5:35に目覚ましに起こされた。布団はペラペラだったが、疲れや寝不足のせいか、よく寝られた。ちょうど目が覚めたところで列車の走行音が聞こえた。そういえばすぐそこをJR花輪線が通っているんだった。
朝風呂を済ませてから朝飯といきたいところだったが、6時にならないと風呂が開かないので、先に朝飯を済ませる。
そうこうするうちに6時を回ったので風呂に行くと、こんな朝早いのにやたらと人が多い。皆浴衣なので宿泊客のようだ。健康ランド宿泊時も痛感するが、東北の年寄りは朝が早い。熱さで目が覚めてきたところで風呂を出て、部屋に戻って着替え・片付け・出走準備を済ませ、チェックアウトを済ませて宿を出る。
パニアケースやらトップケースやらに荷物を仕舞い、身支度を済ませ、6:35に出走。準備に1時間もかかってしまったが、風呂に入ったことを考えればこんなもんだろう。
十和田湖へ向かう
鹿角から十和田湖に行く道はいくつかあるが、個人的に気に入っている秋田県道2号 樹海ラインを通りたかったので、一旦小坂町まで北上する。そこまでは東北自動車道を使う手もあるが、一般道で行っても5分程度しか変わらないようなので一般道を選ぶ。Googleさんが推奨する鹿角広域農道は、なかなかの快走路だ。
そして待望の樹海ラインに入る。この道はいい感じのハイスピードワインディングロード…だったはずなんだが、以前通った10ウン年前に比べると路面状態がかなり悪化しており、快走感が微妙に削がれてしまう。
この道の欠点は景観が冴えないことで、撮影スポットもほとんどないままに走り抜けてしまう。逆に言えば走ることに徹することができる。交通量が極めて少ないことがそれに輪をかける。路面さえ気にしなければ楽しい。あっという間に十和田湖を望む発荷峠の展望台に着く。
これだけ快晴で、八甲田がよく見えるのも(個人的には)珍しい。ここに来る時は、どういうわけか曇りや小雨の記憶が多い。しばし景色を堪能してから展望台を降り、十和田湖に向かって山道を下る。ものすごく強引に作ったような道で、無理矢理通したような橋が多い。丁字路を右折して湖岸道路に出ると、妙に路盤が新しい。最近作り直したようだ。
ここからホテルや民宿が集結しているエリアまでが十和田湖畔走行のハイライトだ。湖岸のすぐそばを走るだけではなく、水面より路面がほんの少し高いだけ。この走行感は他では味わえない。
市街地(というほどでもないが)を過ぎると、また湖岸道路になる。こっちも悪くはないが、さっきの場所より少し路面が高いし、湖岸から少し離れていて樹木も多めなので、湖を間近に感じることはできない。
奥入瀬渓谷を走る
そこから少し走ると、もう奥入瀬渓谷の入り口だ。交通量が少ないとあっという間だ。奥入瀬渓谷もさっさと走り抜けてしまった方が良いだろう…と思いつつ、見どころが多いのでついつい停まってしまう。
奥入瀬渓谷の中間あたりにある石ヶ戸休憩所あたりが散策には適しているが、今日はさほど時間に余裕もないし、過去に何度も歩いたので今回は心を鬼にしてスルー。
ここを過ぎると徐々に水量が増え、川幅も広がり、多くの人々が想像する奥入瀬渓谷らしさは薄れていく。そして人工建造物がいくつか現れたあたりで、渓谷沿い走行は終了になる。予想通り、朝早いおかげで交通量が少なくて快適だった。時間の余裕があったら往復したいところだが今日はやめておく。
八甲田へ向かう
十和田湖と奥入瀬渓谷を離れて八甲田方面へ向かう。R103をそのまま走ってもいいのだが、途中でモリタ氏おすすめの湯の台牧場に逸れる。坂道をガンガン登っていくと開けた場所に出る。いかにも牧場というだだっ広い場所を進むと、無駄に広い駐車場が左側に現れた。そしてこの場所からの八甲田の景色がまた秀逸だ。
さすがモリタ氏推奨の道だ。この先もひたすら快走路で、こんな山の中にどうしてこんな直線道路が現れるのか、といった道が続く。
延々走っているとさすがに直線道路も終わりになる。R103に合流すると、一転してヘアピンの連続になる。さっきまでの直線は一体なんだったんだ。
さらに進むと両側がブナ林になる。残雪とブナの組み合わせはなかなかいい。
ブナ林を抜けると徐々に高度が上がり、両側が雪の壁になる。春スキーをやっている人もいるようだ。
雪の壁という点だけで言えば八幡平や蔵王と似たようなものだが、それらが比較的独立峰に近くて遠くまで延々見渡せるのに比べ、八甲田のR103は山深いため、遠くまで見渡せない点が異なる。景色とともに走ることに関する爽快感は八幡平などの方が上だ。R103が駄目だというのではなくて好みの問題だ。
R103を酸ヶ湯まで走り、インフォメーションセンターがある公共駐車場で転回し、来た道を戻ることにする。本当はこのままR394に合流して黒石に降りてしまう方が話は早いのだが、田代平あたりの青森県道40号を走りたいためここで戻る。
さっき走って来た道を延々戻り、途中でR394に逸れる。R394に入るといきなり雰囲気の良いブナ林になる。クネクネしているR103より、こっちの方がずっといい感じだ。
そのままR394を快走し、これまたモリタ氏推奨の「石倉山展望駐車場」に行く。駐車場そのものに停めて写真を撮ると無粋な電線が入ってしまうので、少し広い路肩にKを停める。確かにこれは絵になる景色だ。
このままR394を走ると下北半島に行ってしまう。それもまたオツだが今日は無理だ。ここで折り返して県道40号に入り、田代平あたりを走る。湯の台と似たようなだだっ広さだが、あちらは牧場、こちらは基本的に何もない。景色としてはこっちの方が良い。
本州に居ながらにして北海道っぽさを感じさせてくれる場所は貴重だ。とはいえ、ここまで来たら北海道は目と鼻の先なんだが。
青森県でやるべきことをやる
その後は県道40号、R103、R394と淡々と走り、城ヶ倉大橋を超えて黒石方面へひたすら下る。八甲田山系を完全制覇したとは言えないが、まあここまで走れば概ね満足だ。R394の山下りはごく普通の東北の山道で、さほど面白みがない。心を無にして山を下り、人里まで降りて来たところにあるドライブイン西十和田に寄る。
ここに来るのはおそらく3回めか4回めだが、もはや記憶が曖昧だ。ドライブインなのでメニューが多くて迷ってしまうが、結局初志貫徹して「つゆやきそば」を頼んでしまう。過去の記録を辿ると以前は570円だったらしいが、今は800円になっている。これも時代の流れだ。
普通に出来上がったソース焼きそばを、わざわざラーメンスープに突っ込んで揚げ玉とネギを盛ったかのような「つゆやきそば」は、色々な意味で独特で、他では味わえないモノだ。前回食った時の味の記憶はもはや残っていないが、何はともあれ満足感は非常に高い。そして腹一杯になる。食べ過ぎて眠くなるのが不安だ。
さて、そろそろ今後のことを考えなければならない。今日の宿泊地は秋田市郊外で、そこに行く前に男鹿半島を一周するつもりだ。ここ黒石から男鹿半島までは、大館〜能代あたりの秋田北部を通る経路と、五所川原から深浦あたりの日本海側を通る経路があり、いくらでも時間があるなら後者を選びたいところだが、どう考えてもそんな余裕はなさそうだ。仕方がないので高速道路を使って八郎潟までワープする前者を選ぶ。
その前に、せっかく青森県に居るので青森の土産物を買っておきたい。道の駅だけでは心許ないのでスーパーに行きたい。青森でスーパーといえばユニバースだ。Googleさんで黒石郊外のユニバースを探し、そこへ向かう。
到着したユニバースは、いかにも東北らしい巨大駐車場があるモール内にあった。
シャイニーのリンゴジュースだとか、(これは八戸方面の名物なので邪道だとは思いつつ)せんべい汁だとか、青森っぽい土産物をいくつか買い込む。翌日の朝食用に少々やりすぎなイギリストーストも買う。
その後、一応田舎館の道の駅にも行ったが、ユニバースの商品より心惹かれるものがなく、何も買わずに去る。まだやり残したことはたくさんある気がするが、後の予定が詰まっている。やっぱり青森県にも泊まる予定の方が良かったかもしれないが、今回はどうしようもない。後ろ髪を引かれながら黒石ICから東北道に乗り、青森県を後にする。
八郎潟へワープ
碇ヶ関ICで東北道を降り、そのままR7を走って秋田に向かう。秋田〜弘前・青森のメインルートのため、交通量が多くて退屈だ。途中でいかにも鉄道の遺構らしき築堤跡や鉄橋跡のようなものを見かけた。後で調べたらやっぱり奥羽本線の旧線だった。そんなものを見ながら淡々と走り、大館市街地から秋田道無料区間に乗る。ようやく快適になった。しばらく走ると自動車専用道路は終わり、R7に戻る。
つまらないR7を渋々走っているうちに再び秋田道が始まり、少しだけ走って能代東ICで降りる。そこからは農道で八郎潟に向かう。国道よりは格段に良いが、快走路というほどでもない。そんな農道を淡々と走り、再びR7に戻る。そしてまたR7を離れ、八郎潟に入る。そこで待っていたのは、はるか彼方まで延々続く直線道路だった。
この大潟村を東西に貫く直線道路、率直に言って需要が少ないようで、滅多に車が通らない。道のど真ん中に突っ立って写真を撮っていても何の問題もない。陽炎の向こう側に何か見えたら端に寄れば済む。
永遠に続くんじゃないかと思ってしまう直線もいつかは終わる、というか別の道に行きたかったので途中で大潟村役場方面へ曲がる。そして再び直線道路を延々南下し、「桜並木と菜の花ロード」が現れたところで東方向に曲がる。さて桜と菜の花のコラボレーションだ…と期待したが、残念ながら桜はとっくに終わっていて葉桜になってしまっている。だめだこりゃ、10日ほど遅かったか。
さっさと諦めて方向転換して西に向かう。先ほど曲がった交差点を過ぎると、八重桜が咲いている場所があった。さすがに場所により桜の種類を変えているようだ。
寒風山
さて、八郎潟でやることはやった。あとは遂に男鹿半島に向かうだけだが、まず最初にむかうのは男鹿半島の付け根にある寒風山だ。前回来た時はもう日が暮れた後で、かろうじて真っ暗ではない程度の明るさしかなかった。今回は男鹿半島周回の前に行く。
ここから先は面倒なのでGoogleさんの案内に従う。途中なんだこりゃという道を挟みながらも寒風山パノラマラインの入り口に着く。これから山登りだし、夕方に向けて寒くなりそうなのでジャケットのインナーを着込む。そして出発。途中までは単なる山道だが、頂上まで数百メートルというところで突如視界が開ける。駐車場からは360度の絶景が見える。
駐車場を出て先に向かう。阿蘇のミニチュア版みたいな草原の中を走る。そして、今度は北側がよく見える場所に出る。
ここから少し走ると草原は終わり、単なる東北の田舎道を走る。しばらく進むと海岸線に出る。秋田県道59号に入り、海岸線沿いを南下するとJR男鹿駅および道の駅男鹿があるエリアに着く。今日は特に用事もないので素通りする。さて、これから男鹿半島周回道路の始まりだ。
男鹿半島ジェットコースター
男鹿駅近辺からしばらくは素朴な漁師町が続く。伊豆や房総と大差ないので特に面白くもない。男鹿半島が本気を出すのは「ゴジラ岩」というか、そのすぐ先の門前集落の向こう側。この集落の駐車場に巨大ななまはげの立像があり、これが始まりの合図だ。
ここから男鹿水族館あたりまで約13km、他に類を見ないジェットコースターロードが始まる。この道の特徴は、とにかくアップダウンを繰り返すことだ。海沿いをただ走る、登る、下る、という道は他にもたくさんあるが、男鹿半島ほどアップダウンを繰り返す道はそうそうない。他にもあるかもしれないが自分は知らない。南伊豆の石廊崎から雲見あたりまでが近いといえば近いが、アップダウン回数がだいぶ違う。
それに加え、特にこの区間は、途中の加茂集落を除き、ほぼ何もない。電柱や電線もない。とにかくひたすら走れと言われているかのようだ。
このメチャクチャ楽しいジェットコースターは、男鹿水族館の手前で終わる。楽しすぎたので思わず来た道を桜島園地まで戻ってしまったりしたが、門前集落まで往復しても大した時間ではないので、どうせならそこまで行けばよかったというのは後になって思う話。
ジェットコースターの道、と名乗る道は北海道の富良野にあり、それはそれで有名だが、あのジェットコースターの道はどちらかというと単にひたすら直線を降りて登るだけ。その距離が物凄く長いので、あれはあれで面白いのだが、こちら男鹿半島のジェットコースターはまるで趣が異なる。バイクで走っていて楽しいのは圧倒的に男鹿半島だ。
男鹿水族館を過ぎると民宿や人家が現れ、田舎の漁師町になる。その途中にある砂浜は1998年のみちのく一人旅の際に野宿した場所なんだが、記憶の中にある場所とは少しだけ違っている。以前は道路の海側にバイクを停められる場所があったのだが、それが無い。何かが変わったんだと思うが、よくわからない。
最果ての道
この集落を過ぎ、少し標高を上げたところから、入道崎へ向かう秋田県道121号に入る。ここは以前は有料道路だったらしい。ここから入道崎までは、北海道を思い起こさせるような最果て感の溢れる道が続く。
わずか6kmちょっとの道だが、終点の入道崎までほとんど何も無い。先ほどまでの県道59号ほどのアップダウンはないが、周囲が草原しかないこともあって視界が広く、その中を道路が貫く雰囲気が北海道の道北エリアを想起させる。入道崎に着いた途端に何件も土産物屋が並ぶのは興醒めだが、これは仕方がない。
この道も非常に楽しく、且つコンパクトなので、またしても来た道を戻る。反対方向も勿論楽しい。戻るついでに、交差点を通り過ぎて、その向こう側にある八望台に行く。高松宮殿下が命名されたという由緒ある展望台だ。
入道崎と同じく観光地ではあるが、時間が遅くなってきたこともあって誰もいない。展望台を降り、ふたたび入道崎に向かう。日が落ちて来て夕暮れ時が近づいてきていることもあり、先ほどとは少々風情が異なる。これはこれで楽しい。残念ながら水平線に雲があるため夕陽は見えないが、そこまで求めるのは贅沢というものだ。
これから今日の宿へ向かうが、そろそろ日が落ちるため、ツーリング2日目は実質ここでほぼ終わりで、これ以降は移動に徹することになる。予想はしていたが、男鹿半島が良過ぎて、午前中に行った奥入瀬や八甲田の記憶がだいぶ押しやられている。しつこいようだがそれは予想できていた。自分的なツーリングスポット評価は僅差で男鹿半島>八甲田・十和田だ。このへんに来るのは10ウン年ぶりだったので確信までは持てなかったものを、あらためて確認できたということだ。
ひたすら宿へ
そんなわけで宿に向けて移動するが、着く前に晩飯・スーパー・給油の3点セットを済ませなければならない。本日の宿である秋田温泉プラザは秋田中心部の北側にあり、まずはそこからほど近い「ラーメン吾作 広面店」に向かう。全然知らなかったのだが、ラーメン吾作の味噌ラーメンは秋田のソウルフードと呼ばれているらしい。これは食わねばならぬではないか。
ここ入道崎からラーメン吾作 広面店までは1時間ちょっと。なまはげライン、R101をひたすら秋田方面に向かって走り、最後はナビ任せにする。快走路のなまはげラインが終わり、R101に入ったあたりで日が暮れた。そしてR101の巡航速度の速さに驚く。この道は何度か通ったことがあり、ひたすら真っ直ぐで退屈な印象があったが、ここまでスピードが出ていた気はしなかった。夜だからかどうかはわからないが、とにかく周りのクルマがみんな速い。おかげで到着時間がどんどん前倒しになっていく。
そしてラーメン吾作 広面店の前に着いたのだが、あまりにも店舗が暗くて通り過ぎてしまった。慌てて戻って駐車場にKを停める。二重ドアを入ってすぐの券売機で食券を買うスタイルだ。頼むのは勿論味噌ラーメン(850円)。店内は数組の客がテーブルに居るだけでカウンターはガラガラ。適当な場所に座り、食券を置いて待つ。平均的な待ち時間で出て来た。
札幌味噌ラーメンのようにスープに油分が多いわけでもなく、中太で歯応えが強い麺でもなく、普通に味噌味のスープに、普通の歯応えの麺、そしてチャーシュー麺でもないのに5枚も入ったチャーシューという組み合わせ。飛び抜けて美味いわけではないが、満足はする。ソウルフードというのは概してそんなもんだ。
店を出て近くのGSで給油し、いくつかある地場スーパーのうちの一つ「ジェイ・マルエー」に向かう。極力ライトが明るい場所を選んで停める。店内に入り、ビールと土産物をいくつか買う。菓子パン売り場に行くと、イギリストーストではなく、アベックトーストというものが幾つか並んでいた。秋田はこっちなんだろうか。若干の失敗した感が漂うが、イギリストーストとアベックトーストを両方食えるほど胃が大きくないので我慢する。
会計を済ませてKのところに戻り、すぐに宿に入れるように荷物を整える。前日は宿の駐車場が暗かった上に、こういう時のために備えて持って来ていたはずのヘッドライトも見つからずに苦労した。それを反省してここで支度を済ませる。そのために明るいところに停めたのだ。
若干買い足りないものがあったので、安定のスーパーITOKUにも寄り、そこで稲庭うどん等を買う。そしてようやく宿に向かう。19時過ぎにはラーメン吾作に着いていたというのに、宿に着いたのは21時ちょい前。どれだけ秋田市街地でウロウロしていたんだか。
天気予報を見ながらダラダラタイム
直前予約すぎて予備知識が無かったのだが、秋田温泉プラザは、思っていたより立派なところだった。
駐車場には先客のビッグバイクが数台停まっていた。なぜか関西圏のバイクが多い。夜間は雨予報なので屋根下にしたかったが、2台分しか屋根がなく断念。事前クレジットカード支払い済みなのでチェックインは簡単に終わる。直前割+楽天ポイント500P利用で差し引き4,700円で、追加で入湯税150円を現金で支払う。慌てて取った予約にしては良い方だろう。
案内された部屋は、和室なのにベッドがあるという不思議な作りだった。まあ色々理由はあるのだろう。こちらとしては、座椅子でダラダラできて、且つ煎餅布団ではないマットで寝られるので何ら問題はない。
さっさと浴衣に着替えて風呂に行く。かなり広くて綺麗だ。勿論露天風呂もきちんとある。先客は数名しかおらずガラガラ。少しだけ潮味風味の湯はすべすべしていてなかなか良い。硬直している両膝を揉み、サウナやら打たせ湯やらで身体をほぐし、満足して風呂を後にする。
部屋に戻り、各種の電子機器の充電セットを済ませ、ビールを飲みつつ翌日の予定を検討する。
こういうことをするには、やはり座椅子があると格段に良い。前日の宿とは直前割の定価で100円しか違わないのだが、こちらの宿の方がツーランク上の感がある。
最も気になるのは明日の空模様だ。Yahoo天気、ウェザーニュース、Windyそれぞれ微妙に異なる予報だが、どこも共通しているのは、現在地周辺は朝方には雨は上がっていて、その後は沿岸部より山沿いの方が降水確率が低いという点だ。
3日目(最終日)のルートとしては、仁賀保高原や鳥海山麓を通って月山あたりから東北道に出るルート、横手あたりから山形方面に抜ける退屈なルート、同じく横手あたりから栗駒を超えて宮城に出るルート等を考えていたが、この感じだと栗駒ルートが良さそうだ。
2012年版の古いツーリングマップル、Highway Walkerの大きい地図、Kindleの「絶景と快走路7東北」などを行ったり来たりしながらルートを検討する時間は、ある意味至福のひとときだ。早起きして500km弱走って風呂に入ったら眠くもなりそうだが、さほど疲労や眠気を感じずに地図を見ていられるのは、さすがはTHE ULTIMATE TOURING MACHINEたるK1100RSの面目躍如といったところか。
とはいえ、さすがにそろそろ寝なければ翌日に差し支える。そもそも宿に着いたのが21:00なのでダラダラしている余裕はあまり無いのだ。日付が変わる頃、若干名残惜しいが、エアコンや照明を適当に調整して、何故か畳の上にあるベッドに潜り込んだ。そして、あっという間に眠りに落ちた。