トリプル・スカイライン

梅雨の谷間の晴れ予報の土曜日。ちょっとしたソロ時間が取れることになったが、困ったことに連日とにかく暑く、その土曜日も暑い予報だった。

エアコンが直ったピアッツァで出かける手もあるが、サスペンションのミシミシ音が酷くて気乗りしない。
例年そうしているように、暑い時はそのへんで泳いでからクーラーの効いた部屋で昼寝する、という手もあるが、せっかく長めの時間があるのに勿体無い。

猛烈に暑い(熱い)ことがわかりきっているKで早朝から出かけるか、さほど熱くないLXで適当にプラプラするか。しかし、LXで箱根あたりの涼しい高所に行こうとすると、箱根新道が使えない等のメンドクサさがある。それが気になってしまったので、早朝からKで出かけて高所を目指すことにした。

できたら4時起き、4時半出発、と言いたいところだったが、直前まで決めかねていたのでそれより1時間遅れの5時半出発となった。Kを引っ張り出し、押したり引いたりしているだけで暑くなる。先が思いやられる。

とりあえずR134で西に向かう。いつもの柳島のGSはスルーして西湘バイパスを抜け、箱根新道で山を登る。途中でトロい大型トラックに数キロにわたっていく手を阻まれ、Kのファンが勢いよく回る。こんなところで回るのは予想外だった。登坂車線でトラックを抜き、そのまま芦ノ湖スカイラインに入る。料金所で300円を支払って先に進む。

「芦ノ湖スカイライン」の字体がいい感じだ

ここから先は有料道路故に通行量が少なく快適に走れる。朝早いせいか、普通の観光客は少なく、何往復もしている会社や走り屋が多い。彼等は走ることにしか興味がないので撮影スポットは空いていて好都合だ。適当にKを押したり引いたりしながら写真を撮っていると、標高1000mだというのにすぐ暑くなる。

いつもは人がワラワラと居る場所だが朝っぱらは誰もいない

走り屋がミスって突っ込んでこないかと不安になる

芦ノ湖スカイラインは楽しい道だが、距離が短くてすぐに終わってしまうのが難点だ。いつもは仙石原の方に向かって下っていくのだが、この日は高所に居ることが半ば義務付けられているため、珍しく箱根スカイラインを走ることにした。この道を走るのは15年ぶりとか20年ぶりとか、そんなレベルで走っていない。たぶん料金に対する満足感がさほどでも無かったので無意識に敬遠しているのだろう

そんなわけで久しぶりに箱根スカイラインを走ってみた。良い道ではあるけれども芦ノ湖スカイラインや伊豆スカイライン、西伊豆スカイラインよりはワンランク落ちる感じがする。

悪くはないが素晴らしくもない

舗装された駐車場が少ないとか、絶景ポイントが無いとか、芦ノ湖スカイライン以上にすぐに終わってしまうとか、色々な要因の掛け合わせでそう思ってしまうのだろう。次の駐車場があったら停まろう、と思っていたら料金所に着いてしまったりするので、なんだか拍子抜け感が強い。

もう終わってしまった

その唐突に現れた料金所で260円を支払い、御殿場方面に向かう。

伊豆スカイラインの熱海峠〜亀石峠と同程度の料金だと思うと微妙だ

1.8車線のクネクネ道とR1で御殿場に出る。「涼しいうちに出て、暑くなる前に帰る」を実践するなら、ここでさっさと東名高速に乗って帰るべきだが、せっかく芦ノ湖と箱根の両スカイラインを走ったなら、3つ目の富士山スカイラインも走らないわけにはいかないではないか。そう決めつけて富士山スカイライン方面へ向かう。

富士山スカイライン突入

自衛隊基地の前で小休止し、他車が来ないタイミングを見計らって出走する。富士山スカイラインは、走ること自体は楽しいが、眺望がまったくさえない。そのため、走ることに徹するしか無い道だが、そこそこ交通量が多いせいですぐに他車に追いついてしまい、かつ追い越しにくいのが難点だ。それを避けるため、追いついたらさっさと諦めて停止し、タイミング調整をした方が結果的に満足度が高い。

結果的にさほど先行車に詰まることなく水ヶ塚Pまで走り終えた。水ヶ塚のレストハウスは小綺麗に建て替えられているが、物価が高くて買えるものがない。トイレだけ済ませて先に行く。

山開きすると、この駐車場も猛烈に混むのだろう

五合目まではひたすらクネクネ道を登る。水ヶ塚から五合目までは、数日後には交通規制が入ってしまうため、一般車が入れるのはこの週末が最後のチャンスだ。それを知っていたので、暑いことは覚悟の上でKに乗ってきたというのは否定できない。さすがにLXで2400mまで登る気にはなれない。

ここから先は九十九折りのカーブが続き、走っていてもさほど面白くはない。Kに適するのは高速コーナーであってヘアピンではない。今日の目的はあくまで涼所に行くことであり、走りを楽しむことではない。そう自分に言い聞かせながらひたすら登る。

ほどなくして富士山スカイライン最高所に到着。標高2400mで、且つ日が陰りつつあるので、日陰でなくてもまあまあ涼しい。最高所到達を祝してルートビアで乾杯する。辛うじてまだ冷えていた。

頂上から下界を望む

暑い時のルートビアはサイコーですよ

涼しさを満喫したので、名残惜しいが下山する。九十九折りの下りはKにはまったくもって不適なんだが、来てしまった以上はどうしようもない。諦めて下界に向かう。苦痛だという印象が強かったのだが、実際に走ってみたらそこまででもなかった。思い込みが強過ぎたのかもしれない。途中で停まった森林が良い雰囲気だった。

富士山スカイラインの普通の区間(何て呼べばいいのかわからないが、要するに五合目まで行く道じゃない東西に走る部分)に戻り、西に数キロ走る。ある程度走ったところで林道富士山麓線(林道と名乗っているが全線舗装・センターラインあり)への分岐を曲がる。この道を走るのは物凄く久しぶりだが、一体コレのどこが林道なのかと言いたくなる快走路だ。

北海道テイストのダウンアップと直線

他に誰も通らないところも北海道っぽい

なんとなく途中で曲がり、富士山こどもの国の駐車場に寄ったりする。

あの山の向こうにあるパオに何度か泊まった

林道富士山麓線を抜けて帰路につく。R469を裾野方面に向かい、途中で曲がって御殿場方面に向かうつもりだったが、先行車が揃いも揃って交差点を左折して御殿場に向かうので萎えてしまい、そのまま裾野パノラマロードを直進して山を降りてしまった。先行車皆無の道をひたすら下るのは気分が良いが、高度が下がるにつれて暑くなるのはどうしようもない。

そろそろ昼飯時だが、あまり腹が減っていない。ルートビアのせいかもしれないが、その程度で満腹感が得られるようになってしまってはおしまい…なんだが、いずれにせよ腹は減っていない。

五味八珍で1年ぶりにつけ麺と浜松餃子のセットでも食おうかと思っていたが、空腹感が無い時に行っても意味がない。しょうがないのでフードストアあおき御殿場店に寄り、以前下田店で食って適量であることがわかっている三色そぼろ寿司を買い、入り口のそばにある日陰のベンチに座って食う。

続いてマックスバリュ御殿場萩原店に寄って土産物の丹那牛乳やら何やらを買う。そして帰りのルートを考える。普通だったらR246で松田町まで下ってから西湘バイパス方面に南下するところだが、暑いので信号が多い区間は極力避けたい。そこで、R246を東に向かい、新秦野ICから新東名に乗り、圏央道と新湘南バイパスで茅ヶ崎海岸ICまでワープすることにした。

普通に東名高速で御殿場ICから東名高速に乗ってもいいのだが、御殿場ICまでが案外遠く、R246で行っても10分程度しか変わらないので、自身未走破区間を走りたいという観点も含めて新秦野ICルートを選んだ。

夕方以降は馬鹿混みするR246だが、昼過ぎだとまだ空いている。順調に小山町・山北町・松田町を過ぎ、新秦野ICから新東名に乗る。初めて乗る区間だが、最初の数キロ以降はほとんどトンネルなので、あまり印象に残らない。暑いので(涼しい)トンネルが多いのは、事前にまったく予期していなかったが結果的に好都合だった。

伊勢原JCT以降はそれなりに慣れた道なので、普通に走って茅ヶ崎海岸ICに出る。御殿場で給油を済ませたので、いつもの柳島のGSをスルーしてそのまま帰る。R134は激混みというほどでは無かったが、腰越から七里ヶ浜までは恒例のダラダラ運転となった。その後も暑い中を淡々と走って無事に帰宅した。

終わってみれば300km弱という平均的な日帰りツーリングの距離を走ってしまったが、これだけ暑いとやはりいろいろと厳しい。過酷な環境下を走り切ったという妙な満足度は得られるが、ツーリングそのものの楽しさのようなものはどうしても春秋より若干劣る。そしれ、暑さに弱いKの夏場ツーリングは、どうしても冷所を走るツーリングになってしまい行き先が限られる。やっぱり暑い時期はKを夏眠させるのが基本路線だろう。

さっさとシャワーを浴びてスッキリしたいところだったが、海で泳ぎたい気持ちもあったので、水着に着替えてLXで海に向かい、ひと泳ぎしてから待望のシャワーとなった。

走行動画

8割方Insta360 ONE RSで動画を撮っていたので、走行満足度が高く、且つ先行車がない区間を中心に8倍速動画化した。悪くはないが、動画だけ見比べても、やはり先日の西伊豆スカイラインの方がワンランク上だ。

撮影について

センサーゴミ除去作業から戻ってきたGRIIIとK-1 MarkII + D FA 24-70の組み合わせ。ここぞという場所でのみK-1 MarkIIを使ったのは東北ツーリングの時と同じ。そういった場所では両方のカメラで撮り、Twitter向けにはGRIIIの写真(iPhoneへの転送速度が速いため)、このblog用にはK-1 MarkIIの方を使っている。当然時間を浪費するのだが、暑くてダラダラモードだったので丁度良かったのかもしれない。