突発的信州ツーリング

10月も半ばを過ぎて、さすがに寒さを感じる日が増えてきた。SNSを見ていると紅葉絡みの投稿が目立つようになった。そんな時に10/25(土)は1日自由時間ということになった。

とはいえこの日の天気予報は微妙。ただしその前日の金曜日は快晴予報。普通だったらフーンでしかないけど、ちょうど仕事も谷間なことだし金土2日間でどっか行ったらいいんじゃね、という考えが浮かんできた。恐る恐る家族に聞いてみたら快諾を得られたので、せっかくなので出かけることにした。トップケース用のキャリアがついているテールカウルを装着したまま放置していたので使いたかった、という面は否定できない。

突然決めたので何も考えていない。行き先は東北・信州あたりになる。とはいえ東北はピアッツァで行ったばっかりだし、旅程も1泊2日と同じなので、違いを出すなら信州になる。でも信州もビーナスラインと東信はKで行ったばっかり

とはいえ信州は未踏の道がちょいちょい残っているし、先日のツーリングは日帰り。そして信州には貧乏旅行の味方である信州健康ランドが健在だ。さらに言えば、信州方面の1泊2日ならツーリングプランが使える(東北もあるけど無駄に3日分なせいか価格が高いし、往復首都高の4千円がプラスされてしまう)。最近金を使いすぎなので今回はケチりたい。

そんな感じで、若干こじつけ気味だけど信州方面に1泊2日でツーリングに行くことにした。とはいえ2日目の雲行きは怪しいので、実質1.5日のツーリングになりそうだ。

ルートとしては、ツーリングプラン最西端の伊那から木曽に抜けて御嶽山周辺の未踏道を走り、塩尻に戻って健康ランド泊。2日目は裏ビーナスまたは八千穂高原(どちらも未踏)、といった感じにした。細かいことは現地の気候や気分、時間の消費具合などを勘案してその場で決める。

健康ランド泊なので大した準備はない。時期的に朝晩は寒いので防寒グッズだけは若干過剰気味に準備した。カメラはNikon Z5 + TAMRON A063Zとして、今回はGRIIIは持参しないことにした。突然決めたので準備時間は2日しかなかったけど普通に終わった。

Day1 話が違うぞ

5:00過ぎに起床。若干寝つきが悪くて熟睡感がないけど、どうしようもない。前日のうちに買っておいた菓子パンを食い、5:40に出走した。

晴れ予報の割には雲が多いな。まあ走っているうちに晴れてくるだろう、とか思いつつ、この時間だとさすがに空いている柳島のGSで給油し、茅ヶ崎海岸から高速に乗る。圏央道の相模原付近でプチ自然渋滞に遭うも、土日は必ず発生する小仏トンネル渋滞には遭わず、そのまま走って談合坂でいったん休憩。

なんか話しが違うよなーとは思うけど、天気に関してはあくまで予報は予報。今更どうしようもない。

しかし、談合坂から西に向かい、笹子トンネルを抜けて甲府盆地に出ると、天気は一変していた。

一山超えると全然違うんだな。さっきまでの雲や霧は何だったんだ。

上機嫌で走っていると、諏訪ICの先で事故渋滞という情報が電光掲示板に現れた。工事渋滞ならまだしも事故渋滞はタチが悪い。案の定諏訪IC手前で全然動かなくなる。痺れを切らしたクルマが1台、2台と諏訪ICから降りていく。こちらもそれに合わせるように降りる。ツーリングプランだとこういう行動に躊躇がなくなる。

諏訪ICからはGoogleさんの指示に従って住宅街を走り、一瞬諏訪湖の湖畔道路を走ってから、諏訪湖SAのスマートICからふたたび中央道に乗る。こんなことで諏訪湖SAスマートICを使うことになるとは思ってもみなかった。一般道からICへの道は新しく作ったと思われるが、それなりの山を強引に切り開いて作ったようで、ずいぶん金かけたなーというのが率直な感想。

諏訪湖SAスマートICから伊那ICまでは何の問題もなく順調。事故は諏訪湖SAから本線に合流したすぐ先で発生していた。

伊那ICすぐそばのGSで給油(相変わらずクソ高い)し、R361に出て権兵衛峠に向かう。

長い坂道から見る伊那谷の景色は相変わらず素晴らしい

山の向こう側が雲だらけだということにこの時点では気付いていなかった

意気揚々と権兵衛峠までの上り坂を走り、長い長い権兵衛トンネルを抜けると…なんか暗い。なんだこれ。さっきまでの快晴は何処へ行ったんだ?

釈然としないまま坂道を下り、R19に合流する。何度も行った馬瀬行きで走り慣れた道なので新鮮味は全くなく、数年ぶりなので懐かしさがある。旧車だらけだった廃店舗のような建物はまだあるけど、クルマが減った気がしないでもない。いつも開田高原に向かって右折する交差点を直進し、木曽福島市街地をバイパスし、御嶽方面を示す交差点を曲がり、三岳の道の駅方面を目指して走る。その途中で良い雰囲気の橋があったので何となく寄る。

紅葉が進んだらもっと良い感じになりそう

遠くから見た橋は良い感じだったんだけど、いざ橋の上に来てしまうと橋は見えない、という当たり前の結果になる。ここにKを置いて遠くまで歩いて行って写真を撮るほどのものでもないので、対岸でUターンして道の駅に向かう。

橋から数十秒で到達した道の駅三岳は、手前半分が御嶽山に関するビジターセンター的な施設で、奥の半分が古典的な道の駅(弁当・農産物・名産品がちょっとだけ売っている)だった。個人的にはベストと言える組み合わせだ。昨今の商業主義的な道の駅は性に合わない。何しろ売店は現金オンリーだ。こんな道の駅は今時ない。

その道の駅で物色していると雨が降ってきた。店員さんと客(弁当を買いに来た地元民)の会話でわかる。放置してきた電装品をトップケースに仕舞うために一旦外に出て、また店に戻る。お弁当は多過ぎな気がしたのでおにぎり2つと土産物のコーンスープを買う。トウモロコシが開田高原の名産物だなんて知らなかった。蕎麦しかないと思っていた。

雨が一向に止まないのでビジターセンター「御嶽山ビジターセンター さとテラス三岳」に入る。2014年の御嶽山噴火に関する展示が中心だ。それはそれでいいとして、御嶽山とその周辺に設置されたライブカメラ映像を表示しているモニターがあった。それを見ると軒並み霧だらけで何も見えない。今現在の天気から容易に予想できる話ではある。

絶望的なライブカメラ映像に愕然とする。今ここで雨が降っているんだから、そりゃ標高を上げたらそうなるだろうという当たり前の結果ではあるけど、それを映像で目の当たりにするとガッカリ感が高まる。

秋晴れの快晴だっていうからわざわざ有給を取って、高い道路代とガソリン代を費やして来ているっていうのに、何なんだよこの天気は。この日にツーリングに行く予定で出かけたらたまたま霧だった、というのとはわけが違う。晴れるっていうから仕事を休んで来たんだよ俺は。単なる晴れじゃなくて秋晴れって言ってたじゃねえか。お前らふざけんないい加減にしろ。それを信じた俺が馬鹿だったと自分のせいにするほど大人じゃない。テキトーな仕事してんじゃねえよ天気予報を出してる各社。もう予報なんて名乗るんじゃねえ、今度から天気占いって言え。予報っていうレベルじゃねえだろこれ。

普段だったらこうしてブツクサ言っていたら怒りも収まるところだけど、さすがに有給を取って一泊二日の旅程にしていると簡単にはいかない。ムカつきが激し過ぎて次のことを考えられない。ムカついたから晴れるかというとそんなわけはなく、結局は天気の動向を考慮に入れて行き先を決めざるを得ない。

どうしようもないので、行き先を決めきれないまま出発してしまった。

道の駅三岳から数分走ったところに、御嶽スカイライン方面と開田高原方面への分岐がある。御嶽スカイラインの終点にある絶景ポイント「田の原」にあるビジターセンター(先ほどの道の駅にある「さとテラス」とのコンビ相当の「やまテラス」があるようだ)までは30km以上あり、往復したら2時間はかかるだろう。あのライブカメラを見た上で、貴重な2時間を消費する価値があるのか、ないのか。2時間あれば別の絶景ポイントに行ける。霧の中を2時間走って気分が晴れないまま1日を終えるのか、別のポイントに賭けるか。分岐までの数分で結論を出さねばならない。

決めた。御嶽スカイラインを諦めることにした。分岐を右折して県道20号で開田高原に向かう。元々は御嶽スカイラインを走り終えた後に通る予定だった道だ。

この道は人口希薄地帯を走り抜ける快走路だ。県道なので路面状態はさほど良くないが、道幅も十分だし極端なクネクネでもないので走りやすい。

そんな道をそれなりに快走しているのだけれど、やっぱり気分がスッキリしていないのであんまり楽しくない。御嶽スカイラインからの景色は見られないことはもう確定しているのだけど、それでもやっぱり行くべきだったんじゃないか、行った方が後悔が少なかったんじゃないか、という気持ちもどこかにある。

そんなモヤモヤした状態で走っているうちに、御嶽山の柳又ビューポイントに着く。当たり前のように御嶽山は見えない。

そこに御嶽山があるのかどうかさえわからない

下から見てこんな感じなので、上まで登ってしまったら余計に何も見えないだろう。そう思うと諦めもつく。

このビューポイントから少し走るとR361に合流する。ここから先は勝手知ったる道になる。とりあえずすぐ近くにある九蔵峠展望台に行く。すぐに着く。そしてやっぱり御嶽山は見えない。

さっきと何も変わらない

ちなみに2014年4月はこんな感じだった

ちょっと待ったり場所を変えたりしてどうこうなるレベルじゃないな。御嶽山のことはもう忘れよう。

Day1 奥飛騨温泉郷へ

完全に諦めがついたので次のことを考える。まだ日暮れまでは5時間ほどあるので、どこかしらのツーリングスポットに行くことはできる。アテにならない天気予報を確認すると、このへんは相変わらず晴れ時々曇りになっている。本当にアテにならない。そこで雲ひとつない晴れ予報の場所を探すと、どうやら北か東がマシなようだ。実際の空もそのように見える。

東に行くならR361で木曽福島方面に戻ることになるけど、戻った先に何かあるかというと何もないので、そこから松本や塩尻を抜けてビーナスライン方面に行くしかない。さすがにこれは時間のロスが多すぎる。北には奥飛騨温泉郷があり、自身未踏ポイントの北アルプス大橋や、久しく入っていない栃尾温泉荒神の湯がある。じゃあここに行くか、となったが、ここから北に抜ける道はない。一応野麦峠があるにはあるけど狭いクネクネ道なので気が進まない。

となると東周り(木曽経由で奈川から安房峠越え)または西回り(飛騨高山の端っこを通って平湯経由)となる。Googleさんによると西回りの方が若干早い。この先のR361も気に入っているし、東周りで安房峠を往復するのも面白みがない。そんなわけで西回りに決定。全く停まらずに走れば2時間で着くらしいけど、そんなわけがないので、着いたら日が傾きかけているに違いない。

というわけで行き先が決まったので先に進む。R361はちょいちょい撮影スポットが現れるものの、御嶽山が見えないので写欲も半減する。

ホントだったら後ろに…もう言うまい

向こうのほうで猿が何かやっている。熊かと思って一瞬焦った。

御嶽山はもういいとして、これで紅葉真っ盛りだったらまた気分は違うんだろうけど、まだだいぶ気が早い感じがする。ウェザーニュースの紅葉chで御嶽ロープウェイは見頃って書いてあった気がするけど、ここはまだ全然だな。

ここからちょっとクネクネ道を走って高度を上げると、岐阜県境の長峰峠に出る。峠の茶屋は廃墟化している。

Kで岐阜県に入るのは久しぶりだな

そして木曽さようなら

2010年頃までは営業していたそうだ

峠を降りると日和田高原エリアに出る。交差点を左折するとボルダーロードという道に出る。2019年に、そんな名前の道だとは知らず、単にこの先のCiaoスキー場に行ったら景色が良さそうなので走ったことがある。なかなかの快走路だったし、距離も大したものじゃないので、タイムロスもあまりしないだろう。というわけでR361を外れてボルダーロードに入る。

わかっている通り、さほど時間はかからずCiaoスキー場に着く。ちなみにこのスキー場はとっくに営業を中止している。御嶽山噴火の影響もあるだろうけど、JR東海が手を引いたのも大きいのだろう。名古屋出張しまくっていた頃はこのスキー場の広告をよく見たもんだったけど、つれないもんだな。

色々手付かずで残っているけど、どうするんだろうねこれ

2019年は存在に気づかなかった石碑の前で記念撮影をする

ここで昼飯にする

飯を食っているとどうしてもダラダラモードになってしまい、ちょっと動かしては写真を撮る行為を始めてしまう。雲が多くて大した景色でもないのに。

北にある乗鞍岳もやっぱり雲が多くて下の方しか見えない

御嶽山はまったく見えない。標高が高いので、紅葉がそこそこ進んでいるのが救いだ

本来はこんな感じなんだけどねえ(これは2019年)

ちょっと時間を使い過ぎてしまった。何がタイムロスもしないだろうだ。真逆じゃないか。

さっさとボルダーロードからR361に降りる。しかし途中の白樺林がいい感じだったのでまた停まってしまう。

いくら時間がないとは言えこれを黙って見過ごすことはできなかった

R361に戻る。ここから先はひたすら辺鄙な谷間を下る田舎快走路で、景観はパッとせず撮影スポットもない。走りに徹する類の道だ。一応撮影スポットがないかキョロキョロしながら走ってはみたものの、やっぱり何もない。いつもは停まる高根の道の駅はスルーし、その次の朝日村の道の駅に停まる。ここで土産物を物色したがあんまりコレというものがない。さっさと諦めて先に進む。

R361は飛騨高山の市街地のすぐ近くまで行くが、今日の目的地はそこではないのでそのままR158に移って平湯方面を目指す。その途中にAコープがあったはずなので寄ろうとしたら閉まっていた。閉業してしまったように見える。その代わり、隣にゲンキーというドラッグストアができていた。一応寄ってみたけど、ごく普通の品揃えで、この地のものが何もない。地元民には良いのかもしれないけど観光客向けではないのでさっさと出る。

これは飛騨エリアの土産物は買えないかな、と思っていたら典型的な観光客向けの土産物屋が現れたので寄る。単純に規模が大きくて品数も多いので、先ほどの道の駅よりは選ぶ余地がある。幾つか見繕って買い込む。

さて、今度こそ先に行くぞ。颯爽と平湯方面に向かう…と言いたいところだけどR158は岐阜と長野を繋ぐメインロードなので交通量が多い。そして他の道の選択肢は無いに等しい。しょうがないのでこの交通量の多さに身を任せてダラダラ走るしかない。幸い信号も少なく渋滞もないので淡々と走っていれば平湯に着く。一応撮影スポットを探しながら走ったけど何もない。最後の最後、平湯トンネルを抜けたあとの下り坂はいい景色だったけど、流れも早いので停めようもない。何もできないまま安房峠道路・平湯温泉・奥飛騨温泉郷方面の交差点に着いてしまう。

ここまでそこそこ多かった交通量はここで分散し、俺が行く奥飛騨温泉郷方面のR471が最も交通量が少ないようだ。それをいいことに、道幅の広い橋の上で適当に停める。

山がきれいだ

あと1週間後だったらもっと黄色くなっているかもね

谷間なので既に日が当たらない

この先もひたすら山を下っていく。

とにかくひたすら山を下る

新平湯温泉の温泉街を抜けて川を渡り、丁字路を右折して栃尾温泉方面に向かう。すぐそこに荒神の湯がある。ここは帰りに寄ることにしてスルーし、ガンガン先に進む。新穂高温泉街を過ぎ、長いトンネルを抜けたところで右折し、ペンション街のようなエリアを通り抜けた先に、目指す北アルプス大橋がある。

この北アルプス大橋は近年SNSでよく見かけるようになった。このエリアには以前何度か来たことがあるけど、この北アルプス大橋の存在を知らなかったので、実際に橋を渡るのは初めてになる。いざ着いてみると、さんざん見た写真から想像していたものより、率直に言ってショボい…否、別にショボくないんだけど、想像のし過ぎで、いつの間にか脳内で橋が巨大化していたようだ。

というわけで早速撮影…といきたいところだけど先客のクルマが2台いる。1台は家族連れのようなのでそのうちいなくなるだろう。もう1台は何やっているのかよくわからん。ただ待っているのもつまらない。橋の向こうには駐車場があるみたいなので渡ってみる。その途中でもう1台を横目に見ると、オッサンがスマートフォンをいじくっている。なんだお前、迷惑なヤツだな。

橋を渡りきり、駐車場でUターンして橋に戻る。これで山を背景に前を向いた状態になる。よくSNSで見る構図だ。さっきのオッサンのすぐ前で停めて撮影を始める。

何も考えずに真正面の上方から横構図で撮るとこうなる

やっぱり見慣れた縦構図・ローアングルがいいのかな

こういうのも悪くはないけど今ひとつ迫力に欠けるというか、フツーだな

こっちはもっとビミョー

オッサンのクルマの周りをわざとらしく行ったり来たりしながら構図を変えて写真を撮ることで、お前邪魔なんだよアピールをしているにもかかわらず、オッサンは相変わらずスマートフォンを弄り続けている。絶対に視界に入っているに違いないのに。ここじゃなきゃできない何かをしているならアンタが先に居たんだから素直に待つけど、どこでもできることをやっているから邪魔者扱いされているのに気付かないらしい。お前空気が読めないっていつも馬鹿にされているんじゃないのか?

さあそろそろ窓をトントンするか、というところでようやくオッサンが動き出した。その後ろに居た家族連れも撮影を終えて動き出した。遂に橋の上には自分だけになった。誰も来ないうちは撮り放題だ。

せっかくなのでKを前に動かして橋の終端部に近づける。この方が橋が長く見える。

同じ横構図でも橋が長いと少し印象が変わる

結局コレなんだよな

この橋の上で斜めに停めて写真を撮っている人もよくいるけど、駐車場とかならともかく、本来斜めに停められない道路上に斜めに停めて写真を撮るのは個人的には気持ち悪くてダメだ。邪魔だとかそういう話ではなくて(むしろそれをいちいち指摘している人の方が嫌い)、生理的に落ち着かない。

そんなわけで結局同じ構図ばかりになってしまうし、スズキの250ccに乗ったオッサンが現れたこともあって、このへんで撮影を終わりにする。ちょっと日が傾いていて橋の欄干の影が邪魔だとか、空の青がイマイチ青じゃないとか問題はあったけど、まあそれなりに満足はできた。

Kを前に動かし、橋を渡り切ったところでUターンし、あらためて橋を渡る。その先をひたすら降りていって県道に戻り、そこから奥地へ向かう。スノーシェッドを抜けてちょっと走ると観光案内所が現れる。ここが事実上の終点になる。

ここから先は徒歩で山登りの世界になる。川に人の手が入りまくっていて若干興醒め

さて、目的は達成したので戻りますか。荒神の湯を目指して来た道を下る。

いい感じの道が続く

ここからちょっと走ると荒神の湯に着く。

ここの湯に入るのは多分3回目になる。ジャケットやインナーを脱ぎ、貴重品はトップケースに突っ込み、温泉道具だけ(実際にはタオル1枚あればいいんだけど)持って向かう。寸志(200円から300円に値上がりしていた)を箱に入れるのは後回しにする。

更衣室、というか単なる小屋で服を脱ぎ、タオルだけ持って湯船に向かう。シャワーも何もないのでタライで各部を流してから入る。湯は暑くも温くもなくなくちょうど良い。岩で作られた湯船の向こうは川と山。何も遮るものはない。いや〜こういう野趣溢れる温泉に堂々と入れるのは男の特権だな。女湯がどうなっているかわかんないけど、たぶん壁に覆われていて外は見えないんだろうな。

なんだかんだでそれなりに走っているし、気温もそこそこ低いので身体のあちこちが固まっている。それをじわじわほぐしていく。湯温が丁度良いのでいくらでも入っていられる。もうこのへんで適当に宿を取って泊まりたくなってしまうけど、このへんの温泉宿はそんなに安くないだろう。素直に塩尻まで走るしかないな。

そんなわけで、名残惜しいけど早々に荒神の湯を後にする。このへんの標高はかなり高い。あんまり長居すると、あっというまに気温が下がって酷い目に遭う。できれば日が暮れる前に安房峠道路を抜けてしまいたい。

しかし、すぐそこにあるスーパー「奥飛騨フーズマーケット」が俺を呼んでいる。ここはA-COOPだったはずなんだけど、後で調べたらさっきの丹生川のA-COOPと同じく閉業してしまったようで、こちらは地場のスーパーが引き継いで「奥飛騨フーズマーケット」として開業したらしい。

地場スーパーに寄らずに通り過ぎるなんて俺にはできない

奥飛騨は率直に言って僻地なので、大抵のモノはそれなりに値段が高いけど、びっくりするほど高くはない。名物のケイちゃんやら飛騨牛も売っている。店員のおばちゃんも元気があって良い。もし近くのキャンプ場に泊まるなら重宝するだろう。このへんの土産物のコーナーも一応ある。せっかくなので奥飛騨酒造の日本酒と高山ラーメンを買う。

買い物を終え店を出ると、まさに日が暮れようとしていた

Day1 信州健康ランドへ

遂に日が暮れてしまった。もうあとは帰る、というか塩尻の信州健康ランドに行くだけだ。Googleさんによると、目的地までは約1時間半だそうだ。案外近いな。週末だと上高地から新島々あたりまでとにかく渋滞しまくっていて猛烈に時間がかかる悪印象があるけど、金曜日だとそうでもないのかもしれない。

安房峠道路の平湯料金所まで、さっき降りてきた快走路を登る。降りた時は長かった気がしたけど、帰りはあっという間に終わる。ここから先は交通量の関係で我慢を強いられる可能性が高い。眠気防止、寒さ防止などの準備をしてから走り出す。

さて行きますかね

長いトンネルを抜けると上高地に行く交差点に向けてジェットコースターのように下る。ほんとこの道はよく作ったもんだよ。交差点から先はいかにも古い山間国道といった風情で、路側帯もほとんどない道が谷間に沿うように走る。しばらくは荒神の湯の効果でポカポカしていたが、さすがにそろそろその効果も切れてきた。予想通り他車に遮られて速度は控えめ。眠くなってきたので道の駅 風穴の里に寄る。駐車場は電灯が少なくて何も見えないので自動販売機の前に停める。ここまで来るともう松本の平地は近い。

自分以外誰も停まっていない

健康ランドに行く前に晩飯と買い物を済ませたい。今日の晩飯はテンホウと決めつけているので決め打ちで探すと、松本と塩尻の手前にある山形村の店舗が近いようだ。その近くにツルヤもある。経路的には先にツルヤに行った方がいいんだけど、珍しく食欲が上回っているので先にテンホウに行く。

道の駅から数分走ると新島々駅前に出る。山道が終わって盆地に出る境目のような場所だ。ナビにしたがって淡々と走って目指すテンホウ山形店に着く。ザ・ビッグが入っているモールの片隅にある。駐車場がいくらでもあるので停めやすくて良い。

この看板を見ると長野に来たなーという気がする(けど長野県の全域にあるわけではない)

店はそこそこ混んでいる。メニューを見て一応考えてはみたものの結局タンタンメンと餃子を頼む。ここのタンタンメンはいわゆる辛い坦々麺とは全然違う。挽肉が載っているところだけが共通点だ。さほど待たずに両方とも出てきた。

店で食うのは2年ぶりぐらいかな

冷え切った身体にラーメンは最高だ。そしてここの餃子は独特の風味があってうまい。何かしらの中華香辛料を使っているんだろうけどなんだかよくわからない。まあうまけりゃなんでもいい。

そして次はツルヤだ。ツルヤ山形店はここから数分戻ったところにある。何年か前に1回行ったことがある。明日ツルヤに行けるかどうかは実は不透明なので、行けるうちに行っておいた方がいい。

長野県に来たらツルヤに寄るのは義務です

閉店間際のツルヤで、冷蔵保管不要なふりかけ、ドライフルーツなどの土産物を買う。買い物をしていたら閉店時間になってしまった。ツルヤなんて何十回も来てるけど、さすがに閉店まで居たのは初めてだな。そもそも来たのが遅かったんだけど。

そして遂に信州健康ランドに向かう。途中までは順調だったものの、最後に村井駅そばの踏切でやたらと待たされる。その後もナビ通りに走り、ホントにここにあるのかと言いたくなるような裏道のような道を走って信州健康ランドに着く。健康ランドといえば主要道の傍にデーンとあるイメージだけど、ここは妙にアクセスが悪いんだった、ということをようやく思い出した。停める場所がよくわからないのでダラダラ走っていると、玄関のそばにそれっぽい場所があったので停める。

ここを宿泊地とする!

電装品やヘルメットをケースに突っ込んだり、着替えや充電機器を出したりといった準備をして、2009年にセローで来て以来16年ぶりの信州健康ランドに入る。下駄箱に靴を入れるのはいつも通り。ヘルメット用のロッカーも用意されていた。無理矢理パニアに突っ込む必要はなかったか。

もはや前回のことは全く覚えていないけど、館内の雰囲気は2年ぐらい前にピアッツァ新年会で行った駿河健康ランドと似ている。去年だか一昨年だかに来るつもりで会員登録だけしてあったので、アプリ会員証を見せて割引料金で入る。下手に会員だからか、フロントのニイちゃんは、はいどうぞーとロッカーの鍵を渡すだけで何も説明してくれない。まあなんとなくわかるだろうから別にいいけど。

フロントを離れて左右を見渡すと、左側がロッカーと風呂っぽいのでそちらに行く。入り口に館内着とタオルがあるけど荷物が多いので一旦何も持たずにロッカーに行く。ロッカーは健康ランドにありがちな横幅25cmぐらいの縦長のやつ。バイクだと服がゴワゴワしているので、もうちょっと広いといいんだけどね。ジャケットを脱ぎ、荷物を置いてから館内着とタオルを取りに行き、服を脱いで風呂に入る。

風呂の雰囲気もやっぱり駿河健康ランドに似ている。ジェットバスや薬湯、高温、低温、水風呂といった様々な風呂があるけど、ごく普通の風呂がない。そういうのに入りたい場合は露天に行く必要がある。外には露天風呂の他に五右衛門風呂や寝湯がある。さほど高くない壁の向こう側には普通の民家がたくさんあり、2階のベランダが丸見えだ。さすがに女湯はもっと壁を高くしてあるのだろう。

風呂の後は寝床候補地を探検しに行く。2階の奥の方にリクライニングシートが並んでいるリラックスルームがある。おそらくここが仮眠室になるんだろう。もう一つTVルームというものがあり、さらにその奥が男性仮眠室扱いになっていて、そちらはリクライニングではなく雑魚寝(マット)のようだ。現時点では人はさほど多くなく、寝場所難民にはならなさそうだ。金曜日なだけにそこが不安だったけど大丈夫な気がする。

安心して1階に降りて大広間兼居酒屋に入る。入り口にあるQRコードを読み取ると入店宣言になるようで、適当に席に座ると店員さんがメニューを持ってくる。メニューを見てみると微妙に値段が高い。健康ランド自体は安いので飲食で稼ぐ戦法か。注文は自分のスマートフォン、というかLINEでやる。LINE嫌悪者は注文すらできない仕様なんだな。客には相当な年寄りもいるだろうからアナログな手法もたぶん通用するんだろう。とりあえず生ビールと枝豆を頼んだ。すぐに出てくる。

ビールがなくなったのでジンソーダも頼み、しばらくダラダラして本日の寝酒はおしまいにする。スキットルに入れたバーボンでも飲みたいところだけど持ち込み禁止だ。それが健康ランドの唯一の欠点なんだよな。

部屋に戻る…と言いたいところだけど部屋はない。さっき偵察したリラックスルームは電灯が消されていて既に就寝モードになっている。タオルケットを持って寝床を探す。あまり人は多くないので簡単に両隣が空いている場所を見つけられる。今はよくても、今後誰がくるかわからないので耳栓をして、リクライニングでダラーっとする。

すぐに眠くなってきたのでリクライニングを傾けるが、どのぐらい傾けて、自分がどこに位置するのが一番良いのかいまいちよくわからない。なんだか妙に身体がこわばった状態になってしまう。結果的には、最後までバタンと倒して、自分が少しだけ足方向に動くと良かったようで、これでぐっすり寝ることができた。

Day2 裏ビーナス

2日目の行き先は天気次第なので起きてから考えることにしていた。寝る前の時点では、地元はほぼ1日雨っぽいけど信州は午後のどこかまでは辛うじて曇り、といった予報だった。起きてみてもあまり変わっていなかった。風呂に入りに行き、露天風呂から外を見てみると、一応西も東も山の麓は見えている。西の方が雲が厚くて稜線は全然見えないけど、東はたまに見える。

いつまでこの状態が続くかはわからないけど、これなら裏ビーナス行けるんじゃないか、という気がした。

他の候補としては、北上して白馬あたりとか、さっさと麦草峠を越えて八千穂高原とか、そんな案もあるにはあるけど、景観をメインに据えると霧が濃くなった時にガッカリしてしまう。それよりは多少なりとも走りも楽しめそうな方がよい。

五右衛門風呂の中でウーンと考え込んだ結果、最初のインスピレーションに従って裏ビーナスを目指すことにした。裏ビーナスはとにかく行きにくい、他の予定とセットにしづらい、という特徴があるので、今日のように特に予定がないときに行っておいた方が良いだろう、というのが最大の理由だ。

風呂から上がり、着替えと荷物の整理をして、会計を済ませる。宿泊費が約2600円、ビール・ジンソーダ・枝豆で約2000円。やっぱり飲食で稼ぐ戦略だったか。

荷物を持って玄関を出る。風呂上がりなせいもあるけど、それほど寒くはない。昨日パニアケースにしまったライディンググッズを出し、着替えなどをトップケースに突っ込む。そしてペットボトルのコーヒーとスティックメロンパンで朝飯にする。

裏ビーナスへ行くには、ここから北上してR254に入り、そこから美鈴湖方面へ南下する道が良いらしい。普通だったら一般道で行くところだけど、ツーリングプランなので塩尻北ICから梓川スマートIC、なんていう贅沢な高速の使い方をする。梓川SAの展望所から山を眺めると、先ほどと変わらず西の雲が厚く、東の方がまだマシな状態が続いていた。

SAの端っこにあるスマートICで一般道に出る。夏休みに泳ぎに来たラーラ松本のそばを通ってR254に出る。長い松本トンネルを抜けてちょっと走ると、信号も何もないショボい分岐がある。これを右折すると美鈴湖方面だ。

その後の道は、路面は若干荒れているが快適だ。軽快に走りながら美鈴湖に出る。湖というより沼に近い。桟橋がいくつあって、間隔を開けて釣り人が座っている。何が釣れるのだろうか。

美鈴湖を超えると美ヶ原林道に入る。その入り口ではビーナスラインには行けないことを示す看板が多数出ている。よっぽど間違いが多いのだろうか。っていうか、さっさと土砂崩れを直せばいいだけなのに。

この先の美ヶ原林道は、過去に何度か通ったことはあるけど、狭い・路面が悪い・景観が冴えない、と言った感じでまったく良い印象がない。そのせいで裏ビーナスにあんまり足が向かなかったのは否定できない。

そんな美ヶ原林道を走り始める。少なくともセンターラインはあるし、舗装はやけに綺麗だ。最近、それもここ1,2年でやり直したのだろう。どうせすぐに狭くなったり、路面がガタガタ穴だらけになるんじゃないかと思ったらそんなことはなく、道幅は広いとは言えないものの辛うじてセンターラインはあり続けているし、舗装も悪くない。俺が勝手に思い込んでいた美ヶ原林道とは随分印象が違う道が続いている。

全然悪くないじゃん

ある程度まで行くと路面が悪くなる。自分の印象の中にある美ヶ原林道に近づいてしまった。たまに舗装工事の信号が現れるので、改善は継続してやっているようだ。

基本的に林の中だけど、たまに開ける

とにかくひたすらこんな感じでクネクネしているので、距離の割には時間がかかってしまう。それは相変わらずだけど、少なくとも以前の悪印象は大幅に払拭した。これなら悪くない。

そして美ヶ原林道の終点に着いた。左折すると美ヶ原高原美術館、つまりビーナスラインということになっているけど、ゲートが閉まっていて行くことはできない。

やけに看板が多い交差点

直す気あるのかねこれ

そしてこの先が目指す裏ビーナスだ。ここまではひたすら林の中を登ってきたけど、ここから先は林を抜けて景観が開けることになっている。しかしこの場所の時点で霧がかなり濃い。進んだら変わるかもしれないけど、あんまり期待できないな。

とりあえず走り始める。ここからすぐのところにある「思い出の丘」からの眺めも良いらしいけど、残念ながら霧がひどいのでスルー。そのまま走り続けていると、若干開けたところで少しだけ霧が薄くなってきた。

右側の奥の方に下界の街並みが見える(時もある)

遠くの丘が見えるし、青空ものぞいている

この調子で一気に晴れてしまえ、と思うけれども、さすがにそれは無理だ。とはいえ、さっきまでの何にも見えない状況よりは随分マシになった。

この先も同じような状態が続く。数十秒経つと景色がガラッと変わるので油断できない。景観が良さそうなところで止まっては待つ、を繰り返す。

今にも晴れそうなんだけどなー

遠くの丘までちゃんと見えている

この先の道路の線形がいい感じだ

奥の方から続いている道路がいい

ちょっと前進・ざっと撮影、を繰り返しながらじわじわ前に進む。撮影が多すぎてなかなか前に進まない。それでもどうにか終点に着く。ここから先は業務用車両しか入れない。

終点の駐車場に到着した

遠くの方に上田あたりの市街地も見える

これが裏ビーナスの終点か。普通の人はここから登山をしたり、王ヶ頭のホテルに行ったりするんだろう。バイク乗り的には単なる終点兼休憩スポットに過ぎない。売店と自然保護センターはあるけど、美ヶ原高原美術館側とは違って道の駅は無いし、商売っ気はあまり感じられない。そもそも、まだ売店が開店していないので当たり前ではある。

ぜんぶ閉まっているのでどうしようもない

ありがちな意味不明モニュメント

ビーナスラインは数10kmに及ぶ長い観光道路だけど、裏ビーナスはせいぜい数キロ。10kmは無いだろう。ここまではちょっと気になると停まってしまったので360度動画もブツ切れだ。せっかくなので、距離が短いのをいいことに動画撮影も兼ねて2往復することにした。往復の端点は、ここ売店前と、さっき素通りした思い出の丘にする。

とりあえずここから思い出の丘まで停まらずに走る。大した距離じゃ無いので数分で終わる。霧は先ほどより若干濃く、撮影ポイントっぽい場所は発見できなかった。そして終点の思い出の丘は、さらに濃い霧に包まれていて誰もいない。

今日はこの場所との相性がよろしくないようだ

長居は無用なので再度頂上へ向かう。今度は動画メインなので停まらずに最後まで走る。頂上で一旦動画を停めてまた下る。途中2回だけ停まってみたけど、やっぱり霧が多くて微妙。

最初の往路で停めた場所の反対側

いつの間にか88,888kmを超えてしまっていたことにここで気づいた

右奥の方にいい感じのカーブが見えるはずなんだけど、何も見えない

まあしょうがない、この天気予報の割には見えた方だろう。ちょっと前の美ヶ原高原美術館みたいに視界25mみたいなのに比べたらかなりマシだった。これでよしとしよう。

裏ビーナスは現時点では完全にピストンロードなので来た道を戻るしかない。美ヶ原林道に戻り、こんどは延々下る。勝手がわかっているので苦労せずに走れる。いい感じの場所もちょいちょい現れる。

これはいいカーブだ

針葉樹林がきれいだ

こっちのカーブもまた良い

さらに降りていくと小さい池がある。ここは往路に目をつけていた場所だ。

渋池という名前らしい

この紅葉が赤くなったら綺麗だろうな

葉っぱが池に浮いているのがいい味を出している

赤の緑の組み合わせもこれはこれでいい

この後も来た道をひたすら下っていく。とにかくカーブが多いので時間がかかる。路面が改良されているので不快感のようなものはない。そしてようやく美鈴湖まで降りる。

何が釣れるのだろうか

Day2 とりあえず諏訪へ

さらにR254の交差点まで降りたところで今後の予定を考える。現時点で11時。雨は14時か15時には降り始める予報だ。次の行き先候補は八千穂高原で、生き方としてはR254を東に向かって佐久穂方面から上がるか、高速で諏訪まで行ってR299麦草峠越えをするか。

八千穂高原は今年の4月に行っていて、佐久穂からR299を登って、途中で駒出池・白樺群生地方面を通った(道路名不明)。この区間だけR299を通っておらず、自身未踏区間になっている。そこに行きたいところだけど、前回と同じく佐久穂側から行くのはあまり面白くないので、できれば麦草峠越えをしたい。しかし標高が高い分だけ雨の心配もある。どっちもどっちだな。

それはそれとして腹も減った。なんとなく蕎麦が食いたくなったけど蕎麦屋は高い。何年か前に行った小木曽製粉所というこのへんのチェーン店があればそこに行きたい。近くにないかと探したら安曇野ICを出たところと松本市街地にあった。市街地は混むので走りたくない。安曇野ICまではツーリングプランの範囲内だ。そこで梓川スマートICから安曇野ICという超短区間だけ高速に乗るという手を思いつく。これは悪くない。これにしよう。自ずと佐久穂案ではなく麦草峠案になる。

そんなわけで朝走ってきた道を逆に向かって走り、梓川スマートICから長野道に乗り、ほんの数キロ走って安曇野ICで降りる。こんなふざけた走り方、ツーリングプランでもなければやらないだろう。目指す小木曽製粉所はすぐそこにあった。まださほど混んでいない。早速入る。

小木曽製粉所到着

大きさが違えど料金は同じ

讃岐うどんチェーンのような仕組みで、最初にナントカ蕎麦の札を自分で取り、店員さんはそれに従って蕎麦を出し、天ぷら類は自分で取っていって最後に会計、という流れだ。俺は大ざる蕎麦だけ頼む。

なので当然のように大盛りにする

チェーン店なので物凄くウマいとか特徴があるということはないけど無難にうまい。いかにも地元民という人たちが続々と入ってくるので長野県民的にも悪くない味なんだろう。香川県でもチェーン店に地元民がどんどん入っていくので、頑張ってお高い店に行く意味もあんまり無いのかもしれない。

腹も満たしたので先に進む。しかしここから諏訪まで行く間に工事中の岡谷JCTを通らねばならない。それのおかげで諏訪までそれなりに時間がかかってしまう。往路と同じように、岡谷ICで降りて諏訪湖スマートICまで下道移動という手もある。渋滞の程度が読みづらいので判断がつかない。とりあえず眠くなりそうなのでガムを食い、グローブもスリーシーズン用に変えてから出発する。

さっき降りたばかりの安曇野ICから長野道に乗る。ホントに蕎麦食いにきただけだったな。しかもチェーン店の。なんとも贅沢な高速道路の使い方だ。安曇野ICからしばらくは順調だったものの、渋滞を示す電光掲示板は頻繁に出る。岡谷JCTの工事は数ヶ月単位でやっているので案内もそれなりにしつこく出てくる。案の定岡谷IC手前で動かなくなった。Googleさんはそのまま渋滞で耐えるように指示してくるけど、こんなの耐えたくないので岡谷ICで降りてしまう。

岡谷ICで降りた先の市街地は、去年の夏にファミキャンをしにきた関係で多少の記憶がある。その記憶とナビの案内を混ぜながら市街地を抜けて諏訪湖沿いに出る。市街地なので時間はそれなりにかかる。高速道路で耐えていた方が時間的には早かっただろうけど、耐えたくなかったんだからしょうがない。そして往路も通った諏訪湖スマートICへの道を登り、こんどは東京方面の入り口から中央道に乗る。そして諏訪湖スマートIC〜諏訪ICという、またしても超短区間の乗車で中央道を出る。

恒例のK軍団ツーリングで毎度立ち寄るGSで給油し、とりあえずツルヤ茅野店を目指す。この時点で空はだいぶ暗くなっていて、山々は麓だけしか見えなくなってきている。こりゃ麦草峠なんて行ってる場合じゃなさそうだな。こういう時に限ってツルヤに向かうR299の流れが非常に悪い。なんでこんなに混んでるのかね。

かなりうんざりしながらもツルヤ茅野店に着く。ここの駐車場はいつも混んでいて、クルマ用の場所に停めるのは憚られるので、他のバイクに倣って店の前に停める。

今回二度目のツルヤ

あんまりこういう停め方はしないので不思議な気分だ

ツルヤには昨日も行ったのであまり買うものはない。土産用に大雪渓の生酒と牛乳寒天だけ買い、冷却用の氷をもらう。今回は保冷バッグを持ってきていない。直前に決めたので色々と不備が多い。とりあえずエコバッグに氷・生酒・牛乳寒天を入れてパニアケースに突っ込む。

Day2 帰らざるを得ない

さてこれからどうしますかね。雨が降るまでの猶予は30分程度のようだ。空はさらに暗くなっている。この状況で麦草峠に行く馬鹿はいない。これはもう帰る一択だ。しかし諏訪ICまで戻るのも芸がないので、八ヶ岳山麓の快走路で小淵沢方面を目指すことにした。

ツルヤから出て市街地を抜けて快走路を目指す。この辺りはちょいちょい走っているのでなんとなく土地勘がある。ナビの通りに走っていたら、つい1ヶ月前にビーナスラインを走る前に寄った田んぼの道に出ていた。すごい偶然だな。そのまま走り続けていると「たてしな自由農園」の前に来た。せっかくなので立ち寄る。

以前と建物は変わっていないけど小綺麗になった

ここは随分前からあるので通るたびにちょいちょい寄っている。最近になってスイーツ屋が出来たりして商売っけが増している。それでも季節モノの生鮮食品だったり、ちょっと変わった酒だったり、よくわからない食い物だったり、色んなものを取り扱っているのは相変わらずで、店内をうろうろするのが楽しい。道の駅みたいに、いかにも土産物、といったものがあんまりないのも良い。結局今回も色々買ってしまった。

パニアケースに余裕があるのでキャベツを買えてしまう

呑気に買い物をしているうちにいよいよ雨が降り始めてしまった。これはもう観念してカッパを着るしかなさそうだ。右側のパニアケースに買ったモノを突っ込み、左のパニアケースからカッパを出す。グローブもスリーシーズン用から雨用に変える。とりあえず現時点ではカッパは上だけで、下はとりあえず無しにしておく。この状態で出発する。

たてしな自由農園を出て小淵沢方面を目指す。目的地は小淵沢の道の駅にしておく。そこまでは基本的に1本道みたいなものだ。雨は降ったり止んだりしているけど本降りにはなっていない。快走路なので走っていたら楽しいはずなのに、天気がこんなのだと素直に楽しめない。なんだかなーと思っているうちに道の駅に着く。

晴れていたら八ヶ岳山麓をもう少し走りたいところだったけど、この天候状況だといい加減諦めざるを得ない。高速走行に備えて延長スクリーンを装着し、カッパのズボンも履く。

小雨の中、延長スクリーンを装着(ネジ2本締めるだけ)

道の駅を出て、そこから数分のところにある小淵沢ICから中央道に乗る。あとはひたすら変えるだけ…ではあるけど、残念ながら例によって小仏トンネルで渋滞している。経路をどうするかを考えながら走らざるを得ない。

そして困ったことに雨がじわじわと強くなってきてしまった。それはしょうがないとして、困ったことに全然前が見えない。グローブの背中側でシールドを拭っても全然ダメ。どうなってんだこれ。何やっても見えない。

どうやらこれはシールドの内側が濡れているようだ。長年バイクに乗っているけどこんなの初めてだ。あんまりにも前が見えないので、仕方なくシールドを開けて走る。雨の高速道路でシールド開けっぱなしなんて本来あり得ない話だけど、とにかく何も見えないんだからどうしようもない。

そんなわけで、八ヶ岳PA、双葉SA、境川PAと、停車回数がやたらと増える。止まるたびにタオルでシールド内側を拭いてはみたものの、結局すぐに濡れて見えなくなる。どうしようもなくなって、やっぱりシールドを開けて走らざるを得なくなる。何なんだこれ。まさか雨と寒さだけじゃなくて視界と戦うことになるとは。

それでも高速道路は比較的走りやすいので先に進むことはできる。初狩PAで経路を確認する。相変わらず談合坂SAから先は渋滞しているけど、それでも東富士五湖道路経由よりは早いらしい。東名高速の足柄〜大井松田も渋滞しているからだろう。それに今回は雨の中の一般道を走りたくない。しょうがないのでそのまま中央道の渋滞に突入することを選ぶ。

雨の降り具合も、ヘルメットが濡れることも変わらない。ヘルメットを一切開けなければ濡れないけど、曇りがひどくなると開けざるを得ない。そうすると濡れる。ひどい悪循環だ。すぐ次の談合坂SAでまた停まり、シールドの内側を雑巾で吹く。

雨はわかっていたからいいけど、このシールドが濡れるのは予想外だ

談合坂SAを出ると渋滞が始まる。三車線区間は道幅も広いので普段だったら…だけど、今回は雨な上に視界も悪いのでおとなしく走る。この渋滞は上野原ICで三車線から二車線になるポイントで一旦終わるものの、またすぐに小仏トンネル渋滞が始まる。これは小仏トンネルのすぐ手前まで終わらない。超ダラダラではあるけれども停止するほどでもないので、クラッチ操作はあまり必要ない。そのためさほど苦痛じゃない。じっと耐えているうちに渋滞は終わる。たぶん富士五湖周りよりは早いだろう。

小仏トンネルを抜けて圏央道にすると、また渋滞が始まる。こんどは事故渋滞らしい。トンネルの途中で右フロントタイヤがそっぽ剥いたミニバンが停まっていた。何やってんだまったく。その後は基本的に順調。小仏トンネル以降はトンネルが多く、雨の影響を避けられるので都合が良い。そして厚木PAで最後の休憩を取る。

さて、あとひと頑張りですよ

小木曽製粉所以来、久しぶりに椅子に座ったら動くのが億劫になってしまい、溜まっていたTwitterの投稿を一気に済ませてしまう。そもそもZ5からiPhoneへの自動転送が失敗しまくっていたのがいけない。iPhoneを17に替えて以降、なんだか失敗が多い。投稿を終え、雨と道路を確認し、ポケットに溜まったガムのゴミを捨て、シールドを拭いて出発する。

こちらは1日中天気が悪かったようで、外出した人が少なかったらしく道が空いている。それでもやはり柳島のGSは混んでいたのでスルーし、以降は特に渋滞もないまま帰宅した。走行距離はたったの352km。随分少ないな。ほぼ天候のせいだけど。

総括

走行距離は2日間で857km。率直に言って少ない。

Screenshot

これは2日目が雨だったからだけど、雨が降ると分かっているのにわざわざ安曇野に戻って呑気に蕎麦を食っていたんだから、ある意味自業自得ではある。ファストフード的な蕎麦屋なのでロス時間はさほどでもないけど、空がまだ明るいうちに、安曇野に戻らず佐久穂方面へ行ってしまい、そこからR299と野辺山を経て走るルートだったら、もうちょっと走れたんじゃないかと思われる。

費用はこんなところだった。相変わらず土産物が多い。

Screenshot

酒と食い物ばっかり

これまで10年ぐらい1泊2日だったらトップケース不要論者だったけど、あればあったでやっぱり便利だった。だからといって、今後しばらく1泊2日なんて無い状況でトップケース装着可能なテールカウルのままにするかは悩ましいところだ。

それにしても、突然決めたから、というのはあんまり関係ないかもしれないけど、今回のツーリングは想定外の問題だとか、やらかしが多かった。

  • 諏訪IC付近の事故渋滞で時間ロスを強いられる
  • (自分のせいじゃないけど)1日目が天気予報大外れで雨&曇りだった
  • 期待していたA-COOPが閉業していた
  • 元々漏れていたフロントフォークオイル漏れがさらに悪化
  • Nikon Z5とiPhone17 Pro Maxの自動連携に失敗しまくる
  • 2日目のROADSTOCKを起動し忘れた(出発前にオドメーターを確認していたので距離だけは覚えていた。ちなみに1日目の終了時のオドメーターも記録し損ねていた)
  • 88,888kmの瞬間を見逃した
  • 雨中走行中にシールド内部が濡れる病を発症した
  • ガムを噛んでいたら口の中も噛んでしまった
  • 最後の最後、江ノ島の手前でよくわからない缶コーヒーのような物体を踏んでコケそうになった

転倒や故障、モノの破損や紛失じゃないので救いようがあるけど、積み重ねていくとじわじわとつまらなくなっていってしまう。思い返してみれば、何年か前の木崎湖キャンプツーリングも微妙だった。見返してみると、あの時よりはだいぶマシではあるけど、秋の信州とは相性が悪いのだろうか。

さらにこんなのもあった。

ここまでくると笑うしかない。まあ懲りずにまたそのうち行くんだろうけど。

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  1. ピンバック: OGK Kabuto EXCEED-2 | sabitori.com

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