2011年以降、このピアッツァのオドメーターは止まったままだった。稀に動きだすこともあったが、基本的には動かなかった。特にここ1年半ぐらいは全く動かなくなってしまった。どれだけ走ろうと136,709.1kmから先に進むことはなかった。
その間、全く何もしなかったわけではない。幸い、デジパネ本体もコントローラーも手持ちの予備部品が幾つかあったので、交換したことはある。しかしオドメーターは動かなかった。
少し古いデジパネに変えたこともあるし、83型のデジパネに変えたこともあるが、結果は同じだった。コントローラーも少なくとも3つ使ったが、やはり動かなかった。
動かなくなってから暫くして、消極的な対策としてiPhoneアプリDIGITAL CRUISINGを開発し、それを使うことが当たり前になっていた。そういうものだと思い込むようにして10年近く経っていた。
ちなみに、毎年1回か2回程度だけ動くことがあり、車検の間に100〜200km程度進む。そのため、辛うじて車検時に変なツッコミが入ることはなかった。
一体何が原因なのか?
3台のデジパネでオドメーターが動かないので、デジパネ側の問題ではなさそうだと考えていた。トリップや速度計は動いているため、速度センサー側の問題とも考えにくい。ハーネスの損傷という可能性もゼロではないが、かなり低いだろう。そんなわけで、動かない原因は勝手にデジパネコントローラーだと思いこんでいた。
電子工作の知識は無いのでプロに修理を頼もうかと思いつつ、何もしないまま放置していた。DIGITAL CRUISINGがあれば致命的に困るわけじゃないからだ。しかし、デジパネコントローラーをたまたま修理することになり、結果的にクリスタルオシレーターを変えたら色々と改善したのが転機になった。
あれもこれも直ったのに、オドメーターだけは相変わらず動かない。ってことは、デジパネ側にも何かおかしいところがあるんじゃ? と考えるに至った。
まずオドメーターユニットから
デジパネ側といっても、少なくとも2つの要素がある。オドメーターユニットと、デジパネ本体(のオドメーター制御部)だ。問題を特定するためには、動作確認済みのオドメーターユニットを使うのが良い。オドメーター単体で動かしてみればわかる。
そして、どちらの原因だったかに関わらず、オドメーター値がDIGITAL CRUISINGで走行距離計測を累積してきた現状値と合致しないことは受け入れがたい。DIGITAL CRUISINGの値をそのままセットしたい。
これらをいっぺんに解決するため、手持ちの予備デジパネからオドメーターユニットだけ取り出して単体で動作確認し、ついでに距離をDIGITAL CRUISINGの値に揃える作業を最初にやることにした。
いかにもメンドクサそうな作業なのにコレをやろうと思い立ったのは先人が居たからだ。mikamiさんのチャレンジングスピリットには頭が上がらない。早速同じ秋月のステッピングモータードライブキットを注文し、夜中にハンダ付け作業に勤しんでキットを組み上げた。
そして手持ちの中から目標の距離(約148,000km)に近いオドメーターユニット(約120,000km)を選び、ドライブキットに怪しげな配線で接続し、始動スイッチを押した。すると、モーターはカクカク言っているがオドメーターは回らない。ドライバーキットの組立が下手糞なのか、ステッピングモーターが悪いのか、それともオドメーターが悪いのかはよくわからないが、とにかく動かない。
そこで別のデジパネから取り出したオドメーターユニット(約91,000km)を使ってみると、今度は動いた。よし、これで確実に動作するオドメーターユニットを確保したぞ。
しかし、何か動きが変だ。一瞬正回転したと思ったら、すぐに反対方向に回ってしまう。これはおかしい。
ステッピングモータードライブキットの配線を終えて接続したところ、最初に試したメーターはステッピングモーターがカクカク動くだけで、要するに壊れていた。次に試したものは、どうやっても逆にしか回らない。距離が減ってどうする。 pic.twitter.com/j35UiY8AOL
— m.sota (@msota_RS) October 1, 2022
何か間違えたんだろうと思って色々確認している間に、テーブルに転がっていたテスターのピンが基板裏の何かに触れて短絡してしまったようで、全く動かなくなってしまった。なんてこった。何時間もかけて組み立てたキットが一瞬でパーだ。自分の馬鹿さ加減に呆れるばかりだ。
テスターで色々調べた限り、どうやらコンデンサが2つ壊れたっぽいが、その数十円の部品を買うために送料300円以上かかる通販で注文する気になれず、たまたま川崎に出る機会があったときまで作業は放置することになった。そしてコンデンサを取り替えたが、やはり動かない。無駄金が99円で済んでよかったと思うしかない。
目標距離に設定
さて次なる対策だ。同じキットを変えば動くことは間違いないところだが、また電子工作作業をするのは気乗りがしない。そのため別のナニカを探してみると、Aliに299円でステッピングモータードライバーの基板が売られていた。ステッピングモータードライバーにも色々あるようだが、秋月のキットと同じくモーターまでの配線が5線あるので、同じ使い方ができるように見える。そして、回転速度や方向をスイッチで変えられるので機能的にはこちらが上。しかも安い。というわけで、これを注文した。
数日後、例の白いプチプチ封筒で品物が届いた。説明書など一切無く、袋に入った品物だけ届いたが、これは予想通り。販売サイトの説明を見ながら想像混じりで配線して、K1100RSから外したLONGバッテリーに接続すると、見事に動作した。何だ、最初からコレにすれば良かったじゃないか、なんてことは言ってはいけない。
Aliで299円で買ったステッピングモータードライバーが届いたので試してみた。雑な配線だが無事に動作した。キットを買って自爆したりせずに最初からコレにすれば良かったとか野暮なことは言わない。
中古オドメーターは現在91000km、これを144000kmまで進めなければならない。何日かかることやら。 pic.twitter.com/68kOIYgxnl
— m.sota (@msota_RS) December 8, 2022
これを使って数日間動かし続けて、目標の148,248.2kmに到達した。止め忘れてしまって150,000kmを超えてしまったり、逆回転させたらまた忘れて戻しすぎたりと、何度も行ったり来たりした結果だ。
ステッピングモータードライバーを止めるのを忘れていて過走行になってしまったのでメーター巻き戻し行為に走る pic.twitter.com/6kqvvYa1Yv
— m.sota (@msota_RS) December 14, 2022
これでオドメーターユニット側の準備は完了した。あとは現行デジパネ側の確認だ。
遂にデジパネを入れ替える
とにかく今ついている現行デジパネを外さないと何も進まないので、とりあえず外す。色々とメンドクサイのは判っているので渋々ながらやる。
そして現行デジパネのオドメーターユニットを、つい先日まで別のオドメーターユニットを動かしていたステッピングモータードライバー基板に繋ぐ。試してみると、オドメーターは普通に動いた。これでオドメーターユニットの問題ではなかったのは確定した。現行デジパネ側に何らかの問題がある可能性が高まった。
それを確認するために、デジパネ本体を別のものに入れ替える。選んだのは83型用のもの。82.5型以前のものはメーター部のLEDが暗いことがわかっているため使いたくないので、できればこの83型用で動作してほしい。
デジパネ本体を入れ替えるのは案外面倒で、サテライトスイッチを外し、プラ枠を外し、金属フレームから外すという手順が必要だ。面倒なだけで難しくはない。どうやら過去に作業した際にネジを付け忘れていたようで、何箇所か不足している。手持ちで似たネジがあるかもしれないが、さっさと結果を確認したいので今回は放置する。
83型用のデジパネに、148,248.2kmに合わせたオドメーターユニットを取り付ける。
そのデジパネを金属フレームに取り付け、プラ枠やサテライトスイッチを元に戻し、さらにクルマに戻す。その際、コネクタに接点復活剤を吹いておく。
デジパネ本体に繋がるコネクタをつないだところでキーを捻ると、各所問題なく点灯した。サテライトスイッチのコネクタも繋ぎ、デジパネを車体というかダッシュボードに固定し、デジパネのカバーやステアリング周りの諸々の部品を戻して試運転の準備は完了。
結果は?
さてここからが緊張の瞬間だ。エンジンをかけて暫く放置しつつ片付けを済ませて運転席に乗り込み、試運転を始める。すると、じわじわとオドメーターが進んでいくではないか! おぉ、動かなくなってから苦節10年、遂にオドメーターを動かすことに成功したぞ!!
デジタルなトリップの数値が0, 1, 2…と変わっていくのとは違い、アナログなオドメーターはじわじわと値が上がっていく。当たり前なことなんだが10年ぐらい見ていないので感動的ですらある。
記念写真を撮ろうとして路肩に停めるべくハザードを付けると、チコチコ音は全く問題無さそうなテンポで鳴っているのに、デジパネ内のインジケーターは左しか点かない。当たり前だがウインカーも同じだ。車体側のウインカーは動いているので、あくまでインジケーターの問題っぽい。サテライトスイッチの配線接続後に動作確認をしなかったのでこんなことになってしまった。たぶん球切れだろうから変えれば直るだろう、と思いたい。
結局原因は何だったのか
デジパネ本体のどこかに問題があったのは間違いないが、それが何なのかは不明。自分はたまたまスペアを持っていたのでどうにかなったが、スペアを持たない人には何の情報にもならない結論だ。しかし現時点ではそこ(デジパネ本体におけるオドメーター不動の原因)を追及する気はない。
コントローラー側にも問題があったと思われる。この83型デジパネは過去に試装着したことがあり、その時は動かなかった。しかし今回は動いた。このコントローラーはクリスタルオシレーターを交換済みなので、以前とは違う。したがって、コントローラーの不良もオドメーター不動の原因だったことは間違いないだろう。
まだ終わっていない
試運転時に点滅しなかったウインカーのインジケーターは、デジパネ裏に手を回してウェッジ球を入れ替えたら解決した。
1回の試運転では信用できないので何日か続けて乗ってみたが、3回続けて動作した。水温計の時は10回続けて動くまで信用しなかったが、今回はデジパネ自体を替えたので3回連続OKなら復活したということにしたい。
さてこれでデジパネ周りは完璧、万々歳だ…というわけにはいかず、まだ問題は残っている。
- 右下の「OK」周辺のインジケーターがズレていてみっともない
- 前面のクリア板に傷が多く、旧デジパネより質が落ちる
- ウォッシャー液不足の警告が出ていて「OK」が出ない
どれも致命的じゃないけど、常に見えるところなので気にはなる。
インジケーターはユニットごと替えられるのか、別パーツなのかわからないが、ユニットを外してみればわかるだろう。前面のクリア板も同じく他のものと替えられそうだ(パチンとはめ込まれているだけに見える)。どちらも機能ではなく見かけの問題なので、暇なときにやればよい。
ウォッシャー液不足の警告は、以前は出ていなかった気がするが、そもそも以前は暗くてよくわからなかった。見えるようになっただけなのかもしれないが、いずれにせよ不快だ。当たり前だがウォッシャー液自体は入っているし、コネクタへの接点復活剤攻撃は実施済みだ。警告自体は半ばどうでもよく、これが原因で「OK」が出ないのが気に入らない。どうにかして「OK」が出るようにしたいのだが、これはこれでメンドクサそうだな。
そして一方…
10年近く使ったDIGITAL CRUISINGアプリは一旦お役御免になった。燃費記録はROADSTOCKと両方でやっていて、そちらの方がいろいろな意味で便利なので、あえてこちらを使う必要もない。とはいえ、いつまたオドメーターが止まるかわからないので、とりあえず捨てずにとっておく。アプリとしての改善は、よほどのことがない限りやらないだろう。
後日談(2022/12/21)
ウォッシャー液センサーへの配線を引っこ抜いたら警告が点灯しなくなった。
エンジンルーム内のウォッシャー液タンクそばにあるセンサーのコネクタを抜いてみたり、短絡したりしてみたが、何も変わらない。どこが壊れたのかと途方に暮れていたが、実はリヤ側なんじゃね? という指摘があり、コネクタを抜いたら警告が出なくなり、OKが点灯した。
ビンゴでしたw pic.twitter.com/2QG5kcGRyW
— m.sota (@msota_RS) December 21, 2022
リヤのウォッシャーなんて全く使わない(どうせ動かないし、仮に動かそうとしたらスイッチが壊れそう)ので存在を忘れていた。無駄にコントローラーを再分解したりする前にわかって良かった。
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おお、オドメーター!
もう10年も前の事だったのかと、あらためて時の流れを実感w
あのblog記事がなければやろうとさえ思いませんでしたw
おかげさまで狙い通りの距離で回復しました。ありがとうございます。
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