いい年して興奮してしまって寝付かないことを危惧していたが、それは杞憂だったようで思いのほかよく寝ることができ、無事に5時半に起床した。半年間にわたって週イチ八王子通勤をしてきた成果がここで現れたようだ。
前日のうちに準備しておいた身支度や食事を済ませ、クソ重いKを倉庫から出し、パニア一式を装着する。倉庫がもう一回り大きければこれらを前日のうちに装着できるのだが、たかだか年に数回のためにそこまで大きくすることはできない。ナビ用iPhone6sの装着やテザリング設定、Bluetoothレシーバの接続、ヘルメットやグローブの装着といった準備を済ませ、6:16に出走した。
ロングツーリングなんて滅多に無い機会なので時間をカネで買う。逗子ICからさっさと有料道路に乗る。並木から湾岸線に乗り、大井PAで一休み。葛西から小菅への快適なルートを走るつもりだったのだが、小菅が渋滞とのことで山手トンネル経由を迫られる。
音楽を聞きながら淡々と走り続けていたが、徐々に前方が詰まりはじめ、それに伴って気温もじわじわ上がり、当然のように水温も上がり、一応進んでいるのにファンが回り始める。一度熱くなり始めるとどうしようもなく、ファンは回ったり止まったりを繰り返すが、タンクは熱いまま。気が遠くなりそうになったところでようやくトンネルが終わる。
その後は順調に北上して浦和から東北道に入る。2019年の桧原湖ツーリング以来、なんと5年ぶりの東北道だ。以前は年に数回来ていたことを考えると信じられない。
なんとなく蓮田SAに入ったが、停める場所がない(あるにはあるが狭くて停める気にならない)ので結局降りずにスルー。次の羽生もスルーして佐野SAに寄る。バイクエリアに停めるのが嫌いなので隅っこのじゃまにならないエリアにテキトーに停めたいのだが、誘導員が多数いてそれを許してくれない。Highway Walkerを手に入れ、茶を飲んでさっさと出る…と言いたいところだが、走行中にABS警告灯が光るようになってしまったのでリセットを強いられる。ケーブルを作ってあったので数分で終わるが面倒だ。
その後も淡々と東北道を北上する。目を三角にして走った結果として疲れてしまって休憩時間を長くとるより、疲れない程度の速度(個人差あり)で淡々と休まずに走り続けるというのがKでのロングツーリングには適している。Bluetoothヘッドセットの音量は十分で、佐野SA出発時にRadikoで選曲した地元ラジオ局のRadio Berryの番組もよく聞こえている。宇都宮に1年弱住んだ者としては懐かしい単語が聞こえてくるので、淡々と走るには適している。
那須高原SAで少しだけ休み、白河ICで降り、近くのガソリンスタンドで給油する。半年前に仕事の都合で来た工場の前で記念撮影してから新白河駅前の食堂「いげたや」に停める。開店時間の11時を過ぎたのに開いていない(準備をしている雰囲気はある)。すぐに開くかと思ったらそうでもない。他の店に移動しようか迷う。いい加減諦めて移動しようかと思ったところで開いた。
中華そば800円也を注文して待つ。平日ランチタイムは半ライスサービスということなので条件反射で頼んでしまうが、満腹にするなというBMWの説明書の教えに反しているので若干の後ろめたさがある。さほど待たずして中華そばが出てきた。
滅茶苦茶美味いというわけじゃないがまあまあだ。フロア担当のお爺さんとちょっとした会話をして店を出る。白河中央スマートICから再び東北道に乗る。乗り降り自由のETC二輪車ツーリングプランの特権をフル活用していると思うと気分が良い。
郡山から磐越道に入り、磐梯熱海ICで降りる。これで高速道路は一旦終了なのでBluetoothヘッドセットをオフにして音楽再生をやめる。信号を右折して母成グリーンラインに入る。その昔ピアッツァで来た時は有料だったが無料化されている。まあまあ走り甲斐のある道だが、景観はパッとしない。無料なのでそこは文句を言ってはいけない。
一瞬R115を走り、磐梯吾妻スカイラインに入る。この道は走ることも楽しいのだが、困ったことに観光車両があまりにも多く、すぐに前が詰まってしまうので、淡々と景色を横目に走ったり写真を撮ったりする道だ。前回来たのはたぶん2014年。もう10年にもなるのか。
平日の早朝や夕方ならともかく、GW中の昼間だと交通量が多すぎて走りも撮影も期待できない。景色は目に焼き付けるか、動画で撮っておいて楽しむしかない…のだが、走行中にアクションカメラの電池が切れてしまうという悲劇。戻って撮り直したい気分だったが時間的な都合もあって断念して先に進む。
浄土平以降は、これまでとは打って変わってつまらなくなることは経験済み。コーナー半径的にもKにはあまり好適ではなく、前のクルマがトロイのも相変わらずなので、心を無にして淡々と下る。そして福島大笹生ICから再び高速道路に乗り、白石ICで降りる。ここから蔵王を超えて、宿泊地の上山温泉に向かうという算段だ。
その前に、快走農道である蔵王コスモスラインを走る。東北ツーリングと言えば農道は外せない。国道なんか走っている場合ではない。
蔵王コスモスラインを途中で折れて遠刈田市街に入って本日2回めの給油。蔵王の山中でガス欠の恐怖と戦うのは避けたいので早めに入れる。ついでに再度ABS警告をリセットしたが、こんどは走行開始直後にまた点滅し始めた。もう見なかったことにする。
蔵王エコーラインは17:00で夜間閉鎖になる。既に時計は16:00なので急がねばならない。
山を登っているうちに雪が増えてくる。そしてゲートを通過する。とりあえず山は越えられそうだ。
さらに上に登る蔵王ハイラインもあるが、既にこちらはゲートが閉まっており、先に進むしかない。山形県に入ったあたりで記念撮影していると、いかにも道路管理者的なクルマがさっさと出ろと言わんばかりに後方から迫ってきた。仕方がないので撮影は諦める。
仕方ないので淡々と下る。山形側のゲートでは、今から登ろうとしていたクルマが追い返されていた。凍結対策なので致し方あるまい。更に下ったところにある駐車場に停め、晩飯を食う店を調べる。多少はアタリをつけてあったのだが、月曜閉店の店が多いことに今更気づく。少ない選択肢の中から、宿の近くの蕎麦屋を選ぶ。
蔵王エコーラインから続く坂道を下りきると山形盆地の市街地に出る。東側のバイパスを走り、上山の市街地を過ぎて少しだけ南下したところに蕎麦屋がある。店の前の歩道に適当に停めて中に入る。観光客がよく来る人気店というより、地元に根づいた感が強く、常連客が多い。蕎麦を食うか、山形名物の蕎麦屋の鳥中華(要するにラーメン)を食うか迷う。初志貫徹して鳥中華を頼む。
昼も夜もラーメンかと馬鹿にされそうだが、昼はラーメンで夜は鳥中華だから別にいいのだ。
満足して店を出ると、なんと外は雨。全く予想していなかったので面食らってしまったが、宿はすぐそこなので慌てるほどではない。とりあえず途中に通った地場スーパーに寄って晩酌と朝飯、土産物を買う。
そして本日の最終目的地ホテル山内へ移動。玄関前にKを停めると若旦那?が出てきて、すぐ近くにある駐車場に案内されたのでそこに停める。料金4500円を前金で支払って部屋に入る。4500円という値段からは想像できない良質な部屋だった。
安ホテルといえばどうしてもベッド+狭い机が多く、仕事感が強くて全然休まらないのだが、ここは和室なので非常に具合が良い。ここぞとばかりに充電器を繋いでiPhone、カメラ、Bluetoothヘッドセット等の充電を仕掛けて温泉に入る。滅茶苦茶熱い。後で調べたら源泉は62度だそうだ。水で薄めまくって無理矢理浸かる。
そして風呂上がりといえばコレだ。何という満足感の高さだ。
Highway Walkerの地図、2012年版の古いツーリングマップル、Google Mapを見比べながら明日のルートを検討する。事前に大雑把な検討はしているが、出かけてからルートを調べるのは気持ちの入り具合が違う。ヱビスはあっという間になくなり日本酒にバトンタッチする。
さすがに眠くなってきた。ルートは結局決まっていないが、走りながら決めるとしよう。今日はよく寝られそうだ。目覚ましを5:30にセットして寝床についた。あっという間に爆睡していた。