藤沢のめじろに行った。湘南エリアではかなり有名な店なので、説明は不要だろう。
ここのラーメンは、最も安い醤油ラーメンでさえ700円もする。個人的な「ラーメン標準価格(500円)」からすると法外な価格設定である。これはもはやラーメンの値段ではない。前にも一度行ったことがあったのだが、700円という表記を見て、思わず原チャリをUターンさせてしまった。今回は勇気を出して食ってみた。
結論。
700円は、いくら何でも高すぎる。評判倒れもいいところだ。
600円だったらまあまあ納得する。でも次回は無いだろう。
500円だったら、別に文句は無い。暫くしたら、もう1回くらいは食ってみるかもしれない。
これだけで終わっては勿体無い。700円も払ったのだから、暴言を吐かせていただく。
この店の良いところは、チャーシューとメンマが美味いのと、出てくるのが早いっていうことくらいしかない。それ以外は不満だらけだ。
店内は狭く、カウンター席しかない。前方の液晶テレビには洋楽のDVDが流れており、これがBGM代わりのようだ。照明の暗さとも相まって、ラーメン屋というよりバーのような雰囲気だが、俺はラーメンを食いに来ているのであって、店(の雰囲気)に金を払っているわけではない。NHKニュースだろうがニッポン放送だろうが、厨房が汚かろうがキレイだろうが、ラーメンさえ安くて美味ければ、それ以外はどうだっていいのだ。そういうわけで、この点に関しては別に何の不満も無い。
出てきたラーメンは、量が極端に少ない。お子様ラーメンかと思うくらい小さい。この時点でかなりガッカリする。
さらに悪いことに、この店にはレンゲが無い。そのせいで、ご自慢のスープを味わうのにも苦労する。レンゲを置かないのは店主の方針らしいが、客に選択肢を与えないのはどういう理由なのか。フォークだけでハンバーグを食わされるようなものだ。食えることは食えるが、何かが違う。
スープの味は薄めで、そのせいもあって油の多さが目立つ。素材にしろ調理法にしろ、色々と凝っているスープらしいが、その味は俺みたいな大雑把なヤツには伝わってこない。カップラーメンの粉末スープを入れ忘れて、油だけを入れたスープを飲んでいるような気分だ。
俺はどちらかというと小食なので、ラーメン一杯で満腹にならなかったことなんかほとんど記憶に無いのだが、スープを全部飲んでも、まだ腹が減っていた。飲んでいくうちにスープの味が変わる、なんてことが貼り紙に書いてあるのだが、最後の一口になっても味に大差はなかった。多少変わったような気がしないでもないが、それがどうしたっていうんだ。そんなことより、最初から最後までフツーに美味くて、適切な量が入っている方がよっぽど嬉しい。
この間食ったつき家のラーメンは、かなり不満の残る味だったが、あれは550円だった。それに、少なくとも空腹は解消した。特に高くも無い価格で、外食店として最低限の仕事はした。だから「がっかりした」程度の記述に留めた。
それに対して、ここのラーメンは700円だ。700円も払ったのに、味も納得できない上に、腹一杯にもなれないなんて。ラーメンとして、食い物として、最低のレベルにさえ達していないじゃないか。こんな不条理なことがあっていいのか。
今はそれなりに収入があるから、ここでモンクを書くのが関の山だ。それ以上の行動に出ることはありえない。しかし、もしも学生時代に、アルバイトの1時間分の時給をまるまるつぎ込んでこんなラーメンを食わされたら、店の外の看板に蹴りを食らわすくらいのことはしたかもしれない。
この店に関しては、七重の味だとか、味に深みがあるとか、コクがあるとか、とにかくサイコーだとか、様々な高評価を耳にする。しかし、俺の舌は極端な貧乏舌であり、いわゆる上品な味というのを理解できない。こんな舌では、評判のような繊細且つ深みのある味は、到底理解できないのだろう。俺にとっては、フランス料理だとか和風懐石だとか、あの手のメンドクサイ料理は実に縁遠く、興味も無いものなのだが、ここのラーメンは、その手のものと同じようなジャンルの食い物だと思えばいいのだろう。そのため、ラーメンとしてはかなり高い700円という価格設定をしているのだと思えば合点がいく。
そういうラーメンが世の中に1つや2つあってもいいだろう。但し、俺にとっては、それはもはやラーメンではない。店主の味の探求なんかに付き合わされるような趣味は無い。だから、多分もう「めじろ」には行かないだろうし、店主としても、俺みたいな貧乏ったらしい客には来て欲しくないだろう。その方が、お互いのためだ。