ピアッツァ エンジン修理 Part 4 真のG200WNの咆哮

紆余曲折はあったがエンジンの作業は終わり、そのまま引き続きブレーキ修理に移行した。エンジンよりは簡単だろうと思いきや、これはこれで面倒なことになった。エンジンとは関係ないので詳細は省くが、結果的に2ヶ月半を要し、ようやく一旦完了の連絡が入ったのは12月17日のことである。

試運転

連絡内容は、ブレーキ修理完了後の試乗結果だった。エンジンは絶好調、但しブレーキは踏むと左にヨレる現象があるとのこと。そして、これが元々発生していたものと同じなのかどうかを確認してもらいたい、とのことだった。こればっかりは実体験者しか比較できないので致し方ない。12月中旬から猛烈な本業多忙状態になっていたのだが、無理矢理時間を確保して12月20日の夕方に試運転することにした。

K1100RSで横浜横須賀道路、首都高湾岸線、横浜北線を疾走して、馬場ICなる行ったこともないICで降りて、Googleナビの指示に従って小山ガレージに向かった。1時間ちょっとのサンセットクルージングだった。到着すると、ピアッツァが待ち構えていた。

整備担当の方に助手席に乗っていただいて、半年ぶりにピアッツァを運転する。久しぶりなので単純に楽しい。建前上はブレーキの確認が目的なのだが、どうしてもエンジンの方が気になってしまう。以前のグダグダなズボボボエンジンに慣れてしまっていたせいで、OH後のエンジンが猛烈にスムースに感じられる。ワンオフマフラーの排気音を除けば、今となってはごく普通のエンジンなんだろうとは思うが、普通に回るということ自体が自分にとっては凄いことなのだ。

極めて普通に回るエンジンと図太い排気音に興奮を隠せないが、一応目的はブレーキフィーリングの確認である。渋滞が激しい環状2号を新横浜方面に向かって進みつつ、多少強めに踏んだりしてみるが、何の違和感もない。何回繰り返しても変わらない。検証したのはプロ、いま試しているのはド素人、という違いはあるが、何回踏んでも全く問題が感じられない。渋滞で速度が出ていないから症状が出ないのか…と思ったのだが、新横浜駅のロータリーで方向転換した後の空いた道で、そこそこ速度を出した状態で踏んでもやはり変わらない。

フロントブレーキ周りがほとんど新品になっているので、単に馴染んでいないだけの可能性も高い。つうか、単純にさっさと乗りたい。細かいことを言えばアラがあるのかもしれないが、言い出したらきりがない。これでOKとして納車してもらう運びとなった。再びK1100RSに乗り、淡々と環状2号を使って帰宅した。

嗚呼、これが真のG200WNか

仕事やら何やらの都合により、納車は12月29日(水)夕方となった。小山ガレージの年内最終営業日である。こちらは当日から休暇をとっているので、昼過ぎまで自宅の大掃除をしてから京急で鶴見に出て、臨港バスに乗って工場に向かう。

到着すると、ピアッツァと、交換した部品群が待ち構えていた。

部品群一式を段ボールに入れて助手席前の空間に押し込み、運転席に乗り込んで出発する。前回は大渋滞だった環状2号は、年末故にまるで混雑していないので普通に走れる。ごく普通にアクセルを踏み、止まる。エンジンは何のストレスもなく回る(ヘッドOHだけなので慣らしについてはそれほど過敏になる必要はないとのこと)。アクセルに素直に反応し、踏んだら踏んだだけ回る。素晴らしいエンジンフィールだ。

ミッションがMTだったらもっと良さを体感できただろうが、ATでも十分に堪能できる。そして、EAGLETECワンオフマフラーのサウンドも最高だ。これだ、これが欲しかったのだ。マフラー交換時に期待していたことが、約2年遅れでようやく体感することができた。

普通に環状2号で帰っても面白くない。年末で空いているであろう湾岸エリアを通って帰ることにする。1990年代、JR120 PIAZZA NERO Irmscherでの通勤でさんざん走った新子安あたりを通る。だだっ広くてトラックしか通らないスカスカな道が懐かしい。深夜に何度もここを走って辻堂まで帰ったものだ(そしてその帰りにヒーターホースが割れてオーバーヒートしてエンジン載せ替えの憂き目にあった)。

そのまま大黒ふ頭に出て、R357の下道でベイブリッジを渡る。そのままR357を南下し、磯子のニトリや金沢八景のイオンに寄る等、クルマに問題がないからこそ出来る、ごく一般的な行動をして帰宅した。特に金沢八景イオンのように駐車場への登り坂の斜度がキツいところでは無駄に緊張を強いられたのだが、そのようなことが全く無い。普通に回るエンジンって素晴らしい。

久々に走ったからこそ感じる問題もある。最たるものはステアリングの反応の鈍さだ。いかにもラック保持ブッシュがヘタった時の駄目な感じだが、決めつけは良くない。幸か不幸かすぐに車検なので、その際に見てもらうことにする。

エンジン外観

翌日、エンジンルームを空けてエンジン各所を眺める。以前の状態をきちんと記憶しているわけではないが、比べ物にならないほどのピカピカ具合だ。これはまるで新品ではないか。ここまでキレイになるならシリンダーヘッドカバーを赤なり何なりに結晶塗装すれば良かったとも思うが既に手遅れ。今後これ以上にキレイになることはそうそう無いだろうから、実に惜しいことをした…という気もするが、結晶塗装はすぐに剥げてしまうのでこれで良いという気もする。

ネジのマーキングや、整備書通りにきちんと液体ガスケットが注入されたヘッドカバーガスケット等に仕事の丁寧さが感じられる。

いつもの山坂道を試走

小山ガレージから自宅までは、金沢八景イオン駐車場と、自宅前の坂道を除いて、ほとんど平坦地だった。このエンジンがダメな症状を出していたのは主に上り坂である。坂道をまともに走れてはじめて直ったと言える。そこで、何かを替えるたびに走って変化を確認していた「いつもの山坂道」を登ってみた。

結果。何のストレスもなく走り抜けた。合格である。

総括

一言でいえば「エンジン自体が駄目だったのでヘッドOHしたら直った」なのだが、違和感を強く感じたマフラー交換時から2年、それ以前に違和感を感じていた頃も含めて考えると、数年越しでようやくまともなエンジンを手に入れたことになる。

その間、色々と試行錯誤し、結果的に投資した費用もそれなりの額になった。普通に好調な個体に乗っていれば全く体験することができない、数多くの試行錯誤や無駄な素人作業を経て、様々な体験をすることができた。この2年間はこれまでとは違ったクルマとの付き合い方ができたし、知識量もあがった。どの部品がどんな役割をして、どうやってエンジンが動いているかをより意識することができた。

エンジン本体には手が出ないためプロに頼んだので、自分では何もしていないのだが、それまで散々考え、自分でやれることはやった上で、エンジン本体が駄目だと自分なりに結論を出したからこそ、より納得のいく結果になった。自分での「やりこみ」が不足していたら、ただ何となく修理して大金を払っただけの結果だと感じたかもしれない。

シリンダーヘッドオーバーホールを依頼した小山ガレージについても触れておきたい。こちらの工場は、とにかく仕事が丁寧だ。エンジン外観の仕上がりの良さ等に現れているが…

デスビの回りが渋いのでシャフトを修正したとか、
車内に散乱していたモノが段ボール箱にまとめられていたとか、
冷却水ホースが怪しいのでついでに交換するとか、
納車時の部品陳列会が開催されていたとか、
納車時に洗車されていたのはあり得ることだが、タイヤまで黒光りしていたとか、

エピソードを挙げるときりがないのだが、いわゆる神は細部に宿るという類の仕事っぷりである。そして、無いものは作ってしまうという技術力もまた大変心強い。またどうしようもなくなった際にはお願いすることがあるだろう(無いにことしたことはないが、どうせ何か起こる)。

G200WN Cylinder head overhaul, the movie

以前のワンオフマフラーの際も作ったが、今回もまたやってみた。深い意味はない。