えていたが、紅葉も捨てがたい。とはいえ11月上旬だと標高1000mクラスの場所しか場所しか紅葉していない。行き先が限られるし、そういう場所はもう寒い。

しかし、今年の11月は何故か気温が高く、例年の11月だと寒さを恐れて足が遠のきがちな信州方面も苦にならなそうだ。何より、伊豆なら冬場でも雪さえ降らなければ行けるが、信州はこの時期を逃すと来年4月まで駄目だ。そして渋滞予測によると三連休の3日目は八王子JCTの渋滞が無さそうだ。そのような色々な理由を重ねて信州方面を目的地に定めた。

信州と言っても色々あるが、今年よく使っているETC二輪車ツーリングプランの中から 【ETC二輪車限定】2023ツーリングプラン【首都圏 東名・中央道コース ミニ】 で無理なく行けそうな場所を目的地にする。このプランは甲府昭和ICが西の限界で、それに千円とか2千円の追加料金が必要な場所まで行くと【ミニ(2500円)】ではなく【ワイド(3900円)】の方が適切になってしまうので、そうそう遠くまでは行けない。そこで八ヶ岳山麓から野辺山近辺を巡ることにした。

日帰りツーリングなので大した準備はない。カッパ、防寒着、カメラ等を詰め込む程度。一応前日のうちにパニアケースに入れる。あとはヘルメットのシールドを拭き、ヘルメットに装着しっぱなしのBluetoothヘッドセットを充電する。その手の事前準備を済ませ、そこそこ早めに寝て、6時間ほどの睡眠時間を経て5時半頃に起床。天気が薄曇りだからか、イマイチ準備が捗らず時間がかかり、6:41に出走した。

いつも通りR134を西進し、いつもの柳島のGSで給油し、いつもは乗らない新湘南バイパスに茅ヶ崎海岸ICから乗る。いつもはケチって寒川南ICまで産業道路を北上するが、ツーリングプランの定額範囲内なので乗らない手はない。そのまま圏央道に入って北上する。渋滞予測の通り、八王子JCT渋滞や小仏トンネル渋滞は無く、順調に進む。曇っていた空も、大月あたりから晴れてきた。Kの調子も良いし、気温も丁度良い。いい流れだ。

釈迦堂PAで少しだけ休み、ツーリングプラン範囲内の甲府昭和ICを過ぎて須玉ICで降りる。須玉までは自腹になる。IC近くのENEOSで給油。燃費は18.6km/L。高速道路しか走っていない割には微妙な燃費だな。

しばらくR141を清里方面に北上したところで適当な脇道に入る。そのまま野辺山に直進するのも芸が無いので、甲斐大泉駅に寄ったり、適当な脇道に入ったりしながら、八ヶ岳山麓や清泉寮あたりまでプラプラする。

標高が上がるにつれて紅葉が増える。突発的に現れるので油断できない。

いつもガラガラなまきば公園駐車場からの八ヶ岳が綺麗だ。空が澄んでいる。11月の標高1400mとは思えないほど暑い。

行くだけ無駄だと思いつつ有名なカレー屋ROCKに行ってみると、50人を優に超えて100人近いんじゃないかと思われる大行列が出来ていた。さすが三連休だ。当然スルーし、すぐそばにあるセブンイレブンでおにぎりを一つ買って空腹を埋める。

R141を北上して野辺山方面に向かう。国鉄最高地点を過ぎ、いい感じの農業地帯を抜ける。

少しだけ山道を登って平沢峠の駐車場に入る。ここが一応今回の目的地。以前ピアッツァで来て好印象だった場所だ。たしか2010年の話なので、それ以来の再訪になる。

ひとしきり写真を撮って、来た道を戻り、途中で曲がって国立天文台の方に向かう。とりあえず駐車場までは行ったが、有料なので中には入らずに去る。R141に戻り、すぐまた農道まきばラインに逸れる。これはなかなかの快走路だ。

またしてもR141に戻る。南牧村の盆地を囲む山々は紅葉真っ盛りで、燃えるような赤や黄色だ。

松原湖方面の看板が出たので左に曲がる。松原湖自体は大したものではないし、クルマやバイクはあまり近寄れないのでスルー。そのまま山を登っていくと、先ほどまで西側に見えていた八ヶ岳を南側に見るようになる。いつのまにか北側に回り込んでいたようだ。

快走路をひたすら登り続け、小海リエックススキー場(今はシャトレーゼスキーバレー小海とかいう名前になったらしい)に入って適当に写真を撮る。ここはピアッツァで何度か来たことがあるが、もう10年以上前の話だ。Kでも来たことがあるはずだが、あまり覚えていない。

さてこの先どうするか。下山して佐久穂のツルヤに行って土産を買ってR141で帰るか、このまま登り続けてR299で麦草峠を超えて茅野に出るか。どうでもいい場所で写真撮影していて時間を潰しまくったせいで、走行距離の割には時間が経ってしまっている。もし麦草峠超えをするなら脇目もふらずに走らなければならない感がある。八千穂高原あたりにも行きたかったがこれは諦めるしかない。しかし来た道を単に戻るのも芸が無さすぎる。しばし悩んだ結果、麦草峠超えを選択した。

山道を登り「レストハウスふるさと」に到着する。景色が良さそうだが、時間がないので素通りしてR299メルヘン街道に入る。ひたすらつづら折れが続き、景観も冴えない単なる山道だ。一体この道のどこがメルヘンなんだかさっぱり判らん、というのは初めて走ったウン十年前と同じ感想だ。調べてみると「ドイツにあるメルヘン街道に雰囲気が似ているから」だそうだが、そんなのは蓼科エリアの別荘地帯のほんの一部だけで、それ以外の大半は富士山スカイラインみたいに景観皆無で停まる場所もない山岳路に過ぎない。こんな書き方をすると馬鹿にしているのかと思われるかもしれないが、道自体は普通に良いツーリングルートだ。景観がパッとしないだけで。

何度もグネグネしながら高度を稼ぎ、紅葉ピーク時は暇な老人が大挙して押し寄せるであろう白駒池エリアを過ぎると、麦草峠に到達する。俺が初めて買った緑色の表紙の小さいツーリングマップルでは、ここが国道最高標高地点だった。初めてここを通った時もそんな看板だった記憶があるが、国道最高標高地点の称号を志賀高原の渋峠に譲ってから既に30年も経っており、今やその面影は全く無い。

少し走ると麦草ヒュッテがあるエリアに出る。変わり映えしない景色が続くR299においては数少ない景色が良い場所だ。クルマだと到底停める気にならないが、交通量が極めて少ない時期のバイクなら路駐しても許される範囲だろう。

ここから先はひたすら下るだけだ。峠の西側は少しだけ景観が良くなる。途中でそこそこ展望の良い場所で停まったりしながら下る。

さらに下ると蓼科の別荘地帯に入る。やっとメルヘン街道な雰囲気になる(ホンモノを知らないので語感からの想像だが)。紅葉が良さげな場所がたまに現れるが、別荘地(私有地)故に入れない。なんだかなーと思いながら下っていると、別荘地ではなく且つ紅いトンネルのような場所が現れた。狙っていたわけでも何でもないのに、こんなのに遭遇するとは。早速向かおうとしたが、先人のバイク乗りが延々とバイクの写真を撮っているので、離れた場所で居なくなるのを待つ。

やっと動いたかと思ったら、数メートルバイクを動かしてまた写真を撮っている。さっさと終わらせろよと思う反面、自分でも同じようなことをするだろうと確信できてしまうので何も言えない。5分ぐらいでエンジンをかけて先に進んだので良心的な方だろう。早速俺もその場所に向かって写真を撮る。

この先どうなっているのかと思ったら、数百メートル走ったらバス停と駐車場があるだけの行き止まりだった。駐車場でぐるっと回って戻る。ここはここで良い雰囲気なので、ここでも写真を撮る。

明るいうちに八ヶ岳山麓を走りたかったのに、結局この撮影スポットで時間を食ってしまった。午前中のどうでもいい場所で停まっていた時間が悔やまれるが後の祭りだ。もう八ヶ岳山麓は諦めよう。

とりあえず山を下る。途中でビーナスラインへの分岐が現れるが、さすがに今から行くのは非現実的だ。車山あたりに着いた頃にはもう真っ暗だろう。別荘地帯が終わり、こじゃれた食い物屋や住居が現れるようになる。そのまま走っているとテンホウが現れたので、吸い寄せられるように駐車場に入る。

中途半端な時間なのでガラガラだ。定番のタンタンメン(坦々麺ではない)と餃子を頼む。さほど待たずに出てくる。

昼飯はおにぎり1個だったので、これが真の昼飯なのかもしれないし、早めの晩飯なのかもしれない。よくわからないが、とりあえず寒い中を走ってきて辿り着いたラーメンと餃子は最高に美味い。チェーン店なので感動するような味ではないが、こんな変な時間でも営業しているし、十分に美味い。

さらに山道を下り、出光のGSで給油し、ツルヤ茅野店を目指す。途中でいい感じの脇道を見つけたので寄る。多分これがこの日最後のまともな写真だろう。

ここから少し走るとツルヤに着く。2年前ぐらいに自家用車で来た場所だ。土産物を買って外に出ると、もうほぼ日は暮れていた。

ここから自宅までは200kmほど。真っ暗な中をひたすら淡々と帰ることになる。Bluetoothレシーバーをオンにし、Radikoを起動して日本シリーズ中継を選局し、暇な時間に備える。

諏訪南ICから中央道に乗ってしまえば簡単なんだが、ETCツーリングプランは甲府昭和までなので、そこまでは自腹だと思うとあんまり気が進まない。そのため、日が暮れた八ヶ岳山麓をとりあえず小淵沢まで走ることにした。

どうせ景色なんて何も見えないのでGoogle Mapナビの言う通りに進む。これが昼間だったら超快走路なんだけどなーという道を延々進む。真っ暗なので、先行車が居なくなるとハイビームにしないと怖い。こりゃ動物が出るだろうなあと思っていたらホントに数十メートル先を鹿が横切る。ぶつかったらひとたまりもない。自然とペースが落ちる。

小淵沢ICに近づいたところでナビで調べると、小淵沢ICも、その一つ先の長坂ICも、所要時間は大差ないことがわかる。そのため長坂ICを目指して鉢巻道路を走る。またしても路肩の鹿に遭遇する。出てこないでほしい。そんなことも知らないであろう後続車が車間を詰めてくるので路を譲る。

鉢巻道路から逸れて県道を下る。長坂IC手前でナビを再確認すると、須玉IC〜韮崎IC間の工事のせいで一般道でも大差無いらしいということが判る。勿論中央道ではなく一般道を選ぶ。ここから先は県道17号(七里岩ライン)をひたすら進む。これが時間帯もあるのかもしれないがガラガラの快走路で、高速道路なんか要らねえじゃねえかと言いたくなるペースでガンガン進む。

韮崎ICへの分岐まで来たが、韮崎から乗っても甲府昭和から乗っても大差無い(甲府昭和までは二車線のバイパスなので流れが良い)らしい。結局「大差無い」を繰り返してETCツーリングプラン西限の甲府昭和ICまで下道を走ってしまった。自分は一般道派なので、それで全然構わない。

甲府昭和ICから中央道に乗る。境川PAで休憩も兼ねて渋滞状況を確認する。案の定小仏トンネルで混んでいる。バイクなので大きな声で言えないことをすればイケてしまうのかもしれないが、左手の握力も落ちているので気が進まない。いつもの一宮御坂ICからの御坂みちルートにしようかと思ったが、せっかくETCツーリングプランでタダなので大月周りにする。距離的には遠回りなので実は無駄かもしれないが、タダなのでという勿体無い根性を優先した。

実際に走ってみると、無駄に大月まで東進して戻る感じがして、気分的には遠回り感が強い。実際にどうなのかは比べるべくも無いのでわからん。寒くなってきたので谷村PAで一旦停止してインナーを着込む。

そのまま東富士五湖道路に入る。河口湖から山中湖あたりは案の定寒い。暗い中を淡々と走るだけなので余計に寒い。須走に向かうトンネルに入ると寒さが和らぐ。トンネルを抜け、須走の道の駅で小休止して道を確認する。

R246はいつもと同じく大渋滞。東名は思ったほど混んでいないが事故渋滞があるようだ。またしても勿体無い根性で東名を選択するが、まあ多少渋滞していてもこちらの方が早いのは間違いないだろう。御殿場ICまでひたすら南下して東名高速に入り、淡々と走っていると予定通り事故渋滞に捕まった。あまり大きな声で言えない行為をして先を急ぐ。ヘルメット内を流れている日本シリーズ中継は、試合展開がどんどん不快な方向に傾いているので、ボリュームを下げて聞くのをやめる。

中井PAで一休み。インナーを脱ぎ、Radikoを別の当たり障りのないラジオ番組に切り替え、再び走り出して伊勢原JCTから新東名に入る。この区間の需要はほぼ無いようでガラガラもいいところだ。圏央道に入っても相変わらずガラガラ。全くストレスなく茅ヶ崎海岸IC出口に着く。普段だったら大井松田か秦野中井で降りて西湘バイパスを使うが、比較してどっちが速いのかはよくわからない。なんとなくだが、東名ルートは無駄に北側を走る分だけ遅くなるので劇的な差は無い気がする。

新湘南バイパスを降り、往路と同じく柳島のGSで給油する。茅野からの燃費は20.2km/L。快走路と高速の組み合わせなので燃費が良いのは想像できるが、20km/L越えは珍しい。気分的にはラーメンを追加したいのだが、全く腹が減らないのでそのままR134を東に走り、22:00に帰宅した。

費用はこんな感じ。ROADSTOCKの集計機能は実に便利だ(そのように作ったのだから当たり前だ)。

今後またソロ活動デーが現れるかは予想できないが、2023年はこれが最後になる可能性が高い。せっかく馴染んできたのでたまにプチツーリング程度はし続けた方が良いだろう。Kの調子は基本的には良好で、全く不安を感じさせられることはなかった。フロントフォークオイルが少しだけ漏れているが、すぐに替えなければならないほどではない。あの作業は毎度鬼門なのであまり気が進まない。我慢ならなくなるまで放置しよう。

撮影について

例によってK-1 MarkII + TAMRON A09の組み合わせ。肩が痛くなるので往路の須玉ICまではパニアケースに入れていた。その後はウエストバッグに入れていたが、日帰り程度ではそれほど肩にはこなかった。何度かツーリングやドライブをこなしているのでだいぶ扱いに慣れてきた。馬鹿の一つ覚えのようにF2.8やF4ばかり使わなくなった。

今回は写真映えする場所が多かったので、撮影に没頭したくなる反面、全く先に進めなくなるというジレンマとの戦いだった。このあたりの割り切りは難しい。天候や場所の関係でろくにシャッターチャンスがないまま終わることもあるので、贅沢な悩みではある。

一応GRIIIも首から下げていたが、K-1 MarkIIを出すほどでもない場所で数回使った程度だった。しかし、そういう場所ならiPhoneのカメラでも大抵我慢できてしまうので、もう次からは勇気を出して持ってこないことにしよう(でも結局出る前に首に下げてしまうのだが)。